休日、蓮はある人物と待ち合わせていた。
(シノが俺に用事って何やろ。)
そう考えながらしばらく待っていると。
「蓮くーん。」
遠くから忍が手を振ってやってきた。
「おっすシノ。
俺に用って一体なんや?」
「はい、実は新しい衣装を作ろうと思ったのですが、アイデアがわかなくて。
それでお姉ちゃんに相談したら別の人の意見を参考にしてみたらと言われたので、1番そういう事に詳しい蓮君にご協力をお願いしようかと。」
「服っていつも来てくるようなけったいなヤツ?
え!?アレって手作りやったん!?」
「はい、全部私のお手製です。」
「そりゃすごいなぁ。
よし、分かったわ、俺に任せとき!
こういうのは得意やからな。」
「はい、お願いします。」
「そんじゃあ参考になりそうな店にでも行こか。」
そう言って2人は一緒に歩き出した。
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「あの、蓮君、ここって・・・」
蓮と忍は二人である店の入口にいた。
「ん?コスプレ専門店。
あの手の服の参考にするんやったらこういうところがええやろ。」
「そうですね、いろんな服があって楽しそうです。」
「ほな入ろか?」
二人は店内に入って物色する。
「それにしてもいろいろあるなぁ。」
「そうですねぇ、あ!この執事服なんて蓮君に似合いそうですよ?」
「いや、目的違ってきてるやん。
自作の服の参考探すんやろ?」
「えー、でもせっかくだし着てみましょうよー。」
「あんなぁ、男であんまこんな格好してるやつ・・・おったわ。」
蓮の視線の先には執事服を着て試着室の前に立っているエレンがいた。
「おーい、陽子。
まだかかるかぁ?」
「うん、もうちょっと。
ガーターベルトなんて初めてだからさぁ。」
試着室の中にいる陽子と会話するエレンに蓮が話しかける。
「おい、エレン。
こんなところで何してんねん。」
「おぉ、蓮、シノ。
珍しい組み合わせだな。」
「シノの用事に付き合ってたんや。」
「エレン君は陽子ちゃんとデートですか?」
「おう、二人で歩いてたらこの店を見つけてな。
面白そうだから入ったんだ。」
「エレーン。
蓮とシノそこにいんのー?」
「おう、だから早く出てこい。」
「うん、ちょうど今終わったところー。」
陽子は試着室のカーテンを開ける。
「おー。」
「・・・」
「陽子ちゃんかわいいです!」
「えへへー、そっかなぁ 。」
陽子はやけに肌の露出が多いメイド服を着ていた。
蓮はじゃれ合う忍と陽子を見ているエレンに訝しげな目を向ける。
「エレンお前・・・・」
「・・・無垢な奴って抵抗なくああいう服着てくれるから目の保養に困らねぇよなぁ。(ゲス顔)」
「腐れ外道かお前。」
蓮が視線を忍に戻すと、忍は執事服を手に持って目を輝かせなにかに期待するように蓮を見つめていた。
「・・・よーしわかった、それ着たるからお前も俺が選んだ服着ろよ?」
「はい、分かりました」
蓮は忍に着せる服を選んで持ってくる。
「和服かぁ。
一人で着れるのか?」
「コスプレ用やし大丈夫やろ。
ほい、シノ。」
蓮がシノに和服を渡すと忍も蓮に執事服を渡した。
そして2人は試着室の中に入る。
しばらくして執事服を着た蓮が試着室のから出てくる。
それを見た陽子が笑いながら言う。
「なんか胡散臭い執事だな。」
「ほっとけ。」
そして少しすると、忍も試着室から出てくる。
「みなさん、私も着替え終わりましたよ~。」
「おー。」
忍の和服姿はとても良く似合っていた。
「どうですか。」
「よう似合うてるで、シノ。」
「うんうん、シノにぴったり。」
蓮と陽子が笑顔で言うとエレンもうんうん、とうなづく。
「確かに似合ってる・・・ていうか座敷童子みたいだな。」
「おいエレン!」
「俺も思ったけど口に出さへんかったのに!」
だが言われた忍は。
「えへへ////」
