女子高校生の日々   作:Loopさん

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とあるキャラクターをめちゃくちゃな速度で出しました。個人的に好きなキャラクターですw
投稿ペース遅いけど許してください。

AQUAって誰だ・・・。


2話 チーム果実の生放送 / 時雨の新たな出会い

 さて、今日は金曜日。

 生放送。

 うぇwww

「テンションおかしいだろ!?」

 突っ込むのはもちろん結月。素晴らしい。

「いやはや、生放送ですし。楽しいじゃないですか。しかもモンハンじゃないっすかwww。Xやります?2Gします?3Gします?www」

「いや落ち着け。こういう会話文に草は生やさないほうがわかりやすいんじゃないか?それと、私は4Gしか持ってない」

「わかった。リスナーを二人連れてラー狩りな」

「なんでゴリラ限定なんだよ!ただでさえ大体の人が四桁は狩ってるせいで絶滅危惧種のラーをさらに狩ってやるな!!」

「そういうお前はどうなんだよ!?」

「いつまでたっても神おまも神武器も出ないからラーをずっと狩ってるんだよ!!悪いか!?」

 あ・・・。

「・・・ごめん。傷をえぐるつもりはなかったんだ」

 結月。こいつは素晴らしく運がない。それはそれは運がない。ガチャなんてこいつにさせたらこいつの心が死ぬ。

 あとここで紹介すると、可愛い後輩、優灯は運が良い。どのくらい運がいいかって言ったら、一発で激レアを引くぐらい。宝くじが当たるくらい。チケットがいろいろ当たるくらい。有名な実況者にそこら辺であったことがあるくらい。

 中でも一番怖かったのは、突如降り出した豪雨の中、走って学校に来たときに雨粒が一粒も体に当たってなくて一切濡れてなかったことだ。

 いくらなんでもおかしいだろ・・・。

 もはや優灯は、運の女神に微笑まれっぱなしとかじゃなくて、

 運の女神だ。

 そしてこの女神は、結月に運を与えず、全て自分で使っている。

「ま、気にしちゃいないさ。そう考えると私って、運動派・見た目・口調・性格・そして運から、あの神原さんみたいだな」

「別にパクったわけじゃないそうだけどね」

 作者が好きなキャラがそんな感じなだけだ。

「ダンクできるし」

「本当にできるんだ」

 噂は本当だった。

 ・・・あ、噂ってまだ説明してなかった。

 結月は、本校、下手したらこの地域で、もっと下手したら日本で一番運動のできる女子高生だ。いや、大言壮語でもなんでもなく本当なんだって!証拠に、結月のいろんな噂があちこちで流れている。え?噂なんて証拠にならないって?いやだってさ、火のないところで煙はたたないって言うじゃん。

 まあ、どんな噂かというと、まず、小学生低学年の時に高校のバスケットゴールにスリーポイントを入れたとか。・・・10連続で。この時点でおかしいことはなんとなくわかってもらえたかも知れぬが、中学校時代の噂はさらにひどい。小学生時代身長が低かった結月だが、中学校時代では平均的身長に追いつき、高校並みのゴールの高さにダンクしただの、バントからの進塁だの、野球で打ったボールが校庭の端から端まで飛んでって職員室の窓ガラスを割っただの、そしてとうとう気を使って浮遊とか、もうよくわかんないな。

 でもって、その神がかった中学生は、女子高生になってスポーツ界に一気に名前が上がらなくなった。まあ、部活やめたからな。消えた少女を探すものもいるが、まあ見つけられないだろうなあ・・・。

 あ、ここでさらに紹介したい。・・・閲覧者さんはついてこれるだろうか。

 私、凛だって自分でネットにハマったわけじゃない。中学生まではゲームも全然してなかった。そして、それからの高校生活もそのまま過ぎる、というのが真実だったのだろうが、とあるひとりの少女によって堕落していったのである。

 ぶっちゃけちゃえば、その少女は抱月だ。

 あいつは非常に魅力的に、ゲーム、ネット、アニメの面白さを私に叩き込んできた。私はそれに引っかかってしまったのである。結月はそんな私に近寄ってきて、巻き添えを食らった。そこからは私派生でクラスまでもが・・・、といった具合だ。

 本当の元凶は、抱月にあったのである。

 元々スポーツ推薦で高校に入りたくなかった結月は、部活をやめても別に退学とかはなかった。というか一度も部活に入ってない。

 スポーツ推薦で頼めばどこにでも入れそうだったのに、なんで普通に進学したのだろうかと、私は常々思うのである。

 

 で、一段落空けて閑話休題だ。

 ・・・どこまで閑話だっけ?

