バトルスピリッツ・ギガリーグ   作:ブラスト

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・以下注意
誤字、プレイミスアリかも。
バトル表記が人によっては分かりずらいかも。

それでも大丈夫という方はどうか温かい目で見てもらえると幸いです。発見したミスやバトル表記などのご指摘気軽にお待ちしております。



No.20.影と光

 

 

 

『世界とは時に壮大なストーリー、そしてその世界に住む人、その全ては物語の登場人物にすぎない』

 

まるでどこかのライブハウスのような場所に佇む三人の人影、他に人気はない薄暗いこの場所こそがチームシャドウの溜まり場であり、壁に凭れながら静かに狐面を被る九尾は唐突に言葉を呟き、チームシャドウのリーダーである紫苑と、チームメンバーであるルムは静かにその話に耳を傾けている。

 

「何を言い出すのかと思えば、お前の解釈がどうあれ関係ねぇだろ? 登場人物全てがこの世界の主役なんだ、だったら誰もが自分のしたいように人生を謳歌する。それだけだ」

「君ならそういうと思ったよ」

「あぁ?」

 

隣で聞いている紫苑は九尾に対して率直な感想を述べるが、九尾はまるで最初から紫苑の言葉を理解していた様子だった。

 

「だけどね、誰もが主役って訳じゃない。誰もが主役というのは個人の人生の話。有体に言えば、自分だけの世界での主役さ。世界全てを指してじゃない」

「ならつまり、この世界の主役は一人だけってか?」

「あぁそうさ。この世界のたった一人の誰かががね」

「その誰かってのは……。」

「さぁね、少なくともボクではないさ。今のボクは君に付き従うチームメンバーにすぎない」

 

「でも」と、言葉を呟きながら、九尾は仮面の下で微笑し、その様子は紫苑たちにも感じ取れた。

 

「仮に主役に成れなくとも重役になる事はできる。間違いなく、今この時ボク等はこの世界のカギを握っているさ」

「…………」

 

九尾の言葉の真意を理解しているのかいないのか無言で反応を示す紫苑に対し、ルムは興味がない様子で聞き耳を立てながらも視線は明後日の方角に向けていた。

 

「さて物語のカギを握る以上、ボク等はそろそろ次のステージに進まなきゃならない。なら分かるだろう? リーダー?」

 

含みのある言い回しで紫苑をそう呼びながら、紫苑は気怠そうに首に手を付きながらも、どこかに向けて歩き出し、九尾とルムの二人も後に続く形でその場を後にした。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

『で? 昨日の今日でよくお前等他所のチームに遊びに来れたな』

 

舞台は変わりレッドドラゴンのスタジアムで、適当な台で対戦する吉馬とハルヤ。対戦しながらも吉馬の最もな発言にハルヤは苦笑いしながらも罪悪感を感じるように謝る。

 

「ごめん、さすがに沖田さんのとこにずっと世話になる訳にもいかないし、でも他に頼れるとこなくて」

『気にすんなよ。元チームメンバーの頼みだ。それにウチのチームのバトルの練習にもなるならこっちとしても好都合だ』

 

二人の会話に上機嫌な様子で割って入るエンザ。その姿に吉馬とハルヤはほぼ同時に反応して見せる。

 

「エンザさん、ありがとうございます」

「リーダー、寛大なのはいいですけどうちのチームが無双されるのはどうかと思います」

 

そう言いながら指さす方角にはスズやキッド、ザックやコン太の面々も他のレッドドラゴンのメンバーとフリーバトルを始めており、吉馬の言う通り、ほぼ連戦で吉馬の言う通り無双状態だった。

 

「あれはあいつらの問題だな。後で追加で特訓だな」

 

ぼそっ、と呟くエンザの言葉にレッドドラゴンの面々を気の毒に思いながらも、「そう言えば」とハルヤに対しエンザは何かを思い出した様子で。

 

「お前等、前回の大会の戦績もチームランキングに反映されてるんじゃねぇか?」

「あっ、そうでした。確認してみますね」

 

一台の端末を取り出し、早速何かを確認するハルヤ。一方でスズ達もフリー対戦も区切りを付けたのか、バトルを止め、ハルヤの様子に気づくと、その場に一旦合流する。

 

「ハルヤ、どうかしたんですか?」

「あぁ、そう言えばスズ達はチームランキングについてあまり把握してないんだっけ?」

 

ハルヤと違ってスズやザック、キッドはこれまでチームとしての活動は皆無。だがコン太だけは神子達と普段から行動してただけあってチームとしての活動内容にも詳しいのか、「それなら僕が」と、少しだけ得意げに説明を買って出る。

 

「チームランキングは、チーム所属者の個人戦績からポイントとして合計。合計のポイントが高い順にランキング。ポイントは加減点でチーム所属者が別のチーム所属者に負ければマイナス、勝てばプラスです。対戦する相手が自分よりランキングが高いチームであるほどその分勝ち点も増え、その人がチームでの個人戦績が高いほどさらに増えます。負けた場合はその逆です」

「細かい事はともかく、要は勝ち続ければいいだけだろ?」

 

説明を聞き終え、率直な要点だけ尋ねるザックに黙って頷く。

 

「有体に言えばそうなります。ランキング維持を狙って保守的なバトルをするチームもありますが、チームランキングは20位以内までが上位チームとされ、上位チームにはそれぞれチーム専用のスタジアムも所有できるので、基本上位チームは積極的にバトルを仕掛けるより、チームランキングの維持の為、保守的にバトルする人が多いですかね」

 

上位チームの中で積極的にチームバトルを仕掛けてるのはレッドドラゴンと海皇ぐらいなものだろう。後のチームはコンタの言う通り、保守的なのか中々あまりバトルを仕掛けているという事はハルヤ達の耳には入っていない。だが、まるでそんなものは関係ないというように、笑った様子でキッドが切り出す。

 

「他がどうあれ、俺達には関係ない、俺達はトップ目指して、積極的にバトルをトライするだけだ。そうだろ?」

「まぁやるからには一番目指すだけです。私の所属するチームならそれぐらいになってもらわないと」

 

キッドもスズもハルヤに視線を向け、二人の視線に一瞬だけ固くなりながらも、端から答える事は決まっている。直ぐに表情を柔らかくして口を開く。

 

「勿論、一番目指して僕ら頑張って強くなり続けるよ。少なくともレッドドラゴンのエンザさんにもリベンジできるぐらいに、もっと強く!」

 

