自称凡人も異世界から来るそうですよ?-『異常な普通』の箱庭活動記録- 作:しにかけ/あかいひと
悩みまくれ我が駄脳!
フハハハッ、我が世の春が来たァァァアアアアア!!!
…………なんてことはありませんのでご安心を。
疑問などは感想欄だと答えられない場合があるのでメッセかツイッターへよろしくお願いします。
「結局、お前は何をしたんだ?」
あの後ビミョーな空気になったのを、真剣に払拭した後、ちょっとお茶することになりつつその場で色々な忠告をもらい、お店を出て帰路に着いたころ…………逆廻氏が爆弾を投下してきた。
前を歩く女性陣には…………聞かれていない、と。
「え、なにって……偽善活動?」
「はぐらかすんじゃねえよ。お前は何をして『英雄』に呼ばれるに至ったんだ」
「言わなきゃダメ…………か、うん。だってそれがギフトの効果と深く関係がありそうだものね」
でもなぁ、折り合い着いてないんだけどなぁ…………まあ逆廻クンにはある程度言っといた方がいいのかな。
「でも断る」
「…………」
いやん、青筋立てて怒らないでっ!
「真面目な話、言いたくない。…………さっきも白夜叉サンに言われたけれど、色々整理しきれていないんだよね、これが」
ほんと、我ながらいつまでもいつまでもクヨクヨしてると思うよ。一生立ち直れないかもとすら思うね。
「というか、さぁ……」
「……んだよ?」
「キミのところの『景山健太』と比べないでよ…………別にムカつくとかじゃないんだけどサ。でも、多分同姓同名なだけの別モノだと思うんだけど」
「……………………」
そういうと、渋い顔をし始めた。会ったばかりの人間に対してこういうことを言うのもどうかと思うが、らしくない顔だなぁと思う。
「多分その『景山健太』は、今の君を形成する上で欠かせない人間だったんだと思う。僕が『そう』でないことは少しだけ申し訳ないと思うよ、ごめんね」
「謝るな。しつこいとは分かっていても、どうしても気になっただけだ」
「そっか」
まあ、気持ちは分からんでもない。分からんでもない、が…………なんと言えばいいのかこのなんとも言えない気持ち。
「じゃあ、この事に関しては聞かない。が、少し質問をさせてくれないか?」
「はいな」
かなり真剣な表情で、逆廻クンは僕に伺いを立ててきた。プライド高そうな彼らしからぬ、低姿勢だ。
「お前は自分を『バケモノ』と自称した。それは何故だ?」
「何故、と問いますかぁ……」
どう答えたものかね…………? いや、自分なりの理由はあるが、なんか自画自賛してる気分になるし…………。
「率直に言って、僕は『最強』ではないけれど『無敵』だとは思わない?」
「…………。まあ、殺せないから敵はいない、という理由ならば、そうだな」
「でも、それって『人間』じゃないよね。人間は『最強』になることはできても『無敵』にはなれない。それは何故か、『不自由』だからだ」
「!」
アレ、既知の反応…………?