「もういいだろ。とっとと生放送の場面まで飛ばせよ」

 メタいなあ・・・。

 まあ、そんなところでいいだろう。

 

 

__________

 

 

 

 正直、上のところのカットを表すアンダーバーは適当である。上にあるアンダーバーってのもおかしな話だが。

 そんでもって、ここはマイハウス。パソコンの前。

 呟く。

[どうも。今日7時より、コミュニティ{チーム果実}で私とゆずがモンハンの4Gをやります!交代制でリスナーさんも含めてやるつもりですので、もし良かったら来てください!ヽ(・∀・)ノ]

 あ、ちなみにチーム果実は私と結月のコミュニティで私が管理している。名前の由来はまあ、かりんとゆずだから、ね?

 対する視聴者さん。反応は素早い。

・おお!行こう

・4Gか~。ギルクエとかするのかな?

・行こう!お二方と一緒にやりたいけど、順番回ってこなそうかなあ・・・。

・あ”ー、今日いけねえ畜生。仕事サボろうかな

・↑仕事は行け

・行けなそうなのでタイムシフト予約しときます。

・ガンナーだけど行っていい? ←全然大丈夫ですよ!歓迎ですヾ(≧∇≦*)ノ

 いいねが50回。

 ・・・あれ?私たちってこんなに有名だっけ?なんか昨日の倍くらいのフォロアー数だし・・・。

・生放送行きます。そういえば、□□□さんに宣伝されてましたね、昨日の{奴が来る}の動画

 マジかよ。

・マジすか←マジす

 一瞬思考停止。そして現実を理解。思わずガッツポーズして、その拳が机にぶつかって、痛すぎて言葉も出ず、とりあえずクッションに横倒れる。いてええええええええ!!

 痛いけど解説~。

 □□□。某動画投稿サイトにてゲーム実況を投稿。そのセンスをフルに活用し、初投稿からミリオンを連続で叩き出し、最高で1000万再生の動画を生み出した、超有名女性実況者。コラボ等は一切行っておらず、その正体は全く知られていない。ツイッターしかやっていないから、情報は少ない。とりあえず、謎なすごい人だ。

 そんな目標に実況者さんが、私の動画を宣伝してくれたのか・・・。

 私は自分の動画を確認してみた。

 20万再生。

 もともと私も若干は有名だったけど、今回の伸びは異常だった。一日で20万再生だ。デイリーゲームカテゴリランキングが1位。これはすごい。

 そしてコメントも「□□□さんから」の量がすごかった。

 次に私は、□□□さんのツイッターへ飛んだ。(フォロアー数100万ェ...)

 ひとつのつぶやきを見つける。

・私の好きな実況者さん。新作も出たから見て~→http://www.nicovideo.jp/watch/sm........

・↑宣伝ありがとうございます!

 簡単な文面だが、本当はもっといろいろ伝えたいことはあった。

 