最初から目指し続けてきたことを改めて口に出すハルヤ。そしてだが、その言葉に対して。

 

『ハハハハハハッ!』

 

突然甲高い笑い声が会話に加わって来たかと思うと、その声の主はチームシャドウのリーダーである紫苑であり、先程までの会話を聞いていたのか、スタジアム入り口からこちらに向かい、紫苑の後ろにはもう二人見慣れない人物の姿があり、紫苑の姿を見るや、吉馬は「うげっ」、と苦虫を噛み潰したように表情を歪め、その様子に紫苑は肩を竦めて見せた。

 

「おいおい、吉馬ちゃん。相変わらず辛辣な態度勘弁だぜ」

「ちゃん付けで呼ぶなと何度言わせんだテメェ。つかそれ以前に何で白昼堂々と俺達のチームに来てんだ!」

 

紫苑に対してはいつものように敵意剥き出しだが、「まぁ待て」と軽く吉馬を宥める。

 

「よぉ紫苑、久々だな。相変わらず唐突に来やがって」

「ははっ、まぁたまには顔見せに行かねぇとな。ハルヤ達にもついでに顔見世できたのはラッキーだったぜ」

 

軽くハルヤ達にも挨拶を交わし、ハルヤもそれに挨拶を返す。

 

「……オイ、アンタ。さっき何が可笑しかったんだ?」

 

ザックだけは最初の紫苑の態度に不服だったように突っかかるが、紫苑はそれにすぐ「悪いな」と謝りながら視線をザックに向ける。

 

「可笑しくて笑ったんじゃねぇ、楽しくて笑ったのさ」

「楽しい?」

「あぁ。生憎俺達のチームはランキングから外れてる。だからランキング上位とかそういう競り合いには興味はねぇ。けど、他人のバトルには興味がある。どんな奴らが、どんな思いで、どんなバトルをするのか、俺はそれを見れるともうとワクワクするんだ」

「お前がそれに加わろうとは思わねぇのか?」

 

不意のエンザの言葉、それに対して笑っていた口元を閉じ、返答に少しだけ間を置いて返す。

 

「俺はそういう性質じゃねぇ。高みの見物してるほうがよっぽど俺の性分に合ってるよ」

「テメェの実力は見学者ぐらいに収まらねぇだろ」

「買いかぶりすぎだってよ。それに言ったろ? 今日もあくまで顔見せだしな」

 

「こいつらも含めてな」と付け足すと、紫苑の前にフードを被った銀髪の少年と狐面に虎模様の装束に身を包んだ人物が前へと出る。

 

「チームシャドウメンバー、蛇目ルム」

 

自分が紫苑のチームメイトである事と名前だけを口にすると、それ以上は何も言おうとはしない。

 

「おいおい、ルム。初対面なんだから愛想よくしてもいいんじゃねぇか?」

「別に。名前だけでいいでしょ? 仮にそれ以上の挨拶が必要なら」

 

「これで充分でしょ」、と自分のデッキを持ちながら自信満々な様子で言ってのけた。

 

「ほぉ、チームメイトはリーダーと違って血気盛んみたいだな」

「まぁね、僕はバトルは大歓迎さ。強い人に限るけどね」

「なら試してみるか?」

「はいはい、そこまで」

 

一触即発な二人に割って入ると、咄嗟にルムを下がらせる。

 

「今日は顔見せだけだっての。悪いな、エンザもそういう訳で今日は退いてくれるか?」

「しょうがねぇな。で? そっちのもう一人は?」

 

自分の番を終えたようにルムは下がり、入れ違いにもう一人は前へと出る。

 

「初めまして。ボクの名は九尾。チームシャドウメンバーさ」

 

狐面から発せられる明るい中性的な声、だが九尾とだけ口にするその名にハルヤもエンザも不信感を覚える。

 

「九尾さん?」

「君がハルヤさんだよね? リーダーから君の事はボクの記憶にしっかり覚え込ませてもらってるよ。それにエンザさんもね。以後宜しくお願いするよ」

「宜しくっていう割には素顔を一つ見せてくれねぇんだな」

「レッドドラゴンと龍攻威のリーダー二人に対して、ボクなんか素顔を晒すのは恐れ多いよ。少なくとも、今のボクじゃあね。まぁともかくよろしくね」

「う、うん。よろしく」

 

あくまで謙遜の意味なのか、だがそれでも九尾に対しての不信感は晴れず、それはハルヤも同様の様子だったが、不信感を覚えつつも九尾に挨拶を返す。

 

「にしてもチームシャドウ、ちゃんとチームメンバーが存在してたとは驚いたぜ」

「チームメンバー見るのは確かに初めてですもんね」

「おいおい二人とも疑ってたのかよ。まぁでもこれで信用してもらえただろ?」

「まぁ一応はな。で、後残り二人は?」

「いずれ紹介するさ、言ったろ? どいつもこいつも勝手気まま。俺の言う事なんか気来やしねぇ」

「チームリーダーがそうだもんな」

「はは、否定はしねぇ。まぁ今日はこの辺でな」

 

あくまでも用件は挨拶。その要件を終えると早々にその場を後に去り、ルムと九尾もその後に続く。

 

「ハルヤ、どう思う?」

「紫苑さんの事、ですか?」

 

立ち去るその姿を見送ってすぐにハルヤに質問を投げると、回答に対して黙って頷く。

 

「元々エンザさんと紫苑さんってどういう関係で知り合ったんですか?」

 

以前からエンザと紫苑は面識があり、その経緯は同じメンバーだった吉馬やハルヤでさえも知らない。分かるのはただお互いに互いを友達として認識しているという事だけ。

 

「知り合ったのは昔、勿論バトルを通じてだ」

「紫苑さんって昔からあぁいう人なんですか?」

「無礼講なのは昔からだな」

 

基本的な性格は昔かららしいが、それでも一つ気がかりがあるのか「ただ」と付け足して言葉を続ける。

 

「あいつは傍観者で満足する様な奴じゃなかった。なんせ俺もアイツもバトル馬鹿だったし、あそこまで喰えねぇ奴じゃなかった」

「それって?」

「奴が変わった原因なのは間違いなく環境。その環境はチームメイトか、あるいは」

 

それ以上の理由はさすがにエンザにも見当がつく訳は無く、言葉を紡いだ。

 

「ハルやとにかくテメェも気を付ける事だな。紫苑はともかく、そのチームメイト。特に……あの九尾にはな」

「!」

 

