自称凡人も異世界から来るそうですよ?-『異常な普通』の箱庭活動記録-   作:FGMe/あかいひと

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早速リメイクのリメイクを投下しましたR.ZONE type[0]です。
前作、前々作を読んでいた方。大変申し訳ありませんでした。


ファイルその1:はい、喚ばれたのは僕らでした
記録その1-死なないからこそ、彼は自称凡人


まずこの物語…………とも言えない記録を騙る前に、言っておきたいことがある。

 

今日で齢17になる高校2年生の男子学生であるこの僕『景山健太』は、まごう事なき凡人である。

 

中肉中背、どこか抜けた感じの顔つき、体力テストでは全国平均、全国模試でもやはり平均。性格も偽善者ちっくな事なかれ主義、でも裏では少し文句を垂れる、ある意味で奇跡的な、それでいてどこにでもいる凡人なのである。まさにステレオタイプな日本人、基準値として採用されても良い程のモブである。良くも悪くも、平凡なモブだということを、僕は誇りに思ってる。

 

…………いや、まあちょっとだけ、他人には言えない事もありますが。それでもやはり、僕は凡人である。1人を除いて、友人も何度も何度も頷くことで、その自称を肯定してくれたので間違いない。

 

そんなわけで4/2。高校2年生とは言ったものの、まだ新学年は始まっていないために割と緩々と過ごしている僕の誕生日。身内で祝ってくれるのは、もう1人しかいなくなったけど、それなりに僕はこの日が好きだった。

 

「で、そんな今現在身内ではもう1人しかいない僕の誕生日を祝ってくれる幼馴染殿? 何故君は電話越しにそんなに必死そうなのかね?」

『うぅ…………ゴメンよ健太ァ。僕だってこんなことになるとは…………。だからそんな幼馴染なんて他人行儀な言い方ヤメテ…………』

「いや、良いけどね。直接祝ってくれなくても。無事に帰ってきてくれたら、それだけで僕は満足だ」

『分かった待ってろ、今日中にはそっちに帰るからァァァァァアアアアアアアッッッ!!!!』

 

スマホのスピーカーから叫び声が聞こえたとおもったら、ブツン! と通話が途切れた。…………とりあえず、安否確認ができたことと、電話の繋がるところにいることが分かっただけでも安心だ。

 

僕と違って、我が幼馴染殿は規格外とも言うべき才能の持ち主で、ちょっぴりバケモノだ。僕が名前付きなモブであるのも、彼女の御都合主義的なパゥワーによるものだと、僕は信じている。

…………それはともかく、多分今日も何事もなく帰ってこれるだろう、アレだけ強いあいつなら。

 

そんなことを考えながら、家のベランダで空を見上げる。

今年は丁度今頃が桜の時期らしい。ピュウと吹いた風に桜の花びらが舞い、青空とのコントラストが綺麗である。…………ちゃんとお花見したいときは青空よりも曇り空の方が映えるとか言っちゃいけない。

 

「とりあえず、返信するか」

 

誕生日だけあって、いろんな人から『おめでとう』のメールが届く。学校の友達、小中からの腐れ縁、部活の仲間、他にも色々。

 

「…………普通なら無視したいのが幾らかあるけど、流石にね」

 

メールでお礼の返信を送りながら、僕は外に出る準備をする。今日中に、とあいつは言ったが、ギリギリになるだろう。それまでに行きたいところがあるし、疲れたあいつをねぎらう意味も込めてパーティの準備もしたいし。

 

灰色パーカーにジーンズ、そこに緑のショルダーバッグという地味ーな出で立ちで家を出て、自転車にまたがる。

 

良い天気だ、誕生日が快晴というのは悪い気はしない。これからの1年が明るくなる気がするし。まあ実際は平均したら丁度運が良くも悪くもないど真ん中になるんだろうけどさ。

 

そんな毒にも薬にもならないことを思いながら自転車を漕いでいると、自転車のカゴに封筒が落ちてきた。

 

「んん?」

 

蝋が押されているタイプの、絶滅危惧種になりつつある紙媒体メールだ。宛先は僕。おそらくシャイなどっかの誰かが誕生日のお祝いの手紙として投げ入れたのだろう。そいつならこんなこともしかねない。

 

道の端に寄って手紙の封を開ける。

後で返信しないとなー…………なんてのんきなことを考えていると、その内容が想定外なことに驚く。

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの『箱庭』に来られたし』

 

「なんぞ、これ?」

 