 ・・・さて、やるべきことはやった。時間は6時53分。スタンバイだ。

 私はニコニコを開く。予約済みだ。あと6分30秒。

 スカイプスカイプ、っと。

 開いた瞬間に呼び出し音がかかってた。ほら、あのトゥットゥットゥトゥットゥッ、ツー・・・、ツー・・・みたいな。

 まあ、文字での説明は不可能だろう。

 コールしてたのは結月だった。

「ちわっす」

「うぃーっす」

 男子かよ。

「さて、あと6分ほどになったな。今日は結局4Gでいいの?」

「うん。予定変更はしてないよ」

「そうか。・・・そういえばさ、私たちの動画が□□□さんに宣伝されてたんだな。すごいことになってた」

「うん。私もびっくりして拳を机にぶつけて痛かったよ」

「どんな状況だよ」

 流石に突っ込まれるようなことだったか・・・。我ながら常識から離れたことしてんな。

「私は驚きのあまり飛び上がって天井に頭ぶつけた」

「一時代前のマンガかよ。なんか藤子不二雄先生のマンガにありそうなシチュエーションだな」

 というか、結月の家は天井高くなかったっけ?どんだけ大ジャンプしたんだよ・・・。

「天井が凹んだし」

「そっちのほうがどんな状況だよ!!」

 雑談してるうちに、あと1分。随分とリスナーが集まってきた。

「抱月とか時雨とかは来るのか?・・・優灯は近頃忙しいよなあ」

「優灯は、多分来るんじゃね?仕事にひと段落着いたらしいし」

「あ、そうなんだ」

「でも、またなんか厄介事が起こるって思ってるらしい」

「よくわかんねえな」

 優灯って、抱月くらいの謎キャラなんだよな。

 たまに一人で街を散策してたりするし、抱月と込み入った話してる時もあるし。

 なんであんなことしてるんだろうなあ・・・。

「さて、もう始まるね。偽トロセット完了だ」

「そっちの画面映すだけでいいよな?」

「それでいいよ」

 

 そして、生放送は始まった。面白そうな場面をピックアップしておこう。

 わこつ!

 このコメントで画面は埋まった。

 ・・・何事だよ。

 棒読みちゃんがうるさいレベルだ。今までとは大きく変化した回だった。

「なんじゃこりゃ」

 笑うしかなかった。

「どうも、かりんです」

「ゆずだぜ!」

「え、えーっと。たくさんの人が来てくれてますね。ありがとうございます。えー、今回はMH4Gでのんびりと狩っていく枠です。リスナーさんと交代制で4人プレイをしていきます。参加したい方は、@かbyの後に固定ハンドルネームをつけたあと、/予約とコメントしてください。結構な人が来てくれているので全員は回せないかもしれませんが、今後も生放送は開いていく予定なので、ぜひ諦めず参加を試みてください!」

・おお、説明が優しいねえ

・初心者ですが、かりんさんの説明がよくわかりました!見やすい放送ですね!

・@AQUA

・/予約 @AQUA

「おっと素早い。じゃあ一番手はAQUAさんですね!」

・ども~、わこつです@抱月

・/予約 @抱月

「お、抱月さん、どもども」

 抱月って、本名はまずいだろ!って思ったそこのあなた!!

 ・・・いやまあ、本名とは言い難い名前だろうが、これは実際、本名ではない。彼女は、抱月という名で絵師をやっている。とても有名な絵師だ。

・抱月さんだ!!

・どうも抱月さん!新作次いつ出ますか?

・↑ここはかりんさんの枠なんだから、抱月さんへの話は控えろよ

・↑失礼しますた

・↑分かればよろしい@紫紅蓮(しぐれん)

 ・・・お前か、時雨。

・うおおおおおおおおおおおおおお豪華だ!

「はい、とりあえず、クエストをやっていきましょう。一発目の狩りの面子はかりん、ゆず、AQUAさん、抱月さんです。あ、リスナーさんは二つのクエストで交代です。リスナーさん二人がクエストを選べます。・・・さて、まずAQUAさんはどのクエストを選びますか」

・そうですねえ・・・ @AQUA

 バーン![阿鼻叫喚のカルテット]

「おっと、いきなり難しいのきましたね」

「・・・私、ガララ亜種苦手なんだけど」

「そうだなあ・・・。じゃあゆずが、ガララ亜種殺っといて?」

「イジメか?イジメなのか!?」

「口は災いのもとだ。よおおおおく、覚えとけ!!」

「チクショーメ!!」

・wwww

・ゆずさんガンバッテ

・ゆずさんがいじられるのはいつものことなのねw

・何この二人かわいい

・SM成り立ってるなおめでとう

・え、でもゆずさん案外エスいとこありますよ? @抱月

・↑マジっすかw公の場ではMを演じてるんですね。演者ですね

・↑演者って何?論者?