紫苑以上に読めない九尾にハルヤも不信感は晴れず、エンザの言葉により一層警戒心は強まった。

 

 

***

 

 

 

 

「輝来ハルヤ、そして火龍エンザか。君が目を掛けてるのがあの二人って訳か」

「どうだった? 会ってみた感想は?」

「悪くはない、とだけ言っておこうかな。君が目を掛けるのは理由は何となく察しが付くよ」

「そうかい、なら決まりか?」

 

裏路地を歩きながら意味深な会話を交わす紫苑と九尾、そして何かを確認する紫苑に対して九尾は黙り込んだまま紫苑の先頭へ出るとそのまま振り返って前に立ち止まる。

 

「ボクが決断した所で、君は関係ない筈だよね、リーダー?」

「はっは、そうだよなぁ。俺には管轄外、それで構わねぇさ」

 

口角を上げて笑うと、そのまま九尾の横を通り過ぎて裏路地の角を曲がる。だが、その後を付けているようにもう一人の影があり、その人物も後を追うと角を曲がる。

 

「思った通りだったね」

『!』

 

だが曲がった先には紫苑と九尾の姿は無く、代わりにルムの姿があり、その人物の背後から九尾と紫苑が顔を出し、紫苑達の前にいるのはどこか小柄の女性の姿だった。

 

「いつから、気づいてました?」

 

自分の状況を正確に把握すると、その女性はそれほど驚いた様子は見せず冷静に尋ねる。

 

「気付いていたのはずっと前だよ。別に泳がせても良かったんだけどね、そろそろ目障りだったんでいい加減諦めてもらおうと思ってさ」

「そういう訳だ。何を探ってたかは知らねぇがここらで手引いてもらおうか?」

 

真っ先に質問に答えたのは九尾。それに続いて、紫苑もその女性に対して、警告するように言い放つが、当然黙って退く気はない。

 

「もし、それに従わない場合は?」

「手荒な事はしねぇ。俺達はカードバトラー、揉め事や争い事も決めるのは一つだ」

 

言い放つと同時にその真意を即座に理解したのか、紫苑もその女性もほぼ同時にデッキを取り出す。

 

「察しが良くて何よりだ。やる前に名前ぐらい聞かせてもらおうか?」

「時雨雪、それが僕の名です。そちらの自己紹介は不要ですよ、紫苑さん?」

「手間が省けて助かるぜ、なら当然俺達のバトルも場所も把握してるだろうな?」

 

雪と名乗る女性は黙って頷き、「ならついて来い!」とすぐ近くのステージまで場所を移すと、そこで互いにフィールドに上がってデッキを台座にセットする。

 

「この場所なら邪魔は入らねぇ。人目にもつかねぇし、神子達BCOの連中にも嗅ぎ付けれねぇさ」

「まさかこんな場所にまでバトルフィールドがあるなんてね」

「白々しい。とっくに調べてはいたんだろう。まぁこのスタジアム自体は空き家同然だったのを俺等が勝手に拝借して、フィールドは俺等が用意したんだけどな」

 

一方でルムと九尾の二人は先にステージの観客席に腰掛け、雪は二人を一瞥しつつも対戦相手である紫苑を見る。

 

「一ついいですか? このバトル、何故あなたが真っ先に出てきたんですか?」

「不服か?」

「そういう訳ではないです。ただ、アナタは傍観すると思ってましたから」

「気にするな、たまにはそうい事もあるってだけだ。それより、俺からも一つ聞かせてもらっていいか?」

「えぇ、どうぞ」

「テメェが知りたい一番の情報は何だ?」

「……調べる以上、全てに決まってます。何もかもすべて」

「はっ、俺達のチーム名はシャドウ。つまり影だ、影を探ったって出るものなんかありゃしねぇ、それにどの道、負ければこれ以上お前等ができる事は無くなるさ」

「あくまでも、私が負けたらの話ですよね?」

 

互いに一方も引かない様子だが、その様子を傍観してる九尾は、やれやれと手を上げながら紫苑の様子を呆れるように見ていた。

 

「相変わらずボク等のリーダーは口数が多い。こういう時ぐらいは刹那に終わらせてほしいものだよ。君もそう思うだろ? ルム」

「僕には関係ないさ。リーダーがやるって言ったんだからそれに合わせるだけ。アンタもそうでしょ?」

「そうだね。この場においてのボク等の役職は何もない、この場の役目はリーダーの仕事さ」

 

以前何を考えているのか、九尾からはンアに一つ感情が読み取れず、ルム自身は言葉に反応する素振り一つ見せず、ただ静かにこれから始まるであろう二人のバトルをただ傍観する。

 

「さぁそろそろ始めるか」

 

一方で互いに準備を終え、時雨も構えると互いに開戦の合図を叫ぶ。

 

「「ゲートオープン界放ッ!」」

 

 

 

 

***

 

[01ターン、紫苑side]

[スタートステップ]

[ドローステップ]4枚→5枚。

 

「俺のターン、さまよう甲冑を召喚」

 

フィールドに現れるさまよう甲冑、既に死した存在でありながら甲冑を纏い、戦うその姿は亡霊武者と例えるに相応しい姿だった。

 

【さまよう甲冑】3(紫1 白1)紫、スピリット、魔影。

Lv.1(1)BP1000、Lv.2(3)BP3000。

Lv.1、Lv.2『このスピリットの召喚時』

自分はデッキから1枚ドローする。

Lv.1、Lv.2

このスピリットの色とシンボルは白としても扱う。

 

[リザーブ]4個→0個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]4枚→5枚。

 

「召喚時効果で1枚ドロー。これでターンエンドだ」

 

[手札]4枚→5枚。

[フィールド]さまよう甲冑Lv.1(1)BP1000。

 

 

 

 

[02ターン、時雨side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]4個→5個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

 

「メインステップ、機兵フルングニル、さらに神機ゲイボルグをそれぞれ召喚します」

 

一体はホバーボードを乗りこなす機械兵型のスピリット、フルングニル。もう一体は神話に語り継がれし兵器の名を持つスピリット、ゲイボルグ。

 

【機兵フルングニル】2(2)白、スピリット、武装。

Lv.1(1)BP1000、Lv.2(2)BP2000、Lv.3(3)BP3000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3:フラッシュ『相手のアタックステップ』

