エイジ753、5月7日。第二十二回天下一武道会が始まる。
のだが、俺にとって結果の分かっている人死にの出ない戦いなどどうでもいいこと。重要なのはピッコロ大魔王との戦い。やつに人を殺させないこと。
悟空の成長を考えるならやつを野放しにしておくべきかもしれない。しかし俺は野放しにしている間に罪のない人が殺されるのを認められなかった。武道家を狙っているからナムのいる緑化事業を進めている場所も攻めてくるだろうし、俺がいる西の都にも来るかもしれないし。そうじゃなくともピッコロ大魔王は女子ども関係なく殺す。現在のドラゴンボールで生き返られるのは一回まで。今後性能が上がるかもしれないが、そうだとしても、やはり見殺しにはできないのだ。
俺はドラゴンレーダーを起動させる。今2つのドラゴンボールが集まっている。そこにピラフ一味とピッコロ大魔王がいるはずだ。やつらが暴れる前に、終わらせる。
特殊スーツを着て、ジェットフライヤーで移動する。ピッコロの乗る飛行船が目視できる距離まで来た。ジェットフライヤーをホイポイカプセルに戻し、新たにアバレ5号を出し、乗り込む。
アバレ5号は高さ5m、重さ5tほど。人造人間と同じ繊維を利用しており、動力炉も同じ理屈。重力波発生装置は銀河パトロールの技術を拝借。光線銃は俺が開発。ギアスの地球からバリアーの技術を得た。
「負けるはずがない」
俺はアバレ5号で飛行船に突っ込む。ピッコロはこちらに気付いた。口から怪光線を放ってきた。しかしアバレ5号のバリアーが光線を弾く。
「何!?」
アバレ5号はそのまま飛行船に突っ込んだ。
飛行船は衝撃でズタズタに壊れ、やがて動力源が爆発する。
「ぎゃあああああ!」
ピラフ達は吹っ飛んでいった。あれで死なないのだからすばらしい生命力だ。
と、コクピットに軽い衝撃が来た。後ろに大きめの気の反応が複数ある。ピッコロ大魔王の連続気弾だ。
「はあ、はあ、はあ、はあ。ちっ」
しかしやつの気弾ではアバレ5号のバリアを破ることはできなかった。
全くの無傷。ピッコロ大魔王は無駄に体力を減らしただけだった。
俺はアバレ5号の光線銃をピッコロ大魔王に向ける。
「シュウッ!」
「うわっ」
光線から逃げるピッコロ大魔王。しかし光の速さは避けられるものではなく、左半身を丸ごと失った。
「ぐっ、ぐわああああああああ!」
叫ぶピッコロ大魔王。気が急激に下がって行く。
やりすぎたかな? 一応死なないように頭は避けたんだが。まあ死んだ場合でも、修正は可能だと思う。たぶん。
「はあ、はあ。ぐっ、かはっ。ぐぼはあっ」
あ、ダメだ。完全に死ぬ流れだ。新しい半身を生やす気配がない。子どもを生む気配も。
うーん。どうしよかったなあ。シェンロンはまだ失いたくない。一応冷凍庫があるんだが、試してみるか?
俺はアバレ5号をホイポイカプセルに戻し、家用のホイポイカプセルを投げる。次いでその家に入り、冷凍庫を持ってくる。血まみれのピッコロ大魔王に近づき、冷凍庫を開ける。
うわっ、このおっさんでかいなあ。入るかなあ?
「ぐはっ、くっ、くそがっ。かはっ」
血を吐くおっさんを無理やり冷凍庫につめる。そして蓋を閉める。すぐに開いた。もう一度閉める。冷凍庫のドアを地面側にして簡単には開かないようにする。これでよし。
もう一度家に入り、縄を探す。あった。
縄を持って冷凍庫へ。ピッコロはちょっとだけ冷凍庫から出ていた。もう一度詰め込み直し、冷凍庫を縄で縛る。これでよし。
その後、俺は急いでドラゴンボールを集めた。6つをすぐさま集めたが、最後の1個は悟空が持っていた。場所は天下一武道会会場。ちょうど決勝戦をやっていた。悟空はドラゴンボールを選手待機室においていたので、そっと盗ませてもらった。
そして会場をほどほどに離れ、出でよシェンロン、そして願いを叶えたまえ。
「さあ、願いを言え」
「この冷蔵庫に入っているピッコロ大魔王とこの星の神を元の一人の若かった状態に戻してくれ!」
「……それはできない。私の製作者である神に拒否された」
やはりそううまくはいかんか。一気に戦力増強を狙えたんだがな。
「ならばピッコロ大魔王を神のような清い心をもった存在にしてくれ」
「それならばたやすい」
よし。まあ一先ずはこれでいいだろう。ドラゴンボールは確保された。そして誰も死ななかった。
その後ピッコロの入った冷凍庫をカリン塔に持っていき、カリンにピッコロを癒すための仙豆をねだった。カリンは塔の上から全てを見ていた。俺の提案は神を死なせないための手段として渋々了承したが、シェンロンの力で心を書きかえたことには不満げだった。また、なぜ俺が神とピッコロの関係を知っているのかと聞いてきたが、俺は前世のことを説明したくないので逃げた。
「こりゃ、待たぬか! ……行ってもうた」
ピッコロ大魔王編、空しくも完。