バトルスピリッツ・ギガリーグ   作:ブラスト

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・以下注意。
誤字、プレイミスありかも。
バトル表記が人によっては分かりずらいかも。

それでも大丈夫という方はどうか温かい目で見てもらえると幸いです。発見したミスやバトル表記などのご指摘気軽にお待ちしております。







第1章 開戦チームバトル
No01.勝利目指せ! 剣神無双乱舞


今世界で最もにぎわうカードゲーム、バトルスピリッツ。近年、これまでに無い程の盛況振りで多くのカードバトラー達が日々凌ぎを削り合っていた。

 

『ディストルクシオンでアタック!』

『ら、ライフで受ける! うわっ!!』

 

ここもまたバトスピが賑わう街の一つ、名を高天原。ここでもバトスピが繰り広げられ、バトルでは青髪の少年が扱うディストルクシオンが橙色髪の少年の最後のライフを破壊し、衝撃に思わず吹っ飛ばされる。

 

「痛ったたた……」

「アハハハハハッ! ごめんねぇ? 強くてさぁッ!」

 

どこかステージのような場所で繰り広げられるバトル、まるで大会のように周りには大勢の歓声客。ディストルクシオンの攻撃が決着を付け、バトル後に湧き起こる歓声に勝者である青髪の少年は嬉しそうに笑いながら手を振っている。

 

『さぁチームレッドドラゴンvsチームネオ、先鋒戦はチームネオ、水海アオト選手の勝利! 実況は私、犬神紅葉、解説は姉の犬神神子でお送りしております』

『はい、解説の神子でございます。初戦はあっさりと決まりましたね、アオトさんの戦略に対戦相手である輝来ハルヤさんは打つ手なしと言ったところでしょうか』

 

ステージの真ん中に設けられた実況台で語る二人の少女、解説の様子や先程のバトルのリプレイをどこから映してるのか、ステージのモニター、そしてネットを通じて全国に配信されていた。

 

『続く中堅戦、レッドドラゴン巻き返しなるか!』

 

数年の時を経て、バトルスピリッツはさらに進化し、バトルフィールドはバトルスタジアムへと姿を変え、そして今では腕に自慢のあるバトラー達はそれぞれが複数人によるチームを作り、チーム毎にランキングが付けられ、自分達が一番にならんと競い合うランキングバトルへと姿を変えていた。

 

そして続く中堅戦に先程戦った少年二人は舞台から降り、入れ違いになるように別の少年と少女がステージに上がる。

 

「龍王ジークフリードでアタックだ!」

「ダークティラノザウラー!! お願い、守って!!」

 

互いに頭突き合う二体のスピリット、ダークティラノザウラーはジークフリードを蹴り飛ばし、倒れたジークフリードの首元に喰らい付くと、そのまま破壊し、決着したバトルに安心するように少女は一息つくが、その様子に「甘い!」と少年が一喝。

 

「まだ俺のアタックは終わってない! 今度は極龍帝ジークソルフリードでアタック!」

「!」

 

ほっとしたのも束の間、直ぐに次の攻撃が仕掛けられ、少女の場には防ぐ手立てはなく、攻撃を喰らいライフが全て破壊され決着となる。

 

『レッドドラゴン、中堅戦は吉馬桜選手が勝利! そして最後は大将戦! チームリーダー同士の対決です!』

 

観客達動揺、実況の声にも力が入る。盛り上がる場の中、互いのチームリーダが前へと出ると、バトルは直ぐに開始された。

 

「オラァ! ゴッドスレイヤードラゴンでアタックだッ!! テメェのネクサスを破壊して、回復だ!」

「ディアボリカマンティスでブロック!」

 

 

続く試合は既に終盤、ディアボリカマンティスの鎌をゴッドスレイヤードラゴンは右手の盾で受け止めて弾き返すと、そのまま防いだ盾で直接ディアボリカマンティスを殴りつけ、重く鈍器のように振るわれた盾にディアボリカマンティスは地面に叩き付けられ破壊。そして続く再アタックで相手の残りライフを破壊しバトルに決着を付ける。

 

『決まりましたぁ!! チームレッドドラゴンあっという間に二連勝で見事に逆転!! お姉ちゃn────じゃなくて、解説の神子さんも一言』

『はい。チームレッドドラゴン、その実力を見せつけたという所でしょうか? 赤属性の力に見事押し切られましたね』

 

実況に合わせて観客達の声がさらに会場中に響く中、負けた対戦相手の少女は残念そうにしているが、チームリーダーは励ますように少女の肩を叩く。

 

「スグル……ごめん。私、勝てなかった」

「アカネ、気にするな。次は勝とうぜ」

「うん」

 

アカネと呼ばれる大人し気な金髪の少女にリーダーであるスグルは優しく頭を撫でながら励ますが、その様子を傍観している青髪の少年、アオトは頬を膨らませ、気に入らないようにムッとした様子。

 

「ったく、スグルもアカネも何やってんだよ、ボケッ! 折角僕が一勝したのに無意味じゃんか!」

「はいはい、悪かったな。お詫びになんか美味い物でも奢ってやるよ」

「言ったね? お詫びなら僕、遠慮しないからな!」

「嘘じゃないって、ほら早く行こうぜ?」

 

チームリーダーである緑髪の少年はまるで兄のように二人を引っ張り、その場を後にする三人、一方で唯一チームの中で敗戦してしまった少年、輝来ハルヤは俯きながらデッキを見つめ、「また勝てなかった」と静かに呟くが……。

 

「何泣いてんだよ、弱虫」

「!!」

 

その辛辣なコメントに「泣いてなんかないよ!」とすぐさま否定して振り返り、彼に言葉を掛けたのは、中性的な顔立ちにハルヤと同じぐらい低い背の少年、ハルヤと同じくレッドドラゴンのチームメンバーで名前は吉馬桜。

 

「いつまでも負け続き、いつになったら勝てるようになるんだよ?」

「も、もっと強くなるよ!」

「それって、何時になる話だ?」

 

幼い見た目とは裏腹の毒舌、ハルヤもその言葉に食い下がって見せるがその毒舌には押され気味。そんな言い合う二人だったがそこへ。

 

「コラァ! チビ!」

「「!!」」

 

突然背後から響き、思わず耳を紡ぐ程の大きな怒声。それにハルヤはビクッと肩を震わせ、恐る恐る体を振り返らせると、そこには赤髪の不良のような見た目の少年の姿が。

 

「り、リーダー……!」

「今日もテメェだけ黒星だ! 分かってるか?」

「はい、ごめんなさい! リーダー!!」

 

