きんいろモザイク~こいいろモザイク~   作:鉄夜

12 / 14
第12話 男子会&女子会

工藤家 リビング。

 

男達が集まり語り合っていた。

 

「まぁなんだ、よくやったじゃねぇか隼人。」

 

エレンの言葉に、隼人は少し恥ずかしそうにする。

 

「お前のアドバイスが無ければ失敗していた、エレン。」

 

「バカ、俺は腹括れって言っただけで、

最終的に告ったのはお前だろうが。」

 

「そうっすよ隼人、もっと自信を持つっす。」

 

「あぁ、そうだな、ありがとう二人とも。」

 

隼人が礼を言うと、蓮は楽しそうに笑って言う。

 

「でもまさか、お前にロリコンの気があったとわなあ。」

 

「あぁ、アリスに告るって言った時は一瞬警察に通報しようかと思ったけどな。」

 

「礼を言ったらすぐこれだ。」

 

口ではそう言っているものの隼人は楽しそうにしている。

 

「まぁ、エレン達とは違い俺とアリスは出会って日が浅いからな。

これからアリスのことを知れればいいし、俺のことも知ってもらいたいと思ってる。」

 

「真面目っすねぇ、隼人は。」

 

男達が話している頃、隣の猪熊家では。

 

#####

 

エレンたちと同じく、女子達も集まって話していた。

 

「よかったデスねぇ!アリス!」

 

カレンが喜びながらアリスに抱きつく。

 

「きゃ!もうカレン、はしゃぎすぎだよォ。」

 

その様子を見て、笑いながら陽子が言う。

 

「でも本当によかったなぁ、アリス。」

 

「うん、まさかハヤトの方から告白されるとは思ってなかったけどね。

でも、一つだけ良くわからないことがあるの。」

 

「分からないこと?」

 

「付き合いだしてから二人で近場にデートで出かけたりするんだけどね?

ハヤト、よく警察の人に声をかけられるんだよ。

何でかなぁ?」

 

「あぁ・・・」

 

悩んでいるアリスに、陽子が言いにくそうにしていると。

 

「しょうがないデスよ、アリスちっちゃいですし。」

 

「身長の高い隼人と並んでると子供にしか見えないし、職質されるわよね。」

 

「子供!?(ガーン)」

 

「お前ら!空気読めよ!」

 

空気を読まずに発言したカレンと綾に陽子がツッコンだ。

 

「子供・・・子供・・・。」

 

「ほら!アリスへこんじゃったじゃん!」

 

落ち込んで涙目になっているアリスの肩に、忍が手を置いた。

 

「シノ?」

 

「大丈夫ですよ、アリス。」

 

忍はニッコリと笑っていう。

 

「確かにアリスは子供みたいにちっちゃくて可愛居らしいです。

でも、たとえ幼児体型だとしても、隼人君はそんなアリスを好きになったんですから自信を持ってください!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

「シノ!とどめを刺すな!」

 

忍の言葉で、とうとうアリスは大声で泣き出した。

 

「大丈夫だってアリス!まだ高校一年生なんだしこれから伸びるって!」

 

陽子がフォローすると、目尻に涙が浮かべながら言う。

 

「本当?隼人くらい大きくなれる?」

 

「それは流石に理想が高すぎだ!」

 

「いえ!まってくだい、ヨーコ!

世の中には骨延長手術というものがあると漫画で読んだことがありマス。」

 

「なんの漫画読んだか予想できるけどそれめちゃくちゃ痛い奴だからな!?」

 

「なにそれ!教えてカレン!」

 

「まず腕のいい医者を探してデスねぇ。」

 

「教えんな教えんな。」

 

その会話を聞いて綾はクスクスと笑った。

 

そんな綾を見て、アリスが思い出したように言う。

 

「そういえば、水族館でアヤとケンを見かけたよ。」

 

「あー、確かに行ったわよ?」

 

「何だかケンが凄くはしゃいでた。」

 

「あはは、見られてたんだ。」

 