このスピリットを疲労させることで、このターンの間、自分のスピリット/アルティメット1体をBP+(このスピリットのBP)する。

Lv.2、Lv.3

バトルしていない疲労状態のこのスピリットは相手のスピリット/マジックの効果を受けない。

 

【神機ゲイボルグ】3(2)白、スピリット、武装。

Lv.1(1)BP3000、Lv.2(2)BP6000。

Lv.2【強化】

自分の「スピリット回復効果」の体数を+1体する。

 

[リザーブ]5個→0個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]5枚→3枚。

[フィールド]機兵フルングニルLv.1(1)BP1000、神機ゲイボルグLv.1((S1))BP3000。

 

「私はこれでターンエンドです」

「白デッキ使いか、攻めてこないのもやはり守り重視って訳か?」

「まだお互い最初のターンです。そう判断するのは早計すぎませんか?」

「確かにな。まぁ口が軽いのが俺の性分だ、早計なのもそのせいかもな」

「口が軽いですか……。その割には、あなたの心情は何一つ理解できませんけどね」

 

まるで紫苑の事を見透かしたような言葉、それが引っかかったのか、「それはどういう意味だ?」、と涼しげな表情で尋ねる。

 

「いえ、別に非難してるわけではないです。ただ、まだ出会って間もないですけど、あなたの言葉から、何一つあなたの心を察せない、そう思っただけです」

「んな事言われたのは初めてだな。案外カウンセラーとかに向いてるかもな。アンタ」

「さぁ、それは分かりませんが、あなた自身、自分の本心を他人に語るつもりはないでしょう?」

「さぁな。まぁ無駄話は飽きちまう。さっさと続けようか?」

 

 

 

 

[03ターン.紫苑side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]0個→1個。

[ドローステップ][手札]5枚→6枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]3個→0個。[リザーブ]1個→4個。

 

「メインステップ、ソウルホースをLv.2で召喚。さらにさまよう甲冑をLv.2にアップ。最後にバーストをセットだ」

 

【ソウルホース】1(紫1 赤1)紫、スピリット、魔影。

Lv.1(1)BP1000、Lv.2(2)BP2000。

このスピリットは赤のスピリットとしても扱う。

 

[リザーブ]4個→0個。

[手札]6枚→4枚。

[フィールド]さまよう甲冑Lv.2(3)BP3000、ソウルホースLv.2(2)BP2000。

 

 

 

 

[04ターン、時雨side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]0個→1個。

[ドローステップ][手札]3枚→4枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]3個→0個。[リザーブ]1個→4個。

 

「僕のターンです。鉄砲機兵タネガシマを召喚します」

 

[リザーブ]4個→3個。

[手札]4枚→3枚。

 

【鉄砲機兵タネガシマ】1(1)、白、スピリット、機巧/武装。

Lv.1(1)BP3000、Lv.2(2)BP5000、Lv.3(4)BP7000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3

お互いのデッキは破棄されない。このスピリットにソウルコアが置かれている間、さらに、このスピリットは、相手のスピリット/アルティメット/ネクサスの効果を受けない。

 

また新たに現れるスピリット、さらに続け様にもう一枚のカードに手を掛ける。

 

「マジック、リロードコアを使用します」

 

【リロードコア】5(2)、白、マジック。

『メイン効果』系統:武装を持つ自分のスピリット1体につき、ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く。

『フラッシュ効果』このターンの間、スピリット1体をBP+3000する。

 

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]4枚→2枚。

 

「武装を持つスピリットは現在三体、ボイドからコア3個をリザーブに追加。さらにそのコアで鉄砲機兵タネガシマをLv.3にアップ」

 

[リザーブ]3個→0個。

[フィールド]鉄砲機兵タネガシマLv.3((S1(3)BP5000、神機ゲイボルグLv.2(1)BP5000、機兵フルングニルLv.2(1)BP2000。

 

「へぇー、白マジックでコアを増やして、どこまでも堅実な戦略だねぇ」

「続けていいですか?」

「はいはい、アンタはお喋りは不要みたいだな。まっ、バトルを続けてどうぞ」

「では遠慮なく」

 

アタックステップ開始を意味するように手を紫苑へと向けると、時雨のスピリット達は一気に戦闘態勢に切り替わる。

 

「神機ゲイボルグでアタック!」

「ライフで受けるぜ」

 

初手の一撃、ゲイボルグの槍が展開されたバリアを貫き、破壊する。

 

[紫苑side]

[Life]5→4。

[リザーブ]0個→1個。

 

「続けます。鉄砲機兵タネガシマでアタック!」

「そいつはさまよう甲冑でブロックさせる」

 

[Battle]鉄砲機兵タネガシマLv.2((S1)1)BP5000vsさまよう甲冑Lv.2(3)BP2000。

 

「フラッシュタイミングだ、手札から妖花吸血爪を使う。不足コストはさまよう甲冑から確保だ」

 

[リザーブ]1個→0個。

[フィールド]さまよう甲冑Lv.2(3)BP3000→さまよう甲冑Lv.1(1)BP1000。

[トラッシュ]0個→3個。

 

「手札を1枚破棄。効果で機兵フルングニルのコアをトラッシュに送るぜ」

 

[手札]4枚→2枚。

 

コアを失った機兵フルングニルはその場から消滅するが、一方でタネガシマとさまよう甲冑のバトルに影響はない。そのままBPで上回るタネガシマはさまよう甲冑の振り下す刀を銃で受け止めて弾き返すと同時に手に持つ銃の火縄を着火させ、構えると同時に発砲。銃弾は身に纏った甲冑を貫き、さまよう甲冑は爆発四散する。

 

「相手による自分のスピリット破壊後でバーストだ! アルティメットランスロット!」

 

【アルティメットランスロット】6(3)極、アルティメット、魔影。

Lv.3(1)7000、Lv.4(3)10000、Lv.5(5)BP13000

【召喚条件:自分の紫のスピリット1体以上】

【バースト:相手による自分のスピリット/アルティメット破壊後】

自分のトラッシュにある系統:「魔影」を持つスピリットカード1枚を召喚できる。この効果発揮後、このアルティメットカードを召喚する。

【Uトリガー】Lv.4、Lv.5『相手のアタックステップ開始時』

Uトリガーがヒットした時、このターンの間、カードが下にある相手のスピリット全てはアタックできない。

 

「アルティメットランスロットはトラッシュにある魔影を持つスピリット一体をノーコストで召喚できる」

「という事は、さまよう甲冑を再召喚、という事ですね?」

 

