では、プロローグからどうぞ…
カモメの鳴き声と、電車の走行音が遠くから聞こえる。
それに反応するように、重いまぶたをゆっくりと目を開けると、カーテンの隙間から外の日差しが鋭く飛び込んで、思わず目を瞑った。
目が…目が〜!
ん、朝か…。そういえば、俺、昨日…
頭の中で昨日の出来事をぼんやりと思い出す。
ここは、静岡県沼津市の浜辺の町、内浦。
つい昨日、俺はここへ引っ越してきた。原因はなぜか。
それについては思い出したくもないから、話さないでおこう。
まあ、とにかく色々あって、俺はこの町に住む祖母と祖父に引き取られることになったんだ。引っ越しは何回か経験してるから、そこまで準備に時間がかかることもなかった。
いや、かける気がなかったというべきだろうか。
そして、春休み、東京から約2時間、電車に乗って、船に乗って、酔いまくって、着く頃には俺のHPは1になって、布団へバタンキュー、といったところだった。
体が重たい…、あれ?そういえば…
昨日までの出来事を振り返ると、初めて気づいた疑問点が一つ。
「俺、どこの高校通うの?…」
そう、俺はこれでも春休みが終われば、高校2年生。因みにスペックは聞かないでくれ…
だが、一応勉強は平均以上くらいはある…あるよね…
話を戻すと、内浦の周辺は東京のように高校がいくつもあるわけではない、人口も多くなく、廃校に追い込まれている学校もいくつかあるらしい。
そうだった、編入先聞いてなかったな…
早いとこ祖父にでも編入先を聞いて、準備を進めたいものだ。ちなみに今は春休みの最初の方、つまり3月末だ。
だからまだ時間はある。
よし、起きるか、お腹もすいたし。
未だ冴えない頭と、未だくたびれた体を起こし、4畳半の部屋の上にかかる時計を眺める。
時計の針がちょうど7時をさしているのがぼんやり見えた。
部屋を出て、2階から1階へ降りる。この家はかなり年季が入っているらしく、歩くとミシミシを音を立てる。夜は真っ暗になるため、幽霊が大嫌いな俺からしたら、かなり苦手なかんじの家だ。
でも、なんとなく懐かしくなって小さい頃の澄んだ気持ちが思い出されるから、嫌いではないんだよな。
1階には丁度、朝食の準備を済ませた祖母がいた。
「おはよう、婆ちゃん」
「あら、おはよう、透。ごはん出来てるから早く食べ」
そう言われ、ゆっくりと席に着く。朝食はご飯や味噌汁といった、いかにもな和食だった。
「あれ、爺ちゃんは?」
「爺ちゃんは早起きして、漁へいっちったよ、なんか用でもあったのかい?」
そうだ、爺ちゃんは漁師で、いつも朝早いんだった
「うん、でも婆ちゃんでもいいや。あのさ、俺が編入する予定の高校ってどこか知ってる?」
「あー、まだ教えてなかったねぇ、確か…
『浦の星女学院』やったかな…」
ん?、今なんと?
「え、婆ちゃん今なんて?」
「やから、浦の星女学院やって、こっからちょっとバス乗って、坂登った先にある」
ちょっと待て、そこって確か女子校だよな…まさか俺って女だったんじゃ…いやいやそんな筈はない、自分を見失うな、透よ。俺は男だ。
「え?そこって女子校だよね、何かの間違いなんじゃ」
「いやー、確かにそうなんだけどねぇ、なんかね、人数不足で廃校寸前なんやて、そんで、共学化の話が出とったらしくてねぇ。
やから、そのためのテスト生探しとって、丁度、透が通えそうやし、爺ちゃんと話して応募したら、受かったらしくてねぇ。」
おいおいおいおい、そんな話、本当にあるのかい。
第一、俺がテスト生って…もっと、ちゃんとした人の方が適任なんじゃないのか?
そんな疑問を祖母にぶつけたが、
「もう決まっとるんやから、ジタバタせんの。はい、これパンフレット。」
と、俺の疑問を簡単に潰し、表紙に大きく
『私立浦の星女学院』
と書かれたパンフレットを渡してきた。
「制服とか、教科書とかはすぐ届くからねぇ、心配せんでもいいよ」
婆ちゃん…、それについて心配してるわけじゃない…
もう、自己紹介とかどうすればいいんだーーー!!女子校だぞ!女の園だぞ!タダでさえ人見知りなのに…
頭が混乱状態の中、もう一度、パンフレットの表紙を見る。
『私立浦の星女学院』
これから、俺どうなるんだろうか…
かなり、急展開感が否めないのですが、どうかご勘弁を…一応、ここから本編へ繋がるのですが、アニメがまだ始まってないので、それまでは彼らの日常を少しずつ描いていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。