バトルスピリッツ・ギガリーグ   作:ブラスト

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・以下注意
誤字、プレイミスありかも。
バトル表記が人によっては分かりづらいかも。

それでも大丈夫という方はどうか温かい目で見てもらえると幸いです。発見したミスやバトル表記などのご指摘気軽にお待ちしております。


No19.絶晶神

 

開幕したバトスピ大会、その優勝者も無事決まり、会場も次第に静粛に戻り、閉幕する筈だったが、ハルヤとエンザの決勝戦を終えた今でも、会場中は静粛に戻る事は無く、寧ろ先程の決勝戦以上に会場はかつてないほどの熱気に包まれていた。それもその筈、何故なら現チャンピオンである若槻和人が、優勝者である火龍エンザにバトルを申し込み、そのバトルが間もなく行われようとしているのだから当然だった。

 

「エンザさんと、チャンピオンのバトル……どうなるんだろ」

 

エンザとの終え、ハルヤはザックやスズ達の元に一度戻り、これから始まるバトルの展開をできる限り予想しながら呟いた。

 

「決まってるだろ、最高のバトルが見られるに決まってるぜ!」

 

そんなハルヤの言葉に真っ先に回答を返したのはエンザと同じチームメンバーである吉馬。その隣には当然のように相槌を打ちながら観客席に座る沖田や雷矢、バンなどの他のチームの面々も見られた。

 

「……ったくぞろぞろと。何時の間にか人の横で群れやがって」

「あぁ? テメェの横に来た覚え何ざねぇよ!!」

 

相変わらず毒付く吉馬、その言葉に突っかかって見せるバンだが、それを沖田が仲裁に入り、騒がしくなってきた状況にハルヤ達は思わず苦笑いするだけだった。

 

「ハルヤ、惜しかったね。もしハルヤが優勝してたら、チャンピオンとバトルできてたかもしれないのに」

 

そんな状況下の中、ハルヤに声を掛けるスズ。その言葉に、動返答するか少し迷ったようにしながらも。

 

「まっ、羨ましくはあるけど、でも悔しくはないかな」

「?」

「エンザさんに負けたのは単純に僕の力不足。今の僕じゃまだまだチャンピオンとバトルするには早い。だからこそ、このバトルを見れて、もっともっと強くなる糧にしたい!」

「へぇー、案外前向きですね。まっ、リーダーなんだから後ろ向き過ぎても困りますけど」

 

スズの言葉に、ザック達も頷いて見せながら、チームメンバー達の様子にハルヤはただ苦笑いするしかなかった。

 

 

 

 

「はぁー、和人ってばまた勝手な事してる」

 

一方でステージ裏では会場様子を眺める咲の姿があり、和人のアドリブに呆れたように頭を抱えていた。

 

『ハハ、まぁ和人らしいって言えばそれまでなんだけどね』

「!」

 

そこへ聞き覚えのある懐かしい声、振り替るとそこには青髪にボーイッシュな服装が印象的な女性、前に和人達と知り合いだった川村愛実の姿があった。

 

「愛実さん!! どうしてここに!?」

「ちょっとね。BCOの放送見て、和人がバトルするっていうから丁度近くだったし、見に来たんだよ、まぁ久々に見てもアイツはやっぱり相変わらずだったね」

「アハハ、何だか恥ずかしいです」

「まぁいいんじゃない、アイツはアイツで変わってなくて何か安心したよ。それは咲もだけどね」

「私も、ですか!?」

「まっ、それはそれとして、折角来たんだしアイツの、チャンピオンとしてのバトル、見せてもらおうかな」

「そうですね。何だかんだ言っても和人のバトル、結局目が離せなくなっちゃうんですよね」

「それは本人もでしょ?」

「か、揶揄わないでください!!」

 

冗談交じりに会話を交わしながら、「ごめんごめん」と謝りながら、二人はこれから始まる和人のバトルに注目し、一方で肝心の和人はステージ前まで足を進めており、目の前には対戦相手であるエンザも既に準備万端と言った様子でステージ前で構えていた。

 

 

 

 

「エンザ君だっけ、無理にバトル申し込んでごめん。けど、どうしてもその実力を見込んで、バトルしてほしかったんだ」

「エンザでいいです。俺もチャンピオンとはバトルしたかった! むしろ光栄です、だって何しろ、アンタは俺の憧れの人だ!」

「へぇ、そう言ってもらえるのは俺も光栄だ。けど、バトルは全力で頼むぜ!」

「勿論です! 最初から最後まで勝つつもりですから!」

 

「その意気だ!」と、エンザに言葉を贈りながらこれから始まるバトルを心待ちにする和人、その気持ちは会場中の誰もが同じ気持ちだった。

 

『さぁ突然の事態ではありますが、チャンピオンのバトルが見られると聞いてこの紅葉、今から実況出来る事にとても楽しみです!』

『えぇ、予定外の事と言えど当人同士が了承し、お恥ずかしながら私も解説者としてではなく、カードバトラーとして、チャンピオンのバトルはぜひ見て見たい気持ちがあり、止めたくても止められないのが本音です!』

『いえいえお姉ちゃん、ではなく神子さん! チャンピオンのバトルが見たいのは会場中の誰もが同じ! だったら止める理由も必要も皆無です!』

 

紅葉の言葉に対し、一本取られた様子で、少しだけ笑いながら「そうですね」と返答し、紅葉はそのままバトルの進行を進めて行く。

 

『それでは皆様のお待ちかね!! 待ちに待った今大会優勝者であるエンザ選手と、現チャンピオンである若槻和人選手のスペシャルエキシビジョンマッチ! 開催いたします!!!』

 

紅葉の言葉に一斉に歓喜の声が響き渡る。

 

『それでは両選手! コールを!!』

「「ゲートオープン! 解放ッ!!!」」

 

待ち望んだチャンピオンのバトル、いよいよ開始の幕が上がる。

 

 

 

 

[01ターン.和人side]

[スタートステップ]

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

 

「メインステップ、ネクサスNo.6マウンテンシェイプを配置!」

 

[リザーブ]4個→0個。

[トラッシュ]0個→4個。

[手札]5枚→4枚。

 

【No.6マウンテンシェイプ】4(3)赤。

Lv.1(0)、Lv.2(2)

Lv.1、Lv.2

自分のバーストをセットしている間、このネクサスに赤のシンボル1つを追加する。

Lv.2:フラッシュ『相手のアタックステップ』

このネクサスのS(ソウルコア)を自分のスピリットに置く事で、そのスピリットのBP以下の相手のスピリット1体を破壊する。

 

「これでターンエンドだ」

 

『チャンピオン和人選手、まずはネクサスを配置しただけでターンエンド。会場中が、チャンピオンがどう動くのかまるで目が離せません!』

『それはチャンピオンを相手にするエンザさんにも同じ事が言えますけどね。チャンピオンのバトルに何処までついて行けるか、いえ、超える事が出来るか見物ですね』

 

 

 

 

[02ターン.エンザside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]4個→5個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

 

「メインステップ、鬼武者ライザン、召喚だ!」

 

[リザーブ]5個→0個。

[トラッシュ]0個→4個。

[手札]5枚→4枚。

 

【鬼武者ライザン】4(2)赤、スピリット、家臣/武龍。

Lv.1(1)BP4000、Lv,2(2)BP5000、Lv.3(5)BP7000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3【真激突】『このスピリットのアタック時』

相手は可能ならばスピリット/アルティメットでブロックする。

Lv.1、Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック時』

自分はデッキから1枚ドローする。

Lv.2、Lv.3『自分のアタックステップ』

系統:『武龍』を持つ自分のスピリットが相手のアルティメットにブロックされた時、そのスピリットをBP+10000する。

 

「和人さん、先手もらうぜ!」

 

