きんいろモザイク~こいいろモザイク~   作:鉄夜

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第2話 やはり教師と生徒のラブコメはまちがっている・・・はずだ。

昼休み、保険医の冴島零士(さえじまれいじ)ははしゃぎすぎて怪我をした生徒の治療をしていた。

 

「ハイ終了。

元気なのはいいがあんまり騒ぐんじゃねぇぞ。」

 

「ありがとうございます、先生。」

 

零士は生徒が保健室から生徒が出ていくのを見送ると窓の外を眺めた。

 

(・・・平和だ。)

 

零士は続いて時計を見る。

 

(あと少しで昼休みも終わる。

・・・今日はもう来ないな。)

 

「ふぅー」

 

と零士が一息つくと。

 

バンっ!と保健室のドアを誰かが勢いよく開ける。

 

「Heyダーリン!遊びに来たデース!」

 

少女、九条カレンは入ってくるなり元気にそう言った。

 

「・・・おい九条、その呼び名はやめろって言っただろ。

ほかの生徒や教師に聞かれたらどうするんだ。」

 

「ワタシは一向にかまわんッッ!デス!」

 

「構えよ頼むから。

それにお前と俺は生徒と教師だろ」

 

「大丈夫です!恋は障害があるほど燃え上がるものデース!」

 

零士は、ため息を吐く。

 

「あのなぁ九条。」

 

「カレンと呼んでくだサイ!」

 

「・・・いや九条。」

 

「カレンデース!」

 

「・・・くj 」

 

「カ!レ!ン!デス!!」

 

「・・・カレン」

 

「ハーイ!何ですか?ダーリン。」

 

零士は再び溜息を吐いた。

 

「お前人のことダーリンダーリンって言うけど。

一体俺のどこに惚れたんだ。」

 

「フッフッフ、それはですね」

 

カレンは零士にウインクをして言う。

 

「一目惚れってやつですよ!」

 

「一目惚れってお前・・・」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「あ、チャイム鳴っちゃいました。」

 

カレンは急いで入口まで走っていく。

 

「それじゃあダーリン!また遊びに来マース!」

 

そう言ってカレンは扉を閉めて教室に戻っていった。

 

零士は頭を抱えるとカーテンの閉まっているベッドに歩いていく。

 

そしてカーテンを勢いよく開けると。

 

「クククククククッッ!」

 

そこには笑いを必死に堪えている雅人がいた。

 

零士は無言で引出しからアルコールの瓶を取り出すと蓋を開け笑いをこらえている雅人の顔面を鷲掴みにして口を無理矢理開かせる。

 

「ほぉーらおじぃちゃん、お食事の時間ですよー」

 

「んー!んー!」

 

雅人が必死の抵抗を見せると零士は瓶を机の上に置く。

 

「ふぅ、いやぁそれにしても面白いことになってるねぇダーリン。」

 

「ダーリン言うなぶっ飛ばすぞ。

なんとかしてくれ、その為に現状を見せたんだ。」

 

「いいじゃん女子高生。

零士って女子高生物のAV好きじゃん。」

 

「本気で死なすぞゴラァ・・・。」

 

「ちょ・・・怖いって、冗談、冗談だよ。

まぁ真面目な話、ああいうタイプははっきり言わないとダメだね。」

 

「それができたら苦労しねぇよ。」

 

零士は本日3度目の溜息を吐いた。

 

「アレくらいの年齢の奴らはデリケートなんだ。

それで傷ついたりしたら。」

 

「じゃあ付き合う?」

 

「そういうわけにも行かねぇだろ。

仮にも生徒と教師だろ・・・それに。」

 

「それに?」

 

零士は少し黙ってから言う。

 

「アイツは俺のこと好きかもしれんが、

俺は違うからな・・・。」

 

雅人は面倒くさそうにため息を吐く。

 

「ならハッキリそう言うしかないよ。」

 

「さっきも言っただろ、それで傷ついたりしたら・・・」

 

「いや、どう頑張っても傷付けるのは確定だから。

傷つけずに事なきを得ようなんて虫がよすぎるよ

どうせ傷つけるなら傷が浅くすむうちにやっといた方がいいと思うよ?」

 

「・・・」

 

「ま、じっくり考えなよ。

じゃあ俺は次の授業の準備があるから。」

 

そう言って雅人は保健室から出ていった。

 

「どうすりゃいいんだよ・・・」

 

ひとり保健室に残った零士はそう呟いた。

 

#####

 

