自称凡人も異世界から来るそうですよ?-『異常な普通』の箱庭活動記録-   作:FGMe/あかいひと

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まだ全然書いてないですが。
『普通な僕と異常な君』は、彼らが『主人公』の物語。


記録その11-その在り方故に、彼は異常な普通

 

◆◆◆

 

 

人が、死んだ。

街が、死んだ。

 

思い思いに暴れ、時に人に紛れて悪逆を尽くした侵略者達の残した爪跡は、生き残った人間達に牙を剥く。

 

頑張った、事態は収束した。しかし、まだ終わってはいない。誰も彼もが下を向いて、終わりを待っている。

 

駄目だ、それでは駄目だ。僕らは前を向いて歩き出さなければならない。

 

綺麗事を言っている自覚はある。無茶を言っている自覚もある。でも、倒れた者の為にも、1人の狂信によって無為にその命を散らされた哀れな侵略者達の為にも、僕らは復活しなければならない。

 

僕なら、街を生き返らせることはできる。家も、道路も、建物も。僕の全力で、全てを無かったことにできる。

人間だって、息が繋がってさえいればなんとかしてみせよう。死んでいても、魂が未練を訴えるのならどうにかしてみせよう。

生き残った侵略者達は、僕が全てを引き継ぐ。彼らも被害者だ。それでも納得できないのなら、その罪を僕が背負おう。

 

頑張るから、僕は頑張るから。例え世界の全てを背負うことになったとしても、僕はなんとかしてみせる。僕1人じゃ無理でも、相棒と一緒にならば不可能じゃない。

 

でも、それはみんなが手を伸ばさないことには、始まらないから。

 

助かりたいと、生きたいと、幸せになりたいと。その願望は、欲は、とても汚くて、それでもすごく尊いものだから。

 

 

「希望は提示した。ならばあとはみんながそれに手を伸ばすだけだ」

 

 

戻らないものはある。それでも、僕らは手を差し伸べることを止めはしなかった。

 

 

──────これは、普通な僕と異常な君の、世界を救う物語だった。

 

 

◆◆◆

 

 

まあつまり、僕はここに来る前の段階で、色々とやらかしているということだった。具体的には人類と世界を救ったのです。

 

「「「「「……………………」」」」」

 

衝撃カミングアウトに一同絶句、その気持ちはよくわかる。正直自分でもなに真面目に宣ってるのか分かんなくなってくるし。

 

「世界を救ったって…………それ本当?」

 

いち早く復帰した久遠サンが、ちょっと信じられないといった風に僕に問う。うん、信じられないのは僕自身もなんだ、すまない。

 

「嘘でこんなイタいこと言ってどーすんのさ…………ほんと、面倒なことに、僕と、僕の相棒はクソみたいな…………失礼、排泄物にも劣るような輩による世界制圧を打ち破り、世界に平和をもたらしたのですよ」

 

「まるでおとぎ話じゃないのそれ」

 

本当それな!

 

「で、そういった諸々で信仰されて…………ってことだと思うよこれ。黒ウサギと白夜叉サンはどう見る?」

 

多分この辺りのことは僕より詳しいだろう方々に聞いてみる。すると二人は顔を見合わせて困ったような、戦慄したような、形容し難いになり、白夜叉サンの方が口を開いた。

 

「……ちなみにだが、人類を、世界を救ったとのことだが、それは誇張過少なくその表現であってるのか?」

 

「んぅ? 質問の意図が見えないのですが」

 

「質問を変えようか。おんしとその友が事にあたったその事件は、放っておけば人類以外にも甚大な被害を及ぼす可能性があったり、戦争の原因になるかもしれなかったりなど…………そういうことは無かったか?」

 

あ、そーゆーこと。

 

「まあ、あったんじゃないんでしょうかね。こういうのは、相方の方が得意なんですけど…………うーん、まあ間違いなく放置すれば戦争になったでしょうし、生態系への被害は甚大となったでしょう。僕らの時代には、既に核兵器は存在していましたし。率直に言って地球オワタです」

 

「…………そうか」

 

ひたすらに真剣で、かつ痛ましいものを見るような色が、目に宿る。なんだろう、確かに僕のこれまでの人生は不幸ってレベルじゃねーとは思うんだけれど。

 

「確証は無い。しかし、その証がギフトとして現れている以上確実だろうの。…………景山健太、おんしがこの箱庭に呼ばれたのは、偶然ではなく必然なのだろう」

 

「それは、功績があるからですか?」

 

「建てた功績が問題なのだ」

 

…………え、マジ?

 

「こんなこと聞いておらんぞ…………いや、まさか観測できなかったということか? しかし今こうしてギフトネームが出ているということは…………これは、あやつを叩き起こす必要がありそうだの」

 

「それでは…………やはりそうなのですか?」

 

「うむ、間違いなくそうであろうよ」

 

「ちょ、ちょっとちょっと。本人置いてけぼりにして納得すんのやめてくんない? それがなんなのか教えてくれないと困るよ!」

 

僕がここにいることは必然だと言った。ならば、僕はこの先何かに巻き込まれる筈だ、間違いなく。それがなんなのか、分からないことには心の準備すらできやしない。

 

「…………おんしの、心の準備ができてからでいいだろう。まだ、その件について折り合いをつけられてなかろう?」

 

「……ッ」

 

いや、まあ、うん…………そうなんだけ、ど。

 

「おそらく、コレはおんしの傷を無理矢理広げるだろう。それに、まだ確証は無いのだ。なんにせよ、話はそれからだ。もし、早く真実を知りたいのなら、私達が調査を終えるまでに、腹をくくっておくことだ」

 

「……ええ、了解しました」

 

どうにも、僕の人生に安寧は無いようです。

これも、端末として生まれた定めなのでしょうか?

