羞恥プレイの後、教会あとまで移動する。
ここには何もなくなっているが、それでも記憶が染み付いている。
「どうしたの? ここに何かあった?」
首を横に振りながらも、ただじっと記憶の中の教会を見つめ続けた。
ざわつく心が、何かを叫び続ける。
「そんなわけ無いでしょう。あなたは、ここに住んでいたわけではないんでしょう」
オルガマリーさんが言っているのは正しい、私はここに住んだことは一度もない。
私自身は、こんな明るく陽のあたる空間で、生活したことがない。
記憶の残骸たちが、見せる。不鮮明な録画映像のようなものだ。
それゆえに教会の中から出てきた男から発せられた。
「あたためますか?」
の言葉に、
「ぶち壊しだ!!」
と叫んだのは、致し方ないことだ。
現在休憩中であっても、騒がないほうがいいが、これは致し方ない。
茶目っ気のある、先輩に言ってくれ。
「えっとなにが?」
『そんな、ギャグみたいな空気を壊して悪いけど、敵だ』
意外と早くに、シリアスさんは復帰しました。
見えたのは骨、私に容赦なく刺していった、あの忌々しい骨だ。
意外と早くにリベンジの機会は訪れた。
「みんな散開、各個撃破するよ!!」
オレンジの髪の少女が叫ぶと、ライダーとシールダーが、現れた骨に向かってゆく。
自分はどちらに参戦すべきか、悩んでいると、
「えーと、キャスターは、そこで待機!! 局長を守って!!」
そんな指示を出された、仕方がない。
連携なんて、一朝一夕でできるものではないし。
何より、私が戦えるとして、私のような子供を戦わせることが、彼らにはできないだろう。
自分にのしかかる、プレッシャーなんて微塵も感じさせず。
辛いとも、苦しいとも吐き出さずに、今の現状をあるがままに受け入れて、風のように歩いている。
それは様々な事柄に吹き、事態を動かしてゆく。
本人の望まぬ方向にさえも。
『ごめん、話しはあと! 今すぐそこから逃げるんだ六人とも!」
厄介ごとの足音はすぐそこだ。
そして姿が現れる。
しかしなぜだろうか。その姿を見たとき、初対面にもかかわらず懐かしさがこみ上げた。
それはあちらも同様だったのだろう。
初見スタン――その顔が、誰かに似てるが効果を発揮した証だろう――による硬直が、一手の優位を作った。
「マシュ、今だ!!」
「やってライダー!!」
シールダーとライダーが、同時に駆け出す。
反応が一手遅れた、サーヴァントのようなものは、二人の猛追をさばききれない。
だが一手足りない、このままでは宝具による一発逆転もあり得るだろう。
それを避けるためには、
「敵性存在をライダーと認定、限定召喚(インクルード)開始……完了、即時展開!『死が二人を分断つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア) 』!!」
無手で飛び込む、傍から見れば無謀だっただろう。
相手に手加減というものは存在しない。
振り上げたナイフは、たやすく私の突進を止める。
――はずだった。
はじかれるナイフと少女に押し付けられる自身の体――否、押しつぶされてゆくかりそめの体。
本来ゴミ捨て場となるそれは、月の防壁を模した、鉄壁と姿を変えた。
効果は単純、自分より胸部が大きい女性、または男性特攻の対人宝具
一度抱きしめられれば、そこから逃げることはできない死の包容。
余談にはなるが最も効果のある上半身痴女には宝具の相性で負ける。
ただ単に、立体を平面にするなどというのは、言葉としては軽い。
しかし実行すれば、皮一枚になるまで押しつぶされてゆくというグロイ光景である。
そのさなか聞こえているかわからないが、私はつぶやく。
私ではない他の誰かとして、
「ありがとう」
サーヴァントもどきが、そうであったものに変わるのは、さほど時間がかからなかった。
しかし、これで終わりではない。
一息つく、暇もなく新たな同一反応の出現が報告される。
拠点放棄! 逃げるわよ! などと言葉が聞こえるなか。
私は、オレンジ色の髪をした女性に手を掴まれて、その場を走り去ることになった。
燃える業火の冬木に、未だ夜明けは訪れない。