彼がリーダーと呼ぶ男、呼ばれた名の通り彼こそレッドドラゴンのチームリーダーにして、名を火龍エンザ。威圧するような彼の言葉にハルヤは怯えながらも、声だけは張り上げ必死に謝罪し、ハルヤの様子に少年は少しだけため息をつきながら、謝るハルヤの頭に手を置く。

 

「勝てねぇなら勝てるようになるまで付き合ってやる。だから帰ったら特訓だ。しっかり覚悟しとけよ?」

「ッ!! リーダー、ありがとうございます!」

 

不良のような見た目ながら、彼なりにハルヤを気遣う思いはあるのだろう。それが通じたのか、先程まで怯えていた表情を一変させて明るく返事を返し、エンザも笑いながら「じゃぁ猛特訓だからな」と付け足した。

 

「リーダーが言うなら、俺も特訓に付き合ってやるよ」

「吉馬、ありがとう!」

「か、勘違いすんなよ。お前の勝率が低いと足を引っ張られるってだけなんだからな!」

 

照れ臭そうにそっぽを向きながら言い放つ吉馬。言い争いながらもレッドドラゴンもまた、それなりの絆があるかのように三人の様子を同じくチームメイトの面々も見ているが、そこへ会場の空気を変えるかのように、突然実況の言葉が響く。

 

『さぁチームレッドドラゴンvsチームネオ! 勝利したのはチームレッドドラゴン! これによりランキング上位を見事に防衛することに成功しました!!』

 

マイクを握りしめ、声を大に語る紅葉の言葉。それに咄嗟にハルヤ達はステージのモニターに視界を向けると、画面にはまるでリストの様に上から順チーム名が並べられ、チームレッドドラゴンとチームネオの名前がそれぞれ同じ列に並べられていたかと思うと、チームネオの名前は下に降格していく。

 

『これでチームレッドドラゴン、チームランキング7位を維持! 他の下位チームにとっては立ちはだかる大きな壁となり、そしてさらに上位を目指す勢い! 他のチームも負けてられませんよ!』

 

湧き上がる観客達をさらに煽る様に、声を大に叫ぶ紅葉だったが、そこへ「姉さん!」と実況席に駆け寄る一人の姿が。

 

「コン太、どうかしました?」

「新しい情報掴んできたよ、はいこれ」

 

小学生ほどの小さな少年、紅葉達の弟なのか、駆け寄り神子に一枚の手紙を渡すと、それを手に取って内容を一通り読み終えると、面白そうに口角を上げる。

 

「紅葉、これを!」

「!!」

 

自分が読み終えた手紙を今度は紅葉に手渡すと、彼女もまたその内容に一瞬驚きつつ、面白そうに口角を上げた。

 

『さぁここで新情報です!! 何と先程別会場にて行われたバトルにてランキング昇華したチーム!! それが何とレッドドラゴンと同じ7位として同位に並んでしまいました!!!』

「「「!!」」」

『さぁ既にこの会場にも足を運んでいるみたいなので、大々的に発表しちゃいましょう!! レッドドラゴンの同位に並んだ強豪チーム!! チームリーダー浪川海斗率いる、チーム海皇です!!』

 

紅葉の声と共にステージ端に当てられるスポットライト、全員の視線が向けられた先には、革ジャン姿にエンザと同じ不良っぽい見た目の少年と、まるで大の大人のような大柄で筋肉質の少年の二人組がいた。

 

「ヒャッホーッ!! またもチーム上位に上り詰めたぜ!!」

「フンッ!! 当然だ! 立ち塞がる奴なんか俺様一人で十分蹴散らせるぜ!」

「あぁ!? そりゃ俺が必要ないって言いてぇのか?」

「五月蠅ぇッ! 文句あっか?」

「上等だ、いつでもやってやんよ!!」

 

人目に憚らず口論を始める二人、周りの人は二人の迫力に気圧され、何も言えず唯その口論を傍観するしかなかったが、その二人に対して、突如『黙れ!』、とその場の全員を怯ませるように響く声。

 

「「きゃ、キャプテン!?」」

 

先程まで周りを気にせず揉めていた二人が一瞬にして、声を低く恐る恐る振り返ると、そこにいるのはサメを模した髪型に左目の傷の少年、二人の言動からその男がリーダー格なのは明らかであり、彼こそ海皇のチームリーダー、浪川海斗だった。

 

「毎度毎度俺の手を焼かすんじゃねぇ、とっとと後ろに下がってろ」

「「へ、ヘイ!! キャプテン!!!」」

 

その言葉に二人とも明らかに圧倒され、言われるがまま身を竦めて後ろに下がると、海斗はそのまま歩き出すと、ステージ上にいるエンザ達の前まで歩み寄る。

 

「よぉエンザ」

「おぉ久々だな海斗、テメェ等が俺等と対に並ぶとは思ってもなかったぜ?」

「テメェ等がゆっくりしてるもんだからな、追いつくのは簡単だったぜ?」

 

以前から面識があるように会話を交わす二人、だが一触即発に成りかねない互いの言葉に観客やチームメイトたちは見ているだけで冷や汗を掻く程だった。

 

「気を抜いてると直ぐにテメェ等も追い越す! 俺等は鮫と一緒だ! 得物に喰らい付けば最後まで離さねぇぞ?」

「ハッ! その程度かよ? テメェ等が鮫なら俺等は龍だ! 龍は鮫と違って噛み付くどころか、得物の息の根そのものを止めるぜ?」

 

互いに一歩も引かずに言い争う両者、だが海斗は食い下がって見せるエンザに対し、その反応が分かっていたように笑って見せた。

 

「なら精々その意気で強がってろ、けど忘れんなよ? 油断してればいつでもその首貰いに行くぞ!」

「やれるもんならやってみろ!! 返り討ちにしてやるからよ!!」

「フン、行くぞ野郎共」

「「ヘイ! キャプテン!!」」

 

出口に向けて振り返ると、その場立ち去って行き、後の二人も追い駆けるようにその後を追い、何とか一触即発の事態にはならなかった事に、会場中の誰もが一安心するように大きく息を吐く。

 

『え、えぇ~っと、気を取り直しまして、チーム海皇vsチームレッドドラゴン、この2チームによるランキング争いは近い内に行われる予感です!! 私達バトルチャンネルオンライン、通称BCOではこの二チームによる激闘の詳細をスクープして行きます! それではまた次回!』

 

緊迫した空気に紅葉も気まずそうにするが、それでも気持ちを切り替えて状況を伝え、実況を締め括る。

 

「さぁ紅葉、コン太帰りますよ? 次はもっと白熱した実況を届けないとならないみたいですよ」

「分かってるよ、お姉ちゃん」

「はい姉さん」

 