・んんwwwwwwww論者とかありえないwwwwwwww

・↑ブーメラン刺さってますよ、大丈夫ですか?

・↑大丈夫だ、問題ない

・↑フラグ立ってますよ、大丈夫ですか?

・↑大丈夫だ、問題ない。・・・ん?誰かドア叩いてるんだけど。誰かな?

・↑あ・・・(察し

・あ

・い

・す

・↑なんで「す」wwwアイス美味しいよね

・アイスはバニラが美味しいと思うよ

・バニラが美味しい。かなり美味しい

・なんでアイスの話になってんの。画面を見ようぜ画面を

・あ、ゆずさん・・・

・あ・・・

・あ

・一乙乙です~(^ω^)

「うるせえ!エビフライぶつけんぞ」

・おお、こわいこわい

 

 

「ああ、疲れた。もう次の日になったか~」

「そろそろゲームはやめるか」

「そうだね。・・・さて、ここからは雑談枠に切り替わります。質問をください」

・うぇーいwww

・なんであんなにゆずさんは亜種系に弱いんですか? @紫紅蓮

「うるせえ!エビフライb「それさっき聞いた」

・じゃあ、お二人ってどういう関係なんですか?

「え・・・?」

・↑一気に行くなあw

・↑すげえ奴いたww

「うーん・・・。難しいですねえ。実際には小学生から一緒ですが・・・。幼馴染とは違いますね」

「友達以上、親友未満」

「えー。私はゆずを親友だと思ってるよ?」

「そうなの?どこが?」

「・・・」

・喧嘩してるから夫婦だろ(適当 @抱月

・↑マジっすか @AQUA

「夫婦じゃないです。女とメスです」

「・・・」

・かりんさんも痛え攻撃しますね

・メスwww

・現役高校生と聞きました。高校はいかがでしょうか?

「そうですね。多分普通のところと変わりません。学びの場です。私は結構寝てます」

・おいwwww

・高校は寝るところだよね分かる

・↑んなわけねえだろwww

「ゆずはクッソ真面目です。先生に好かれてます」

「まあ、頭悪いけど、その分頑張ってるだけだよ。・・・寝てるかりんは、クッソ頭いいです。ウザいです」

・どれくらい?俺のほうが頭いいかな?

・↑さあ

「9教科で890点です」

・負けたでござる帰る

・↑じゃあの

・天才wwwwwwwwwww

・勉強と遊びができるのはすごいな~

・じゃあ運動ができれば完璧っすね

「・・・」

・あれ?反応なし・・・?

「・・・いや、私は絶望的なんですよ、運動は。それに比べて結月は運動能力がおかしいんです」

「え、そうか?」

「犠打しといてセーフは頭おかしいって」

・それ犠打じゃなくなってるだろw

・バントで進塁wwwwww

・流石に嘘くせえwww

「身長が160弱くらいですが、ダンクしてました」

「え、普通じゃないのか?」

・マジか・・・

・脚力か。くれ

「ぶっちゃけると身体を交代したいくらいです」

「んな大袈裟な」

・へえ、かりんさん、へえ・・・。・・・いいっすね百合@□□□

「え?」

・□□□さんが百合に目覚めたwww @抱月

「いや、百合じゃないですよ」

・百合でしょ @紫紅蓮

「あの・・・」

・百合なんじゃないでしょうか? @AQUA

「ええ・・・」

・あれ?かりんさん眠そう?声に勢いがなくなってきましたよ @AQUA

「え、まあ・・・。眠い」

・明日土曜日だからって、疲れてたら寝るべきでしょう。・・・ゆずさんに置いては寝落ちしかけていませんか?さっきから喋っていませんが @AQUA

「え?・・・ゆず~」

「・・・っは!?ね、寝てないぞ!?」

「寝てました。じゃあ、この枠はここで切りますね。AQUAさん、遅くまでありがとうございました」

・いえいえ。じゃあ、私もこれで。また来ますね @AQUA

「今までの放送は、チーム果実でお送りしました。またお会いしましょう」

 最後の最後までいてくれた人は100人を超えていた。

 ・・・マジかよ。伸びすぎだろ。

 

