メリエルを放り込んだり何だりする短編集   作:やがみ0821

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あるいは英仏戦争、ローマも添えて編、もしくは危険人物を監視する為に美少女がやってきた編


モードレッドは絶対面倒見が良い(確信


ケイネス先生が苦労する話 その5 飲んでたら、闖入者がきたゾ編

「とりあえず生を大ジョッキで」

 

 メリエルはそう店員に4人分を頼んだ。

 ここは新都にある居酒屋。

 とはいえ、チェーン店ではなく、完全個室化され、お値段も相応に高い店だ。

 メリエルとネロがここを見つけたのは簡単で、冬木グルメマップという雑誌にオススメとして載っていた為だ。

 

「さて、そういえばちゃんとした名前を聞いてなかったわ。アーサーは男の名前よね?」

 

 メリエルの言葉に、セイバーは頷き、告げる。

 

「私はアルトリア・ペンドラゴンです」

「綺麗な名前じゃないの。モードレッドは勇ましい名前だし。やっぱり英雄ってのは良い名前なのね」

「そうだろ? いい名前だろ?」

 

 ドヤ顔のモードレッドに対し、アルトリアは礼を述べる。

 

「余は? 余はどうだ?」

「あー、うん、ネロもいい名前よ。覚えやすいし」

「そうであろう、そうであろう!」

 

 こちらもドヤ顔のネロ。

 そのとき、大ジョッキが運ばれてくる。

 枝豆と冷奴もついてきた。

 

「えー、では僭越ながらこの私、メリエルが音頭を取らせて頂きます」

「何かお前、手慣れてないか?」

「まあ、色々あるからね、うん」

 

 モードレッドのツッコミにメリエルは笑って誤魔化す。

 

「時空を超えた邂逅に、乾杯」

 

 ジョッキを軽くぶつけて鳴らし、一気にそれを呷る。

 英霊の実力、そして天使の実力を見よ、と言わんばかりにそれらは瞬く間に4人の体内に吸い込まれた。

 

「ああ、これだわ。効くわねぇ」

 

 メリエルは満足気な顔で何度も頷いた。

 そして、彼女は枝豆を貪り食う。

 

「……雑な料理はブリテンを思い出します」

 

 アルトリアは複雑そうな顔で、枝豆を一つ、つまんで口に含む。

 すると驚いた顔で、枝豆を見つめた。

 ただ塩茹でしただけなのに、それは普通に美味しかったからだ。

 

「……シンプルであるのに、意外と美味しいですね」

「父上、オレは正直、この時代の料理の為だけに召喚されて良かったって思った。ホテルのルームサービスを食べたんだが、本当に美味かったぞ」

「モードレッド、詳しく話しなさい。これは叛逆とかそういうのを抜きに、語らねばならない問題です」

 

 盛り上がるブリテンの2人に対し、ネロはメニューとにらめっこしているが、すぐに彼女は決めた。

 

「ここからここまで全部だ、全部!」

「はいはい、というわけで全部で」

 

 ネロの言葉を即座に承諾したメリエルは手近な店員を呼んで告げる。

 店員が仰天したが、メリエルは問題ないから、とそのまま注文した。

 

「あの、メリエル。料金などは大丈夫でしょうか?」

 

 そのあまりのどんぶりっぷりに、おずおずとアルトリアが声を掛けた。

 メリエルはにっこりと笑って、虚空に手を突っ込んで、そこから1本の金のインゴットを出してみせる。

 

「アルトリア、なぜ貴女の国は滅びたか、それはすなわち経済力がなかったからよ。とりあえずカネがあれば後継者問題で揉めても国は残るから」

「貧乏が、貧乏がいけないんですね……ああ、そういえばあのときもお金があれば……」

「おいコラメリエル。父上をイジメんな」

 

 アルトリアは落ち込み、モードレッドがいきり立つ。

 ネロはそんな様子を見て、鷹揚に頷く。

 

「仲が良いな。やはり親子はそうでないとな」

「待ってください、ネロ。私はモードレッドを子供とは認めていません。あなたも王であったなら分かるでしょう? 色々と!」

 

