更識家長男はシスコンである。【完結】   作:イーベル

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私の見間違いでなければランキングに乗っていたようです。ありがとうございます。
お気に入り登録も200を通り越して300件に到達!!

みんなシスコン大好きなんですね。

では、どうぞ!


シスコンは勘違いする。

 瓦礫の山となった倉庫を崩し、その下から左腕で瓦礫をどかして立ち上がった。地表の空気を吸い込み、何とか生き残ったことに安堵した。

 負傷も酷く、特に右腕は最後の攻撃で限界だったようで指一本まともに動かすことが出来ない。いくら頭に来ていたとは言え、我ながら無茶をしたものだ。死んで日本に帰れなくなったら妹達にも会えないだろうに。

 

「―――もうここにはいないか……」

 

 瓦礫の頂上から地上を見渡すが戦っていた女達の姿は見えなかった。これ以上の戦闘は不可能と判断したのだろう。俺としても続けて戦うのはもうキツイので助かった。

 安全を確認して気が緩んだのか視界がぐらつき、膝を地面に付く。貧血か? どうやら血を失い過ぎたみたいだな。

 

「まさか生き残ってるとは思わなかったけど、流石に限界みたいだね」

 

 背後から声を掛けられて風呂上りに氷水を浴びせられたかのような寒気を感じた。振り返るとうさ耳ドレスの得体の知れない女が立っている。まさかとは思うが増援はあの繭みたいな盾を使う奴だけではなかったのか!? あれは回収部隊でこっちが本命とか…笑えねえぞ。

 

「危害を加えるつもりはないよ。だからそんなに睨まないで欲しいしんだけどな~。まあ、あわよくば遺体を回収して研究材料にしようとか思ってたけどね」

 

 研究者? いや敵意は感じないが歩き方や細かい動作が武人のそれだ。油断ならない。満身創痍の俺相手なら一瞬で首を刈り取れる。少なくとも衰えた親父以上の戦闘力はあると推測できた。殺気を隠してしれっと笑顔で間を詰めているあたりが上手いな。お前研究者じゃなくて暗殺者(アサシン)だろ。くそ、死ぬ時は妹達に看取られ、惜しまれながら死ぬって決めてたんだがな…。

 

「一ついいか?」

「いいよ~何?」

「最後にポケットの写真を見ていいか? 殺される前に見ておきたい」

「だから君は束さんを何だと思ってるのさ!!」

 

 素早く、強烈なボディブローが炸裂し、彼の意識を刈り取った。

 

 ☆

 

 あまりにもひどい事を言うものだから話すより先に手が出てしまった。だがやってしまったことは仕方がないのでラボに連れ帰って医療用の液体を入れたカプセルに入れて治療を進めさせている。

 検査したところは命に別状はないけどしばらくは絶対安静じゃないと厳しそうだ。出血多量、骨折箇所多数とISと戦ったにしては比較的軽傷だと言いたいが、それらは瓦礫の下敷きになってからできたもので戦闘自体の負傷は右腕の複雑骨折のみであることが彼の化け物染みた身体能力の裏付けになっていた。

 

 持っていた折れた刀には特に特別なことは無かったから、絶対防御を貫通させた攻撃は身体能力の高さのみで行われた事になる。あのちーちゃんにだって貫通させるには零落白夜の使用が不可欠、謎は深まるばかりだ。

 

「私のことも覚えてないのは残念だけど……まあたくさん時間はあるからゆっくりやればいいよね。」

 

 天災は弾んだ声でそう呟くとキーボードを叩き始めた。

 

 

 ☆

 

 

 お兄ちゃんの事をお父さんから聞いたけどいまだに私には実感が沸いてこない。明日起きればいつものように朝食に顔を出して、くだらない冗談を言って笑っているのが容易に想像できたからだ。

 だからここに足を運んでしまったのだろう。

 

 襖を引いて中に入ると以前の雰囲気とは異なっているように感じるのはきっとこの部屋の本来の主がいないからなのだ。

 そこそこの広さの畳の部屋、部屋の中央にはちゃぶ台と座布団だけの殺風景の光景。

 それがお兄ちゃんの自室。

 

 仕事部屋を持ってからはあまり使われていないが、小さい頃はよくここでお姉ちゃんと一緒にここでお兄ちゃんに遊んでもらったものだ。

 

 私は懐かしみながら座布団に座りちゃぶ台に上半身を預けた。

 

 現地の部隊から連絡があってから数日。仕事に向かった人たちは任務を完了したというのに暗い表情を浮かべて帰ってきた。理由は単純明快、彼らを率いていた人物が帰って来なかったからだ。

 お姉ちゃんはあれっきり心ここに在らずといった様子で部屋からあまり出てこないし、お父さんが代わりに指揮していても従者の人たちはあまり仕事に身が入っていない。()く言う私もこうして現実逃避している始末だ。良くも悪くも更識家(この家)更識楯無(お兄ちゃん)を中心に回っていたことを改めて実感した数日だった。

 

 首を上げると壁に立てかけられたコルクボードが目に入った。そこにはお兄ちゃんが撮った家族の写真が貼られており、一番上にはこの間行った遊園地での写真があった。普段は撮る側になることが多いから無理を言って一緒に写ってもらった。もうこんな風に写真も撮れないのかと思うと途端に悲しくなってきて、私は涙が溢れそうな瞳を腕で隠した。

 

 

 

 




結構感想欄で束さんに目をつけられるのは予想していた人がいて焦り急遽、ルート亡国機業版も考えたんですがモチベーションが上がらなそうだったから断念し、このルートに…。

梅雨にも入りますがここからシスコンは加速する!!(適当)

感想評価等お待ちしてます。



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