実況解説を終えると、三人もまたその場を後に立ち去って行き、観客達もバトルが終わり、会場から立ち去り始める。

 

「あの野郎、大分俺等を挑発してくれましたよね?」

「ヘっ、挑戦してくる奴は誰だろうと勝つだけだ。向こうがやる気なら望むところよ! いいか、吉馬! 輝来!」

「「!」」

「何時あの野郎が来てもいいように、より気合入れて特訓だ!! 負けは許さない、そう覚悟してバトルしろよ!!」

「「はい!」」

 

三人もまた会場を後に、観客達と同様その場を立ち去って行くのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

「じゃぁ行くぞ!! 鬼武者ライザンでアタック!」

「ら、ライフで受けます!!」

 

あれから三日後、この前と違うステージ上でバトルを繰り広げるエンザとハルヤ。エンザの攻撃指示に甲冑を身に纏う竜、ライザンは駆け出し、展開されたライフに刀を振り下し破壊する。

 

「うわあっ!!」

 

最後のライフが砕け決着となり、衝撃に吹っ飛ばされるハルヤ。バトルが終わり、「またか」とため息をつきながらエンザはステージから降りる。

 

「また俺の勝ちだな、いや他の対戦相手でも結果は同じだったか」

「うぅ……」

 

この三日間、エンザをはじめレッドドラゴン内でのチームメンバー達と繰り返しバトルを行ってきたが、それでもただ一人ハルヤだけは思うような戦績を残せず、負け続きとなっていた。

 

「やっぱり、僕なんかじゃ勝てないですよ」

「俺等のチームに入った以上、そんな生温い事は言わせねぇぞ!!」

「!」

 

後ろ向きなハルヤの発言にエンザは顔色を険しくさせて一喝。そして表情を戻し、そのまま続けて行く。

 

「言ったろ? 勝てねぇなら勝てるようになるまで付き合ってやるって。根詰め過ぎなくていいから、勝つことだけ、前を向くことだけ考えてろ!」

「……はい。リーダー」

「まっ、一端休憩にするか。俺はちょっとカードでも買いに行ってくる」

「リーダー、なら俺も一緒に行きますよ?」

 

休憩、とどこかに行こうとするエンザに吉馬も着いて行き、二人は一度その場を後にすると、輝来もまた気分転換にと、会場を後にして行く。

 

 

 

 

「はぁー……、どうして勝てないんだろう」

 

近くの公園まで宛もなく散歩するハルヤ。ため息をつきながら自分の勝率の悪さに悩みながら、ふとデッキを取り出しその中の1枚のカードを抜き取る。

 

「リーダーはあぁ言ってくれたけど、やっぱり僕なんかじゃ皆に追いつけないよね。未だにキースピリットもまともに召喚できないぐらいだし」

 

取り出した1枚、Xレアカードである「剣神無双リューマンゴッドソード」と書かれたカードを眺めながら、呟くハルヤ。元々彼がバトスピを始めたきっかけはこのカード手に入れ、バトルで使ってみたいという単調な理由だった。しかし、実際はその好きなカードを呼び出す前に負けてしまう事がほとんどで、その事を思い返すと余計にため息が零れる。そんな暗い様子の彼だったが、突然そこへ強い風が吹いたかと思うと、風に思わず手に持っていたカードを離してしまい、風に煽られたカードどこかに向けて飛んで行ってしまう。

 

「あっ!!」

 

慌ててカードを追い駆け、駆けだすハルヤ。暫くして風が止むと一人の男性の前へとカードは落ちて行く。

 

「ん?」

 

目の前に落ちるカードを不思議そうに拾い上げる男性、すぐさま「すいません!」と男性の前にハルヤは慌てて駆け寄って行く。

 

「あー、もしかしてこれ君の?」

「はい、そうなんです。風で飛ばされちゃって」

「なるほどね、剣神無双ゴッドソードか。中々いいカードだね、もしかしてキースピリットだったりする?」

「えぇまぁ。もしかしてバトスピ、詳しいんですか?」

「ざっと10年前からかな、俺もやってるけどこう見えても結構強い方だと思うぜ」

 

見た目の的に恐らく20代ぐらいの男性だろうか、まだ少し幼さの残る子供のような笑顔で、自慢げに笑いながら語る男性。 

 

「いいなー。僕なんか弱いから強い人が羨ましいです」

「おいおい、君だってバトルやってるんだから強さは羨む物じゃなく、目指す物だろ?」

「はは、そうなんですけど、僕全然勝てなくて」

「そんな暗い表情してると、キースピリットだって浮かばれないぞ?」

「えっ?」

「バトルっていうのは、強いか弱いかじゃなくて自分の使うスピリットを信じるか信じきれないかっていう事だと俺は思う」

「スピリットを、ですか?」

「だって一緒に戦う仲間なんだぜ、信頼するのは当然だろ? まぁ昔、周りに偉そうに言ってたらから、もう俺の中でポリシーみたいになってる部分があるけど」

 

恥ずかしそうに語る男性だったが、その言葉はハルヤの中でどこか引っ掛かるような気がした。

 

「スピリットを、信じる。ですか」

「バトルはスピリットを信じて戦う。それだけだ」

 

そう言ってその男性は、リューマンゴッドソードのカードをハルヤに手渡すと、何かを思い出したように「あっ!」と慌てて懐を探り、二枚のカードを取り出す。

 

「よかったらこれ君にあげるよ」

「えっ!? そんな貰えないですよ!」

「気にするな、俺じゃ使いこなせないし。それなら君に使ってほしいと思ってさ。このカード達はきっと君と君の相棒を支える力になると思うからさ」

「で、でも!!」

「まっ、いいから受け取って────」

 

そこまで言い掛けた瞬間、また何かを思い出したようにふと時計を見る。

 

「げっ! やばい遅れる!!」

「何か用事ですか?」

「デート、って言われたけど、まぁ幼馴染と会うだけなんだけどな。悪いけど俺はこれで!」

「あ、あの……!!」

「まぁ君が強くなって進むならまたいつか会えるだろうぜ! それじゃあな!!」

 

慌てたように会話を切り上げると男性はすぐさまその場を立ち去って行き、結局男性に押し付けらえた二枚のカードを確認してみる。

 

「「リューマンゴッドブレイカー」と「リューマンライトニング」、こんな強いカード貰っちゃって、申し訳ないな」

 

MレアとXレアのカード、そんな2枚のカードを貰ってしまった事に罪悪を感じつつ、先程の男性の姿は何故だかハルヤにとって見覚えがあった。

 

「あの人どっかで会ったというか、見たというか」

 