綾はため息を吐く。

 

「そうなのよね、賢治ったら普段から子どもっぽいところがあるんだけど、動物とかを前にするとさらに暴走するのよね。

目を離したらどっかいっちゃいそうでほんと手がかかるっていうか・・・って何よカレン、その目は。」

 

綾はニヤニヤとこちらを見るカレンに気付き問いかけた。

 

「いやー、随分と楽しそうに話してたものデスからー。」

 

「楽しそうって・・・た・・・たしかに子供みたいにはしゃいだり、動物とかの豆知識とかを話してるところは無邪気で可愛いって思うことはあるけど・・・その・・・。」

 

「誤魔化すことないじゃないデスか。

あ、そうだ。」

 

カレンはポケットから一枚の紙を取り出した。

 

広げるとそこには大きな円が書かれていた。

 

「カレンちゃん、なんですか?これは。」

 

シノが聞くと、かれんは楽しそうに答える。

 

「いつかの円グラフですよ。

改めてアヤに聞きたいなぁと思って。」

 

それは男子達がいないところでカレンが勝手に始めたことだった。

 

それぞれの中身が何で出来ているかを円グラフにして黒板に書いたのである。

たとえば陽子なら優しさが50%ツッコミが50%というふうに表記するのである。

 

「なんで今更?」

 

「いやぁ、だって。」

 

カレンはニッコリ笑顔で、

 

「アヤってヨーコにフラレたじゃないデスか。」

 

爆弾を投下した。

 

「おい!こら!」

 

「ちょっとカレン!」

 

ほぼ同時に怒鳴る陽子と綾にカレンは笑いながら言う。

 

「隠す必要なんてないじゃないデスか。

アヤがヨーコを好きだったことなんてみんな知ってますよ。

ねぇ、シノ。」

 

「フフ、そうですね。」

 

「え?そうなの?

ひょっとしてアリスも?」

 

そう言って綾はアリスの方を見るとアリスは苦笑いで答える。

 

「アヤはわかりやすいからね。

正直気づいてなかったのはヨーコだけだと思うよ。」

 

「まぁ、ヨーコは鈍感朴念仁なラノベ主人公ですシネ。」

 

「散々な言われ様!」

 

「皆知ってて黙ってたの?」

 

綾の問いかけに忍が笑顔で答える

 

「誰が誰を好きなろうがその人の自由ですからね、私達はとやかく言うつもりはありませんでしたし。

それに・・・。」

 

忍は頬に手を当てて笑顔で答える。

 

「陽子ちゃんの行動や言動に顔を真っ赤にしてる綾ちゃんは可愛らしかったですし。」

 

「こいつ本音を隠そうともしねぇ!」

 

「しかもいい笑顔!」

 

忍の言葉に、陽子と綾は大声でツッコンだ。

 

「という訳で、アヤの今の心境をを改めて知りたいと思いまシテ。

あ、ちょっと待ってください。」

 

カレンはペンを取り出すと中心から三本線線を引き、かしこい10%、テレ屋10%と書き込んだ。

 

「さぁどうぞ!」

 

「そこは譲る気ないのね・・・そうねぇ。」

 

ちなみに前回、カレンが勝手に書いた綾の円グラフは上記の二つに加え、残り80%は陽子というものだった。

 

そしていま、綾が自ら書き上げたそれは。

 

かしこい10%、テレ屋10%、謎の空白30%、

残り半分は賢治というものだった。

 

「へぇ、やっぱりケンが半分を占めてるんだね。」

 

「綾ちゃんは賢治君が大好きなんですね。」

 

アリスと忍の言葉に照れていた綾に陽子が問いかける。

 

「あのさぁ、綾。

この謎の空白って・・・。」

 

綾は気まずそうにしながら答える。

 

「・・・・・・・・・・・・・陽子」

 

「そこそこ引きずってんじゃねぇか!」

 

「初恋なんだからそりゃ引きずるでしょうよ!」

 

「なんか賢治に悪いだろう!?