 色々と、という部分にモードレッドがその動きを止め、聞き耳を立てる。

 

「うん? 姉のモルガンとの不義の子供で、子供と認めたら王位継承権の問題とかそもそも不義であるから色々と王権にケチがつくということか?」

「ええ、そうです。確かに全く知らないところで生まれた子供、実感も湧きませんが、それでもそういった問題がなければ、やりようはありました」

「何だそんなこと、そなたは王なのだから、ねじ伏せれば良かっただろうに。適当にでっち上げて、円卓の騎士全員でモルガンを討伐すれば良かっただろう」

「いや、そんなことあなたにしかできませんから」

 

 アルトリアの冷静なツッコミに、ネロは小首を傾げる。

 そんな難しいことじゃないだろう、とネロの顔は言いたげだった。

 

「えーっと、とりあえず私が過去に行って、モルガンブチ殺すって結論でいいの?」

 

 それを聞いたメリエル、彼女が考えた答えにアルトリアは天を仰いだ。

 

「いや、あのですね、確かにモルガンは正直黒幕で、真の敵とかそういったものですけど、キャメロットができるまでは色々良くしてくれましたので……」

「あ、閃いた。モルガンを王にして、アルトリアは完全ノータッチでいけばいいんじゃない? 国が滅んでもそれはモルガン、あなたのせいでしょ?って感じでいけるわ」

「メリエル、確かにそれは問題を解決することはできるでしょうが、解決した後はより悪化する気配しか感じません」

 

 アルトリアは溜息を吐き、黙っているモードレッドへと視線をやると、嬉しそうな顔を必死に堪えている、おかしな顔をしていた。

 

「……モードレッド、どうかしましたか? 面白い顔になっていますよ」

「ち、父上、認めていないって、それってオレのことが嫌いというわけでなく、色々問題があったからってことだよな……?」

 

 ぷるぷると体を震わせながら問いかけてくるモードレッドに、アルトリアは首を傾げて告げる。

 

「当然です。そもそも、あなたはそう言い出す前から私を慕い、円卓の騎士として尽くしてくれたではありませんか。確かに、あなたは新参者で、色々と経験もありませんでしたが、それでも私にとっては大事な騎士であることに変わりはありません……ただ、あなたが言い出した後、私が徹底的に無視したのは私の失態でした」

 

 どこで誰が見ているか、聞いているか、どのように利用されるか想像もつかなかったので、とアルトリアはそう締めくくった。

 

「反乱起こしちゃったけど、せ、セーフか?」

「それはアウトです。とはいえ、正直、私があのまま王位に就いていてもどうなっていたことやら。どこかの誰かには王は人の心が分からないとか言われてしまいましたからね」

「やっぱりアウトか……いや、でも父上。正直、父上じゃなかったらあそこまで保たなかったと思うぞ」

「そう言ってくれるのは確かにありがたいですが、結果として国を滅ぼしてしまいましたし、そういった面から見れば私は暗君ということになるでしょう。国を存続させてこその王です」

 

 つい先程とは打って変わって、まるで物分りが良いアルトリアに、ネロはじーっと彼女の顔を見つめて、口を開く。

 

「何だ騎士王。急に饒舌になったな。良いことではあるが、余が見たところ、そなたはそんなに物分りがいいとは思えないのだが」

「ネロ、あなたは喧嘩売ってますよね? 買いましょうか? 聖剣の錆にしてあげますよ?」

「純粋な疑問だ」

 

 ネロの言葉に、アルトリアは軽く溜息を吐く。

 

「簡単に言えば、肩肘張るのに疲れたというか、張っても意味がないというか……主にあなたとメリエルのせいで」

「当然だな。余も奏者も、その発想は常人なんぞ軽く超越した次元にある。さすがは余、さすがは奏者」

 

 ドヤ顔のネロにアルトリアは小さな声で、褒めてません、非常識なだけでしょう、と告げる。

 

「あ、そうそう、アルトリアの願い叶える交換条件だけど、私のサーヴァントとして受肉して傍にいて頂戴ね。毎日美味しいものを食べさせたり、あちこち旅行したり、72時間ぶっ続けで模擬戦したりするから」

