あれからわかったことがある。物言わぬ鋼鉄の鳥だった頃は感じなかったが…段々と疲れて来た。お腹も減ってきた。そもそも私は何でここにいるんだろう…アイツらと戦うためだろうか?
<北西の島に廃墟があります!>
ルッグンの報告が来た…後少しで終わるんだ。このギリギリの綱渡りが終る。取り敢えず、休める場所と時間が手に入る。北西か。一応、他勢力が存在する可能性を考えて護衛機を飛ばしつつスピードをあげて北西に舵をきる。
「これは…酷いな……。」
確かに廃墟はあった。でも、きっと艦娘と深海棲艦の大規模な戦闘があったんだろう。割れたガラスに折れた電柱、散らばった鉄屑と武器…物音1つしない島はまるで時間が止まってしまったようで……訳もなく悲しい気分になる。ついこの間までこの光景を作り出す側の者だったはずなのに涙が出るのは何でだろう。そうこうしているうちにレーダーが何かを見つけた。どうやら近くに誰かがいるらしい。こんな廃墟に?何故?とにかく、感傷に浸っている暇なんてない。頭に浮かんだ座標に私は走ることにした。〝通信室〟と書かれたプレートにがちゃがちゃという音、どうやら本当に誰かがいるらしい。
「はぁ、はぁ……。」苦しそうな息づかいと「…さん!少し休みましょう!」仲間を気遣うような声。覗き込めば包帯だらけの女の子とピンク色の髪の毛の女の子が通信機(?)をいじっていた。
「誰かいるの!?」「誰!?」
何故バレた!?…足下にいつの間にか妖精が群がっていた。こいつらが少女達に伝えたのだろう。足音がどんどん近くなる。ただ、足下に群がる妖精が邪魔で動けない。いくらも動かないうちにドアが開いて単装砲を向けた少女が出て来てしまった。肩で息をしている包帯だらけの少女はその手に持った単装砲を私に向けたまま問う。「貴女は誰?」ただ一言発せられた言葉にはたった一言なのに重みがあった。
「ジ、ジオン公国軍所属、攻撃空母ガウです…。」
……。
「正直に答えなさい。貴女は誰?」
「だからジオン公国軍所属の攻撃空母ガウなんですけど…。」
…。
……。
「そんな事、有り得ない…ジオンの〝ガウ〟って…ファーストガンダムの…アニメの艦じゃない!!」
は?
ファーストガンダム?アニメ?それに私を知っている?
私が…架空の世界の艦だと言いたいの?私が感じた痛み、私が駆けた空は偽物だったの?訳がわからない。少なくとも私が感じた痛みは本物だったし、駆けた空も浴びたビームも本物だった。やはり、世界を越えてしまったのか。「…本当にここは私が存在した世界ではないようですね。そろそろ貴女の名前をうかがっても?」
「夕張よ。日本海軍の兵装実験軽巡洋艦の夕張。いきなり砲を向けてごめんなさい。」