靄が掛かったように思い出せないが、「また会える」とも言っていたので、その時にまたお礼を伝えればいいだろう。そう考える彼だったが、そこへ突然。

 

『おいハルヤ!!』

「!」

 

自分を呼ぶ声、だがその声はまるで慌てたように息を切らしながらの叫び。振り返ると、そこにはレッドドラゴンのチームメイトの少年の姿があった。

 

「ど、どうしたの!?」

『ハルヤ、エンザさんか、吉馬さん。どっちか見てねぇか?』

「見てないけど、何があったの?」

『それが大変なんだよ! チーム海皇の奴が!』

「!?」

 

明らかに唯事ではない、「いいから来い!」という言葉にハルヤは頷き、すぐさまスタジアムまで引き返すと、そこにはステージでバトルを繰り広げるレッドドラゴンのメンバーの姿があった。

 

『行きな! 海王神龍トライポセイドスでアタック!』

『ライフだ!』

 

バトルしているのは、以前、浪川の後ろに付き添っていたあの二人組の内の一人、革ジャン姿の少年だった。トライポセイドスはその少年の指示に腕の矛を振り下し、相手の最後のライフを砕き吹っ飛ばす。

 

『ぐわああああッ!!』

「ヒャッホーッ! これで10人抜き!! レッドドラゴンってのはこの程度なのかよ、オイ!」

 

勝利した少年は高らかに声を荒げながら周りの挑発し、既に多くのチームメンバー達はその少年の前に敗北を重ねていた。

 

『ぐっ、テメェ卑怯だぞ! リーダーや吉馬さんがいない隙を狙って!!』

「卑怯もラッキョウも大好物だぜ!! ヒャハハハッ!」

 

悔しそうに叫ぶ少年の言葉を足蹴に、歪んだ笑い声を上げながらさらに続けて行く。

 

「それに俺等のキャプテンはテメェ等に言ってたよな? 油断すればいつでも首を貰いに行くって忠告した筈だ!」

『ぐっ!』

「それなのに隙を見せたテメェ等が馬鹿なのよ! テメェ等相手にキャプテンが出るまでもねぇ、チーム海皇の一番槍こと、この井澤バン!! 俺一人でテメェ等なんか幾らでも相手できるぜ!!」 

 

高らかに名乗りながら、再度彼はデッキを構え周りを眺めながら「さぁ次は誰だ!」とデッキを構え、挑発するように全員を煽る。

 

「誰もいなきゃこのスタジアムはチーム海皇の物って事で決まりだよな?」

 

悔しそうに拳を握りしめながらも、多くのバトラーがバンの前に敗れ、既に挑んでも無駄だと悟っているのか名乗り出ようとする者はいない。そんな中、唯一人。

 

「それなら僕がやる!!」

『『!!』』

 

デッキを構え、名乗りを上げるハルヤ。チームメンバー達がハルヤが名乗りを上げた事に動揺する中、バンは自分に挑戦する相手を見た瞬間、思わず笑い出す。

 

「プッ、アハハッハハハッハ!! テメェが相手かよ? 知ってるぜ、確か黒星記録中の輝来ハルヤだったよな? 俺に敵うとでも思ってんのか!」

『そうだぜ、ハルヤ! お前じゃ無理だ!!』

 

馬鹿にしたように笑うバン。チームメンバー達も心配そうにその挑戦を止めようとするが、それでもハルヤの意思は変わらない。

 

「だってこのままじゃ言いなりだよ!! 勝てないかもしれないけど、僕もチームメンバーとしてせめて足掻きたい!!」

『!』

 

決意を固めた言葉にチームメンバー達はそれ以上止めようとはせず、バンをハルヤが本気で挑戦しに来ていることが分かったのか、笑い声を止める。

 

「意気込みだけは褒めてやる。まぁどの道テメェがラストだ。さっさと始めるか!」

「!」

 

バンの言葉に、ハルヤもステージへと上がりその様子を、傍観する影。

 

 

 

 

「へぇー、あの子がやんのか。どんな展開になるかはまぁ高みの見物で」

 

静かに呟きながら、ハルヤやレッドドラゴンのチームメンバー達の輪に入ろうとはせず、ただ静かにスタジアムの観戦席でその様子を傍観するゴーグル付けた一人の男性。その男性の後ろから何時の間に来ていたか、神子や紅葉、コン太の三人の姿があった。

 

「おっ! 早い早い、もう来たのか?」

「えぇ。当然スクープと聞けば飛んでいきますよ? 情報提供感謝しますよ、紫苑さん」

 

神子が紫苑と呼ぶ男性、紫苑と呼ばれた男はその言葉に観客席に寝転びながら「いいよ、いいよ」と軽い返事を返す。

 

「その代わりお礼は今度俺とのデートで」

「それは丁重にお断りします」

 

にっこりと笑いながら言葉を返す神子に「冷てぇなー」と残念そうに呟く。

 

「もう何回フられたのか分かんないんだけど、どう思う?」

「あはは、私はノーコメントで」

「僕も姉さんと同じです」

「はいはい、余計な雑談はそこまで。紅葉、コン太、早速実況準備しますよ?」

 

「はい」と頷く二人、すぐさま解説台を設け、準備を始める二人。それを見ながら、彼女は何か気になった様子で、寝転ぶ紫苑を見る。

 

「ところであなたは助太刀に行かないんですか?」

「俺にそう言うのなら神子ちゃんが助太刀すれば?」

「私は実況を務める上で公平な立場でいたいので、どちらかに肩入れする訳にはいきません。けどあなたは、レッドドラゴンのリーダー、火龍エンザさんとは親友なのでしょ?」

「確かにエンザとは仲良いけど、助太刀する程の義理はねぇよ。それに俺は基本バトルは見学派だしな」

 

喰えない態度を見せる紫苑。神子もあまり深入りする様子はなく、実況開設の準備を終えた紅葉達の様子に気づくと、紫苑から離れ解説台へと座る。

 

『さぁ皆さま! バトスピチャンネルオンライン、通称BCOより! 今回は何と、チーム海皇とチームレッドドラゴンでの対立に動きがあったので、お知らせです! 前回のチーム同位の発表からわずか三日! そして今日チーム海皇メンバーの一人、井澤バン選手が早くもレッドドラゴンに勝ち込みに現れました!!』

 

声を大に語る紅葉、その様子にバンも気づいたのか、「相変わらず嗅ぎ付けるのが早ぇな」と言葉を吐き捨てる。

 

「まっ、全国に俺の勝利を流すいい機会だぜ!」

 

ステージに上がるハルヤだったが、バンにとっては既にやる前から結果を見据えていた。そして目の前に立つハルヤの姿に「始めるぞ!」と叫ぶ。

 