憧れた人とのバトル、この舞台で実現できた事に今でも笑顔が零れる。だがそれでも彼がこのバトルでも求める物は変わらない。どれだけ憧れた人のバトルでも、否、憧れた人とのバトルだからこそ、臨む物は勝利だけ。

 

「あぁ、バトルに遠慮は無用だ。いつでも来な!」

「お言葉通り! アタックステップ!! 鬼武者ライザンでアタックだ!」

「ライフで受ける!」

 

剣を突き出す刺突の構え。そのまま真っ直ぐ突っ込み、バリアに剣を突き立て、衝撃と共にライフを砕く。

 

「ッ!」

 

[和人side]

[Life]5→4。

[リザーブ]0個→1個

 

『エンザ選手!! チャンピオン相手に先制攻撃! 先に仕掛けたのはエンザ選手だ!』

『さすがはエンザ選手ですね。これまでに何度もバトルを重ねていますが、未だにその勢いは衰えてはいませんね』

『お姉ちゃん、ではなく解説の神子さん、このバトルに当たって、私一つ質問があるのですが、もしこのバトルでエンザさんが勝利した場合って……?』

「「「!!!」」」

 

神子に対して紅葉がそこまで言った瞬間、会場中に思わず動揺が走る。

 

『このバトルは正規のチャンピオン戦ではありません。なので仮にエンザさんが勝ってもエンザさんがそのままチャンピオンになるという訳では────』

「いやそんな訳ないぜ」

『『!』』

 

神子の言葉に対し、真っ先に否定の言葉は入れたのはチャンピオン自身だった。

 

「例えこれが公式戦じゃなくても、俺が挑んで仕掛けたバトル。ならその俺が負けた時は正真正銘俺より対戦相手であるエンザの方が強いと言う何よりの証明だ。例え他の誰かがこのバトルの結果を認めなくても俺自身が、チャンピオンであることを認める!」

「さすが、それでこそ……! 俺の憧れたチャンピオンだ!!」

 

 

和人の言葉にさらに会場全体が動揺し、ステージの裏で川村や咲は頭を抱えながら若干呆れた様子だった。

 

「はぁー、立場も気にせず勝手な事言ってる。昔から何も変わってないね」

「はは、まぁ和人らしいでしょ」

「そうだね。何にも変わってないね、本当。和人も……それに咲も」

「私?」

「咲が和人のあぁ言う所に魅かれてるのは私でも分かるよ?」

「!」

 

川村の言葉に咲は顔を赤くし、川村はその様子に少しだけ笑いながら、「私も同じだからね」と小さな声で呟いた。

 

「えっ? 今なんて?」

「な、何でもないよ。ほらまだバトルは続くよ?」

「は、はい!」

 

 

 

 

[03ターン.和人side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザ―ブ]1個→2個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]4個→0個。[リザーブ]2個→6個。

 

「メインステップ! バーストセット! さらにバーストセット中にネクサスの効果発揮、赤のシンボル一つを追加し、モダニックドラゴンを召喚!」

 

[リザーブ]6個→4個。

[トラッシュ]0個→1個。

[手札]5枚→3枚。

 

【モダニックドラゴン】3(2)赤、スピリット、古竜。

Lv.1(1)BP2000、Lv.2(3)BP4000。

Lv.1、Lv.2『自分のメインステップ』

自分が系統:「古竜」を持つスピリットカードを召喚するとき、このスピリットに赤のシンボル2つを追加する。

 

「モダニックドラゴンの効果発揮! メインステップ中に古竜を召喚する時、シンボルを追加! さぁどんどん行くぜ! 泰平龍ピースメーカーを召喚!」

 

 

[リザーブ]4個→1個。

[トラッシュ]1個→3個。

[手札]3枚→2枚。

 

【泰平龍ピースメーカー】6(4)赤、スピリット、古竜。

Lv.1(1)BP7000、Lv.2(2)BP10000

Lv.1、Lv.2『このスピリットのアタック時』

このスピリットのアタックによって相手のライフを減らす時、相手のライフを減らすかわりに、自分の手札にある系統:「古竜」を持つスピリットカード1枚を、コストを支払わずに召喚できる。

Lv.2『自分のアタックステップ』

このスピリットか自分の[大戦龍ウォーモンガー]が相手のスピリットを破壊した時、系統:「古竜」を持つ自分のスピリット1体を回復させる。

 

[フィールド]モダニックドラゴンLv.1(1)BP2000、泰平龍ピースメーカーLv.1(1)BP7000、No.6マウンテンシェイプLv.1(0)。

 

「さぁ行くぜ! アタックステップ! ピースメーカーでアタック!!」

「ぐっ! ライフで受け────」

「だったらこの瞬間! ピースメーカーの効果発揮!」

 

ブロッカーがいない以上、エンザにはそれ以外の選択肢がない。しかしライフで受ける事を宣言した瞬間、ピースメーカーは展開されたバリアに突進する寸前、寸での所で踏み留舞って見せたかと思うと、天を仰ぎ大きく咆哮を挙げる。

 

「相手のライフを減らす代わりに手札の古竜をノーコストで召喚できる!」

「何!?」

「久々に出番だぜ、相棒……! モダニックドラゴンを【転召】!」

 

手札に一枚に視線を向け、相棒と言葉を掛ける。和人がそう呼ぶカードはただ一枚しかない。

 

「炎纏いし龍の皇! 剣皇龍エクスキャリバスを召喚だッ!!」

 

[手札]2枚→1枚。

[トラッシュ]3個→4個。

 

地面から噴き上げる火柱がモダニックドラゴンを包み込むと、炎の中により大きな龍の影が映ると、次の瞬間、炎を振り払い、火の粉にその身を輝かせながら現れる白銀の龍────エクスキャリバスが姿を見せる。

 

『出たぁーーッ!! 何年経とうとこれまでチャンピオンを支え、またチャンピオンに支えられてきた唯一無二のキースピリット、エクスキャリバス!!』

 

「召喚時効果発揮! BP6000まで相手のスピリットを破壊! よって鬼武者ライザンを破壊!」

 

ライザンに火炎放射を吐き付けると、耐え切る事は叶わずその場で爆発四散を起こして破壊される。

 

「!」

「まだまだぁッ! エクスキャリバスでさらにアタック!」

「ライフで受ける!!」

 

全身に炎を纏っての特攻。展開されたバリアに勢いよく激突すると、そのまま粉々に粉砕する。

 

「ぐあっ!」

 

[エンザside]

[ライフ]5→4。

[リザーブ]1個→2個。

 

「ターンエンド」

『チャンピオン! 自慢のキースピリットを呼び出し、ライフを削り返しました!!』

『さすがはチャンピオンですね。しかし、まだバトルは序盤。まだまだ勝負の行方は判断しかねます』

『えぇ、エンザ選手ここからどう巻き返すのか!!』

 

 

 

 

[04ターン.エンザside]

[スタートステップ]

[ドローステップ][手札]5枚→6枚。

[コアステップ][リザーブ]2個→3個。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]4個→0個。[リザーブ]3個→7個。

 

「メインステップ、イクサトカゲ2体を召喚! 内一体はソウルコアを置いて、Lv.3で召喚し、さらにネクサス英雄皇の神剣を配置!」

 

[リザーブ]7個→0個。

[トラッシュ]0個→1個。

[手札]6枚→3枚。

 

【英雄皇の神剣】3(2)赤、ネクサス。

Lv.1(0)、Lv.2(3)

Lv.1、Lv.2

自分のバーストをセットしたとき、自分はデッキから1枚ドローする。この効果はターンに1回しか使えない。

Lv.2『自分のアタックステップ』

合体していない系統:「覇王」を持つ自分のスピリットすべてをBP+3000する。自分のバーストをセットしている間、さらに、合体していない系統:「覇王」を持つ自分のスピリット全てをBP+5000する。

 