「メリエル、色々言いたいことはありますが、何ですか最後の72時間の模擬戦って」

 

 ジト目のアルトリアに、メリエルはにっこりと笑顔で答える。

 

「いやー、やっぱりアーサー王の剣技を教えてもらいたいというか、ガチでやり合いたいというか……モードレッドもネロも、剣技ということに関してはさすがに及ばないだろうし。まあ、要するに強くなりたいのよ、私」

「あんな殺気飛ばせるのに? お前、相当強いだろ?」

 

 モードレッドのもっともな問いに、同意とばかりに頷くアルトリア。

 

「メリエル、向上心は大事ですが、強すぎる力も考えものです。力に溺れたが故に、破滅した者は数知れません」

「忠告痛み入るわ。ただ、それでも、強くなりたい。てっぺん取りたいのよ」

 

 メリエルは凛とした表情で、力強くそう言った。

 

「奏者よ、なぜ、そなたはそこまで執着する?」

 

 ネロは枝豆をつまみながら、問いかける。

 

「何かしら特別な理由はない。だけど、しいて言うなら、私にとってそれがとても楽しいからよ」

「ふむ……奏者にとって、強くなるとは娯楽であるのだな。その美貌でありながら、根っからの戦士……これがギャップ萌えというやつだな」

 

 納得するネロを見ながら、メリエルは真っ直ぐにアルトリアを見据えた。

 

「あなたも騎士であるならば、思うでしょう。何も考えず、ただ純粋に自らの力を試したい、自らを鍛えたい、と」

 

 その視線を受け、アルトリアは微笑む。

 

「やはり、あなたは好ましい人物だ。私の勘に過ぎませんが、あなたはきっと力に溺れたりはしないでしょう」

「ええ、周りを振り回したり、まあ一種のネタ――ああ、演劇の役者みたいにノリノリで色々やったりはするけども」

 

 そこで言葉を切り、メリエルは問う。

 

「ところで力に溺れるってどんな感じ?」

「周囲に傲慢になって、力で支配したりと、まあそういう感じですね」

「……暴君が近くにいるから、そうはなりそうにないわね」

 

 メリエルの言葉にアルトリアはそういえばそうですね、と納得する。

 モードレッドもまた頷いて肯定する。

 

「待て奏者よ。それはどういうことだ?」

 

 ぷんすか、とネロは怒りながらジト目をメリエルへ向ける。

 

「だって、ネロを力で支配するなんて……そんなことできないわ」

 

 メリエルはそう言ってネロに抱きついて、その顔に頬ずりする。

 

「当然だ。奏者が力に溺れるなんぞ、この余がさせぬ」

 

 ドヤ顔のネロにアルトリアとモードレッドは顔を見合わせた。

 

「父上、ローマって凄いんだな」

「そのようですね……伊達にローマの皇帝やってませんね」

「うむ、そなたらもローマの偉大さが分かってきたようだな」

 

 鼻高々のネロにアルトリアとモードレッドは何となく、その扱い方が見えてきた。

 

「ローマは凄いので、蛮族なんとかしてください」

「うむ、余が何とかしてやろう。今、余は機嫌が良い」

「ローマ万歳、オレをブリテンの王にしてくれ」

「うむ、余が認めてやろう」

 

 アルトリアとモードレッドは再度、顔を見合わせた。

 

「モードレッド、ローマに国造りを習えば良かったと私は心底思います」

「オレも、そう思うぞ、父上。あんなのが皇帝で、よくローマ滅びなかったな」

「ちなみにだけど、ローマが優れていたのは皇帝とかじゃなくて、皇帝とか元老院の手足となる、その官僚機構や社会そのものにあったの。要するに共和制が強かった」

 

 ネロを抱きしめながら、告げるメリエルにアルトリアとモードレッドは天を仰いだ。

 

「文官……何故でしょうか、そういったことをできる者の名前が数える程にしか頭に浮かびません」

「オレももっと勉強しておけば……」

 

