更識家長男はシスコンである。【完結】   作:イーベル

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シスコンである彼はとうとうISに遭遇する。

 第二回モンドグロッソも四日目を終えて織斑千冬も予想通りに決勝戦まで駒を進めた。戦術としては基本的に一撃必殺。大会でも使用者が少ない単一仕様能力(ワンオフアビリティ)でテンポ良く勝ち進んでいく様は観客を魅了した。織斑君もご満悦である。

 

 まあうちの妹達にはかなわないけどな…きっと近い将来、うちの妹達が世界を制する!

 あっ、新しいカメラ買わなきゃ(使命感)

 

 ちなみにうちの親父は電子機器使えない…デジカメもその範囲内である。拳一つで暗部を支えてきたこともあって、「機械?何それ?」レベルだ。最近ようやくテレビが一人で見られるようになった。よって我が家の写真係はこの俺である。今年の体育祭も楽しみだ。

 

 どうでもいい親父の話はさておき、織斑君と一緒に周辺の屋台に来ている。ドイツといえば肉料理らしいのだが、俺は観光気分じゃなかった為しっかりとリサーチをしてこなかった。

 

「楯無さんもどうですか? 流石本場って感じでうまいッスよ」

 織斑君は買って来たソーセージを頬張りながらもう一本の方を差し出して来た。言葉に甘えて一本頂くことにした。

「中々うまいな、悪くない」

 だが…流石にほぼ不眠不休で護衛をしているときついものがある。疲労も溜まって来たし、何より簪と刀奈に会えないのが何よりつらい。そろそろ妹分(いもうとぶん)が足りなくなる…。

 

 そんなことを考えているとどこからか視線を感じる…数は…四人か。いつまでも俺が張り付いているから焦ったか?しびれを切らして仕掛けてきたか。

 

「織斑君」

 彼を呼んで腰にある刀の柄を人差し指で二回叩いた。これは事前に決めていた合図。敵に付けられていることを示すものだ。

「楯無さん?どうかしたんですか?」

「いや…さっきあっちに美味そうな店があったからさ。行ってみないか?…今日は俺が奢ろう」

「いいんですか? うれしいです」

 

 織斑君は適当に話を合わせてそう言った。歩き出すと視線も路地裏に回って付いてきていた。入り組んだ道を通り複雑に動いた。だが追っ手は1人撒けたが残りの三人はついてきている。面倒だな……

「飛ばすぞ……舌噛まないように口は開けるな」

 胴体を持ち、脇に抱えた。

「え!? ちょっ……」

 

 地面を力を入れて蹴り上げ加速、一気に追っ手に差をつける。いつもよりは人を背負っている分速度は落ちているがそれでも通常の人の倍近く速度は出る。

 

 まだついてくるのか!?俺と身体能力で互角に張り合えるのは早々いない。ということは当然ついてきてるのは……

 

「ッチ! 手間取らしやがってよぉ! お前はここまでだぜぇ!」

 

 八本足の蜘蛛を模したISが横並びに並走してきた。顔はヘルメットで隠れて見ることはできない。街中で銃を乱射し俺たちの足止めをする。いくら人通りが少ないとはいえ発砲してくるとは思わなかった。ジグザグに走り射線を避けながらどうやって逃げ切るか、もしくは倒すかを考える。そして事前に調べておいたマップに空き倉庫があったことを思い出した。

 

 無線で部下に連絡を入れる。

「俺だ。ドイツにて作戦行動を行っている部下に告げる。現在所属不明のISと交戦中。護衛対象の織斑一夏を一度預けたい。頼めるか」

「こちら小林! 現場付近にいます! いつでも大丈夫です当主」

「倉庫付近で受け渡す。頼んだぞ」

 倉庫まであと数百メートルを走り抜けて、すれ違ったドアの開いた車にラグビーボールをパスするように受け渡した。雑な受け渡し方だったが許してくれ織斑君。そして見事だ小林。今月の給料は期待しておけよ。

 

「何!? 投げ渡しやがった!」

 

 俺に興味をなくし機体を翻し車を追おうとする。その蜘蛛の後ろ脚をつかんで空き倉庫に放り込む。大きな音を立てて扉を突き破った。

 その隙に車は出発していった。これで両手が空いた…。鞘から刀身を抜き出すと太陽光が反射して輝いた。

 

「さっきから邪魔ばっかしやがって……ハチの巣にしてやる!」

 

 前足を四本持ちあげてそこから銃弾が撃ち出される。だが両手が自由になった今恐れることはない。全てを一刀の下叩き落とす。

 

「そんなバカなことがあるか! 並みの人間がISに敵うわけがない!!」

「―――一ついいことを教えておいてやる……俺は早く日本に帰って妹に会いたいんだ」

「お前は何を言ってやがる!?」

「そのためにはお前は邪魔だ……気晴らしにその脚―――むしり取ってやるよ」

 

 刀を鞘に戻し体勢を低くし脱力、利き手の右手を柄に添えた。

 

 更識流剣術、抜刀――――『一文字』

 

 鞘から加速した刃は名前の通り漢数字の一を書くように、音速に近い速さで放たれ、蜘蛛の脚を一本切断した。

 

「む? ……流石に二本一気には無理か…」

 

 絶対防御という奴は見えないくせして思いのほか頑丈らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでもいい用語集。
本編にて登場したどうでもいい用語を解説するコーナーです。

妹分:シスコンである彼が提唱する架空の栄養素のこと。摂取することでありとあらゆるステータスが向上する。妹達に日々接したりすることで摂取することが可能。

小林:彼がドイツに連れて行った従者の内の一人。今回は華麗なドライブテクニックで一夏を戦線離脱させた活躍により臨時ボーナスが決定した。趣味はドライブと一人ジェンガ。

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