「バーストセット、英雄皇の神剣の効果で1枚ドロー。これでターンエンドだ」

 

[手札]2枚→3枚。

[フィールド]イクサトカゲ(A)Lv.3((S1)4)BP10000、イクサトカゲ(B)Lv.1(1)BP1000、英雄皇の神剣Lv.1(0)。

 

『ここでエンザ選手再びスピリットを展開して守りを固める! イクサトカゲはLv.3効果により、ソウルコアの力を受けてBP10000!』

『バーストも伏せてますからね。ですが、チャンピオンが果たしてこれで攻めあぐねるとは限りませんが』

『!』

 

 

 

 

[05ターン.和人side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]0個→1個。

[ドローステップ][手札]1枚→2枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]4個→0個。[リザーブ]1個→5個。[フィールド]剣皇龍エクスキャリバス、泰平龍ピースメーカー回復。

 

「メインステップ! 大戦龍ウォーモンガーを召喚!」

「!」

 

[リザーブ]5個→0個。

[トラッシュ]0個→5個。

[手札]2枚→1枚。

 

【大戦龍ウォーモンガー】7(3)赤、スピリット、古竜。

Lv.1(1)BP8000、Lv.2(3)BP12000、Lv.3(5)BP15000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3『このスピリットの召喚時』

BP合計10000まで相手のスピリットを好きなだけ破壊し、破壊したスピリット1体につき、自分はデッキから1枚ドローする。

【合体時】Lv.2、Lv.3『自分のアタックステップ』

系統:「古竜」を持つ自分のスピリットがBPを比べ相手のスピリットだけを破壊した時、相手のライフのコア2個を相手のリザーブに置く。

 

[フィールド]大戦龍ウォーモンガーLv.1(1)BP8000、泰平龍ピースメーカーLv.1(1)BP7000、剣皇龍エクスキャリバスLv.1((S1))BP5000、No.6マウンテンシェイプLv.1(0)。

 

「ウォーモンガーの召喚時効果発揮! BP10000まで相手のスピリットを好きなだけ破壊する! Lv.3のイクサトカゲを破壊だ!」

「ぐっ!!」 

 

フィールドに現れるや否や身に備えた砲門をイクサトカゲに向けると、幾つもの砲門の内の一つをイクサトカゲに向けて撃ち出し、直撃を受けて破壊される。

 

「破壊したスピリットの数だけドロー、よって1枚ドローだ!」

「構わねぇ、こっちも相手による自分のスピリット破壊でバーストだ!! 双光気弾!! 効果により2枚ドロー!」

 

[和人side]

[手札]1枚→2枚。

 

[エンザside]

[手札]3枚→5枚。

 

『エンザ選手、バーストでドローするも、チャンピオンの場には三体もの龍!! 戦力差は圧倒的です!』

 

エクスキャリバス、ウォーモンガー、ピースメーカーはそれぞれ大きく咆哮を挙げながら、今にも襲い掛からんばかりにエンザを睨み付け、三体の龍達による殺気には並みのカードバトラーは恐らく戦意喪失してしまう程だろう。だが、その龍達を前にしても、相対するエンザの表情に不安や恐怖と言った感情は一切抱いてない事を示すように、寧ろその表情は笑っていた。

 

「(やっぱすげぇぜ、次から次へとこっちの手を軽く凌駕してくれる。だが、それでも、だからこその俺の憧れた人だ! 憧れたチャンピオンだからこそ、このバトルで認められてぇ……嫌、勝ちてぇ!!)」

 

自分の感情を表情に曝け出すように、よりその眼差しを輝かせながら笑うエンザに和人もまたエンザの心情を理解したのか同じように笑いながら、「アタックステップ!」とそのまま続けて行く。

 

「さぁ行くぜ! ピースメーカーでアタックだ!!」

「フラッシュ! リミテッドバリア!」

「!」

 

[リザーブ]5個→1個。

[トラッシュ]0個→4個。

[手札]3枚→2枚。

 

【リミテッドバリア】4(1)白、マジック。

『フラッシュ』このターンの間、コスト4以上のスピリット/アルティメットのアタックでは、自分のライフは減らない。コストの支払いにS(ソウルコア)を使用していたら、さらに、相手のネクサス1つを手札に戻す。

 

「ソウルコアを使わずに使用だ! 効果によりこのターンコスト4以上のアタックでは俺のライフは減らない!」

「(ソウルコアを使わずに……?)」

 

ピースメーカーはエンザに突っ込むが、展開されるバリアにより強固なバリアが重なる様に展開されると、ピースメーカーはそのままバリアへと突進するが、その攻撃に対してもバリアには傷一つさえ付いてはいない。

 

『エンザ選手! ここで出し惜しみなくフラッシュによる防御!! リミテッドバリアの効果により、コスト4以上のアタックではライフが減らなくなってしまいました!』

『チャンピオンの場のスピリットは全てコスト4以上、ピースメーカーによるアタック時の効果もあくまでライフを減らす代わりに発揮される効果。ライフを減らす事自体が出来なければ発揮されません』

 

「……まっ、これ以上は手は出せないな。なら、これでターンエンド」

 

 

 

 

[06ターン.エンザside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]2個→3個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]5個→0個。[リザーブ]3個→8個。

 

「チャンピオン、そろそろ俺も反撃開始させてもらう! 俺のキースピリット! 存分見てもらうぜ!!」

「来るか!」

 

意気込むエンザの様子に和人も構えて見せ、そのまま手札に手を掛け、そのキースピリットの名を叫ぶ。

 

「戦は華! ド派手な華を今ここに飾れッ! 戦皇ゴッドスレイヤードラゴン、Lv.2で召喚ッ! 不足コストはイクサトカゲから確保だ!」

 

イクサトカゲが場から消滅すると同時に、地面より噴き上がる三つの火柱、内中央の火柱は一際巨大で、その炎の中には龍の影が映り、次の瞬間、炎に潜みし龍────ゴッドスレイヤードラゴンが勢いよく飛び出すと、左右の火柱に手を伸ばして、大盾と剣をそれぞれ引き抜くと、そのまま勢いよく地面へ降り立ち、盾を構え、剣を掲げながら唸りを上げる。

 

『エンザ選手!! チャンピオンに負けじと自らもキースピリットを呼び出しましたぁッ!! フィールドに既に4体もの龍、まさに圧巻の一言です!』

 

広々としている筈のフィールドを圧迫させるかのような巨大な龍達の姿。フィールドに出揃う龍達の姿に、実況の紅葉達や観客達も刺激されるように声を大に歓声を上げる。

 

[リザーブ]7個→0個。

[トラッシュ]0個→5個。

[手札]5枚→4枚。

 

[フィールド]イクサトカゲLv.1(1)BP1000→イクサトカゲLv.0(0)消滅、戦皇ゴッドスレイヤードラゴンLv.2((S1)2)BP10000、英雄皇の神剣Lv.1(0)。

 

「ゴッドスレイヤードラゴン、君のキースピリットに相応しいカッコイイ龍だな」

「あぁチャンピオンにドラゴン達にも負けず劣らずですよ! さぁ派手に行くぜ!! アタックステップだ!!」

「来いッ!」

「ゴッドスレイヤードラゴンでアタック! アタック時効果発揮! 相手ネクサスを破壊して、回復だ!」

 

和人の背後にあるマウンテンシェイプに向けて、火炎放射を吐き付け、炎の直撃を受けてマウンテンシェイプは瞬く間に炎上し、場から消滅。さらにその破壊を受けて、ゴッドスレイヤードラゴンは赤いオーラを纏い回復する。

 

「なるほど、回復効果の為に、双光気弾やリミテッドバリアで俺のネクサスを除去しなかった訳か!」

「あぁ、さらにゴッドスレイヤードラゴンの効果だ! 泰平龍ピースメーカーに指定アタック!」

「ピースメーカーでブロックだ!」

 