 騎士王の下には数多の騎士が他国から集ったが、あくまで騎士であり、専門の文官がやってきたというようなことは皆無であった。

 

「正直言うと、ただ武力が強いだけよりも、どれだけ戦場で兵力を維持できるか、そっちのが大事よ。ローマは兵站で勝つとまで言われた程、兵站重視だったし」

 

 抱きついたまま、メリエルは更に告げた。

 

「メリエル、どうですか? 円卓の騎士になりませんか? 無理矢理、席は作りますので」

 

 アルトリアは真顔だった。

 モードレッドも賛成なのか、うんうんと頷いている。

 

「え、本当? なるなる!」

「待て、奏者よ。ローマを褒めるのはいいが、余というものがありながら、騎士王の騎士になるとは何事か」

 

 そう言って、ネロもまたメリエルに抱きつく。

 渡さんぞ、とアピールするネロにアルトリアは苦笑する。

 

「いやでもなんか、貰える名誉は貰っときたいし?」

「ならば余がローマの名誉市民と認定しよう」

「円卓の騎士とローマの名誉市民だと名前負けしてない? ローマ大丈夫?」

「むむむ……」

 

 真剣に悩むネロに、メリエルらは思わず笑ってしまう。

 

「それはそうとして、メリエル。お前、何者なんだ? ただの魔術師とかそういうのじゃねぇだろ」

「それは私も気になりました。少なくとも、人間ではないかと」

「余の下に舞い降りた女神だろう」

 

 ネロの言葉を華麗に聞こえなかったふりをして、アルトリアとモードレッドは真摯な表情でメリエルを見る。

 

「端的に言えば、異世界の異形種といったところかしら。化け物! 化け物! 化け物! なんと素敵な響きか!」

 

 立ち上がって両手を広げて満面の笑みを浮かべて、そう言うメリエルに、あぁ、とアルトリアとモードレッドは納得のいったような声を出す。

 

「何でそんなのがこんなところにいるんですか……」

「きっと尻尾とか角とかそのうち生えてくるぞ父上」

「モードレッド、絶対に真の姿とかそういう変身残してますよ、メリエルは」

「2回くらい変身しそうだよな」

「残念だったな、私は3回変身を残しているんだ。光と闇と混沌で」

 

 モードレッドからキラキラとした眼差しを向けられるメリエルは鼻高々。

 とはいえ、その変身は精々が属性が変わる程度で能力値が底上げされたりとかはなかったりする。

 

 そして、そのとき、料理が続々と運び込まれてくる。

 鶏の唐揚げから焼き鳥といったつまみ的なものだ。

 

「とりあえず、食べましょう」

 

 メリエルの一言で、残る3人も異議なく、料理に手を付けようとしたところで、闖入者が現れた。

 

「見つけましたよ!」

 

 やってきた闖入者に、ネロはガタッと立ち上がり、目を輝かせガッツポーズ。

 金色の髪を全体的に短く刈り揃え、一部だけ切らずに長く伸ばした部分は三つ編みにしている美少女だった。

 

「私はルーラーのサーヴァントです。あなたちょっとやり過ぎです!」

 

 ぷんすかと怒りながら、ルーラーはビシっとメリエルを指差した。

 

「あなたが世界に対して歪みを起こす可能性が非常に高い為、監視役として私は召喚されました」

「ルーラーって知ってる?」

 

 メリエルはルーラーを見ながら、ネロ達に問いかけた。

 

「余はまったく知らぬ」

「私も知りません」

「オレが知ってるわけねーだろ」

 

 3人の否定の言葉に、ルーラーはがっくりと項垂れて、がーっと説明を始めた。

 

 要するに、聖杯戦争をよそ(世界)に迷惑かけることなく、安全にやるための審判というものらしい、とメリエル達は理解した。

 

 

「……あ、それじゃあ私、世界滅ぼすわー超滅ぼすわー1分で滅ぼすわー」

「やめてください!」

 

 涙目になりながら、懇願するルーラーに、メリエルはすんごく良い笑みを浮かべる。

 アルトリアとモードレッドは笑みの意味を理解した。 

 ルーラーのこれから見舞われる災難を思い、彼女達はその冥福を祈った。

 対するネロはこちらもまた何かよろしくないことを考えたのか、満面の笑みを浮かべている。

 