『さぁ既に多くのレッドドラゴンのメンバーを破ったバン選手、次に迎え撃つのは、何と輝来ハルヤ選手です!!』

『彼の公式記録での勝利はまだありません、ハルヤ選手しかしそれに負けず、意地を見せてほしいものです』

『しかし相手選手と比べますと、ハルヤ選手には厳しい相手かもしれません。はしてどうなる事やら』

 

実況も盛り上がる中、二人はそれに構う様子は無くステージに立ち、デッキを構える。

 

「「ゲートオープン!! 界放ッ!!」」

 

宣言と同時に始まるバトル、「俺から先行だ!」とバンの台座が開始を告げるように輝く。

 

 

 

 

[01ターン.バンside]

[スタートステップ]

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

 

「メインステップだ! ミノタコルスを召喚するぜ!!」

 

[リザーブ]4個→0個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]5枚→4枚。

 

【ミノタコルス】3(1)青、スピリット、異合。

Lv.1(1)BP3000、Lv.2(3)BP5000。

Lv.1、Lv.2『このスピリットのアタック時』

相手は白のバーストを発動できない。

【連鎖:条件《赤シンボル》】

(自分の赤シンボルがあるとき、下の効果を続けて発揮する)

[赤]:自分はデッキから1枚ドローする。

 

呼び出されるのは牛のような外見の青のスピリット、ミノタコルス。先行の為、攻撃はできないが、それでもミノタコルスは今すぐにでも暴れたいのか、刺又を振り回しながら戦闘態勢に入っている。

 

[フィールド]ミノタコルスLv.1((S(ソウルコア)1))BP3000。

 

「これでターンエンド」

 

 

 

 

[02ターン、ハルヤside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]4個→5個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

 

「メインステップ! リューマンフェニックを召喚!」

 

[リザーブ]5個→1個。

[トラッシュ]0個→3個。

 

【リューマンフェニック】3(2)赤、スピリット、竜人。

Lv.1(1)BP2000、Lv.2(3)BP5000、Lv.3(6)BP6000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3

自分のスピリットが2体以下の間、このスピリットはLv.3として扱う。

Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック時』

自分はデッキから1枚ドローする。

 

[フィールド]リューマンフェニックLv.1((S1))BP2000。

 

「行くよ! アタックステップ!!」

「へっ、攻撃した所でBPは所詮2000だろ? 向かってきても返り討ちにできるぜ!」

「嫌、リューマンフェニックの効果!」

「!」

「僕の場のスピリットがリューマンフェニックを含めて2体以下なら、このスピリットは常にLv.3として扱われる!!」

「何!?」

「これでブロッカーも怖くない! リューマンフェニックでアタック! アタック時効果で1枚ドロー!」

 

[手札]4枚→5枚。

 

自身の効果で赤いオーラを纏い力を高めるリューマンフェニック。翼を羽ばたかせながら果敢にバンへと迫って行く。

 

「チィッ! ならライフで受けてやるよ!!」

 

展開されるライフのバリア、リューマンフェニックはそのまま両腕を一気に振り下し、その腕の爪でライフを引き裂き破壊する。

 

[バンside]

[ライフ]5→4。

[リザーブ]0個→1個。

 

『おぉーーっと!! ハルヤ選手いきなり先制!! バン選手のライフを砕いた!!』

『バン選手、ミノタコルスで防ぎたくてもリューマンフェニックに勝てないとみて、ライフで受けるしかなかったようですね』

 

嬉々として場の状況を語る紅葉達。対するバンは先制されてしまったことに、少しだけ苛立ったように舌を打つ。

 

「ケッ! たかだかライフ1つ削ったぐらいでいい気になんなよ? まだ勝負は長いんだぜ?」

「……ターンエンド」

 

 

 

 

[03ターン.バンside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]0個→1個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]3個→0個。[リザーブ]1個→4個。

 

「メインステップだ! ミノタコルスをLv.2にアップ! さらに戦竜エルギニアスと戦闘獣バビルーザの2体を連続召喚だ!」

「!」

 

[リザーブ]4個→0個。

[手札]5枚→3枚。

 

【戦竜エルギニアス】1(赤1 青1)青、スピリット、戦獣。

Lv.1(1)BP1000、Lv.2(3)BP3000。

Lv.1、Lv.2

このスピリットは赤のスピリットとしても扱う。

 

【戦闘獣バビルーザ】1(1)青、スピリット、戦獣。

Lv.1(1)BP1000、Lv.2(2)BP3000、Lv.3(5)BP5000。

 

[フィールド]ミノタコルスLv.2((S1)2)BP5000、戦竜エルギニアスLv.1(1)BP1000、戦闘獣バビルーザLv.1(1)BP1000。

 

連続で呼び出されるスピリット、駆けだす仕草を取りながら頭部の角を構える牛を模したようなスピリット、エルギニアス。そして同じく牙を構えて何時でも突っ込むように唸る猪を模したようなスピリット、バビルーザ。

 

「一気に並べられた!?」

「ハッハ! テメェと俺の格の違いを思い知らせてやるぜ! アタックステップ! ミノタコルスでアタックだ! 【連鎖】の効果、一枚ドローするぜ!」

 

[手札]3枚→4枚。

 

先程のお返して言わんばかりにアタックを仕掛け、ミノタコルスは待ってましたと言わんばかりに得物を振り回しながら、勢いよく駆けだしていく。

 

「ライフで受ける!!」

 

ハルヤに防ぐ術は無く当然ライフで受けるしかない。ミノタコルスはバリアに武器を力一杯叩き付けると、バリアを破壊してしまう。

 

「ぐあっ!!」

 

[ハルヤside]

[ライフ]5→4。

[リザーブ]1個→2個。

 

「まだ終わんねぇぞ!! 次はお前等だ!! エルギニアス、バビルーザ行って来いッ!!」

「!!」

 

攻撃の手を緩めることなく、今度は二体に指示を出すとほぼ同時に駆けだすエルギニアスとバビルーザ、その攻撃に対しても防ぐ術は無く展開されたバリアに最初はエルギニアスが突っ込み、自慢の角を突立て、そして間髪入れずに今度はバビルーザが大きな牙を突き刺し、連続してライフを破壊していく。

 

「うわああッ!!」

 

[ハルヤside]

[ライフ]4→2。

[リザーブ]2個→4個。

 

『何とハルヤ選手、序盤にしてもうライフを3つ失ってしまった!!』

『バン選手の真骨頂は速攻、ブロッカーを残さなかったことが裏目に出ましたね』

『ハルヤ選手、これは厳しい!! 早くも勝負は決まってしまうのでしょうか!!』

 