「人間はどこまで行っても自由にはなれない。それは人間だけに言えることじゃなくて、生物として存在している全てに言えることだ。…………でも、僕にそれは無い。僕に生物らしい『不自由』は無い。究極的には、僕単体で生き抜けることができるからだ。そりゃそうだ、死なないもの」
僕にとって、人間として生きたい僕にとっては非常に悲しいことに、だけどね。
「『不自由』のない生物は『無敵』だ。でもそれは最早生物とは言えないと、僕は思う。それはもう、理から外れた『バケモノ』だ。だから僕は、自分をバケモノだと思うんだ。完全に、ではないけれど」
「それは、どうしてだ?」
「身体はそうでも、精神の方は不合理、不自由の塊みたいなものだから、だね。元来人間は、『不自由』を求める生物だから。それは、僕が『人間』と名乗るための、最期の砦なんだと思う」
「…………ハハッ」
とりあえずは、望んだ答えは言えたらしい。しかし思った反応と違う。なんでよ、僕とその『景山健太』は別人みたいな反応してたじゃないか。
「そうか……そうか。礼を言う、『先生』。どれだけ変わっても、アンタのその在り方は変わらないらしい」
「……………………へ?」
なんども、なんども頷いて、嬉しそうに、悲しそうに彼は呟き…………気持ちを切り替えるかのように顔を叩いた後、いつものような不敵な笑顔を浮かべ始めた。
「俺の納得に付き合わせて悪かった。だから『貸し1』だ」
「……え? あ、ああ、うん。分かった、じゃあ困った時は頼ることにするね」
「よく言う、頼る気なんて全くない癖によ」
「…………よくご存知で」
そう僕に言う彼は、とても無邪気な子供に見えた。
…………さて、それとは別に問題が発生した。
「(…………僕のいた世界の『景山健太』と、逆廻十六夜のいた世界の『景山健太』は等号で結ばれる、のか?)」
明らかに不等号で結ばれるはずなのに、僕は教師になんかなるはずないのに、平行世界だから別モノだと思うのに、逆廻十六夜が納得する程度には、僕とその『景山健太』は一緒だって?
謎が一つ解けたと思ったら、新しい謎が何個も舞い込んでくる…………なんという世界なんだ此処は。
◇◇◇
今日のイベントは消化しきれたと思ったら特大のが残ってた件。いやもう終わったけれど。
なんでも、僕ら異世界組の加入歓迎パーティー件、自己紹介が済んでなかったのだ。
それもそのはず、僕が昨日死んでたから延期せざるを得なかったのだ。うん、マジすまん。
歓迎会自体は割と慎ましいものだった。だって、うちのコミュニティ金欠貧乏なんだもの。それでも前々から準備してたためなのか、ちょっとしたホームパーティー的な感じで楽しかったよ。ちょっと昔を思い出してホロリとした。…………元気かなぁ相棒。怖くてケータイ見れないが。
まあそれはともかく、僕はノーネームの子供達と凄く仲良くなった。単純に僕がとっつきやすいということもあるが、単純に子供達の面倒を見るのが好きだったということだ。ふふふ…………弟と妹を親も同然に育ててきた実績が僕にはあるのだよ!
「で、その報酬がその餅か?」
「いえーす。とにかく無性にお餅が食いたくなって、もち米とキッチン使わせてもらった」
そして現在僕と十六夜クン(逆廻クンとか呼ばれると虫酸が走るといわれてこうなった…………どんな人間だったんだ『景山健太』)と、リーダーと共に談話室なう。僕の作ったお餅を摘みながら、この先の『ノーネーム』の方針みたいなのを話している最中なのです! まあ、僕は頭が回らないから頷くだけの機械になってんだけどな。
え、女性陣? 今頃風呂でしょーよ。1番風呂とか裏山とか思うが、レディーファーストとしておこう。なお、元々のレディーファーストは女性を盾にする為の男尊女卑的なワードだが、僕にそんな思惑は全くないことを記しておこう。断じてッ!
「それはそうとリーダー。又聞きだけど、十六夜クンにやらせようとしたゲームがあるらしいじゃない?」
会話が途切れたところで、思いついたように発言してみた。
すると、なんということでしょう! 2人の顔が一気に苦虫を噛み潰したような顔になったではありませんか! 嫌な劇的ビフォー○フターである。この場合、僕は空間を悪くする匠、ということになるのかな?
「……ええ、確かに僕は十六夜さんにとあるゲームの参加を条件に、『ノーネーム』を対魔王コミュニティとして舵取りすることに同意しました。そのゲームは、僕らの昔の仲間が商品として出品されていたんです」
「…………わーお!!?」
いやぁ、そんな大事なことは先に言って欲しかったなぁ!! …………とは言わない。苦虫を噛み潰したような顔に、言わなかった理由があると見た。
「……大方、中止に近い延期とか、そんなオチでしょ? 健ちゃん知ってる」
「よく分かったじゃないか。ついでに、その昔の仲間が元・魔王だということも付け加えておこう」
「え、それヤバイよね? え、え!? 元・魔王が仲間だったコミュニティすら敵に回せる魔王が相手なの!?」
と言うか、もぐもぐ、魔王って仲間に、もぐもぐ、できるんだ!? もぐもぐ、凄いね箱庭!!