どんな顔して会えばいいんだよアイツに!」

 

「笑えばいいと思うわよ?」

 

「笑顔引き攣りすぎて筋肉痛になるわ!」

 

そのやり取りを見てカレンは腹を抱えて笑っている。

 

「カレン!何笑ってんだ!」

 

「アハハハ!ハァハァ・・・。

す・・・すいませんヨーコ。

でもどうですか?」

 

「・・・何がよ。」

 

「少し気が楽になってませんか?」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

無言の二人にカレンは楽しそうにいう。

 

「こういうことは早めに笑い話にした方がいいんデスよ。

そうしないと、余計引きずっちゃうかもデスしね。

それで友達同士距離ができたりしたら、とても悲しいじゃないデスか。」

 

カレンの言葉に陽子と綾は無言になるが、

 

「あのさ」「あのね」

 

やがて二人揃って口を開いた。

 

「綾から言っていいよ。」

 

陽子がそういうと、綾は頷いて言う。

 

「・・・陽子。

いろいろあったけど、これからもよろしくね。」

 

綾がそういうと陽子は、

 

「こっちこそ。」

 

綾の頭に手を置いて、

 

「よろしくな、綾。」

 

微笑んでそう言った。

 

「・・・そ」

 

「・・・そ?」

 

「そういう所が危ないのよあんたは!」

 

「なんで!?」

 

そんな二人を見てカレンは満足そうに頷く。

 

「これにて一件落着ですね。

そういえばアヤ、ずっと気になっていたんデス けどそのブレスレットはどうしたんデスか?」

 

「え!?えっと・・・これは・・・その・・・////」

 

#####

 

工藤家 リビング。

 

「木組みの家と石畳の街ねぇ。」

 

エレン達は賢治が綾とのデートで行ったという街の話を聞いていた。

 

「いい雰囲気のとこだったっすよ、日本とは思えないくらい外国っぽくて。」

 

「ほぉ、それはぜひ行ってみたいな。」

 

「いいんじゃないっすか?アリスも楽しむと思うっすよ。」

 

楽しそうに語る賢治に、蓮はニヤニヤとしながら聞く。

 

「そこで綾のファーストキスを奪ったわけやな。」

 

「えっと・・・それがその・・・。」

 

賢治は後頭部を掻きながら言う。

 

「いざやるってなると緊張して、近づいてきた綾の顔を近くにいたウサギでガードしちゃったんすよ。」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

賢治の言葉にほかの三人は沈黙する。

 

「あれ?みんなどうしたんすか?」

 

「この骨なしチキン野郎!」

 

バチン!

 

「ぎゃあ!?」

 

賢治はエレンのビンタで張り倒された。

 

「おいチキン、立てこの野郎。

三秒以内に立たねぇと次はグーで行く」

 

「ちょっ、まっ!は・・・隼人!助けて欲しいっす!」

 

「エレン、顔はやめてやれ。

跡が残ると悲惨だ。」

 

「隼人!?」

 

「隼人に見捨てられるとかお前大概やで?」

 

「ちょ・・・ちょっと待って欲しいっす!

そのあとちゃんとキスしたんっすよ!本当っす!」

 

「それでも綾の初めての相手はウサギだぞ!

てめぇ畜生に彼女のファーストキス奪われて悔しくねぇのか!?

俺ならその場でそのウサギ鍋にして食うわ。」

 

「怖すぎっすよ!

それと畜生じゃなくてウサギっす!