「照れてる!?」
「なんでや!?」
何故か照れている忍に、陽子と蓮二人のツッコミが炸裂した。
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忍と蓮はエレン達と別れて二人で歩いていた。
「まさかあんなところでエレン君たちに会うとは思いませんでしたね。」
「あの様子やとアイツ、もうしばらくは陽子着せ替えて遊ぶやろな。」
二人はそう言って楽しそうに笑った。
「それとシノの和服姿似合っとったで。」
「執事服姿の蓮くんもなかなかでしたよ。
あれで金髪ならなおよしです!」
「ブレへんなー、お前。」
そう言って笑った蓮に、忍は楽しそうに微笑む。
「・・・なぁシノ、ひとつ聞きたいことあるんやけどええか?」
「はい、なんですか?」
「なんでシノは俺みたいな奴とも仲良くしてくれるん。」
「え?どういう意味ですか?」
首を傾げる忍に蓮は言う。
「ほら、俺の性格ってシノとは真逆やん。
女癖悪いし、チャラいし、いい加減やし。
普通やったら嫌ってもええはずやのになんで仲良くしてくれるん?」
「・・・簡単ですよ。」
忍は蓮に向かって微笑んでい
「確かに、蓮くんは女の子にだらしが無くて、いい加減で、一部界隈ではチャラ男と言われる部類の人かも知れません。」
「おー、結構なこと言うてくれるやん。」
「ですが。」
忍は蓮の方を見て微笑んでいう。
「とても・・・優しい人です。」
「優しい・・・ねぇ。」
蓮は小さく笑うと壁のすぐそばに立っている忍に近づいていく。
「分からんでぇ?
安心させといていきなり噛み付くかもしれん。」
蓮は忍の横の壁にドンと手を当てる。
「こんなふうにな。」
蓮はそう言うと忍の顔に自分の顔を近づける。
「・・・逃げへんの?」
そういった蓮に忍は微笑むと。
「蓮君は、好きでもない女の子にそういう事をする人じゃありませんから。」
そう言った。
その言葉に、蓮は驚いて顔を引き攣らせた。
「さて、ではそろそろ帰りましょうか。」
「お・・・おう。」
蓮は呆然しとしながら、目の前を歩く少女を見つめていた。
全て見透かしたような先ほどの笑顔。
それは何故か蓮の心に響いていた。
「なぁ、シノ。」
「はい、なんですか?」
「もしも、俺がシノのこと好きになったらどうする?」
「・・・そうですね。」
忍は再び先ほどの笑顔を浮かべて蓮の方に振り返る。
「それで私も蓮君を好きになれれば、とても素敵ですね。」
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蓮は1人自宅に向かって歩いていた。
「・・・・」
『それで私も蓮君を好きになれれば、とても素敵ですね。』
頭の中に、忍の先程の言葉がよぎる。
「怖いなぁ、女って。」
蓮は夕焼け空を見あげながら。
「よし、やったるか!」
そう叫んだ。
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月曜日。
いつもの待ち合わせ場所に蓮以外のメンバーが揃っていた。
「蓮の奴、おせぇな。」
そしてしばらく待っていると。
「みんなごめーん、お待たせー。」
「おせぇぞ蓮・・・ってどうしたお前!」
蓮は髪の色を金髪に染めていた。
陽子が驚きながら聞く。
「どうしたんだよ、その頭。」
「別にどうもせんよ、イメチェンやイメチェン。」
蓮はそう言うと忍に近づいていく。
「シノ、どうこの頭。」
忍は、すこし驚いた顔をした後ニッコリと笑って言う。
「とても良くおにあいですよ。」
蓮の宣戦布告は、どうやら成功したようだ。
数分後、職員室
「・・・・なにがあったか知んないけどさぁ、
普通に校則違反だから。」
「すんません。」
「からすちゃん泣いてたよ?」
「ほんますんません。」
葉山蓮
高校一年生。
関西出身で胡散臭い笑顔が特徴。
女友達が多い。