[Battle]戦皇ゴッドスレイヤードラゴンLv.2((S1)2)BP10000vs泰平龍ピースメーカーLv.1(1)BP7000。

 

ピースメーカーを倒し勢い付くゴッドスレイヤーに、ウォーモンガーは敵を討たんと、全砲門を向けて一斉放射。さすがのその攻撃には避わし切れる訳もなく、咄嗟に盾を構え、砲弾を受けて大爆発が起こり、爆風を見ながら標的を仕留めたと確信するウォーモンガーだったが、爆風が晴れた瞬間、その場には大盾の残骸しかなく、ゴッドスレイヤーの姿がない事に気づいた瞬間、既にゴッドスレイヤーはウォーモンガーの頭上高く飛び上がっており、再び砲門を構え直すが時はすでに遅い。ゴッドスレイヤーは振り被った剣をそのままウォーモンガーに突き刺し、貫かれた部位から電流を放出しながら爆発四散を起こす。

 

『エンザ選手!! チャンピオンのスピリット一気に二体も倒してしまった!! これで残るのはエクスキャリバスのみだ!』

 

一気にキースピリットの召喚から形勢を逆転して見せるエンザに観客達は盛り上がるように声を上げ、一方でエンザはこれ以上は動かずそのターンを終える。

 

 

 

 

[07ターン.和人side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]2個→3個。

[ドローステップ][手札]2枚→3枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]4個→0個。[リザーブ]3個→7個。

 

「メインステップ、エクスキャリバスをLv.2にアップ。さらにマジック、双翼乱舞。効果で2枚ドロー。これでターンエンドだ」

「!」

 

[リザーブ]7個→2個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]2枚→4枚。

[フィールド]剣皇龍エクスキャリバスLv.2((S1)2)BP8000。

 

『チャンピオン、エクスキャリバスをレベルアップしたのみでのターンエンド。やはり迂闊には動けないか!!』

『エクスキャリバス一体では確かに攻めきれないですからね。これはいよいよエンザのペースに動いてきましたかね』

 

神子の言葉に当然、エンザもまたこの機会を逃す手は無い。続く自分のターンを迎え、より意気込む様に声を荒げながら「俺のターン!」とコールを宣言する。

 

 

 

 

[08ターン.エンザside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]0個→1個。

[ドローステップ][手札]3枚→4枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]5個→0個。[リザーブ]1個→6個。[フィールド]戦皇ゴッドスレイヤードラゴン、回復。

 

「メインステップ、バーストセットし、ネクサス、英雄皇の神剣の効果で1枚ドロー、さらにゴッドスレイヤードラゴンをLv.3にアップし、ハガネヴルムをLv.2で召喚だ!」

 

[手札]4枚→3枚。

[リザーブ]6個→0個。

[トラッシュ]0個→1個。

[フィールド]戦皇ゴッドスレイヤードラゴンLv.3((S1)4)BP12000、ハガネヴルムLv.2(3)BP5000、英雄皇の神剣Lv.1(0)。

 

「アタックステップ! ゴッドスレイヤードラゴンでエクスキャリバスに指定アタックだ!」

「エクスキャリバスでブロックする!」

 

[Battale]戦皇ゴッドスレイヤードラゴンLv.3((S1)4)BP12000vs剣皇龍エクスキャリバスLv.2((S1)2)BP8000。

 

エクスキャリバスはその身に炎を纏うとそのまま一気に特攻を仕掛け、ゴッドスレイヤードラゴンも両手で剣を構えて迎え撃ち、真っ向から激突する二体の龍。互いに鍔競り合う両者だが、ゴッドスレイヤーは地面に足場をめり込ませるほど強く踏ん張り、咆哮を上げて剣を持つ手に力を籠めると、そのまま勢いよくエクスキャリバスを切り上げ、上空に叩き上げると、自身も大きく飛び上がりエクスキャリバスをそのまま一閃、切り裂かれたエクスキャリバスは大爆発を起こす。

 

『何と何と!! チャンピオンのキースピリットまでもが倒されてしまったーーッ!!』

 

バトルフィールドの光景に観客達はさらに驚きと興奮する声を響かせ、一方でキースピリットの破壊に対し、流石に堪えるものがあるのか顔色は変えないものの決してその光景から目を離すことなく最後まで見届け、そんな和人の様子にエンザは少しだけ罪悪感を感じる。

 

「チャンピオン、あなたにとって大切なスピリットの筈だ。けど勝負は勝負は何だ。どうか悪く思わないでほしい」

「……これは勝負だ、お前もそれを分かってるなら変に気遣うな。一切手加減なく本気でやってこそ、相手に対しての、そして自分に対しての敬意だ!」

「!」

 

エンザの言葉に、和人はまるで喝を入れるように言葉を掛けると、罪悪感を感じて暗くしていた表情を一変、明るい表情で笑って見せる。

 

「ははっ、チャンピオン。あなたの口からそれを聞けて嬉しいぜ!! やっぱりあんたは俺が憧れたチャンピオンだ!! だからこそ超える事に意味がある!! さらに行くぜ! ハガネヴルムでアタックだ!」

「ライフで受ける!」

 

腕を振り上げてそのまま展開されたバリアを殴りつけると、バリアを破壊し、ライフを砕く。

 

「ッ!」

 

[和人side]

[ライフ]4→3。

[リザーブ]5個→6個。

 

相手のキースピリットを倒した事で勢いづいたのかフルアタックで猛襲。だが、その攻撃を喰らってなお、チャンピオンである彼にとってただ黙って引き下がっている訳などある筈がない。

 

「俺のライフ減少時でバースト発動ッ!! 俺のライフが3以下ならBP15000以下の相手スピリットを破壊し、召喚する!」

「!」

 

瞬間、突如空が黒雲に染まると同時に、天より降り注ぐ業炎。炎はゴッドスレイヤードラゴンを一瞬で呑み込むと、断末魔を上げる間すらなく、あまりの威力に炎の中で爆発四散を起こす。

 

「ゴッドスレイヤー!!」

「さらに! この効果発揮後にこのスピリットをバースト召喚できる!」

「……!!」

 

これから呼び出すであろうカードを構えるその様は、まさに反撃の狼煙。そして声高らかにエクスキャリバス同様にこれまでチャンピオンを支えてきたもう一体のキースピリット。

 

「赤き剣を振るいて全てを征す覇王(ヒーロー)! 勝鬨上げてフィールドに降り立て! 龍の覇王ジークヤマトフリードを召喚!」

 

[リザーブ]6個→3個。

[フィールド]龍の覇王ジークヤマトフリードLv.2(3)BP10000。

 

空を覆う黒雲、刹那、黒き空を烈火の剣で真っ二つに引き裂き姿を現す龍────ジークヤマトフリード。背後に響く雷鳴を背に、高らかに剣を掲げてその咆哮を雷鳴以上に響かせる。

 

『出た出た出ました!!! チャンピオンのもう一体のキースピリット、ジークヤマトフリード!!! その登場と同時に何とエンザのキースピリットを破壊してしまったぁッ!』

『エクスキャリバスを倒したことでエンザさんは完全に勢い付いていました。しかし、バーストの発動で一気に逆転。チャンピオンは最初からこの展開を予測していたんでしょうね』

 

冷静に語る神子の言葉、一方で同じくバトルを見ているハルヤ達も驚きを隠せなかった。

 

「こうなるを見越してって……キースピリットをまさか囮にするなんて」

「囮、本当にそうなのかな」

「えっ?」

 

ザックのその言葉に対し、ハルヤは疑問を持ちながら、少しだけ悩んだように「それは違うと思う」と否定するように呟き、さらに続けて行く。

 