先程バトルによって破壊されたさまよう甲冑の系統は魔影。条件を十分に満たす為、召喚は可能だが、時雨の言葉に対し、「はぁ?」と可笑しそうな表情を浮かべる。

 

「俺がさまよう甲冑を復活させるなんて一言も言ってねぇだろ? 俺が呼び出すのは、コイツだ」

「!?」

 

口元を歪めながらあるカードを指して呟くと、フィールドの地面に渦巻く暗い影、不用意に近づくとまるで吸い込まれそうに感じるソレは例えるならブラックホールのようなものだろう。そしてその黒い影の出現と共に、何か掛け抜ける音がその影から響きだす。

 

「さぁ出番だ。堕ちし闇の世界を統べし騎士よ、全ての光を断ち消せ! 闇騎神ネメシスを召喚ッ!」

 

黒き影の中、何かが駆け抜ける音は徐々に大きくなり、そして次の瞬間、ピタリとその音が止んだかと思うと、刹那に黒き影から飛び出す騎士の姿、そのスピリットこそ闇騎神ネメシスの姿。

 

「ネメシス! 何時の間にそんなカードがあなたのトラッシュに……嫌、あの時ですか!」

 

そこまで言い掛けた瞬間、先程紫苑が妖花吸血爪を使用した事を思い返し、咄嗟にマジックの効果で捨てた一枚こそネメシスであることを瞬時に察し、紫苑はそれに笑って見せた。

 

「御明察。コイツこそが俺のキースピリットだ。気づくのはワンテンポ遅かったな」

「……ターンエンドです」

 

冷静な態度でターンエンドをコールするが、状況がどちらに優勢化は明白。そのまま紫苑へとターンは移っていく。

 

 

 

 

[05ターン、紫苑side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]0個→1個。

[ドローステップ][手札]2枚→3枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]3個→0個。[リザーブ]1個→4個。

 

「ネメシスとアルティメットランスロットをそれぞれLv.2にアップ! そのままアタックステップだ!」

「!」

 

[リザーブ]4個→0個。

[フィールド]闇騎神ネメシスLv.2((S1)2)BP11000、アルティメットランスロットLv.4(3)BP10000、ソウルホースLv.1(1)BP1000。

 

「ネメシス、テメェの思う存分やってやれ!」

 

紫苑の指示にネメシスはまるで喜ぶように剣を振り回しながら、手綱を引くとそのまま時雨へと向かって行く。

 

「ネメシスのアタック時効果! 【毒刃】発揮ッ!!」

 

剣に瘴気を集わせ、そのまま駆け出しながら剣を振り下すと、時雨のデッキから2枚のカードが飛び出し、そのカードは時雨のスピリットであるゲイボルグに取り込まれる。

 

【闇騎神ネメシス】8(4)紫紫、スピリット、魔影。

Lv.1(1)BP7000、Lv.2(3)BP11000、Lv.3(4)BP14000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3【毒刃:2】『このスピリットのバトル時』

相手のデッキの上からカード2枚を裏向きで相手のスピリット/アルティメットの下に置く。下のカードはそのスピリット/アルティメットがフィールドを離れる時、破棄する。

Lv.3『このスピリットのアタック時』

このスピリットがブロックされた時、相手のスピリット/アルティメット全ての下にあるカード3枚につき、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置く。

 

「ネメシス、メインのアタックだ!」

「ライフで受けます!」

 

一気に飛び上がると展開されたバリアへと圧し掛かり、自身の体重に加えそのまま、剣の一撃を加えて、時雨のライフを2つ破壊する。

 

[時雨side]

[ライフ]5→3

[リザーブ]0個→2個。

 

「ぐっ!」

「ターンエンド」

 

 

 

 

[06ターン、時雨side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]2個→3個。

[ドローステップ][手札]2枚→3枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]4個→0個。[リザーブ]3個→7個。[フィールド]鉄砲機兵タネガシマ回復。

 

「……闇騎神ネメシス、それがあなたのキースピリットですか」

「あぁ、それがどうかしたか?」

「……闇の神、あなたのキースピリットという点では納得できるスピリットです」

「やけに含みのある言い方じゃねぇか。さっきからテメェは一体俺の何を探ってんだ?」

「…………」

「黙秘か。まぁいいぜ、でもバトル中だ。余計な詮索はなしにしようぜ?」

「えぇ、でもそれはお互いに、ですね」

 

不穏な空気を漂わせながらも、会話をそこで切り上げてバトルに戻る。

 

「キースピリットを出して優勢気取りかもしれませんが、そこまでです。まずはバーストセット、そしてタネガシマをLv.2にダウンさせます」

「!」

「眩く照らすは王者の凱光! 究極の翼で白銀の空に昇れッ! アルティメットグランウォーデン! Lv.4で召喚ッ!」

 

ネメシスの時とは真逆に空に昇る白い光、白銀の翼を広げて雲を裂き、眩いその姿を映し出す究極の姿────アルティメットグランウォーデン。

 

[手札]3枚→1枚。

[リザーブ]10個→0個。

[トラッシュ]0個→5個。

[フィールド]アルティメットグランウォーデンLv.4(3)BP20000、神機ゲイボルグLv.1(1)BP3000、鉄砲機兵タネガシマLv.2((S1)1)BP5000。

 

「へぇ、アンタのキーカードはアルティメットか」

「えぇ、お互いに切り札が出そろい、これでお互いイーブンです」

「いいぜぇ? さっさと来な!」

 

「遠慮なく」、そう言ってアタックステップを開始させたと同時に、突如アルティメットランスロットは剣を構えて、その眼光を輝かせる。

 

「この瞬間! アルティメットランスロットの効果発揮だ!」

「!」

「アルティメットトリガー、ロックオン!」

「コスト4、氷雪サークル」

「ヒット!」

 

カードを撃ち抜くような仕草を取ると同時にアルティメットランスロットは掲げた剣を振り下すと、地面から突如茨が飛び出し、それはゲイボルグを拘束し始める。

 

「!」

「裏向きのカードを入れられてるゲイボルグはこのターン、アタックはできねぇぜ?」

「だったら! アルティメットグランウォーデン、アタックです!」

 

臆することなく果敢にキーカードであるアルティメットグランウォーデンに指示を出すと、白銀の翼を広げ、一瞬で空へと飛び出すと、両腕の砲台を紫苑へと構える。

 

