更識家長男はシスコンである。【完結】   作:イーベル

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祝10万UA達成!
読者の皆さんのおかげでの達成です。これからもよろしくお願いします。

予告をしたけれど、今回は番外編です。活動報告で募集したリクエストを元に書きました。




番外編 もしも刃が弟だったら

 俺は更識刃。中学一年。今日はうちの姉達が夏休みということで国内にして国外の『IS学園』から帰ってくるそうだ。

 あの、心配性の姉達が……。正直に言って面倒な事この上ない。

 俺は一人になれる場所を求めて釣竿とバケツを持って窓から近くの海に向かった。

 

 ▼▼▼

 

「だ~れだ?」

 

 竿を持ちながら穏やかな海を眺めていると背後から目隠しにあった。釣り人にいきなりそんな事をする人物がいることは驚きだ。とは言っても、心当たりしかないのは非常に残念である。

 

「魚より先に姉が釣れるとは思わなかったよ…刀姉(かたねぇ)

 

 視界が開けると、水色の髪が外側にはねた少女がいた。彼女は更識刀奈。弟の俺から見ても美人、自慢の姉だ。……調子に乗るから決して言わないが。

 制服姿と奥に見える送迎車からして学校の帰りに見つけたから声を掛けたというところか。

 

「せい~かい。ただいま刃。元気にしてた?」

「まあ…それなりに」

「本当に? いじめられてない? 勉強は大丈夫? 宿題は終わったの? 良かったらお姉ちゃんが教えて……あ・げ・る」

 

 怪しげにそう微笑み、扇子で口元を隠す。珍しくそこには文字は書いていない。

 からかい癖のある刀姉は引っ掻き回すだけ引っ掻き回すのが好きだ。そういう所が本当に面倒くさい。

 

 ▼▼▼

 

「釣れないわね……」

「そんなすぐに釣れるわけないだろ?」

 

 三分もたっていないのにそんな事を言い出した。退屈なのは好きじゃないのは、しばらく会っていなくても相変わらずらしい。

 そのうち何か思いついたようにハッ、とした表情になった。

 

「フフッ……お姉ちゃんの本気を見せてあげよう!」

 

 背後に透明のクリスタルが出現する。ISを部分展開…何するつもりだ?

 

 クリスタルを水に沈めて、指をピッと(うえ)()げると、ブロック状の水の塊が現れた。

 その中には捕らわれた大量の魚たちが所狭しと敷き詰められていた。

 

 扇子を開いてドヤ顔。『大漁♪大漁♪』の文字が口元を隠す。

 

「いや、すごいけどそれ釣りでも何でもねぇじゃねぇか!」

 

 ☆

 

 釣りではなく漁をしていた姉を追い返した。無事平穏を取り戻し、ポイントを変えて再び釣りを再開。ようやく一人になることができた。

 平和だ…素晴らしい。引っ掻き回すだけかき回してから上の姉は帰って行ったが、今の俺の心境は目の前の海のように穏やかだ。

 

「……見つけた」

 

 振り返ると眼鏡をかけた水色の髪の少女。先ほどの少女とは逆に髪は内向きだ。こちらも俺の姉だ。更識簪。俺から見てもやはり美人。彼氏が出来ないのが不思議だ。―――できて欲しくないから隠しておきたいが……。

 

「お帰り~かんちゃん」

「うん、ただいま」

 

 ちょこんと俺の隣に座る。刀姉と違って比較的大人しいので被害は少ない。だが…

 

「ほら……おいで」

 

 ポンポンと膝の上を叩く。いや俺今釣りしてるから。そう断るとムッと頬を膨らます。

 そう、何かと俺を甘えさせようとしてくるのだ。断ると機嫌が悪くなるのでたちが悪い。俺も中学生になったからそういうのはそろそろ止めて欲しい。

 

 ▼▼▼

 

「お姉ちゃんが泣きついてきたけど何したの?」

 

 やっぱり聞かれたか。立ち去る時に「簪ちゃんに言いつけてやる~!」って言ってたからな…。まあ自業自得だから俺は気負うことは無い。

 声をかけて来てから立ち去るまでの流れを説明する。

 

「それはしょうがないね……。私からも言っておくよ」

 

 こういう時のかんちゃんは頼りになる。「目には目を姉には姉を」が俺の中では最適の対処法なのだ。

 

「それより私の膝が空いてるんだけど……」

 

 いや、だから……今釣りしてるって言ってるよね。

 

 

 

 ▼▼▼

 

「ねえ、刃」

「なんだよ、かんちゃん」

 

 釣りを続けているとかんちゃんが問いかけてきた。

 

「どうして急に釣りなんか始めたの? 海は眺めるのは昔から好きだったけど、見るだけだったでしょう?」

 

 かんちゃんの誘いを二度断ったためなのか釣りへのヘイトが溜まっているらしく、憎らし気にそう言った。

 

「漁師のおっちゃんと仲良くなって竿をもらったんだ」

 

 元から興味があったから有り難く頂戴した。それから個人的な理由もあってここ最近は通い詰めている。

 

「そう、あの人は余計な……コホン。良かったね。お母さんがよく家を空けてるって言ってたから、私心配しちゃったよ。不良になったのかと思ったよ……」

 

 今一瞬本音が漏れたような気がしたけれど気にしない。我が家で怒らせると怖いのは母の次にかんちゃんなのだ。逆鱗には触れたくない。

 

 ちなみに家を空けてるのは親父と喧嘩して家に居づらいからだ。趣味の書道用の墨を使いまくったからな……。

 そんな事を考えているとサバが釣れた。今日の『夏休み魚拓日記』のメインはこいつにしよう。

 俺は今日も、帰ってから懲りずに墨をすり、自由研究を進めた。

 

 

 

 

 

 

 




というわけで今回はライトムさんの「もし刃が一番年下だったら」というリクエストにお応えして書かせて頂きました。

引き続きリクエストは募集しておりますので活動報告のほうに良かったら書いてください。次はお気に入り登録2000件かな?

感想評価等お待ちしております。
モチベーションにつながるので書いてくれると嬉しいです。

次回は本編に戻ります。
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