「あの人、スピリットとバトルすることが何より楽しそうだし、だから簡単に囮に出来るような信頼関係じゃないと思う。むしろ信頼しきってるからこそ、あの状況を任せた。囮じゃなく、勝つ為の布石にした。そういう気がする」

「……ハルヤ、お前」

 

いつになく和人に対し、何かを感じているハルヤの様子にザック達は少しだけ関心を抱いたように、再びバトルに見入り、一方でバトルではキースピリットを破壊され流石に今は打つ手がないのか、悔しさ交じりに「ターンエンド」とコールし、和人のターンへと移る。

 

 

 

 

[09ターン.和人side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]3個→4個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]3個→0個。[リザーブ]4個→7個。

 

「俺のターン! バーストセット! さらに決めに行くぜ! 焔龍魔皇マグーを召喚ッ!」

 

[リザーブ]7個→0個。

[トラッシュ]0個→6個。

[手札]5枚→3枚。

 

【焔龍魔皇マグー】7(3)赤、竜人/古竜、スピリット。

Lv.1(1)BP5000、Lv.2(3)BP8000、Lv.3(5)BP10000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3『自分のアタックステップ』

ステップ開始時、自分のトラッシュのコアを、好きなだけこのスピリットの上に置くことができる。

Lv.1、Lv.2、Lv.3『自分のアタックステップ』

系統:「竜人」/「古竜」を持つ自分のスピリット全てをBP+3000する。

Lv.2、Lv.3

系統:「古竜」を持つ自分のスピリット全てに赤のシンボル1つを追加する。

 

『チャンピオン、また新たに強力なドラゴンを召喚しましたッ!! バトルは既に終盤に差し掛かってますが、強力なスピリット達が連続で登場し続け、今もなおバトルはさらにヒートアップしております!』

『ここでマグーとは、チャンピオン本当に一気に終わらせるつもりですね』

『えっ? ですが、エンザ選手のライフはまだ4つ。マグーとジークヤマトフリードだけじゃ……。』

『相変わらず知識不足ですよ、まぁ説明せずとも見てれば分かりますよ』

 

姉の言葉に首を傾げる中、一方で和人は意気揚々と「アタックステップ!」と宣言すると、マグーは待っていたと言わんばかりに鎌を振り上げながら唸りを上げる。

 

「アタックステップ開始時、マグーの効果だ! トラッシュのコア全てをマグーの上に置く!」

「ぐッ!!」

 

[トラッシュ]6個→0個。

[フィールド]焔龍魔皇マグーLv.3((S1)6)BP13000、龍の覇王ジークヤマトフリードLv.2(3)BP10000。

 

「レベルが上がった事でマグーの効果をさらに発揮させる! アタックステップ中、系統「古竜」を持つジークヤマトフリードとマグー自身をBP+3000、さらに古竜のスピリット全てに赤のシンボルを追加!」

「!!」

 

『赤のシンボルを古竜全てに追加!? という事は!!』

『えぇ、チャンピオンの場のスピリット二体ともダブルシンボルとなり、全ての攻撃が決まれば必然的に勝利となります』

『!!』

 

紅葉もようやく状況を察した様に呟き、「決めに行く」と宣言した事に偽りはなく、正真正銘このターンで決着を付けるつもりだろう。

 

「ジークヤマトフリードでアタックだッ!」

 

マグーの恩恵を受け、より力を増しながら剣に炎を灯し、エンザへと迫るジークヤマトフリード。観客達の多くはついに追い詰められたと認識するが、エンザ自身はまるでそんなことを感じさせないように不敵に笑って見せた。

 

「まだまだ終わらねぇッ!! 相手によるアタック後でバースト発動! 天下烈刀斬!!」

 

【天下烈刀斬】3(2)赤、マジック。

【Sバースト:相手のスピリット/アルティメットのアタック後】

自分はデッキから1枚ドローする。【起導】でこのバーストが発動していたら、このターンの間、自分のスピリット全てに赤のシンボル1つを追加する。その後コストを支払う事で、このカードのフラッシュ効果を発揮する。

『フラッシュ効果』

相手のネクサス1つを破壊する。コストの支払いにS(ソウルコア)を使用していたら、さらに、シンボル2つ以上持つ相手スピリット/アルティメット1体を破壊する。

 

「デッキから1枚ドロー! さらにソウルコアをコストに、フラッシュ効果を使用!! 対象は、マグーだ!」

 

[手札]3枚→4枚。

[リザーブ]5個→4個。

[トラッシュ]1個→2個。

 

地面から噴き上げる炎の刃がそのままマグーを両断し、破壊しその場で巻き起こる大爆発。

 

「マグーの破壊により、ジークヤマトフリードはダブルシンボルじゃなくなった!」

「だが、メインアタックは続いてるぞ!」

「ライフだ!!」

 

展開されるバリアに対し、剣を大きく振りかぶりそのまま叩き切る様に振り下し、バリアをいとも簡単に破壊するが、それでもマグーを失ったことによりその力は些か減少しており、エンザを一つだけ削る事しかかなわなかった。

 

[エンザside]

[ライフ]4→3。

[リザーブ]4個→5個。

 

「……仕方ないな。これでターンエンド」

 

『エンザ選手! 和人選手の攻撃凌ぎ切ったーーッ!! ここから大逆転となるか!!』

「ハッ、端から勝つことしか考えてねぇんだから当たり前だろ!!」

 

紅葉の実況の言葉に意気揚々と勝つ事を豪語しながら、続く自分の自分のターンを迎えて行く。

 

 

 

 

[10ターン、エンザside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]5個→6個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]2個→0個。[リザーブ]6個→8個。[フィールド]鋼ヴルム、回復。

 

「メインステップ、ハガネヴルムをLv.1にダウン。そしてドラマルを召喚し、ドラマルの効果発揮! 俺の手札にあるコイツを召喚するときに、赤のシンボル1つを追加する!」

「やっぱり、という事は来るのか!」

「あぁ、一気に決めるのは俺の方ですよ。チャンピオン、俺ももう一体のキースピリットを呼び出すぜ! 乱世を制す猛将よッ! 赤きその最強の姿を天下に焼き付けろッ! 戦国龍ソウルドラゴン、召喚ッ!!」

 

[リザーブ]10個→1個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]5枚→3枚。

[フィールド]戦国龍ソウルドラゴン Lv.3((S1)4)BP13000、ハガネヴルムLv.1(1)BP3000、ドラマルLv.1(1)BP1000。

 

空に収束される炎は球体上に収束され、まるで太陽を思わせるかのような炎の塊。その炎の中で眼光を煌かせる龍の影、一気に炎を振り払い、得物を構えながらその咆哮をフィールド中に轟かせる。

 

『エンザ選手!! ここでついにソウルドラゴンを呼び出した!!! お互いのキースピリット同士が再びフィールドにて相対します!!』

 

互いの相手を睨みながらジークヤマトフリードとソウルドラゴンはそれぞれ咆哮を上げて、和人もまたこれから来るであろう攻撃に対し真っ向から構えて見せる。

 

「さぁ、遠慮はいらねぇ。来るなら来い!!」

「勿論! 敬意を払うからこそ、この勝負! 俺は全力でアンタに勝ちに行く!! アタックステップだ! ソウルドラゴン、アタックッ!!! さらにアタック時効果発揮! 【連刃】!」

 

ソウルコアをトラッシュに送ると同時に、ソウルドラゴンは真っ直ぐジークヤマトフリードへと突っ込んで行く。

 

「ハガネヴルムの効果で疲労状態でも【連刃】での対象が可能だ! ジークヤマトフリード、討ち取らせてもらう!!」

「ジークヤマトフリードでブロックだ! 迎え撃て!!」

 

[Battle]戦国龍ソウルドラゴンLv.3(4)BP13000vs龍の覇王ジークヤマトフリードLv.2(3)BP10000。

 