「今度はこっちの番です。アルティメットグランウォーデンのアルティメットトリガー、ロックオン!」

「!」

 

【アルティメットグランウォーデン】8(4)極、アルティメット、新生/武装。

Lv.3(1)BP15000、Lv.4(2)BP20000、Lv.5(5)BP30000

【召喚条件:自分の白スピリット1体以上】

【Uトリガー】Lv.3、Lv.4、Lv.5『このアルティメットのアタック時』

Uトリガーがヒットした時、トラッシュに置いたカードのコストと同じ体数の相手スピリットを残し、他の相手のスピリット全てをデッキの下に戻す。

【クリティカルヒット】:ヒットしたカードのコストが3以上なら、さらに相手のスピリット3体を手札に戻す。

Lv.5『このアルティメットのアタック時』

系統:「武装」を持つ自分のスピリット1体を疲労させることで、相手のバースト1つを破棄する。

 

やられたらやり返す、そう言わんばかりにアルティメットトリガーを発動させると、紫苑のデッキの上のカードを吹き飛ばすと、咄嗟にそのカードを手に取る。

 

「コストは?」

「ハッ、ソウルホース。コストは1だ」

「ヒット! 効果によりスピリットが一体になるようデッキボトムに送ります!」

「アルティメットランスロットは対象外。だったら俺はソウルホースをデッキ下に送るぜ」

 

「残念だったな! 俺のネメシスは除去できてないぜ!」

「ですがまだアルティメットグランウォーデンのアタックは続いています!」

「そいつはアルティメットランスロットでブロックだ!」

 

[Battle]アルティメットグランウォーデンLv.4(3)BP20000vsアルティメットランスロットLv.4(3)BP10000

 

アルティメットランスロットはその場にしゃがみ込んだかと思うと、まるで足をバネのように一気に空中へ飛び上がると、剣を構えてそのままアルティメットグランウォーデンへと迫り、突きを構えるが、上空に高く飛び上がるアルティメットランスロットとは対照的に、アルティメットグランウォーデンは翼を下ろして、急速に降下し、アルティメットランスロットが繰り出す突きが空を切った瞬間に、高度をそこで止めると、そのままアルティメットランスロットに視界を向けて両腕の砲台を構えると、そのまま空中で身動きの取れない相手に向けて一気に撃ち放ち、破壊する。

 

「まだです。タネガシマでさらにアタック!」

「ライフだ!」

 

タネガシマによる追撃、火縄銃を構えて展開されたライフを射ち貫くと紫苑のライフを破壊する。

 

[紫苑side]

[Life]4→3。

[リザーブ]3個→4個。

 

「ちッ!」

「これでターンエンドです」

 

 

 

 

[07ターン、紫苑side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]4個→5個。

[ドローステップ][手札]3枚→4枚。

[リフレッシュステップ][フィールド]闇騎神ネメシス回復。

 

「メインステップだ。もう一度バーストセット。さらにネメシスをLv.3にアップして、さまよう甲冑を召喚。召喚時効果で1枚ドローだ!」

 

[手札]2枚→3枚。

[リザーブ]5個→0個。

[フィールド]闇騎神ネメシス、さまよう甲冑。

 

「闇騎士ネメシスでアタック! そして【毒刃】発揮! 今度もゲイボルグにカードを2枚裏向きで入れる!」

「!」

 

再び2枚のカードを取り込まさせられ、まるで苦しむようにふらつき、そのまま力無くに項垂れる。

 

「ゲイボルグでブロックします!」

 

[Battle]闇騎神ネメシスLv.3(5)BP14000vs神機ゲイボルグLv.1((S1)1)BP5000

 

自らの形状を槍に変形させそのままネメシスに突っ込むが、流石に力の差は歴然。いとも簡単にその一撃を簡単に弾き返し、ネメシスにとってゲイボルグではまるで相手にならなかった。興味が失せたようにゲイボルグから視線を外し、そのまま時雨に向けて剣を構え始める。

 

「ブロックしたな? ならネメシスの効果発揮だ! ブロックされた時、相手スピリットの下にあるカード3枚につき、ライフを1つ破壊する!!」

 

構えた剣が輝き始めると、そのままその光を斬撃波として一気に撃ち出し、咄嗟にバリアが展開されるも、斬撃波は一瞬で展開されたバリアを切り裂き、ライフを破壊する。

 

[時雨side]

[ライフ]3→2。

[リザーブ]0個→1個。

 

「ハッ! そしてメインのバトル! BP差は圧倒的だ、ネメシス、決めちまえッ!」

「……いえ、決めるのはこっちです! ライフ減少時により、バースト発動!」

「!?」

「マジック、次元断! バースト効果により、さまよう甲冑を手札に!」

 

【次元断】4(2)、白、マジック。

【バースト:自分のライフ減少時】

相手のスピリット1体を手札に戻す。その後コストを支払う事で、フラッシュ効果を発揮する。

『フラッシュ効果』このバトルの間、自分のライフを減らした相手のスピリット1体を破壊する。または、このバースト発動時に自分のライフを減らした相手のスピリット1体を破壊する。

 

トリガーが引かれたバーストカードを手に取ると、即座にその効果を発動させると、さまよう甲冑はその場から吹き飛ばされ、紫苑の手札へと戻されるが、バーストの効果はそれだけではない。

 

「コストを支払う事で、このバースト発動時に自分のライフを減らした相手スピリットを破壊する! 不足コストはアルティメットグランウォーデンから確保!」

「!!」

 

[フィールド]アルティメットグランウォーデンLv.4(3)BP20000→アルティメットグランウォーデンLv.3(1)BP15000。

 

次元断を発動させると同時に、アルティメットグランウォーデンは片膝を突きながらもその眼光を輝かせると、片腕の砲台を構え、粒子砲を集束し始めたかと思うと、集束された粒子砲はさながら刃の如く、地面を切り裂きながらこちらに向かって駆け出すネメシスに対し、粒子の刃を一気に振り上げ、巨大な刃と化した得物に避ける術はなく、ネメシスは両断され、その場で大爆発を起こす。

 

「(ネメシスの効果を知った上で、ライフ減少時のバーストに繋げたのか!?)」

 

肉を切らせて骨を断つ、当然ネメシスが先にマジックの効果で破壊された事でゲイボルグはバトルによる破壊を免れ、逆に紫苑は自分の場のスピリットを全滅させられてしまい、これ以上の打つ手はなかった。

 

「…………」

 