 

__________

 

 

 

「うぃーっす。おつかれ」

「・・・おう」

 スカイプだけは繋がっている。

「明日うちに来ない?お疲れ会しよ?」

「お、いいねえ」

 疲れた声が返ってくる。まあ当たり前か。

「ねえ、凛」

「何?」

「百合って・・・。そうなのかなあ?」

「・・・」

 少し沈黙した。

「正直言うと、周りから見れば私たちの触れ合いは百合だと思う」

「どこがさ」

「キスしながら寝るんだよ?」

「・・・まあ、そうか」

 随分静かだ。結月とは思えない。まあ、疲れてるからか。

「・・・凛はさ、この状況でいいの?」

「え?」

「百合って、世間一般的に叩かれるものだよ?今のうちに私と縁を切って、かっこいい男の子n「結月、何言ってんの」

「いや、私は真面目だが」

「まあ、真面目だな。でもさあ、私が結月を好いている理由があるんだぞ?」

「・・・どんなこと?」

「ずっと、今までずっと、支えてくれた。だから、支え返したいのさ。いいでしょ?」

「・・・そうか」

 へへ、といった笑い声が機械越しに聞こえる。

 かわいい・・・。

「じゃあ、支えてもらうよ。よろしく」

「おう!」

「・・・じゃあ、まずは、寝ていい?」

「私も寝たかった。・・・おやすみ」

「おやすみ」

「本当は、おやすみのキスとか欲しかった」

「明日泊まって良かったら、おやすめないキスしてやる」

「夜戦かよwww。ま、楽しみにしてる」

「じゃ、おやすみ、凛」

「おう。おやすみ、結月」

 通話を切った途端、寝落ちした。

 

 

__________

 

 

 

 ここからは、話が大きく変わる。

 時は、土曜日の朝8時。場所は、町外れの無人の館・・・ではなく、社である。

 そこに立っている、二人の少女。

 抱月、優灯。

「今日はどうしたんですか?抱月先輩」

「・・・ちょっと、噂を聞いたんですよ」

「え?噂。・・・どんな噂ですか?」

「この町に、霊が住んでいる」

「え・・・」

 何とも言えないような目で抱月先輩を見る優灯後輩。誠意のせの字もない。

「とうとう頭がおかしくなりましたか?」

 むしろ失礼だ。まあ、抱月が気にしないことは知ってのことだが。

「いやいや、目撃証言もありましたよ」

「・・・一応、聞かせてください」

「とあるケーキ屋に行ってみたんですが、そこで先日恐ろしいことが起こったとのことです。詳しく訊いてみると、その日の閉店時に何やら勝手に扉が開いて、ケーキが勝手に浮き上がってもりもり歯型に削られていったそうです。店員さん方が近寄ろうとすると、目に見えない壁に阻まれて近づけなかったそうです」

「食い逃げされたと」

「そうなりますね。ビデオにまで取られていたので、動かぬ証拠です」

「・・・しれっとスルーしちゃいましたが、見えない壁とか、人間に害を与える魔物の可能性がありますね。危なそうです」

「ええ、優灯さんも気をつけて」

「お気遣いありがとうございます」

 ペコリとお辞儀をする優灯。

「でも私は運だけはいいので、多分あたらないです」

「・・・そうでしたね。第六感、ってやつですかね」

「それを言ったら、抱月さんのほうが若干ぶっ飛んでいますけどね」

「それは・・・、まあ」

 抱月は、躊躇いつつ言った。

「あんまり褒められたようなものではありませんが」

「でも、持ってしまった力はしょうがないでしょう」

「・・・そうですね」

「では、話はしましたし、帰りますか」

「あ、いや。ちょっと待ってくれませんか?」

「? 先輩、どうしたんです?」

「あの・・・、昨日生放送に来なかったのには、なにか理由があるのではないのですか?」

「・・・。敏いんですね」

「よく言われます」

 抱月は悲しそうに言った。

 