「餅食いながら言っても緊張感ねぇよ」
「あ、はぁい」
しかし、それは困ったことになったねぇ。ぬか喜びさせないために、情報統制か。
「現状、打つ手はない。主催しているのが『サウザンドアイズ』の幹部だと聞いて、それとなく白夜叉を問い質してみたが…………箱庭の外で、その元・魔王の買い手が見つかったみたいらしい」
「…………敗者の末路、か。負ければ全てを失う、実にわかりやすい。それで十六夜氏」
「なんだ健太」
「態々『箱庭の外』って情報を付けたってことは…………もしかして?」
「いや、察してはいるが俺は聞かされてない…………どうなんだ、御チビ?」
僕ら2人分の視線を集めたリーダーは少し腰が引けたようになりつつも、こう答えた。
「ええ…………その彼女は『吸血鬼』です」
吸血鬼……うん、分かってはいたけれど…………うーん。
「僕、苦手なんだよねぇ吸血鬼。殺しても殺しても殺しても殺しても死にゃしない。夜中のあいつらは本当死ななくて面倒なんだよ」
「夜中じゃなくても不死身のバケモノが言えたことかよ。思いっきりブーメラン刺さってんぞオイ」
「申し訳ありませんが、僕も同感です」
「ここに味方はいないのか!!?」
HEEEYYYY!! あァァァんまりだァァアァ!!
…………あ、吸血鬼だからWRYYYYYYYYッ!! とかの方が良かった? せっかく『
「とりあえず、真面目に行こう。少しふざけたらスッキリしたし」
さて、これはある意味ではチャンスとも言える訳なのだ。
「元々、そのお仲間はゲームでしか取り返せないという状況だった、と?」
「え、ええ。だから今回のことは、運が悪かった───────」
「訳ないでしょ。少なくとも、そのゲームの主催者、あるいはそのお仲間を買おうとした奴にとっては、袖の下が効くということが証明されたってことじゃないか」
そこで君は思うわけだ、リーダー。そもそも、大手が満足する程のモノは用意できないと。
「でも、これもまた小耳に挟んだんだけどね。ウチの倉庫、豚に真珠的に使えないものの宝庫らしいじゃないか」
「た、確かに! いや、ですが、アレらは…………」
「昔の仲間のモノもある、かい? でも形振り構ってられないでしょ。君の記憶にある仲間達は、アイテムと仲間を天秤にかけたら、どっちに傾く連中なのヨさ?」
「……………………」
おおう、考え込んでる考え込んでる。ま、その気持ちは分かるがな。
「最悪、僕の腕でも切り落としてそれを献上してみよう。前の世界でもそうだったけど、僕の身体は研究素体としてはかなりの価値を持つらしいし。すぐ生やせるし、痛い以外は特に問題もないしね」
「いや、あるだろう。君の身体の情報は、今は秘匿すべきものだと白夜叉から聞いたのだが」
「でもでもぉ、『ノーネーム』に手札を出し渋る余裕は無いんだけどねぇ……もぐもぐ」
いやぁ、シンプルに醤油で食う餅は美味いなぁ…………あ?
「ちょ、どこから入ってきむぐ─────────ッッッ!!!?」
ぬ、ぐぁ!!? 気管に、気管に餅が詰まった─────────!!?
息ができなくなり、お茶を飲んでも飲み込めなくてあたふたし、徐々に意識を奪われる中…………僕が最期に見たものは、金髪ロングのロリっ子だった……気がする。話の流れ的に、コレの正体はおそらく…………
「(き、金髪ロリで吸血鬼……テンプレ乙…………!!)」
死因→餅による窒息死