目の前でキースピリットが破壊され、フィールドはがら空き状態。だがそんな光景を目の当たりにしても、多少驚いたように目を見開くだけでそれ以上のリアクションをすることは無く、キースピリットの破壊に何も感じていないか、または感情を表に出さないだけのか、紫苑の真意は対戦している時雨でも全く分からなかった。

 

「キースピリットが破壊されたっていうのに、あまり落ち込んでるようには見えませんね」

「それは、俺が冷たい人間って意味か?」

「……いえ、そういうつもりはないです。ただあなたが今何を考えているのか、それが分からないだけです」

「まだ俺なんかを理解しようとしてたのかよ。アンタも物好きだな」

 

物可笑しそうに笑って見せながらも、相変わらず食えない態度で、「だが」と言葉を続けて行く。

 

「残念だが幾ら俺を理解しようとしたとこで無駄だ。俺の腹の中なんて誰にもわかりゃしねぇ。嫌、そもそも分かってもらおうとも思っちゃいない」

「何故そこまで自分を隠すのですか?」

「ハッ、自分を隠すだと? 面白れぇこと言うなぁ。なら逆に聞くがテメェは他人に自分の全てを理解してもらっていると本気で言えるか?」

「?」

「人間ってのは大なり小なり隠し事を抱えてる生き物だ。だからこそ、何考えてるかも読み切れないものがあるから面白い。隠し事一つもねぇ正直者なんて、ただつまらねぇだけだ!」

 

口角を上げて、不敵に発言するとそのままターンエンドをコールし、紫苑の発言に対し時雨はますます警戒の色を隠せなかった。

 

「それがあなたの考えなのですね。成程、ハッキリしました」

「?」

「僕とアナタではまるっきり考えが正反対みたいですね。ならばこそ、このターンであなたを倒すことに躊躇いはない!」

「へぇ、言ってくれんじゃねぇか!」

 

 

 

 

[08ターン、時雨side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]1個→2個。

[ドローステップ][手札]1枚→2枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]8個→0個。[リザーブ]2個→10個。[フィールド]アルティメットグランウォーデン回復。

 

「メインステップ、オートマチックガンナーをLv.2で召喚、さらに全てのスピリットとアルティメットグランウォーデンを最高Lvにアップ」

 

[手札]2枚→1枚。

[リザーブ]10個→0個。

[フィールド]アルティメットグランウォーデンLv.5(5)BP30000、鉄砲機兵タネガシマLv.3((S1)3)BP7000、神機ゲイボルグLv.2(2)BP6000、オートマチックガンナーLv.2(2)BP2000。

 

「アタックステップ! アルティメットグランウォーデンでアタック! アタック時、アルティメットトリガー、ロックオン!」

「ッ! コスト5、マークオブゾロ」

「ヒット!」

 

アルティメットトリガーがヒットするが、既に紫苑の場にはスピリットは無く効果を使うまでもない。本命の効果はその先にある。

 

「さらにアルティメットグランウォーデン、Lv.5の効果。オートマチックガンナーを疲労することで相手のバーストを破棄します」

 

再び砲台を構えて、伏せられたバーストカードを撃って吹き飛ばし、バーストが破棄され、ブロッカーも既に紫苑の場にはない。残りライフは3つ、全ての攻撃が決まれば、バトルは時雨の勝利で間違いなく幕引きとなるだろう。

 

 

 

 

だがあくまでも決まれば、の話。

 

「……宣言した筈だ、読み切れない物があるから面白いと。バトルだってそうだ、最後まで明かしてねぇとっておきで勝負を決められたなら、そいつはさぞ痛快になるだろうぜ」

「!?」

 

意味深な言葉、咄嗟に警戒するように構えるが、紫苑にとってもう成すべき準備はできている。口角を上げて大きく笑って見せる。

 

「身構えなくてもすぐに分かるさ、引き金は引かれた!」

「一体を何を!?」

「バースト発動! 丙の紫煙巨人!!」

 

吹き飛ばされた筈のバーストが紫苑の元に突如舞い戻ったかと思うと、そのバーストを発動させ、フィールドに紫の瘴気が形となって集い始めると、それは形となり、その中心に見開かれる眼光、紫煙巨人の姿だった。

 

【丙の紫煙巨人】7(3)紫、スピリット、十冠/霊獣。

Lv.1(1)BP5000、Lv.2(3)BP8000、Lv.3(6)BP10000。

セットしているこのカードは、相手によって破棄された時、バースト条件を無視して発動できる。

【バースト:相手による自分のスピリット破壊後】

疲労状態の相手のスピリット/アルティメット1体と、相手の合体しているブレイヴ1つを破壊する。この効果発揮後、このスピリットカードをコストを支払わずに召喚する。

Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック/ブロック時』

このスピリットをBP+5000する。

 

「どうして、確かにアルティメットグランウォーデンの効果で破棄した筈!」

「引き金は引かれたと言ったろう。こいつはライフ減少時で発動するバーストだが、それとは別に、相手の効果によって破棄された時にも発動される!」

「バースト破棄された時が、トリガー!?」

「さぁ、バースト効果だ! 相手の疲労状態のスピリット、又はアルティメット一体を破壊だ! グランウォーデン!!」

 

紫煙巨人は迫るアルティメットグランウォーデンに対して手を翳すと、その体に瘴気がまとわりつき始め、紫煙巨人が翳した腕を徐々に閉じて行くと、体にまとわりつく瘴気はまるで拘束具のように徐々に締め付ける力を強めていく。

 

「グランウォーデン!」

 

アルティメットグランウォーデンの動きは完全に空中で静止、と同時に最後に紫苑は「殺れ」、と止めを促すように囁くと、そのまま紫煙巨人は無慈悲にその手を握り締め、アルティメットグランウォーデンは完全に締め潰され、その場で爆発四散する。

 

「ッ! ターンエンド」

 

キースピリットを破壊され、これ以上追撃するべきではない。そのままターンを終え、続く紫苑のターン。

 

 

 

 

[09ターン、紫苑side]

[スタートステップ]

[コアステップ]8個→9個

[ドローステップ]1枚→2枚。

 

「メインステップ。そろそろ終いにしようか。闇を呼び込む深淵の使者、獄土の魔導士ディナイアル、召喚」

 

[リザーブ]9個→3個。

[トラッシュ]0個→5個。

[手札]2枚→1枚。

 

暗い闇から這いずるように現れるディナイアル。死霊の魂を傍らに付き添わせながらその不気味な姿を見せる。

 