 

__________

 

 

 

「ふぁ~、よく寝たあ」

 土曜日の朝。7時という早めの時間に起床した時雨。

「さて、今日は休日・・・。何しようかなあ♪」

と言っていた最中。

「ゲホッ!喉痛い!!・・・なんだろう、風邪かな?」

 それにしては余りにも唐突だ。怪しく思いつつ時雨は、洗面所に向かった。

「数滴うがい薬を垂らして・・・」

 ガラガラガラガラ・・・。

 うがいをする。やはり歌い手にとって喉は命だ。

 すると、とんでもないことが起こった。

 鏡に、時雨以外の何かが写っていたのだ。

「!?」

 ボサボサの長髪が前を遮って顔がよく見えない。髪の色は銀。なんか唸っている。肌色が青紫、というより真っ白に近い。

 正常な人間とは思えない、明らかに人間とは一線を期した雰囲気だった。

 すなわち、怪奇現象である。

「うがあっ、ぐふっ、ゲホゲホ」

 うがい途中だった時雨はびっくりしてむせた。

 そして、普通の人ならむせ終わった時点で悲鳴を上げるだろう。

 だが時雨は・・・。

「ビックリした」

 悲鳴を上げなかった。メンタルがメタルである(さっむ)。

「あのお・・・、どちら様?お化けだよねえ?」

 控えめな口調は女子高生そのものだが・・・。

「・・・あれ?」

 すると、あの有名なテレビから出てくる女の人のような前髪の幽霊が、突然止まった。

「・・・お主、驚かぬのか?」

「・・・はい?」

 

 