エレンは食事を終えて遊びに来た陽子と、自宅のソファーで格闘ゲームをやりながらくつろいでいた。

 

「それにしてもカレンもよくやるよなぁ。」

 

「あー、零士さんのこと?」

 

「あれ、さすがの鈍感朴念仁の陽子様でも気づいたか。」

 

「いや、流石にアレはなぁ。」

 

「まぁ、見たところカレンの一方通行で零士さんにその気は無いみたいだけどな。」

 

「え?そうなの?私はてっきり両思いかと。」

 

「・・・やっぱり陽子は陽子だったな。」

 

「おい、バカにしてるだろ。」

 

「別にーそんなことねぇよぉ、ほい隙ありぃー」

 

「あ!ちょっと!壁ハメとかせこいぞ!!」

 

「HAHAHA!勝てばよかろうなのだぁぁぁ!」

 

「あー負けたー、もうやめだやめ!。」

 

陽子がコントローラーを放り投げると、エレンは陽子の膝を枕にして横になった。

 

「なぁエレン、でも零士さんやばくないか?」

 

「ん?なにが?」

 

「だって生徒と教師だろ?

もしバレたりしたら。」

 

「だから一方通行なんだろ?

カレンはガンガン押してるだろうけどな。」

 

「やっぱりカレンにははっきり言わないと聞かないと思うぞ?私は。」

 

「そんな度胸ねえんだろ。

ま、言ったとしてもそれで終わるかわからねぇけどな。」

 

その会話を後ろで聞いていたマリーが口を開く。

 

「あのさぁ、一つ聞きたいんだけど・・・。」

 

「ん?どうしたマリー。」

 

マリーは少し恥ずかしそうに聞く。

 

「恋ってどんな感じ?」

 

「は?」

 

「どうした?急に。」

 

「いや、学校の友達がよく好きな人の話とかしてて、でもわたしそういうの分かんなくてさ。

それで・・・どんな感じなのかなって。」

 

「・・・そうだなぁ。」

 

「うーん・・・。」

 

二人は少し考えた後。

 

「「めんどくさい。」」

 

声を揃えてそう言った。

 

「・・・は?どういうこと?」

 

「私達もよくわかんねぇけどそんな感じかなって。」

 

「そうだなぁ、詳しく知りたかったら綾にでも聞け。」

 

「・・・わかった」

 

#####

 

『そうね、たしかにめんどくさいわね。』

 

自室に戻ったマリーは早速綾に電話をかけていた。

 

「めんどくさいのに始めるの?」

 

『始める、じゃなくて始まっちゃうって感じかしらね。

その人を好きになった時、

その自分の気持ちに気づいても気づかなくても放置してたらしんどいし、

それで告白してもフラれちゃったら暫く引きずるし、

フラれなくても別れちゃったりしたらやっぱり引きずるし。』

 

「本当にめんどくさいね。」

 

『・・・でも、どんなにめんどくさくっても好きになったらどうしようもないのよ。

それがたとえ・・・恋しちゃいけない相手でもね。』

 

「・・・綾姉?」

 

『マリーにもいつかわかる日が来るわよ。』

 

「うん・・・ありがとう綾姉。

そろそろ切るね。」

 

『うん、また明日ね。』

 

マリーは電話を切るとベッドの上に仰向けに寝転がり天井を眺め、

 

「恋・・・か。

やっぱり私には関係ないかもなぁ。」

 

そう呟いた。

 

#####

 

雅人は、同じマンションに住むさくらを車に乗せて帰っていた。

 

「すいません桐谷先生、送ってもらっちゃって。」

 

「いいのいいの、同じマンションなんだし、

それに夜に女の子を一人で帰らせるわけにはいかないでしょ?。

ていうか生徒もいないのに先生呼び?」

 

「あ、すいません雅人さん。

なんだか癖になっちゃって。」

 

「ま、わからなくとないけどさ。」

 

そう言ってしばらく車を走らせる。

 

「雅人さん、どうです?