「ディナイアルの召喚時効果発揮、【ソウルドライブ】! リザーブにあるソウルコアを除外!!」

「ソウルコアを!?」

 

【獄土の魔導士ディナイアル】6(紫2 極2)極、アルティメット、邪神/魔影。

Lv.3(1)BP10000、Lv.4(2)BP14000、Lv.5(4)BP16000。

【召喚条件:自分のライフ3以下】

Lv.3、Lv.4、Lv.5『このアルティメットの召喚時』

【ソウルドライブ】自分のリザーブのソウルコアをゲームから除外すると、相手のスピリット/アルティメット1体のコア全てを相手のリザーブに置く。この効果で置いたコア1個につき、自分のトラッシュにある紫のスピリットカード1枚をコストを支払わずに召喚できる。

Lv.4、Lv.5『このアルティメットのアタック時』

疲労状態の相手のスピリット1体を破壊する。

 

ソウルコアを手に取ってフィールドのディナイアルに投げ入れると、ディナイアルはソウルコアを粉々に砕きその眼光を輝かせる。

 

「ソウルドライブ! オートマチックガンナーを対象に効果発揮。そのスピリットのコア全てをリザーブに送る!」

 

宣言と共に紫の瘴気を含んだ沼がオートマチックガンナーを引き摺り込み、闇の中に呑み込まれてしまう。

 

「さらに効果だ、この効果でリザーブに送ったコア1個につき、トラッシュの紫のスピリットを一体召喚できる」

「!」

 

オートマチックガンナーに置かれていたコアは2個。よってトラッシュのスピリットを2体まで召喚可能だが、紫苑は呼び出すべきスピリットは決まっている。

 

「安心しろよ、出番は主役は1役、なら登場も1体だけでいい。つー訳でディナイアル、お前も主役の出番に立ち退いてもらうぞ?」

「一体何を!!」

「あぁ? 分かり切ってるだろうだが、呼び出すスピリットは俺のキースピリット!! 再び冥府より舞い戻れ、闇騎神ネメシス、Lv.2で召喚ッ!!!」

 

ディナイアルから維持コストを確保し、ディナイアルはその場から消滅するとー、先程オートマチックガンナーを呑み込んだはずの沼は徐々に広がり始め、そこから闇騎神ネメシスが再び飛び出す。

 

「!!」

「アタックステップだ、ネメシスでアタックッ! そして【毒刃】の効果発揮だ!」

 

再度2枚のカードがゲイボルグに取り込まされ、ネメシスが迫り来るが時雨にとって、その攻撃を止める以外に手はなかった。

 

「鉄砲機兵タネガシマでブロック!」

「無駄だ、ブロックした瞬間ネメシスの効果発揮! 下に置かれてるカード、3枚につき相手のライフのコア一つをトラッシュに送る!」

「しまった! ゲイボルグに置かれてるカードは合計6枚!!」

「そういう事だ、どの道アンタの幕引きは決められてんだよ、これでエンドだ!」

「!」

 

そのまま立ち塞がるタネガシマごと時雨に向けて斬撃波を撃ち放つと、剣撃は目の前のタネガシマを両断し、そのまま時雨の残るライフをも両断してしまう。

 

 

 

 

「約束だ。バトルは俺の勝ち、これ以上俺達の詮索は無し、いいな?」

「……分かりました」

 

バトルに負けた以上、相手の要求を拒否する権限は無い。大人しくステージを降り、入り口に向けて歩き出す。

 

「……紫苑さん、一つだけ僕が探りたかったことを教えます」

「?」

「バトルする前に、僕にこう言いましたよね? 影を探っても出てくるものは無いと」

 

一端その場に足を止めて、時雨の言葉に「あぁ」と相槌を返す。

 

「けど、影は何もない場所からはできない。光があるからこそ影が存在する。だから僕が知りたかったのはそれなんですよ、あなたの言う影を作り出した光を」

「!」

 

「あなた風に言えばね」と付け足して、そのまま止めた足を再び動かし、一瞬呼び止めようと声を出しかけるが、気にする事ではないと言い聞かせて、呼び止めようとした言葉を呑み込み、時雨は構うことなくその場を立ち去った。

 

「甘いんじゃないのかい?」

 

バトルを終えて、その場に立ち尽くす紫苑に対し九尾が声を掛ける。その声は平淡ながらも、どこか不服そうに感じ取れた。

 

「役目は果たした。それでいいだろ? それ以上の事は、俺の役目じゃねぇ」

 

どういう意図の言葉なのかは読み取れないが、九尾も一応はその言葉に納得したようにそれ以上は突っ込むことは無かった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

『詮索は失敗したようだな』

 

一方でスタジアムを後にし、帰路を辿る時雨の前に一人の人物が立つ。

 

「すみません、白竜さん」

 

その人物は白髪に白いジャケットを着こんだ一人の少年、白竜。時雨はその少年に対してその場で頭を下げるが、白竜自身は気にしている様子がないように、「構わない」と呟く。

 

「いずれこうなるとは思っていた。まぁ、想定以上に速かったが、どの道遅かれ早かれだ」

「では素直に手を引くという事ですか?」

「あぁ。事情は把握している。バトルに負けた条件である以上、これ以上奴等の詮索には手が出せない」

「申し訳ありません」

「気にするな。俺もあの男自身が仕掛けてくるとは思ってなかった。それに、奴等の詮索が駄目でも、他に探るべきところは山程ある」

 

「行くぞ」と、時雨もその後に続きその場を後にする二人。チームシャドウ、そして時雨と白竜の二人組。彼らはそれぞれ何を隠し、何を探すのか、それを知る者は誰もいない。

 

 





お久しぶりです、ブラストです。長らく更新遅れておりました。お待ちいただいてた方には大変申し訳ありません。気づけば6か月、ほぼ半年遅れの更新となってしまいました。

気付けばバトスピアニメも終わり、リアルも色々ありモチベが上がっていないこの頃でした。本当にすみません……。


今回の話如何でしたでしょうか?今回は初の紫苑のバトル回でした。いつもはおちゃらけてる感じの紫苑ですが今回はまじめなシリアルでのバトル。性格は前作のダイキと同じっぽいですが、彼は彼でダイキとはまた違う心情があるのでご期待いただければと。

今後はもっと早く更新できるよう心がけるつもりです。どうか今後とも問う作品をよろしくお願いします。

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