「 そのあとはまるで流れるかのように、どこから取り出したのか、櫛で自分の髪を梳かしだした。

「いやはや、我の脅かしが通用しなかった者はお主が初めてじゃ」

「・・・」

 かなり年寄りめいた口調で話しているが、お爺さんでもお婆さんでもなかった。

「ん?どうした。何か訊きたいことでもあるのか?」

「ありまくるんですがそれは」

 その逆、少女だった。

「じゃあ、遠慮なく聞かせてもらうわ。まず・・・、あなたは誰?」

「我か?我の名はアビスじゃ。よろしくな」

「随分と物騒な名前ね」

 深淵って。

 なんじゃそりゃ、不吉だよ。

「そういうお主は名乗らんのか?」

「え?ああ、私は時雨。よろしくね」

「なるほど。時雨か。覚えておこう」

「で、アビス。なんでこんなことをしたの?間違えてうがいした水を飲み込んで今若干気持ちわるいんだけど」

「悪いことをした。でまあ、そんなことをする理由だが、ただ単に人々が驚き慄くのを見て楽しんでただけじゃ」

「最悪か」

「まあまあ。気にするな」

「・・・じゃあ、アビスは元は人間だったの?」

「ああ。・・・正確には少し違うが」

「?」

「我は生前、魔術師じゃった」

「はあ・・・」

「ん?意外とリアクションが薄いの。どうした、具合悪いか?」

「だから具合悪いんだよ!!」

 おそらく今のは、アビスが時雨に突っ込ませようとしたのだろう。

「まあ、続けるぞ。我は魔術師で、とある国でひっそりと魔法を研究してたのじゃ。そして我は、偶然にも面白い魔力を発見した。言わば、原素を見つけたようなものじゃ」

「しれっとすごいことやってのけたのね」

「まあな。だが、その内容が内容じゃった」

「・・・どういう事?」

「殺戮魔法という類のものだったのじゃ」

「・・・それを非難されて、殺されたの?」

「いや違う。逆じゃ」

「逆?」

「その国では戦争が長いあいだ続いておったからの。我の発見した魔法を強奪するために、大量の雇われの傭兵が連れてこられた。我は死んだ」

「・・・魔法って強奪できるものなのね」

「まあな」

 ・・・時雨、突っ込むとこそこじゃないと思うよ。

「・・・で、それはどれくらい前の話なの?」

「うーむ、ざっと400年くらい前じゃ」

「・・・なんで今尚幽霊としてこの世にいるのよ」

「ここ一ヶ月で彷徨っていた我の魂が意志を持ち、幽霊となったのだ」

「なんか難しい話ね。・・・で、試しに人間を脅かしてみたら面白かったと」

「そうじゃ」

「・・・」

 髪を梳かし終わって、髪を2つに縛ったアビス。

 見た目は小学生~中学生くらい。長い銀髪を二つに束ねて後ろに垂らし、前のめりに座って時雨との顔の距離は若干10cmほど。すごく近い。時雨の瞳を覗き込むその目は、右が赤眼、左が碧眼だった。はりのある肌はスベスベで、みずみずしい。そして、ほんのりとピンク色の唇。

 かわいすぎか。

 時雨はそう思った。

「顔近いね」

 微笑みながら言う時雨。

「そうか?時雨なら大丈夫」

 微笑み返しつつ答えるアビス。理屈はわからない。

「で、魔法って今でも使えるの?」

「ああ。なんならなにか見せてやろうか?」

「殺戮は勘弁だから・・・、そうだなあ。あのCMのエネチャージみたいなのできるの?」

「ああ、あれか」

「一応ボケのつもりで言ったのに、よく知ってたね、それ」

 幽霊もテレビを見るのか。すごい世の中もあったものだ。

「じゃあ、行くぞ」

 アビスは立ち上がって、自分の胸の前で手を合わせる。そして、少しずつ合わせた掌の間を広げていく。そして・・・、

「お店で体感、エネチャージ」

 掌から電撃が迸り、あのCMを見事に再現した。

「おお・・・」

 圧巻だ。少女がエネチャージしてる。しかもCG抜きだ。

「って、なんだこの光景は。お前さん、なぜ我にそんな要求をしたのじゃ」

 こうなれば、どうしたって突っ込む側はアビスだろう。

「なるほど、魔法は本当だったのね」

「やれやれ、魔力の上限だってあるのに・・・」

「アビスほどの魔道士だったらきっと魔力の上限なんて天高くまで伸びてるでしょ」

「・・・偏見は、いくないのじゃ」

 勢いが落ちたアビス。

「・・・あ。ちょっと気になってたんだけどさ、うがいする直前に急に喉が痛くなったんだよね~」チラチラ

「あ・・・」

「まさかさ、魔法で喉をやって、うがいさせようとしたんじゃあ、ないよねえ?」

「え、あの、その・・・えっとじゃな・・・」

 次の瞬間には時雨はアビスの背後に回ってがん地固めをしていた。どこで学んだのか・・・。

 ところで、幽霊にも実体があったというわけだ。

「痛い痛い!!!待った時雨!!紅参じゃ、降参!!」

 アビスが精一杯床を叩いた。

「・・・しょうがない。今回は許したるわ」

「ははあ、有り難き幸せ」

「でさ、殺戮魔法をめちゃくちゃ弱くして、喉を痛くしたんでしょ?それで魔力を訊かれて少しためらった」

「・・・なぜわかった」

「そのくらい朝飯前・・・、というかさ、喉はやめろ!喉は」

「? 喉がそんなにダメだったのか?」

「喉は歌い手の命だよ!?」

「・・・歌い手?」

 ここで説明が必要か。

 時雨は、歌い手をやっている。ニコニコで主に活用し、一番に伸びた動画では70万再生を記録している。視聴者曰く、「実力派歌い手」「なぜ伸びない」「なんでもできるおねーさん」「神の子」らしい。Mix(ここでは、エコー、ケロケロ、ピッチ補正などの、歌声への加工のことを指す)なしで十分と言われている。時雨の歌声は、音域が広く、滑舌がよく、音程が安定している。本当は歌手をやるべきなのだろうが、あくまで趣味として歌っている。

「あ、流石にそこは知らなかったか。よし、ちょっと説明しよう」

 