「滅ぼさないし、あなたの仕事の邪魔もしないから、とりあえず私の傍にいなさい。OK?」

「……あなたが一番の危険人物なので、もとからそのつもりでした」

「ネロー、ハーレムに1名追加」

「よくやったぞ奏者。褒美として百万年無税だ!」

 

 わーい、と抱き合う2人にルーラーは深く溜息を吐いた。

 

「あー、ルーラー? とりあえず、座れ。メシも食うか?」

「……ご一緒させて頂きます」

 

 モードレッドのすすめに、ルーラーは大人しく従った。

 

 

 ルーラーの分もアルコールと食事を追加注文したところで、早速メリエルが切り出した。

 

「で、ルーラーってどこの出身なの? ていうか、なんて名前? 隠しても無駄なことくらいわかるでしょ? さっさと吐きなさいよ」

「フランス出身です。ジャンヌ・ダルクです」

 

 メリエルはうんうんと頷いて、アルトリアとモードレッドを見た。

 

「だ、そうよ。百年戦争の恨み! やっちゃう? やっちゃう?」

「いや何でそうなるんですか。っていうか、時代が全然違うじゃないですか」

 

 ツッコミを入れるジャンヌ。

 しかし、それで終わるメリエルではない。

 

「ブリテンの王として、やっぱり大陸側の領土も保持しないと、ダメじゃない?」

「俺はやるぜ。ブリテンの為なら仕方ないな!」

「ブリテンの為なら仕方ありませんね。ここで果てろジャンヌ・ダルク」

 

 メリエルの悪ノリにノるブリテン勢に、ジャンヌは縋るようにネロを見た。

 

「待て、ブリテンもフランスもそもそもはローマのもの。ここは余がローマ皇帝として、どちらも打ち倒さねばなるまい」

 

 ダメだった。

 

「なんでこんな問題児ばかり集まっているんですか……ああもう助けて天使様」

 

 嘆くジャンヌに、メリエルは彼女の肩をちょんちょんとつつく。

 ジャンヌがメリエルへと顔を向けると、メリエルは自分で自分を指差した。

 

「どうも、天使です」

「……あなたの救いって何するんですか?」

「死はこれ以上苦痛を与えられないという意味で、最高の救いじゃないかしら?」

「結構です」

 

 そう言って、ジャンヌは唐揚げを摘んで、口へと運ぶ。

 あつあつの唐揚げ、口の中で染み出す肉汁に、その顔はとても満たされたものになる。

 

「ああ、なんと美味しいのでしょう。これで同席している者達がもっとマトモであったならば……」

「喧嘩売ってるだろてめぇ」

「モードレッド、そういう言い方はよろしくありません。こう言うのですよ……一度剣を抜いたならば、息が絶えるまで、勝利を完全に手中に収めるまで、剣を捨ててはならない」

 

 にっこり笑顔でそう告げるアルトリア。

 彼女は図書館でブリテンについて調べる過程で、色々な知識を得ていたりする。

 その一つがいわゆる、名言であった。

 

 そして、彼女の言葉は要するに徹底的に相手が倒れるまで戦えとそういうことだ。

 

「お、おう……」

 

 さすがのモードレッドもちょっと気圧されてしまった。

 

 父上こえー、やっぱりこえー

 

 そう思いながら。

 

「私達は蛮族に屈しなかった。なら、フランスにもローマにも決して屈することはないのです。後のブリテンの宰相も言っています。かくも少数の人々に、かくも多数の人々が救われたことは歴史上かつてない、と」

 

 うむ、と鷹揚に頷くアルトリア。

 

「何を言いますか、ブリテン人。栄光あるフランスに勝てると思ってるんですか! フランス万歳!」

「ちょっと待った。ローマを忘れてもらっては困るぞ! ローマこそ最高だ! ローマ万歳!」

 

 対抗心を出すジャンヌとネロ。

 各国の英雄なのだから、当然といえば当然だった。

 

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