「どうよ、見たか! これがお前と俺の差よ! テメェみたいな弱い奴に俺が負ける訳がねぇだろ?」

「ッ!!」

 

一気にライフを削られて逆転されてしまい、余裕を見せるバンに対しハルヤは当然プレッシャーを感じてしまう。

 

「(どうしよう、やっぱり僕なんかが勝てる訳がないよ)」

 

押され気味の状況に思考も次第に後ろ向きになってしまう。チームメイト達もそんなハルヤの様子を察してか、バトルの行方に不安を感じてしまう。

 

”バトルはスピリットを信じて戦う、それだけだ”

 

「!」

 

暗い方向へ思案するハルヤだったが、突然思い出したように脳裏に響くあの男性の言葉。その言葉を思い出した瞬間、何故だか先程のまでの暗い思考が一瞬にして吹き飛ぶような気がした。

 

「(そうだ、まだ勝負は終わってないし、スピリットを信じきれてない。スピリットを信じて、最後まで戦うだけだよね!!)」

 

 

 

 

[04ターン.少年side]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]4個→5個。

[ドローステップ][手札]5枚→6枚。

[リフレッシュステップ][トラッシュ]3個→0個。[リザーブ]5個→8個。

 

 

「メインステップ! リューマンクロウLv.2で召喚。さらにもう一体、閃光の如く駆けろ! リューマンライトニングをLv.3で召喚!!」

 

[リザーブ]8個→0個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]6枚→4枚。

 

【リューマンクロウ】0(0)赤、スピリット、竜人。

Lv.1(1)BP1000、Lv.2(2)BP2000、Lv.3(5)BP4000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3【スピリットソウル:赤】

自分がアルティメットカードを召喚するとき、このスピリットに赤のシンボル1つを追加する。

 

【リューマンライトニング】5(赤2 極1)赤、スピリット、竜人。

Lv.1(1)BP5000、Lv.2(2)BP7000、Lv.3(3)BP10000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3『お互いのアタックステップ』

系統:「新生」/「竜人」を持つ自分のスピリットが相手によって破壊された時、自分の手札にあるバースト効果を持つ赤のカード1枚を、バースト条件を無視して発動できる。

Lv.3『このスピリットのアタック時』

相手スピリットすべての『このスピリットの破壊時』/『相手によるこのスピリットの破壊時』効果は発揮されない。

 

[フィールド]リューマンフェニックLv.1((S1)BP2000、リューマンクロウLv.2(2)BP2000、リューマンライトニングLv.3(3)BP10000。

 

最初にフィールドに出現する小さな龍、リューマンクロウ。そして次に上空にまるで天の川の様に光る道が出現したかと思うと、その道を駆けながらフィールドに飛び降りる龍、リューマンライトニングが姿を見せる。

 

「(あの人から貰ったカードの1枚、信じて使いこなして見せる!)」

 

出現したリューマンライトニングの姿に静かに決意すると、そのまま「アタックステップ」と、コールする。

 

「リューマンライトニングでアタック!」

 

まるでフィールドを滑るかのように猛スピードで駆け出すリューマンライトニング、その姿に流石にバンも一瞬怯んでしまう。

 

『さぁバン選手、先程フルアタックしたせいでブロッカーは残っていません』

『攻めすぎるのも考え物という事ですね』

 

「五月蠅ぇ実況だ! 望み通りライフで受けてやるよ!」

 

展開されるライフ、リューマンライトニングはバリアの手前で飛び上がると、そのまま宙返りで勢いをつけ、バリアに渾身の踵落としを炸裂させて蹴り砕く。

 

「ぐおッ!!」

 

[バンside]

[ライフ]4→3。

[リザーブ]0個→1個。

 

流石にこれまでとは違い、リューマンライトニングの繰り出す重い一撃に応えたのか、思わず仰け反るが、それでもまだライフを残っており、攻撃に耐えきって見せた。

 

「これでターンエンド」

 

 

 

 

[05ターン.バンside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]1個→2個。

[ドローステップ][手札]4枚→5枚。

[リフレッシュステップ][フィールド]ミノタコルス、戦闘獣バビルーザ、戦竜エルギニアス回復。

 

「足掻いたところでこのターンで終わらせてやるぜ! ミノタコルスをLv.1にダウン。さぁ出ろ! 俺のキースピリット!」

「!」

「巨大な力で敵を制圧、粉砕しろ! 巨人大帝アレクサンダーを召喚だ!!」

 

[リザーブ]4個→0個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]5枚→4枚。

 

フィールドを揺るがす程の大きな足音を響かせながら、フィールドへと現れるスピリット、アレクサンダー。巨人大帝の名の通り、等身ほどの槍を軽々と掲げるその姿は巨大な王としての風格を現している。

 

【巨人大帝アレクサンダー】6(3)青、スピリット、闘神/勇傑。

Lv.1(1)BP6000、Lv.2(5)BP10000。

Lv.1、Lv.2【強襲:2】『このスピリットのアタック時』

このスピリットは、ターンに2回まで、自分のネクサス1つを疲労させる事で回復できる。

Lv.2『このスピリットのアタック時』

コスト4以下の相手スピリット1体を破壊し、相手のデッキの上から、その破棄した相手のスピリットのコストと同じ枚数破棄する。

 

[フィールド]巨人大帝アレクサンダーLv.1((S1))BP6000、ミノタコルスLv.1(1)BP3000、戦竜エルギニアスLv.1(1)BP1000、戦闘獣バビルーザLv.1(1)BP1000。

 

『出たーーッ!! Xレア級のスピリット、アレクサンダー!! バン選手勝負を決めに来たか!!』

『ハルヤ選手のライフは2つ、ブロッカーは2体。対するバン選手は4体のスピリット。フルアタックされればライフを一気に削られかねません』

『という事はハルヤ選手! これは絶体絶命!!』

 

「端から俺とお前との勝負結果なんて分かり切ってたんだよ!! 所詮レッドドラゴンの奴等なんて、俺達チーム海皇に勝てる訳がねぇ!」

「そんなの、まだやってみないと分からないよ!!」

「じゃぁやって見せてやるよ!! アタックステップ! どの道お前はここで終いだ!! バビルーザ、行け!!」

「ライフで受ける────ッ!」

 

[ハルヤside]

[ライフ]2→1。

[リザーブ]0個→1個。

 

再び牙をバリアに突立ててライフを砕き、ライフは残り一つにまで追いつめられてしまい、王手を掛けた事にバンは勝利を確信するように笑って見せる。

 