ジークヤマトフリードもまた翼を羽ばたかせながらソウルドラゴンへと突っ込み、ソウルドラゴンは手に持つ槍を投げ捨て、得物を太刀に切り替え、互いに剣と太刀を同時に振り下し、打ち合う金属音が衝撃となってその場に響き渡り、渾身で振るう衝撃に互いに一度弾かれるも、直ぐに二体とも再び突っ込み、再度得物を振っては激突を繰り返す二体の龍。

三、四度程討ちあった後に、ソウルドラゴンはジークヤマトフリードの腹部に蹴りを入れて、後ろに退かせるとそのまま一気に火炎放射を放つがジークヤマトフリードは紙一重で空へと飛び立ち炎を避けると、そのまま一気に急降下し、再び剣を振り下すが、ソウルドラゴンはその動作を見切ると、剣の持ち手を片手で掴むと同時にジークヤマトフリードをそのまま後方へ勢いよく投げ飛ばす。

 

「決めろッ! ソウルドラゴン!!」

「おっと、そうはさせないぜ! フラッシュタイミング! ソウルコアをコストに支払って、マジック、鉄壁ウォール!」

「何ッ!?」

 

[リザーブ]7個→3個。

[トラッシュ]0個→4個。

[手札]4枚→3枚。

 

【鉄壁ウォール】白、マジック。

トラッシュにあるこのマジックカードは、一切の効果を受けない。

『フラッシュ効果』

このバトルが終了した時、アタックステップを終了する。コストの支払いにS(ソウルコア)を使用していたら、さらにこのバトルで相手によって破壊された自分のスピリット全ては疲労状態でフィールドに残る。

 

ジークヤマトフリードを投げ飛ばし、体制を立て直す前に決着を付けようと一気に太刀を振り下し、その一閃に確実にジークヤマトフリード破壊される、筈だった。切り裂かれその場に巻き起こる大爆発。だが、次の瞬間、その爆風を一瞬で吹き払う程の炎が噴き出しかと思うと、破壊された筈のジークヤマトフリードが再びその場に姿を現す。

 

「ッ! けど例え場に残ろうが、破壊したことに変わりはねぇ! ソウルドラゴンの効果でライフを破壊だ!!」

 

ソウルドラゴンはジークヤマトフリードから視線を外すと、足元の槍を拾い上げて、そのまま和人に一投。槍は真っ直ぐ展開されたバリアへと突き刺さり、衝撃にライフが破壊される。

 

[和人side]

[ライフ]3→2。

[リザーブ]3個→4個。

 

「甘い! ライフ減少時でバースト発動!! 天剣の覇王ジークスサノフリード!」

「二体目の、ジーク!?」

「バースト効果で赤のスピリット1体につき、BP6000以下の相手スピリットを破壊! よってハガネヴルムを破壊だ!」

 

天より突如、炎を纏った剣が振り下されたかと思うとそれはハガネヴルムへと直撃し、破壊される。

 

「さらにそのままバースト召喚だ! 覇王の頂点に座する最強の黒龍! 無数の剣で思うが侭に敵を蹂躙せよ! 天剣の覇王ジークスサノフリード召喚ッ!」

 

フィールドにさらに降り注ぐ無数の剣、円を描くようにフィールドへと突立てられると、その中央に巨大な火柱が噴き上げ、草薙の剣を振るいながら雄叫びを上げてジースサノフリードがフィールドへと現れる。

 

『ここでチャンピオン、さらに強力なドラゴンを呼び出した!! チャンピオンの戦力は、まさに留まる事を知りません!!』

『えぇ、スピリットもそうですがチャンピオン自身のバトルスタイルも決して生半可なものではありませんね』

『と言うと?』

『鉄壁ウォールで確実に自分のスピリットを残した上でジークスサノフリードのバースト効果で相手スピリットの破壊を狙っていた。この私でもまだまだチャンピオンの底が知れません』

『!』

 

一方でフィールドに並び立つ二体のジーク、その二体の姿にはさすがにエンザも息を呑むが、それでもまだ負けた訳ではない。どこまで諦めないように強い眼光を輝かせ、「次は絶対に決める!」とそのターンを終えるが、和人にしてみてれば、エンザに次のターンを与える気は到底ない。

 

 

 

 

[11ターン、和人side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]3個→4個。

[ドローステップ][手札]3枚→4枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]4個→0個。[リザーブ]4個→8個。[フィールド]龍の覇王ジークヤマトフリード、回復。

 

「メインステップ、ジークヤマトフリードをLv.1にダウンし、ジークスサノフリードをLv.2にアップ」

「(ジークスサノフリードのレベルを上げた?)」

「……なぁこのバトルで俺は言ったよな。全力でやる事こそが相手と自分に対する敬意だと」

 

エンザに対してまるで尋ねるような和人の言葉、その言葉をどこか不思議に思いながらも、黙ってエンザは頷く。

 

「お前も全力でそれに対して答えてくれた、全力の敬意を俺に見せてくれた。だから今度は、俺の番だ!」

「!!」

 

何かが来る事をすぐさま直感した、会場全体の空気が一変し、その何かに対し、全員が息を呑む。

 

「絶の名を冠する六体が神の一体! 己が極めしは『剛力』! 根源へと至るその力の全てを解き放てッ!! 六絶神剛力のドラグマグナ、召喚ッ!!!」

 

[リザーブ]8個→4個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]4枚→3枚。

[フィールド]六絶神剛力のドラグマグナLv.1((S1))BP10000、天剣の覇王ジークスサノフリードLv.2(3)BP10000、龍の覇王ジークヤマトフリードLv.1(1)BP6000。

 

召喚口上と共にそのカードを呼び出した瞬間、突如フィールド全体が激しく巻き起こる地震、地面だけでなく、空や大気をも大きく揺るがし、空は荒れ、大地は地割れを起こす程。そして最後に、地面からまるでドアを叩くかのような轟音が響いたかと思うと、大地を一気に突き破って飛び出す龍の姿、それこそがドラグマグナの姿だった。

 

『チャンピオンここにきてさらなるスピリットを召喚!! 六絶神、一体どんな力を持つスピリットなのか!!』

『六絶神、噂に聞いたことはありますが私もこの目で見るのは初めてです』

 

滅多に人の目に触れる事ないカード、六絶神の姿に会場中がざわめき、エンザもまた警戒心を隠せなかった。

 

「(六絶神、ここに来てまた凄まじいスピリットが来やがった。けどまだ俺にだって手はある!!)」

 

ドラグマグナがどのような力を持つのかエンザにとってはまるで未知数だったが、それでもまだまだチャンピオンの攻撃に対して耐え切る自身は充分にあった。だがそれでも、勝気な表情を浮かべながら和人は「アタックステップ!」と力強く叫ぶ。

 

「ジークスサノフリードでアタックだ! アタック時効果、BP+10000!」

 

攻撃開始と同時に赤いオーラを纏いながら咆哮上げて、自身の力を増すジークスサノフリード、さらにそれと同時にドラグマグナもまるでジークスサノフリードに共鳴するかのように同じく咆哮を響かせる。

 

「ドラグマグナの効果! 自分の赤のスピリットがアタックした時、このターンの間、このスピリットをBP+10000!」

「またBPが上がっただと!! だけど、BPが上がった程度で……!」

「そう言うの、油断大敵っていうんだぜ!」

「!?」

「フラッシュタイミングで、マジック! ギャラクシーエターナルレクイエム!」

「青のマジック!?」

 

[リザーブ]4個→0個。

[トラッシュ]3個→7個。

 

【ギャラクシーエターナルレクイエム】4(2)青、マジック。

『フラッシュ効果』

このターンの間、自分のスピリット全てを、そのスピリットが持つ最高Lvとして扱う。

 

「効果により、俺のスピリット最高レベルとして扱う!」

「ここでレベルを! 何の為に!?」

 