動物相手ならギリノーカンっすよ!」

 

「お前が思うならそうなんやろな。」

 

「お前の中ではな!」

 

「勘弁して欲しいっす!」

 

賢治を散々弄って満足したのか、蓮はエレンに話を振った。

 

「で?エレン。

だいたい予想はつくけどお前はどうやったんや?」

 

「別にいつも通りだよ。

デートしたり部屋でゲームしたりダラダラしたり。」

 

「もはやノリが夫婦やな。」

 

「あぁ、あと・・・」

 

エレンが思い出したように口にする。

 

「一緒の部屋で寝た。」

 

「「「・・・」」」

 

エレンの言葉にほかの3人が固まった。

 

それを見たエレンは言葉を続ける。

 

「読んでたマンガに目覚ましセットして起きた瞬間に格ゲーで対戦するってのがあってさぁ。

面白そうだからやってみようぜって話しになって。」

 

「焦ったァァァァァ!」

 

「驚かさないでほしいっすよエレン。」

 

「今のは流石にキモが冷えだぞ。」

 

安心した様にいう3人に、エレンは溜息を吐く。

 

「あのなぁ、心配しなくても手ぇ出したりしねぇよ。

そういうのは高校卒業までなしって約束だしな。」

 

「いや、俺としてはお前が我慢出来ずにいつか陽子のこと襲わんか心配やねんけど。」

 

「お前は俺のことをなんだと思ってんだ。」

 

エレンはため息を吐いていう。

 

「そんなことしてみろ、使い物にならなくなるまでバッキバキにへし折られるぞ。」

 

「まぁせやろなぁ。」

 

「そうなるっすよねぇ。」

 

「陽子だしなぁ。」

 

全員が納得しかけていると、エレンが続けて言った。

 

「それに約束の効力は卒業式の日校門を出た時までだからな。

ちゃんと最後まで守り抜けばいざと言う時抵抗されないだろ。」

 

「クソ野郎かお前!」

 

「ろくでなしっすね!」

 

「ブレないなぁお前。」

 

ゲス発言をしたエレンに男子3人のツッコミがとんだ。

 

#####

 

「へぇ、海でそんな事があったんですか。」

 

女子会の方は、陽子とエレンの海デートの話で盛り上がっていた。

 

「もう足は大丈夫なの?ヨーコ。」

 

心配そうに聞くアリスに、ヨーコは怪我をした方の足をプラプラと揺らして答える。

 

「うん、それはもうすっかり。

でもあんなに怒ったエレン久しぶりに見たよ。

今にもその男達半殺しにしそうな感じでさ。

止めなきゃヤバいって思った。」

 

「そのわりには楽しそうに話すわね、陽子。」

 

「え?そうかなー。」

 

忍はクスクスと笑って言う。

 

「きっと陽子ちゃんは、エレン君が自分のためにそこまで怒ってくれたのが嬉しいんですよね。」

 

「な!?////」

 

忍の指摘に陽子は顔を赤くする。

 

「あー、そういう事デスか。」

 

「つまりはノロケね。」

 

「な・・・なんだよ!

いいだろ!なんか大事にされてるって気がして嬉しかったんだから!」

 

「陽子ちゃん・・・すっかり女の子になっちゃったんですね。」

 

「なんで残念そうにいうんだよシノ!」

 

と、ここで陽子が思い出したように言う。

 

「そういえばシノ、蓮からの遊びの誘い断り続けてるってマジ?」

 

「え!?そうなの!?」

 

綾が驚いてシノの方を見ると、シノはニッコリと微笑んで答える。

 

「はい、そうですよ。」

 

答えたシノに陽子は綾の耳元で小声で話す。

 

「どう思う?」

 

「シノの事だから蓮の好意に気づいてないだけじゃない?

だってシノよ?」

 

「そうだな、シノだもんな。」

 

こそこそと小声で話す二人に忍が言う。

 

「あの、お二人とも。

流石に私でもあれだけ露骨にアピールされれば気づきますよ?」

 

「「え!?」」

 

忍の言葉に、綾と陽子が驚きながらも尋ねる。

 

「じゃあなんで誘いを断り続けてるの?」

 

「やっぱり女癖が悪いから?」

 

「そういう訳ではありません。

私の事を好きになってくれてからそういったお付き合いはやめたようですし、むしろ好感触ですよ?」

 

「じゃあなんで?」

 

陽子が聞くと忍は笑顔で答える。

 

