無限一刀流―――『乱立の並び』
バラバラに展開される刀達、その担い手を守護するように展開された。殺気が今日一番に濃くなる。部下が倒れた今、この場所を守るのは私だけだ。
ワイヤーブレードをしまって代わりにプラズマ手刀を両手展開。眼帯を外して金色の瞳をあらわにする。これで今まで以上に早くAICで反応できる。時間制限があるのはいただけないがこの怪物相手に出し惜しみは死に直結する。
宙に舞う
神経を集中する。停止結界が残りの剣を阻んだ。これであいつの持っている刀は一本のみ、それならば切りかかってきても何とかできる。
「
空中に静止していた三本を弾き回転させる。
こいつ……AICの拘束を力ずくで解除させたのか!?
腕をクロスして防御する。腕の装甲と刃が衝突し金属音がガガガっと鈍く響く。後ろに押し飛ばされている時、あいつが刀を二本、キャッチしたところが目に入った。
「
「何!?」
三本の刀が私に一本、そして、部下達にもそれぞれ一本ずつ。私はワイヤーブレードで空中の刀をからめとり投げ捨てた。ズキズキと頭が痛む。くそ……早いな、想像以上に集中力をすり減らしているのか。それは今はどうでもいい。こいつ……!!
「動けない敵に対して攻撃するとは貴様にプライドは無いのか!」
「無いな」
そいつは平然と、そして無感情に即答した。刺さっていた残りの一振りを抜き、刀の切っ先を私に向ける。
「刀を持っていれば皆武士道を貫くとでも思っていたのか? 愉快な奴だ。俺は
「そうか、ならここで消えろ! 貴様に生かしておく価値など無い!!」
感情に任せレールカノンを向けて発射する。あいつは持っていた刀を投合し砲弾を相殺した。刀が砕けて爆発音が鳴り響き、砂埃が巻き上げられた。
「無限一刀流――
「がっ!?」
砂埃に紛れ、音もなく死角から近づき横薙ぎに胴体を刀で切り払った。肺から空気が無理矢理吐き出されて咳き込む。打ち付けた刀をそのままに、次なる刀を地面から引き抜きその数を増やしていく。
「『二本』、『三本』、『四本』、『五本』、『六本』、『七本』、『八本』」
数字が増えるごとに私に纏わりつく刀の威力は増していく。
「『九』、『十』…『十一』……」
更に追撃の三連撃。AICで止める隙などなく、意識が飛びそうなところを踏みとどまっていた。
「『十二本』!」
何とかシールドエネルギーは残った。耐え切った。安心したのも束の間、あいつは少し離れた刀を掴んでいる。私の反撃のチャンスはここだ。次の止めを刺しに懐に入った瞬間、AICで拘束しレールカノンで攻撃する。そうすれば装甲のないあいつを戦闘不能に陥れることが出来る!
大地を蹴り、迫る剣士。AICの圏内に入るまで五メートル…三…二……剣の先が圏内に入ったその刹那。あいつは持ち手から手を放した。至近距離からの投合、奇策に転じたのだ。刀の間合いがこの一撃に限り約一メートル広がる。これをもらったら私は終わる。逆にこれさえ停止させれば私の勝利は揺るがない。刀を持たないあいつは恐れるに足らない。『
目の前。文字通り目の前。眼球の前で静止した。
勝った、賭けに私は勝ったのだ。
「無限一刀流――乗法『二十四本』!!」
同時に今まで攻撃してきた剣で切り裂かれる。馬鹿な…そもそも剣を動かすには剣で弾かなければならない。それが奴の見せて来た『無限一刀流』の基本動作。だがあいつは剣を持っていなかった、いや手放した。ならば何故…
「どこから……。いったいどこからその剣を持って来た……!?」
金属に混じった青色の刀身、それが奴の手に収まっていた。
「
あいつはそう言って、跪く私に刃を振り下ろした。私の意識はここで途絶えた。
その日ドイツにあるIS全九機が持ち去られた事を目覚めた病室で告げられた。
☆
「緊急帰国ってどういうことだよセシリア、ラウラ!」
「文字通りの緊急でな、内容はいくら嫁でも言えない。今週末には帰らなければならなくなった」
「すいません…
学園祭の準備を進める中、私は嫁にそう言った。何しろドイツ軍がたった一人に全滅させられた等とは口が裂けても言えない。あのクラリッサが負けたというのだから相当だ。私の任務はドイツ軍の戦力の補填。早急に戻らなければならない。
セシリアも同じような任務を受けたのだろう。ここ数か月、母国に帰国した代表候補生達もそのはず、それは理解できた。
「そうか……寂しくなるな」
「そうだね……」
そう言った箒とシャルロット。表情は少し暗い。
「最近そういう子多いわね、うちのルームメイトのティナも帰国しちゃったしどうなってるのよ」
鈴もそう続く。夏休みが明けてから人は徐々に減っていき、今では生徒の数の内、五分の一はいなくなっている。これにははっきりと異常と言える。
「まあ、俺達が考えても仕方が無い。今度の週末にみんなで遊びに行こう!パーッと行こうぜ!」
「嫁…! 私は嬉しいぞ」
「一夏さん……!」
今は、今だけは嫁の行為に甘えてこの瞬間を楽しむとしよう。
抱き着いた嫁の腕からは確かに、温かみが感じられた。
☆
「お疲れさま~やっくん! お見事だったよ『無限一刀流』!束さん見れて嬉しかったよ」
タオルを受け取って顔についたベタベタとした汗をぬぐう。頭を保護し顔を隠せるのは良いが、これだけは不快感を感じずにはいられない。
「ありがとう束。やっぱりお前が楽しむためだったか。……っ!?」
「大丈夫やっくん!? やっぱり少し休んだ方がいいよ、明日は休もう。」
「かもな、いよいよ俺も疲れでおかしくなったかもしれない。今一瞬、自分を中心に
気持ちが悪い感覚だった。もう二度と味わいたくはない。そのためにも少し休んでおくべきだろう。
「…どうした束?」
「いや、何でもないよ! これで八十個は回収したからね。しばらくゆっくりしよう!」
「わかった、風呂先にもらうぞ」
「うん! 今日の晩御飯はくーちゃん特性だから期待しておいてね!」
束の一瞬の間が気になったがそれよりも今日の夕飯の食事が食べられるかどうかを、俺は心配しなければならないらしい。
今回も読んでいただきありがとうございます。
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テストガンバラナキャ・・・タンイ、タンイガホシイ!