ちょっととは・・・。

「長かったのう・・・。だが、面白そうじゃ」

「でしょ?」

「・・・なあ時雨よ」

「ん?なに」

「しばらくの間、お主のそばで暮らしたくなった」

「え!?」

 これには驚く時雨。

「いやあ、お主は強い心を持ち、なおかつ面白く、なんか近くにいるだけで楽しそうじゃ。優しさは、もう少しほsあ、いや、なんにも行ってないぞ?我がこんなふうに思えるのも、実に400年ぶりじゃな」

「・・・」

「あ、いや、だめだったらその・・・、それでもいいんじゃ・・・が・・・」

「・・・やれやれ」

 時雨はハア、とため息。

 そして・・・。

「!?」

 アビスを抱いた。

「勝手にしていいよ」

 その割には抱く力が強かった。

 おそらく、一緒に暮らしたい意思の表れかも知れない。

「・・・ありがとう」

 抱き返すアビス。

「でさあ、ひとつ聞きたいことが」

「ん?なんだ?」

 抱き合いながら会話する。

「私は女子高生なの。学校に行かなきゃいけない。だから、触れ合える時間も少ないと思うの」

「わしは構わん。時間ならいくらでもある」

「・・・もうひとつ聞きたかったことが」

「なんじゃ」

「アビスには実態があるけど、本当に幽霊なの?」

「幽霊じゃ。というか、大体の幽霊は、脅かすときには実態を表すぞ。でなければ、見えぬからな。・・・すなわち我も、姿を消すことはできる」

「じゃあ別に学校について来てもいいじゃん」

「まあ、そうなるな」

「あれ?でもそうしたら私にも見えない・・・」

「いや、我はお主のもの。お主は我のものといった具合じゃ、お互い見えるじゃろう。まあ、我は普通に景色が見えるからな」

「・・・しれっとなんてことを言いよる」

 すごい関係だな、それ。

 お互いがお互いのものって。

「まあいい。最後の質問」

「うむ」

「アビスは、食事をする?」

「うん」

「・・・今まではどう食べてきたの?」

「店からこっそり」

「おいこら」

 時雨はペシっとアビスを叩く。

「あぁん」

「・・・どうするか。盗みはよくねえしなあ」

 すると、

「ただいま~」

 母親帰還。どうやら夜ずっと仕事してたようである。

「うへえ、タイミングが・・・。ねえ、アビs」

 既に抱くのをやめていたのだが、まさか一瞬でアビスがいなくなってるとは。そして、

「あら、あなたはだ~れ?」

「貴女が時雨の母上であるか。我はアビスじゃ」

「まあ、時雨のお友達?」

 ・・・。なぜそうなる。これは説明が必要だ。

 そう考えた時雨は玄関へ走った。

 

 一部始終話を聞いた母親の第一声。

「魔法!?じゃあさ、あのエネチャージのやつとかできるの?」

「・・・」

 子は親に似るんだね、わかるよ。

 そして再びエネチャージするアビス。おつかれ。

「なるほどなるほど。じゃあさ、家で暮らすのはどうよ。家がないならここを棲み家にすればいいわ。アビスちゃんがそれでいいなら」

「我はもちろん住みたいのじゃ!みんな明るいし、楽しそうで、飽きなそうじゃ」

「なら、時雨はどう?」

「・・・いや、私は大丈夫というか全然OKというかむしろウェルカムなんだけど、お母さんが思ったよりあっさり了解してくれてびっくりしている」

「おい時雨、しれっとすごいことを言いよったな」

 ウェルカムって。

 心の声がダダ漏れではないか。

「あ、でも、食費とか大丈夫なの?」

「ふふーん、お母さんに任せなさい!」

 頼もしいお母さんだ。そう思っておこう。

「さあさあ、じゃあ食事の時間も迫ってるわけで・・・。何にする?」

「うーむ。現代の食べ物はなんだかんだ数種類しか食べてないからな・・・。おまかせするぞ」

 アビス、ここはお前の家じゃない。私の家だ。

 時雨はそう思ったのだった。

 そんなわけで、時雨の家に家族らしき者が増えたのである。

 

 ・・・今後、アビスがこの物語に大きく影響を与えるのだが、それはまた別のお話。




御閲覧ありがとうございました。 -Loop-
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