「さぁ次だ! ミノタコルスでアタックだ! アタック時効果の【連鎖】! 1枚ドロー!」

「リューマンクロウでブロック!」

 

[Battle]ミノタコルスLv.1(1)BP3000vsリューマンクロウLv.2(2)BP2000。

 

激突する二体のスピリット、ミノタコルスは刺又をリューマンクロウに突き刺そうとそのまま得物で突くが、リューマンクロウは小さいながらも、身軽な動きで得物を裂け、そのまま飛び上がると、ミノタコルスの頭上を取り、両腕の爪を振り被る。しかし、ミノタコルスはそれに対し、迫るリューマンクロウに直接頭突きで吹っ飛ばすと、リューマンクロウは吹っ飛ばされ、破壊されてしまう。

 

「ヒャッハー! 相手にもならなかったな!! これで終わりだぜ!!」

 

バンの指示前から既に動けるように構えるエルギニアスとアレクサンダー。しかし、彼が攻撃しようとするその瞬間、リューマンライトニングは突然吠えだす。

 

「リューマンクロウの犠牲は無駄にはしない!! 「竜人」を持つリューマンクロウが破壊されたことで、リューマンライトニングの効果を発揮!」

「!?」

 

咆哮するリューマンライトニング、その声に呼応するようにハルヤの手に持つカードの一枚が輝きだす。

 

「相手によって破壊された時、リューマンライトニングの効果で手札にあるバースト効果を持つカード1枚を、バースト条件を無視して発動させる!」

「何だと!?」

「手札の「リューマンゴッドブレイカー」のバースト条件を無視して、発動させる!」

「!!」

 

【リューマンゴッドブレイカー】8(4)赤、スピリット、竜人。

Lv.1(1)BP6000、Lv.2(3)BP10000、Lv.3(5)BP15000。

【バースト:自分のライフ減少時】

BP10000以下の相手のスピリット1体を破壊する。この効果発揮後、自分のアルティメットがいる時、自分はデッキから1枚ドローし、このスピリットカードを召喚する。

Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック時』

自分の手札にある、アルティメットカード1枚か、系統:『竜人』を持つスピリットカード2枚を破棄することで、このスピリットは回復する。

 

「バースト効果で戦竜エルギニアスを破壊だ!」

 

炎が龍の形を形成しその炎はまるで意思を持つかのように構えると、戦竜エルギニアスに向けて飛び出しそのまま勢いよく蹴り上げ、突然の攻撃に防ぐ術は無く、吹っ飛ばされて破壊されると炎の龍もその場から消滅する。

 

[手札]4枚→3枚。

[バースト]リューマンゴッドブレイカー。

 

『何とハルヤ選手!! ここでカウンターだッ!!!』

『今の反撃は見事でしたね、アタッカーを見事に破壊され、バン選手はこれでフルアタックしてもライフを削り切れません』

 

「(ぐっ! こいつ、俺にカウンターを悟らせねぇようわざとリューマンゴッドブレイカーをバーストセットしなかったのか!)」

 

悔しそうに歯軋りをしながらもまだ勝負は続いている。

 

「いい気になるなよ、テメェのライフはあと1つ! 次こそは決めてやる!! 俺はこれでターンエンドだ!」

 

 

 

 

[06ターン.ハルヤside]

[スタートステップ]

[コアステップ][リザーブ]3個→4個。

 

「ドローステップ……!」

[ドローステップ][手札]3枚→4枚。

 

引いたカードに思わずハルヤの顔つきが変わる。それはこれまでハルヤがずっとバトルで使う事を待ち望んでいた「剣神無双リューマンゴッドソード」のカードだった。

 

[リフレッシュステップ][トラッシュ]3個→0個。[リザーブ]4個→7個。[フィールド]リューマンライトニング回復。

 

「メインステップ! リューマンライトニングをLv.1にダウン!」

 

レベルが下がり、項垂れるように肩を落とすリューマンライトニング。だがレベルダウンの代わりにリザーブにあるコアを確認し、手札にあるスピリットの姿を見ながら決意するように前を見据える。

 

「天下切り裂く勝利の剣! 太陽の如く燃え上がれ! 剣神無双リューマンゴッドソードを召喚!!」

 

フィールドに突如燃え広がる炎、余りに高温の炎は他を全く寄せ付けずにいるが、高温の炎の中で光る眼光、そして次の瞬間、周囲の炎を一閃、携えた剣の一振りで周囲の炎を掻き消し、剣神無双リューマンゴッドソードがその姿を現す。

 

[リザーブ]9個→1個。

[トラッシュ]0個→3個。

[手札]4枚→3枚。

[フィールド]剣神無双リューマンゴッドソードLv.3(5)BP10000、リューマンライトニングLv.1(1)BP5000、リューマンフェニックLv.1(1)BP2000。

 

「ずっと会いたかったよ、ゴッドソード!!」

 

バトルフィールドで会えることをずっと夢見、そして今日漸くその姿を見れたことに感激し、思わず涙する。ゴッドソードはハルヤの言葉に何を思うのか、応えるように咆哮し、バンに向けて剣の切っ先を向ける。

 

「ぐっ!」

「行くよ、まずはリューマンライトニングでアタック!」

「ライフで受ける!」

「リューマンフェニックも続くよ!」

「そっちもライフで受けてやる!」

 

猛スピードで駆け出し、ライフが展開された瞬間、勢いよく飛び出すとそのままバリアに飛び膝蹴り、さらに今度はリューマンフェニックが翼を羽ばたかせながら接近し、そのまバリアに突進。連続した衝撃と共にバリアが粉砕されてしまう。

 

[バンside]

[ライフ]3→1。

[リザーブ]0個→2個。

 

「ぐっ! クソッ!!」

「このターンで決めるよ!!」

「はぁ!? 何寝ぼけたこと言ってやがる!! 俺の場にはまだブロッカーとして、アレクサンダーが残ってんだよ!!」

「関係ない! リューマンゴッドソード、アタックッ! アタック時効果で1枚ドローするよ!」

「何!!?」

「リューマンゴッドソード、行っけぇーーッ!!」

 

ハルヤの指示に頷いて見せながら、リューマンゴッドソードは剣を構え、バンへと迫る。何度も攻撃することを予測できてなかったのか、バンは慌てたようにすぐさまアレクサンダーのカードを構える。

 

「だから俺にはブロッカーが残ってるつってんだろ! アレクサンダーでブロックだ!」

 

[Battle]剣神無双リューマンゴッドソードLv.3(5)BP10000vs巨人大帝アレクサンダーLv.1(1)BP6000。

 