ちょっとした事情…………とは言えない過去の出来事から、オカルト的な何かは存在していることは分かっている。だが、それにしては……少々内容が突飛ではなかろうか? まあ、気合の入った厨二病がやったと言われたら納得できるけど。蝋で封するとか超イケてる。

 

「しかし、僕の名前を知ってる厨二病でこんなことができるのって、誰がいたっけ?」

 

頭の中でリストを捲る。しかしながら、該当するのが1名もいない。

 

じゃあ誰だろう、と首を傾げている瞬間だった。

 

 

 

「…………ふへ?」

 

突如として、地面が消えた。

 

 

 

いや、地面が消えたと言うのは誤りだ…………なぜなら、視線の先には立派な大地があるんですもの!

 

つまり僕は、現在落下中…………落下中!!?

 

「ちょ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああっ!!!!?」

 

体を襲う浮遊感、足場の無い不安感、そして死の恐怖に、僕は有らん限りの声を張り上げた。

 

「僕が何をしたぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああっ!!!!?」

 

ねえカミサマ、僕本当に何かした?

もしそうでないなら、この仕打ちはあんまりだよ…………。

 

そんな風に絶望しながら、自転車と共に落下する僕は、意識を手放した。

 

 

 

 

さてこの物語は。

自分を凡人、画面から見切れているモブだと信じてやまない少年と、一癖も二癖もある問題児な仲間達と一緒に『箱庭』という世界でなんやかんやする物語である!

 

それではっ!

 

【自称凡人も異世界から来るそうですよ?-『異常な普通』の箱庭活動記録-】

 

はじまりはじまりー!

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「し、死ぬかとおもた…………」

 

周囲に撒き散る紅と、隣でへしゃげてるマイチャーリー、そして穴が開いたり紅く染まったりしてる自分の服を全て無視しながら身体を起こす。

 

言ってしまえば、僕の抱える異常にして非凡、その二つあるうちの一つ。驚異的な再生能力である。

とある幼馴染が言うには、事象とか世界とか、根本的なところからの損壊修正…………って言ってたけど、正直何言ってんの? 状態なので超絶回復能力、とでもしている。

 

致命傷でも回避できるって凄い! …………だなんて思ってるそこのあなた、大間違い。

 

確かに再生できるよ? そりゃあ、(されたことないから分かんないけど過去の経験上)ミンチにされても復活するしね。

…………でも、痛覚消えません。今回は人間の防衛本能として意識を手放すという形で痛みを感じずに死んで生き返ったけど、そうでもなかったらあの想像を絶する痛みが…………思い出したくねー。

 

まあそれでも人外染みてるのは事実。その所為で僕の華麗なる凡人ロードに消えることのない汚点が付いてしまったことは、非常に悲しいことだ。できるならもう使いたくないものだ…………と、致命傷を受ける度に思ってる。

 

「死ぬかと思ったって…………貴方、今完全に死んでたわよね?」

 

おっかなびっくり…………そんな様子で、そばにいたどこかレトロな雰囲気を纏うお嬢様っぽい女の子が手を差し出しながら言う。

 

「あ、ども…………ふう。人間って思った以上に丈夫だから、こういうこともあるって」

「…………首が折れても?」

「人間だからこういうこともある(威圧)」

「…………人間って不思議」

 

そんな風に僕が生き返ったことに疑問を向ける、これまたそばにいた三毛猫を抱えた無口そうな女の子からの質問を避けながら、一息つく。というかこの無口美少女、絶対動物と喋れるとかそんな能力持ってるって。だってさっきから猫に向かってブツブツ喋ってるもん(偏見)。

 

「ヤハハハ! 嘘もそこまでいくといっそ清々しいな! 中々面白いぜオマエ」

「嘘だという証拠は? まあ血を流してしまったことは認めよう、重症だった。でも現に僕は死んでない!」

「じゃあ慌てていないのは何故だ? 辺りに散った血液の量を見るに、優に致死量は超えている。一刻も早く治療を受けないといけないはずなんだが?」

「人間だからこういうこともある」

「ハハッ! どうやらオマエと俺とで人間の定義に差があるらしいな」

 

これまたそばにいた金髪学ランヘッドホンの不良系イケメンに、僕は追い詰められた。

くっそうこの無駄に見目麗しゅうござっていやがるこのイケメンめ…………見た目通り頭も軽そうだったら良かったのに、頭の方も無駄に良さそうだ畜生。

 