驚くようなエンザの言葉に「今に分かるさ」と笑みを浮かべながらさらに続けて行く。

 

「アタック中のジークスサノフリードは最高Lvとなり、そのBPはアタック時効果と合わせてBP30000、これでドラグマグナが発揮される!!」

「一体何を!?」

「ドラグマグナ、Lv.3の効果! 自分のアタックステップ中! BP30000以上の自分のスピリット全てのシンボルを赤のシンボル3つにする!」

「赤のシンボルを……だと!?」

『ドラグマグナ、衝撃効果が発揮!! 何とBP30000以上ならどんなスピリットでもトリプルシンボルにしてしまう驚異の効果!!』

『えぇ、しかもエンザさんのライフは残り3。この攻撃は防ぐしかありません』

 

神子の言葉通り、トリプルシンボルとなったジークスサノフリードの攻撃を受けてしまえばその時点でエンザの敗北が決まる。圧倒的な力を前にしても、それを防ぐ以外の選択肢がなかった。

 

「ぐっ! クソッ!! ドラマルでブロック!」

 

[Battle]天剣の覇王ジークスサノフリードLv.4(3)BP30000vsドラマルLv.1(1)BP1000。

 

力の差は比べる間でもなく歴然。懸命に駆け寄るドラマルに対し、ジークスサノフリードはまるで押し潰すかのように天剣を振い、あっけなくドラマルは破壊されてしまう。

 

「次だ! ドラグマグナでアタック! 自分の赤のスピリットがアタックした時、このスピリット自身をBP+10000! さらにLv.2、Lv.3効果発揮!」

「まだ何かあるのかよ!」

「あぁ、このスピリット自身がアタックした時、このターンの間、自分の赤のスピリット1体をBP+10000、よってジークヤマトフリードを指定だ!」

 

【六絶神剛力のドラグマグナ】5(3)赤、絶昌神、スピリット。

Lv.1(1)BP10000、Lv.2(3)BP12000、Lv.3(5)BP15000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3『自分のアタックステップ』

自分の赤のスピリットがアタックした時、このターンの間、このスピリットをBP+10000する。

Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック時』

このターンの間、自分の赤のスピリット1体をBP+10000する。

Lv.3『自分のアタックステップ』

BP30000以上の自分のスピリット全てのシンボルを、赤のシンボル3つにする。

 

『六絶神圧倒的な力です!! その効果によりドラグマグナの現在のBPは35000!!!』

『それだけじゃないです、ジークヤマトフリードもドラグマグナの効果でBP30000、これでチャンピオンの場のスピリット全てがトリプルシンボルです!』

 

まさにチャンピオンと呼ぶに相応しい程、圧倒的すぎるバトルだった。残るライフを一気に削らんと、猛々しく吠えながらドラグマグナはフィールドを駆け抜けて行く。

 

「フラッシュタイミング! リブートコードだ! 疲労状態のスピリット全てを回復!」

 

[リザーブ]3個→0個。

[トラッシュ]5個→8個。

[手札]3枚→2枚。

 

「ソウルドラゴンを回復し、そのままブロックだ!」

 

[Battle]六絶神剛力のドラグマグナLv.3((S1))BP35000vs戦国龍ソウルドラゴンLv.3(4)BP13000。

 

自分の主であるエンザを死守せんと、真っ向からドラグマグナに立ち向かい、ドラグマグナはそれに対し、振り上げた剛腕をそのまま勢いよく突き出す。

咄嗟に槍でその一撃を受け止めようとするが、あまりのパワーに受け止めようとした槍は粉々に砕かれ、すぐさま太刀に持ち替えて切り掛かるが、所詮同じ事。ドラグマグナは同様に拳を振るい、相殺するどころか、ドラグマグナの拳を受けた剣は切っ先からまるでガラスの如く砕け散り、得物を失ったソウルドラゴンに対し、ドラグマグナは三撃目の打撃を叩き込むと、身に纏う甲冑は一瞬で亀裂が走り、ソウルドラゴンは悲鳴を上げながら爆発四散を起こす。

 

「ソウルドラゴン!!!」

 

キースピリットの破壊に思わず叫ばずには入られなかった。しかしそれでもエンザのその叫びは直ぐに虚しい程に勝利に吠えるドラグマグナの咆哮に掻き消される。

 

「ラストだ! ジークヤマトフリードでアタック!!」

「ぐっ!! ライフで、受ける!!!」

 

展開されるバリアにジークヤマトフリードは一瞬で距離を詰めると、渾身の力を振るって、バリアを両断、さらに間髪入れずにすぐさま二撃目、三撃目を叩き込み、X字を刻み込むと、バリアを完全に破壊し切る。

 

「うわああああああああああッ!!!!」

 

[エンザside]

[ライフ]3→[Lose]

 

 

 

 

***

 

 

 

 

『決まったぁーーッ!! 勝者チャンピオン!! 王者としての実力はなおも健在!! 圧倒的過ぎるバトルでエンザ選手を下してしまいました!!!』

 

バトルを終え、声高らかに叫ぶ紅葉の言葉に触発されたように観客達も大歓声を上げ、バトルに対する声が会場全体に響き、一方でバトルを終えた二人は……。

 

「……一瞬、勝てると思えたときは、チャンピオンとしての道のりが目の前まで見えた気がしたんだが、やっぱり思い違いだ。アンタを超える。その夢はやっぱりまだまだ遠かった」

「なら、諦めるか?」

 

悪戯っぽく尋ねる和人の言葉に、エンザは笑いながら「それはない」とはっきり答えて見せた。

 

「遠ければ遠い程、俺の夢は実現させる甲斐がある! 絶対俺はこの夢を諦めねぇ。どんなに道のりでも、俺は絶対超えてチャンピオンになる!」

「よく言った。なら目指せ! お前がまたチャンピオンの座を狙いに来るまで俺はチャンピオンであり続ける!」

「それでこそだ! アンタはやっぱり俺の憧れで、俺の目標だ! それはずっと変わらねぇ!」

「光栄だ。今日はバトルありがとう。楽しかったぜ」

「こちらこそです!」

 

互いに検討称えながら握手を交わし、その姿にハルヤや吉馬達もエンザ負けた事にショックを受けながらも、その職をすぐに忘れる程の気持ちを抱きながら、拍手を送り、観客全員も同じく拍手や歓声を送っている。

 

『本日は一日、どのバトルも決して目が離せない最高のバトルの連続でした! 改めて、BCO実況担当この紅葉も全てのバトルを実況出来た事とても幸せでした!』

『えぇ、解説であるこの私同じ気持ちです。ご参加いただいたすべてのカードバトラーに改めて感謝したいです。それでは最後にチャンピオンから改めてお言葉を!』

 

和人へとマイクを手渡すと。マイクを受け取り、「コホン!」と一息置いてから司会を務めて行く。

 

『あー、今日はみんな一日本当に最高バトルの連続をありがとう! そして俺自身もバトルできて本当に楽しかった。皆が俺を楽しませてくれたように、俺のバトルで見てくれたカードバトラー達の心を熱く滾らせられたならこれほど嬉しい事は無い!』

 

会場中の全員に向けての言葉、勿論その言葉は会場の全員が耳を傾けながらしっかりと聞いている。

 

『俺はチャンピオンとしてこれからもあり続けるつもりだ! だからみんなもいつか俺を超えるつもりで、今日以上のバトルで俺を楽しませてくれ!! 誰が俺を超えて新しいチャンピオンとなるのか、とても楽しみにしてるぜ!! 俺からは以上だ!』

『チャンピオン、ありがとうございます。これにて、本日の大会は正真正銘とさせていただきます。カードバトラーの皆様も改めてありがとうございました!』

 