「こうやっておあずけしていれば、久しぶりに会った時可愛らしい反応をしてくれそうじゃないですか。」

 

「なんか今日のシノキレっキレだな!?」

 

「いざ付き合ってから女癖が再発すると厄介ですし、今のうちに躾ておかないとですしね。」

 

「躾!?今躾って言ったわよねシノ!?」

 

「完全に犬扱いじゃねぇか!」

 

「どうしちゃったんデスか!シノ!」

 

「シノが怖いよー!」

 

親友の思わぬ一面に、驚きの声が飛び交う。

 

「私さぁ、小悪魔なのはキャラ的にカレンだろうなぁって思ってたんだけど・・・思わぬ伏兵がいたな。

ん?ちょっと待て、いざ付き合ってからってことはシノも蓮のことすきなの?」

 

「いえ、まだその段階ではありません。

でも、蓮くんが私の事をどれだけ想ってくれているかはとても良くわかります。

なので・・・その気持ちに答えることもやぶさかではない、と言うだけのことです。」

 

シノはそう言うとにっこりと笑い、

 

「好きになるのは、いつだって遅くないと思うんです。」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

シノの言葉に、全員が沈黙した。

 

「あれ?どうしたんですか皆さん。」

 

「シノ・・・いろいろすげぇなお前。」

 

シノはよくわからない様子で首をかしげていた。

 

#####

 

工藤家 リビング

 

「俺の何があかんのかな。」

蓮はため息を吐いて天を仰ぎそう呟いた。

 

「女癖じゃね?」

 

「女癖っすよね。」

 

「女癖だろう。」

 

「なんかこのパーティー優しさが足りてなくない!?」

 

一片の慈悲もない三人の言葉に蓮は叫んだ。

 

その場で立ち上がって抗議を続ける。

 

「言っとくけどな!手を繋いだり一緒に遊びに行くことはあっても手ぇ出したことは一度もないで!?」

 

「誰か一人に絞らずに遊び倒してる時点てアウトだろ。」

 

「シノを好きになってからは陽子とか以外の女子のアドレス消したし。」

 

「その中にはお前が本命の奴だって居ただろうに、ひでぇことするなぁ。」

 

「どう転んでも俺ロクでなし!?」

 

エレンの冷たい対応に、蓮は悲痛な声を上げる。

 

そんな蓮に、隼人は助け舟を出した。

 

「まぁ、お前がシノに対して本気なのはよくわかっているさ、蓮。

問題はそれをどうやって当人に伝えるかだな。」

 

「俺は一応アプローチしてるつもりなんやけどなぁ。」

 

「シノは鈍感そうっすからねぇ。」

 

蓮は溜息を吐く。

 

「遊びに誘っても毎回用事があるとか言って誤魔化してくるし・・・はぁ。」

 

「蓮・・・。」

 

エレンは蓮の肩にぽんと手をおくと、

 

「ざまぁ!」

 

笑顔でそう言った。

 

「余裕かましよってこんボケェ!」

 

蓮の叫びが家中に響き渡った。

 

#####

 

「ってコトがあったんデスよォ!」

 

「へぇ、ゼロ(にい)も随分と思い切ったな。」

 

陽子達はカレンの話を聞いていた。

 

「いやぁ、なんというか、やっとデレてくれてよかったデスヨ!

アプローチしたかいがありまシタぁ!」

 

「フフ、良かったですねカレン。」

 

「でもカレン、それならなおさら学校では気をつけなきゃダメよ?」

 

「Why?なんでデスか?