まあとにかく、ここでようやっと僕は心を落ち着かせることができた。

 

周りを見渡す…………なんか一癖も二癖もありそうな3人の少年少女がいて、池があって、3人が濡れてて…………あ、この3人は池の上に落とされたのね。…………それはそれで落ち方間違えたら死にそうだな。

 

「兎にも角にも、信じられないわ。まさか問答無用で引きずり込んだ挙句に、空に放り出すなんて。私達は池の上でなんとかなったけれど、死人まで「おじょーさま、僕死んでません」…………重傷者まで出たわよ?」

 

お嬢様系美少女が憤慨した様子で文句を垂れる。まあ僕のことも怒ってくれたのは嬉しいけど、僕は死んでない(大嘘)のでそれはやめて欲しいかなぁ…………。

 

「右に同じだクソッタレ。こいつみてーな例外ならともかく、場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

「仏の血が垂らされた石から生まれた猿かよ…………つか、寧ろその方がアウトだろうよ」

 

流石の僕でも、石の中に呼び出されたら汚い花火を凝縮したようなナニカになりそうでイヤである。

 

「つか、呼び出すなら王道で魔法陣の上だよ! それで『貴公は魔王を討つために呼ばれた伝説の勇者である』的な展開に続く!」

 

そんでもって僕は巻き込まれ系異世界ファンタジーに参加することになって途中で殺されちゃうんだ。…………殺されちゃうのかよ怖い。

 

「よく分からないけれど、捻りがないわね。出直しなさい」

「捻りがなさすぎてつまんねーよ」

「アッハイ」

 

そりゃ悪かったぜよ…………でも悪いね、良くも悪くも凡庸なんだよ僕ちゃん。

つか君ら息ピッタリね…………おそらく初対面でしょう? それだけ波長が合うってことだろうけどさ。

 

少し頭が痛くなってると、無口系美少女が口を開いた。

 

「此処…………どこだろう?」

 

おそらく、この場の誰もが知りたいと思い…………その実、答えを知っているであろう問い。

 

僕の手紙には『箱庭』という単語があった。

そしておそらく彼らにも、

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

ホラね? 金髪イケメンの質問に、僕は確信を持った。

 

「そうだけど、まずは『オマエ』って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ、以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえてる貴方は?」

「…………春日部耀。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。次に、初っ端から墜落死した様に見える重傷の貴方は?」

 

今度は死んだとは言わなかったことに満足しながら、お嬢様系美少女改めて久遠サンに促されたので意気揚々と自己紹介をする。

 

「はい、僕の名前は景山健太です! 身体能力、頭の出来、容姿、性格、何から何まで普通で平凡であることを自負しています! 所詮どこにでもいる一般人なんで、名前なんて覚えていただかなくても結構です!」

「よろしく景山くん」

「よろしく健太」

 

覚えていただかなくても結構と言ったそばからコレだよ(憤慨)。というか、この無駄に見目麗しゅうござっていやがるこの3人から漂う御都合主義パゥワー臭よ…………ああ、僕はまたもや名前付きモブの宿命から逃れられないのか…………。

 

「とりあえず…………『寝言は寝て言え』と言っておくぜ景山。…………なんつーか、言われる側だったのにいざ他人に言うとなると、思った以上に感動するな」

「ひ、酷い…………!?」

 

そんなこと言うなよォ!! 僕のハートらガラス製なんだよォ!! …………まあ友達からは『ガラスはガラスでも超強化ガラスだろ?』って言われるんですけど。

 

「まあ、百歩譲ってそういうことにしておくわ。確かにどこにでもいそうな雰囲気はしてるものね。で、最後に野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

「高圧的な前フリをありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

うわぁ…………どっちが高圧的だよこの金髪学ランヘッドホンの不良系イケメン改めて逆廻クン。しかもそんなこと言ったら…………。

 

「そう。取扱説明書でも書いてくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

ほらね(絶望)。仲間になりそうな流れなのにこんな険悪なムードにして良いのかね?

 

「ハハ、マジかよ。じゃあ今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

あ、あかん。これはあかん。僕に止めることはできないが、此処で最後の1人である無口系美少女改め春日部サンに助力を求め───────

 

「……………………」

 

あ、ムリだわ。だって傍観決め込んでるし。

 

(誕生日なのに、酷い目にあうなぁ何故か…………)

 

そんなことを思いながら、どうやって日が暮れるまでにうちに帰ろうかと頭を悩ませる僕なのでした…………。

 




死因→墜落死
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