大会が終わっても会場全体はまだまだ興奮冷めやらぬ様子で、一方でエンザや浪川、それにハルヤ達を始めとする多くのカードバトラー達の誰もがチャンピオンを超えるべきは自分だと、大きく胸に抱いた野望で一杯だった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

『お疲れ、和人』

「!」

 

会場を後にしようと裏口から出ようとする矢先に、駆けられる声。そこにいたのは咲や川村達の姿だった。

 

「咲! それに川村! どうしたんだよ、すげぇ久々じゃんか」

「少し様子見に来ただけだよ、相変わらず大袈裟」

「はは、その口振は変わんねぇな、けど会えて嬉しいぜ」

「馬鹿、咲がいる前でそういう事あんまり言わないで」

「!」

「わ、私は別に気にしてないですから!!」

 

顔を赤くしながら反論する咲、和人自身も少しだけ照れ臭そうにしながらそんな二人の様子に川村はただ可笑しそうに笑って見せる。

 

「今日バトル見せてもらったよ。やっぱりチャンピオンは凄いね。まっ、世界を救った英雄なんだから当たり前か」

「それは大分もう昔の話だろ。今は関係ないさ」

 

昔の事を思い返しながら、まるで懐かしむように笑いながら語る三人。「それより」と何かを思い出したように話題を切り替える。

 

「さっき司会で新しいチャンピオンを超えるのは誰になるか楽しみって言ってたけど、それって本当?」

「別に嘘なんかついちゃねぇさ。まっ、簡単にチャンピオンの座を譲る気はねぇけどな」

「うわっ、大人げない」

「それぐらい普通だろ! ケジメだって、ケジメ!」

「冗談。それぐらい分かってるよ。自分を超えるかもしれないって期待してるのは、今日バトルしたあのエンザって子?」

「まっ、そうだけど、期待してるのは彼だけじゃないさ」

 

その脳裏には少しだけハルヤの事を考えながら、これからの事を期待するように笑って見せた。

 

「まっ、チャンピオンの座を掛けて今度は誰が俺の前に立つのか、楽しみだ」

「へぇー、まっ、私も今度見に来るよ。今日は様子見に少しだけ仕事抜けちゃったし、この辺で私は帰るね」

「仕事って、川村は何してんだよ?」

「さぁね」

 

彼女もまた可笑しそうに笑いながら、その場を立ち去って行った。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「チャンピオンのバトル、実力は予想以上にビッグだったな」

「あぁ、チャンピオンの実力は想像以上、さて俺等のリーダーはどう考えてる?」

 

率直な感想を述べながらハルヤに尋ねるキッドやザックの言葉に対し「どう考えるも何も最初から決まってるよ!」と返答して見せた。

 

「もっと強くなって、チーム龍攻威を最強のチームとして! そしていつかチャンピオンになる! その道をこれからも目指すだけだよ!」

 

迷いのない真っ直ぐなハルヤの言葉に、ザックやキッドも満足した様に「それでこそだ!」と言葉を返す。

 

「だったら俺等もその道を目指すだけだ! リーダーと同じくな!」

「あぁ、俺等も同じだ! チャンピオンにヴィクトリーを飾るのは勿論、例えリーダーにも譲らねぇけどな」

「はは、じゃぁチーム同士でもライバルだね。まぁこれからも僕ら、お互いに頑張って行こうよ!」

「あぁ当然」

「はい!」

「当たり前です」

「オフコース!」

 

チームメンバー全員、ハルヤの言葉にすぐさま返事を返し、それを聞くとハルヤも嬉しそうに笑って見せ、5人は会場を後にした。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「…………」

 

一方で会場奥でバトルを静観していた浪川も、見学を終えると席から立ち上がりその場を後にしようと、出口を足を進める。

 

「おや、もう行っちまうのかい? 海皇キャプテンさん?」

 

そこへ同じく終始会場のバトルを見学していた紫苑が声を掛け、その言葉に浪川は足を止める。

 

「ふん、見たいものは見れた。ドラグマグナにソウルドラゴン、奴等の切り札はいずれ俺がこの牙で打ち倒す! そして俺が最強である事を証明して見せる!」

「相変わらず最強に拘るね、そんなに強さを求めてどうしたいのよ?」

「こそこそと動いてばかりの貴様に俺の事をどうこう言われる筋合いはねぇ。俺の事を疑問に持つ前に、少しはテメェも強者である事を証明したらどうだ?」

「買いかぶり過ぎだって前も言ったろ? ランキング争いにも興味はねぇし、俺は自由に楽しくやるだけの無名チームバトラーさ」

「フン、勝手にしろ」

 

呆れたように言葉を吐き捨てると浪川は再び足を進めてその場を立ち去り、その姿を見送ると、自分達も出ようと席から立ち上がる。

 

「ふー、それじゃあルム、俺達も帰りますか」

「あぁ、そうだね。大会も終わっちゃったしね。けどやっぱり見学だけってのはつまらなかった」

「そう言うなよ、高みの見物ってのはいい物なんだぜ?」

 

相変わらず調子のいい笑いを浮かべながら語る紫苑にルムは「やれやれ」とため息交じりに呟くが、そこへ……。

 

『だけど、あまり傍観者を気取られてもこっちも困るのだけどね』

「「!!」」

 

突然の声、先程まで笑っていた紫苑の表情はその声に一変し、咄嗟に辺りを見回すと、紫苑たちの前には、虎縞模様の装束に、狐面で素顔を隠し、声は中性的な人物の姿だった。

 

「何でアンタがこんな所に!!」

「やだなぁ、僕の事は「九尾」って呼んでよ。折角チームメイトなんだからさ」

「ッ!」

 

「九尾」と名乗るその人物を前に、何時の様な笑みはなく、どこか表情を厳しくさせながら、その人物と顔を合わせていた。

 

「九尾が俺に何の用かって聞いてんだけど?」

「聞くまでもないだろう、君があまりに動かないから注意喚起に来たのさ」

「ケッ、釘差しに来たって訳か」

「まぁそれも一つ。けどもう一つ、ちょっと厄介な事になってね」

「厄介な事?」

「あぁ、少し面倒な奴等に目を向けられちゃってね、だから少し、君に協力してもらいたいんだ。だって、君は僕等のリーダーなんだからね」

「チッ!」

 

九尾の言葉が意味するのは紛れもなく、彼もチームシャドウの一意であるという事。だが、何故だか紫苑は面白くなさそうに表情を歪め、ルムはその様子に口を挟まずただ静かに傍観しているが、一つだけルムには分かっている事があった。

 

「……それで、俺は何をすればいい?」

 

九尾の言葉を、紫苑は絶対に了承するしかない事を。




作者「皆さま、あけましておめで───」
エンザ「おせぇわ!! コラ!!」( ゚Д゚)=O);∀;)」
作者「ごめんなさい!!」
エンザ「テメェもう新年あけて何日どころか、月終ってんだけど? そして忍がつの何日だと思ってんの?」
作者「すみません、FGOがいそがしくて!!」
エンザ「ソシャゲじゃねぇか!」(# ゚Д゚)=O);∀;)」


長らく更新遅れてすみませんでした。遅れてしまいましたが、皆さまあけましておめでとうございます。中々更新ペースが進まず、遅れて射s舞いましたが今日やっと更新できて何よりでした。亀ペースになってしまってますが、何とか頑張りますので新年もどうか本小説をよろしくお願いします。

そして第19話いかがでしたでしょうか?エクスキャリバスなど久々に書けて楽しかったですが、何より注目はチャンピオンの新切り札、六絶神ドラグマグナ!!

私もこのカードはエクスキャリバスと同じく好きで、今回のバトルで書けてとても嬉しく、十全に生かしたバトルに出来たのなら幸いです。

アニメでは十二神皇編もいよいよ終盤ですね、邪神皇がアルティメットと聞いてどのような効果なのか、期待で一杯です!!


次回もどうかこの小説をよろしくお願いいたします。



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