親公認デスヨ?」

 

「そうだとしても、そのことがバレたらゼロ兄学校やめなきゃいけなくなるだろ?」

 

「そうだよカレン、零士さんと一緒にいれなくなってもいいの?」

 

「大丈夫ですよ、何かあったらその時は、」

 

カレンはニッコリと笑顔でいう。

 

「パパに何とかしてもらいマス。」

 

「こいつ親の権力使う気だ!」

 

「イギリス人は恋愛と戦争では手段は選ばないのデス!(*`ω´*)ドヤッ」

 

「ドヤ顔でいうことじゃないわよ!?」

 

みんなの慌て様にカレンは一度大きく笑う。

 

「まぁそれは冗談デスけどね。

そんなことをしたらダーリンに嫌われちゃいますから。」

 

「カレンはマジでやりそうだから怖いんだよなぁ。」

 

「大丈夫です!ちゃんとダーリンのために、バレない様にイチャイチャします!」

 

「やっぱり分かってねぇ!」

 

と、そのタイミングで陽子のスマホからメッセージアプリの通知音が鳴った。

 

それに続くように、スマホを持っていないアリスとシノ以外の側から同様の音が鳴った。

 

「ん?雅兄からだ」

 

「あ、私のところにも来まシタ。」

 

「グループで全員に送信してるわね。

何のようかしら。」

 

三人はメッセージを確認し。

 

「「「ええええええええええええ!?」」」

 

同時に叫んだ。

#####

 

「「「「「えええええええ!?」」」」」

 

女子達と同様のことがエレン達にも起こっていた。

 

エレンたちのスマホにはある写真が表示されている。

 

それは雅人とエレン達の学校の教師、烏丸さくらが笑顔で手を繋いでいる写真(ちなみに恋人繋ぎ)で、その写真のあとにメッセージで、

 

『婚約しました。』

 

と、送られてきた。

 

「な・・・なんすかコレ・・・何が起きてんすか蓮!」

 

「そんなん俺が知るわけないやろ!

エレンはなんか聞いとるか?」

 

「し・・・知らん。

隼人、お前はなにか聞いて・・・って白目剥いてる!?」

 

「ハッ!・・・す・・・すまん。

動揺した。」

 

4人は少しの間、どういうことだと話し合ったが、最終的にエレンが立ち上がった。

 

「埒があかねえ、雅人さんのところに行って確かめるぞ!」

 

そう言ってほかの3人と家を飛び出すと、示し合わしたように隣の家から陽子達が飛び出してきた。

 

「エレン!」

 

「陽子!」

 

エレンは陽子に駆け寄ると肩に手を置く。

 

「からすちゃんが!からすちゃんが!」

 

「落ち着け!俺達も何が何だかわかんねぇんだ!」

 

その側で、賢治は混乱している綾に駆け寄る。

 

「綾!大丈夫っすか!?」

 

「あばばばばば」

 

「綾!?戻ってくるっすよ!」

 

そしてシノはアリスを背負って隼人のところへ行く。

 

「アリス!?どうしたんだ!?」

 

「余りにも衝撃的すぎて、気絶しちゃったみたいです。」

 

「アリス!?」

 

「きゅー(白目)」

 

隼人はシノからアリスを受け取るとお姫様抱っこで抱える。

 

と、そのタイミングで陽子達の前にいちだいのバイクが止まった。

 

「ダーリン!」

 

「カレン!乗れ!」

 

零士がカレンにヘルメットを投げ渡すと、カレンはそれを装着してバイクの後部座席に座った。

 

「それじゃあ皆!お先デス!」

 

かれんがそういうと同時にバイクは発信した。

 

「あ!ズッリィ!」

 

「俺達も続くぞ!」

 

こうしてエレン達は、雅人の家に押しかけたのであった。

 

#####

 

松原穂乃花は駅前でとある人物と待合せをしていた。

 

暑い中、日陰に入り待っていると、

 

「穂乃花さん。」

 

声をかけられ顔を向けると、

一人の少女──工藤マリーが居た。

 

「ごめん、待った?」

 

「ううん、今来たところだから。」

 

「それずっと待ってた人の常套句じゃない?」

 

「ほ・・・本当に今来たとこだから大丈夫だよ。」

 

「それならいいけど・・・それじゃあさ。」

 

マリーは穂乃花に手を差し出した。

 

「行こっか。」

 

「・・・うん!」

 

穂乃花はマリーの手を取ると、共に歩き出した。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。