零士さんと九条さん」

 

「あ、やっぱりわかっちゃう?」

 

「もう、私はポーっとしてるかもですけど、鈍感じゃないんですよ?」

 

桜が頬をふくらませてそう言うと雅人は大声で笑ってから言う。

 

「昔と変わんないよ、アイツ普段は気が強いのにここぞって時にヘタレてやんの。

はっきり言わないと分かんない子だって分かってるのにさぁ。

傷つけるのが怖いんだってさ。」

 

「ふふふ、なんだか零士さんらしいですね。

本当に昔と同じです。」

 

「ホントだよ、あの頃とちっとも変わってないもの。」

 

「それは雅人さんもですよ?」

 

「まあ、俺は永遠の少年だからねぇ。」

 

「あ、じゃああの頃の恋も続いてたりします?」

 

「へ?恋?何のこと?」

 

「もう、高校生のころ好きな人がいるって言ってたじゃないですか。

昼休みの時散々聞かされましたよ?」

 

「あぁ、あったねぇそんな事。」

 

「もう、フフ。」

 

雅人はマンションにつくと、さくらを彼女の部屋まで送り届け、自身も自室に戻る。

 

そして、ベッドに仰向けに寝転がる。

 

頭の中にはさくらの笑顔が浮かんでいた

 

「・・・俺も零士のこと言えないなぁ。 」

 

そう言って雅人は深いため息を吐いた。

 

#####

 

「ヘイダーリン!今日も遊びに来たデース。」

 

次の日、今日もカレンが元気に保健室に入ってくる。

 

「おい九条、ダーリンはやめろって何度言ったらわかるんだ?」

 

「私にとってダーリンはダーリンデス!!」

 

「・・・さいですか」

 

零士は溜息を吐いてからカレンに聞く。

 

「九条、お前は俺に一目惚れをしたと言ったな。」

 

「はい、一目でズキュンっとキタデス!」

 

「本当にそうなら、それは一時的なものだ、

それだけで本当に人を好きになれるとは思えねぇぞ。」

 

「それだけじゃアリマセン!」

 

カレンは少し照れながら言う。

 

「たしかに最初は一目惚れでした、

でもこうやってダーリンと・・・冴島先生と話すようになって、もっと好きになりまシタ。」

 

そう言って微笑むカレンを見て零士は思う。

 

(ああ、そうか、コイツは本当に俺のことを・・・)

 

「ダーリン?どうしましたか?」

 

そう言ってカレンは首をかしげる。

 

(でも、それならなおのこと・・・)

 

零士はカレンの目をまっすぐ見て言う。

 

「いいか九条、よく聞け。」

 

「はい?」

 

「お前が俺の事を好きだという気持ちは分かったし、それは男としては嬉しいことだ。」

 

零士は小さく息を吸う。

 

「でも、俺はそうじゃない。

お前の事を異性として愛することが出来ない。

だから・・・すまない。」

 

少し間が開くとカレンが口を開く。

 

「つまり、先生は私が女の子として好きじゃないと。」

 

「そうだ。」

 

「だから付き合えないと。」

 

「・・・そうだ。」

 

「つまり、先生が私のことを好きになれば付き合ってくれるってことデスね!」

 

「そうだ・・・え?」

 

「それなら!」

 

カレンは満面の笑みで言う。

 

「これからダーリンが私のことを好きになってくれるように!いっぱいいーーーーっぱい!

アプローチするデース!!」

 

「え?おい、九条?」

 

キーンコーンカーンコーン。

 

「あ、教室に戻らないと。」

 

そう言ってカレンは保健室の扉を開き廊下に出ると、

 

「それじゃあダーリン!これからは覚悟しておくデース!」

 

そう言って扉を閉めた。

 

そして、少し間を置いて今度は雅人が入ってくる。

 

「ねぇ、さっきカレンちゃんが宣戦布告してたけど何かあったの?」

 

零士は勢いよく雅人の胸ぐらを掴む。

 

「雅人ゴラァァァァ!」

 

「うお、どったの零士。

ただでさえおっかない顔が5割増で凄いことになってるよ?」

 

「てめぇの言ったとおりはっきり言ったら事態が悪化したぞ!

どういうことだコラァ!」

 

「あぁやっぱりかぁ。

ああ言うタイプの子はそうなるよねぇ。」

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!!」

 

「まぁ落ち着きなって、何言ってるかわかんないよ?」

 

雅人ばベッドに腰掛けて笑いながら言う。

 

「いやぁ、これはもう諦めるしかないんじゃないのぉ。

がんばれ、色男。」

 

零士は椅子に深く腰掛けて頭を抱えて。

 

「勘弁してくれぇ・・・。」

 

そう嘆くのであった。




桐谷雅人

高校教師

担当は世界史

軽い調子とテンションで話し、少し不真面目だが生徒になつかれている。

冴島零士、烏丸さくらとは高校生時代からの中。

エレン達にとっては零士共々小さい頃から世話をしてくれている兄貴分

冴島零士

保険医

人相が悪く、パッと見893。

その実生徒思い。

だが、高校生のころからの親友である雅人には容赦がない。
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