 

 

◇◇◇

 

 

「まあそれはともかく、だ。説明して欲しいのはそっちだけでは無いのだが」

 

「え?」

 

綺麗にまとまったかなーとか思ってたら、唐突にそんなことを白夜叉サンに言われた件。え、なんぞ?

 

「惚けんじゃねぇ、さっき黒ウサギを瞬間移動させたアレだろう。後で話すとか言っておいて、煙に巻くつもりか?」

 

しかし僕の疑問を逆廻クンが見事に答えてくれた。サンキュー、いやマジで忘れてた。

 

「ごめん、ガチで忘れてた。それぐらい自分でも衝撃的だったわけなんですが」

 

そう言って僕は、くるりとみんなの前に出て、解説モードに入った。

 

「ええ、僕が持っていると思っていたのは一つだけ、あとはおそらく功績の結果。僕が自分を普通であれど異常と認識する要因の一つ、『法則:原点回帰の理』です。コレが、僕が不死身かつ様々なことができる元々のギフトです」

 

そう言って、もう一度胸部にスタンガンを当て───────…………リスタート、能力の起動を確認したところで解説に戻る。

 

「この能力は、言ってしまえば『世界意思の奴隷』である証です。あるいは、『世界意思の端末』とでも言いましょうか。人でもなく神でもなく星でもなく、もっと大きな括りで見た世界の意思から生まれた、世界を存続させるための調停者、バランサーの役目を負って生まれてきた存在であると、僕の相棒は仮定していました」

 

「さっきの以上に設定が飛んでるな」

 

「言うな、自覚はある」

 

逆廻クンの言葉も尤もだ。しかし、現状これ以外に納得できる仮定が無いのだから仕方がない。実際、僕らが出張らなければまずいことになっていただろう事態は発生していたわけだし。

 

「そんでもって世界の端末は、世界に対してあてがわれた法則(ルール)に則ってならば、ある程度自由に干渉、操作などを行える権限を持っています。僕にあてがわれたのは[0]、始点と終点、あるいは基準点、もっと言うと『無』。瞬間移動のタネは、黒ウサギと地点Xの距離を[0]とすることで、結果的に瞬間移動した様に見えた、ということなのですよ」

 

と、ここで実演をしてみる。遠くの方に岩があったので、それをみんなの後ろとの距離を消して、移動させた。説明していたからなのか、既に黒ウサギに対してやった実績があったからなのか、驚きは少なかったけれど。

 

「まあですが、こんな危なっかしい能力がバンバン使えるワケがありません。幾つか縛りがあります」

 

1.あてがわれた法則に近付くことでしか法則行使ができない。

 

2.自分の理解がある程度及ぶ範囲でしか法則行使ができない。

 

3.世界に則ったルールに干渉するには多少根気が要る。

 

「大まかにはこの3つでしょうか。ちなみに僕の場合は『死』という終点に近付くことで能力が起動します」

 

「まさか、何回も死んでいるのは……その為?」

 

「いや、それに関しては単純に僕の運が悪い」

 

春日部サンがそう言うが、しかしワザと死んだのはスタンガンでの2回と、入水自殺の1回である。そうそう死にたいもんじゃねー。

 

「さらに、この端末能力は持ってるだけで人体に影響を及ぼすことが判明しています。一時期実験で、僕の血液を飲料水に混ぜて被験者に摂取させ続けると、容姿性格能力が凡庸に近付いていったのです」

 

「それはつまり、」

 

何かを察した様な白夜叉サン。それに力強く頷くことで肯定を示し、続けて解説。

 

「僕の容姿が凡庸で、性格はある程度変異をきたしていますがまあ普通、能力も恩恵と呼んでいいか分からない端末能力と功績以外は平均値。つまり『景山健太』という『端末(バケモノ)』は、その能力によって無理矢理平凡に貶められているということです」

 

ウチの家族は中々に優秀な人らばっかりだった。父さんも母さんも、弟も妹も。なのに僕だけが凡庸だった。別に何でもかんでも遺伝するとは思えないし、そう言う能力を形作るのは環境だとしても…………環境が整っているのに、どうして僕は凡庸だったのか。

 

その答えが、ここにある。

 

「分かっているのはこの辺り。ぶっちゃけ言ってる僕も何を言ってるのか訳が分かりません。ただ僕は世界に『そうあれかし』と望まれてこうなっている、とは思っています。それが神なのか人なのか、はたまた違うナニカなのかも分かりませんが」

 

ただ、趣味は悪いと思う。普通であることは悪いとは思わないし、寧ろばっちこいだが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。マッチポンプとは違うが、似た雰囲気を感じてしまう。

 

「だから、僕はヒトであってヒトでなし。そう言う存在なのですよ」

 

僕は苦笑しながら、そう締めくくった。

 




死因→感電による心肺停止(2回目)

…………て、手抜きだなんて言わないで!
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