メリエルを放り込んだり何だりする短編集   作:やがみ0821

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タイトル通り。



カズマくんにマトモなパーティメンバーを! 一発ネタ

「どうしようもねぇよ……」

 

 カズマは深く深く溜息を吐いた。

 彼を悩ませているのは幾つもあるが、もっとも大きな問題は彼のパーティにあった。

 彼が連れてきた女神アクア、彼女はアークプリーストに就いているが、知力が控えめに言ってかなり残念であり、マトモに戦闘における立ち回りができない。

 正直、自分の特典を選ぶ際に苛立ちの余り、アクアを連れて行くなんていう選択をしなければよかったと後悔するしかない。

 

 パーティメンバー募集をしているが、アクアが上級職に限るなんていう条件を付け足したせいで、全く人がこないままに、夜になってしまった。

 当のアクアは気晴らしに散歩に行っている。

 

 そのとき、誰かが入ってきたのか、店員の元気な声。

 夜ということもあり、酒場は賑わいを見せている。

 

 カズマはふと、何となく視線を出入り口へと向けた。

 

 そして、見惚れた。

 漆黒のフルプレートアーマーを纏い、背中には巨大な剣を2本差している。

 見るからにベテランの戦士に、カズマは惚れ惚れするような気持ちになり、ついで、その戦士の後ろにいた少女に見惚れた。

 黄金のような髪に金色の瞳。

 黒いワンピース姿の彼女は堂々と店内へと入ってくる。

 ともすれば、戦士よりも態度は堂々としたものであり、絶対の自信に溢れているように見えた。

 

 彼女の年齢はだいたいカズマと同い年かそこらだろうか。

 

 

「……ああいう子が、実は女神なんだろうな」

 

 ウチの駄女神と交換してもらいたい。

 

 彼がそんなことを思っていると、その2人はギルドの受付窓口へ。

 どうやら冒険者登録をするらしい。 

 

 酒場にいる連中も、それに気づいたのか、興味津々といった風に、声を潜めている。

 

 カズマは気になり、話し声が聞こえる位置に席を変える。

 

「これは……素晴らしいです! 全ての能力が極めて高いレベルで纏まっていて、中でも魔力や知力はずば抜けています! どんな上級職にも就けますよ!」

 

 戦士に対する受付嬢の言葉に、どよめきが起こる。

 しかし、その堂々たる佇まいからはある種、そうであって当然という納得もできる。

 

 何の職業に就きますか、という問いに、ソードマスターで、と戦士は答えた。

 

 だろうな、とカズマもうんうんと頷く。

 

 そして、次はワンピースの少女だ。

 ある意味、戦士よりも注目度は高い。

 

「……えっと、これは……」

 

 受付嬢が困惑している。

 少女はにこにこと微笑んでいる。

 

「全ての能力がずば抜けて、極めて高いレベルで纏まっています! どんな上級職でも可能です!」

 

 どよめきは戦士の時よりも遥かに大きい。

 カズマ自身も耳を疑い、そして思った。

 

 綺麗で、能力も高いって、それなんて女神、と。

 

 そんなどよめきを無視し、少女はアークセイジを選んだ。

 いわゆる上級の賢者であり、各種魔法をバランス良く習得し、ある程度、前衛でも戦えるものだ。

 

 前衛後衛どっちも完璧、あの2人だけで完結できる――

 

 羨ましいなぁ、とカズマは深く溜息を吐いた。

 

 

 

「カズマ、どうー?」

 

 そんなとき、呑気な声が聞こえてきた。

 そちらに彼が視線を向ければ、まるで駄目な女神ことアクアが戻ってきていた。

 

「全然ダメ。上級職限定にするから……」

「だってー、私、アークプリーストよ? 上級職よ? あと女神よ?」

 

 当然じゃないの、と胸を張るアクアにカズマは何度目になるか分からない溜息を吐いた。

 どうしてこう残念なんだろう、と。

 

「失礼します」

 

 そのとき、横合いから男の声が聞こえてきた。

 カズマとアクアは揃って、そちらに顔を向ければ、そこには漆黒の鎧を纏った戦士と、ワンピースの少女が揃って立っていた。

 

「パーティメンバーを募集していると、そこの掲示板で見たのですが」

 

 え、マジで――

 

 カズマは信じられなかった。

 こんなにも、幸運に恵まれているなんて――

 

 しかし、しかしだ。

 そんな彼の幸運を無駄にしようとする輩がここに1人、存在した。

 

「上級職じゃないとダメよ。この女神アクア、アークプリーストたる私の従者足りえるにはそれ相応の強さがないとね!」

 

 こんの駄女神がぁ!

 

 カズマは激怒した。

 必ずや、この邪智暴虐の存在を打倒さねばならぬと。

 

「あ、いえ、ソードマスターとアークセイジなので、大丈夫かと」

 

 しかし、天は彼を見捨てなかった。

 戦士は自らのカードを見せ、ソードマスターであると示して見せたのだ。

 

「いえいえ! もう大歓迎です! はい! 俺はサトウカズマと申します!」

 

 あははは、と愛想笑いしながら、カズマはそう言った。

 

「モモンガと申します」

 

 よろしく、と告げるモモンガにカズマは確信した。

 運が巡ってきた、と。

 

「私はメリエルよ。で、一つ聞きたいんだけど、あなた方はどの程度、強いの?」

 

 痛い質問だった。

 しかし、誤魔化すこともできない。

 

 アクアが口を開こうとするのをカズマは肘打ち食らわせ黙らせて、素直に告げる。

 

「実は、ジャンアント・トードも倒せない程に雑魚です。駆け出しです。お願いします、パーティに入って下さい!」

 

 カズマは思いっきりに頭を下げ、お辞儀をした。

 それを見、アクアも慌てて頭を下げた。

 

「……どうします? メリエルさん」

「いやね、モモンガさんや。ジャンアント・トードってここに来る前に狩ってきたアレかしらね?」

「ですかね? 何の捻りもない見たまんまの巨大な蛙でしたが」

 

 聞こえてくる会話に、カズマは内心ガッツポーズ。

 

 当たりだ……この2人は当たりだ……!

 

 

「まあ、いいわよ? 困っている人を助ける、これもまた善行」

 

 カズマはメリエルに、女神を見た。

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