両者の指示に駆けだす二体のスピリット、そして互いに渾身の力を込めて槍と剣を振るい、鍔競り合って激突する両者。しかしリューマンゴッドソードが力で上回ってるのか、鍔競り合いを制し、槍を弾き返してしまう。アレクサンダーも負けじと弾かれながらも今度は槍で直接貫こうと、リューマンゴッドソードに槍を突き刺すが、リューマンゴッドソードは剣に炎を纏わせ、一閃。突こうとする槍の切っ先を切り落としてしまう。

 

リューマンゴッドソードはそのまま一気に決めようと、炎を纏わせた剣を天に振り翳し、咄嗟に壊れた武器を捨てて盾に持ち替え防御態勢を取るアレクサンダーだったが、リューマンゴッドソードは両手で力一杯剣を握りしめて振り下し、盾ごとアレクサンダーを一刀両断、切り裂かれたアレクサンダーは爆発四散を起こす。

 

『ハルヤ選手のキースピリット、ゴッドソード強し!! バン選手のキースピリットを倒してしまいました!! しかし、これでハルヤのスピリットは全て疲労状態、あと一歩及ばずか!』

 

「その通り! これでテメェのアタッカーは0、次の俺のターンで終わりだ!!」

 

残念そうに語る紅葉の言葉に、合わせるように笑いながら語るバン。しかし、そんなバンの言葉に対して、「いや」と否定して見せる。

 

「まだ終わってない、リューマンゴッドソードのアタック時効果がある!」

「あぁ? その効果ならさっき1枚ドローして終わったろ?」

「リューマンゴッドソードの効果はそれだけじゃない!!」

「!?」

 

【剣神無双リューマンゴッドソード】5(赤2 極1)赤、スピリット、剣使/竜人。

Lv.1(1)BP4000、Lv.2(3)BP5000、Lv.3(5)BP10000。

Lv.1、Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック時』

自分はデッキから1枚ドローする。バトル終了時、自分の手札にある系統:「剣使」/「竜人」を持つスピリットカード/アルティメットカード1枚を、コストを支払わずに召喚できる。

【合体時】Lv.2、Lv.3『このスピリットの合体アタック時』

相手のスピリット/アルティメット1体を指定し、そのスピリット/アルティメットにアタックできる。指定したアルティメットにブロックされたとき、このスピリットをBP+15000する。

 

「バトル終了時、手札に「剣使」、又は「竜人」のスピリットかアルティメットがあれば召喚できる。よって効果により、手札から炎極天リューマンバーストを召喚!」

「なっ!!?」

 

勝利に勝鬨を上げるように吠えながら炎を纏わせた剣を天に掲げると、それに導かれ、天より黄金の輝きを放つ究極(アルティメット)、炎極天リューマンバーストがフィールドへ降り立つ。

 

【炎極天リューマンバースト】4(赤2 極1)赤、アルティメット、新生/竜人。

Lv.3(1)BP6000、Lv.4(3)BP9000、Lv.3(4)BP12000。

【召喚条件:コスト1以上の自分のスピリット1体以上】

U(アルティメット)ハンド】

自分の手札にある赤のカードがバースト条件を満たしたとき、そのバーストを手札から発動できる。

Lv.4、Lv.5『このアルティメットのアタック時』

相手のネクサス1つを破壊する。

 

「馬鹿な!!」

「これで終わりだ! リューマンバーストでアタック!」

「ら、ライフで受ける!!」

 

最後のライフに向けて、そのまま拳を握りしめ力を高めるように拳に炎が灯り、そのままバリアに向けてリューマンバーストは拳を打ちつける。

 

「お、俺がこんな奴にーーッ!!」

 

衝撃にライフは砕け始め、そしてそのままリューマンバーストは一気にライフを粉砕する。

 

「ぐあああああッ!!」

 

[バンside]

[ライフ]1→0[Lose]

 

「ぼ、僕が勝てた?」

 

勝利を掴んだ事に、まるで夢を見ているのかと一瞬疑いたくなる。それでも頬をつねって見ても痛みだけが残り、夢でない事を理解すると。

 

「やったぁーーッ!! 僕勝てたよーー!!」

 

嬉しさを堪えきれず、勝利の実感を噛み締めながら喜ぶハルヤ。その彼の姿を祝福するようにリューマンゴッドソード達も吠えると、その後バトルを終えたスピリット達は消滅する。

 

『なんと輝来ハルヤ選手、今まで黒星の記録から結果は明らかかと思われていましたが、何とバン選手を打ち破ってしまったーーッ!!』

『ハルヤ選手もようやくカードバトラーとしての道を歩みだしたという事ですね。これは行く末が楽しみです!』

『では本日はここまで! 画面の向こう側の皆様、また次回お会いしましょう!』

 

興奮冷めやらぬ様子で語る紅葉達、実況解説を終えるとそのまま三人はいち早くその会場を後に立ち去る。

 

「こりゃぁ面白いもんが見れたぜ、こうでなくちゃバトスピじゃねぇよな?」

 

神子達に情報を伝えたゴーグルを掛けた男性、ゴーグルを外して上にずらしながら勝利に喜ぶハルヤの姿を眺め、まるでこれから何かに期待するように笑いながら彼もまたその場を後にした。

 

 

 

 

「クソッ!! 俺が負けるなんて、こんなの有り得ねぇ!! 絶対有り得てたまるか!!」

 

一方バトルに負けた事に今でも信じられないのか、苛立ち気味にハルヤに突っかかろうとするバン。しかし「そこまでだ」と制止させるように響く声、振り向く先には吉馬とエンザの姿があった。

 

「ッ!!」

「俺のスタジアムに殴り込みに来て、これ以上勝手な真似はさせねぇぞ!」

「ぐぐぐっ!!」

「テメェ等のリーダーに伝えろ、真正面からテメェが来いってな」

「ッ!! ふ、ふざけやがって!! テメェ等なんざ俺等のキャプテンの足元にも及ばねぇ!! いつか借りを返してやる! 覚えてろよ!!」

 

地団太踏みながらも捨て台詞を残し、エンザの隣を走り抜けその場を立ち去るバン。その後姿が見えなくなると、エンザはハルヤの方に視線を向け、笑って見せる。

 

「勝負、神子達の中継を通して、見てたぜ? 強くなってたから一瞬見違えたぜ?」

「リーダー、ありがとうございます」

「あぁ、その意気でこれからも頑張れよ」

 

優しくハルヤの頭を撫でながら言い、チームリーダーからの激励の言葉はハルヤにとって素直に嬉しかった。

 

「フン、俺ならあんな奴もっとすぐに片づけられたぜ」

「はは、まぁそうだよね。僕も吉馬より強いとはまだ思えないし」

「……でもな、今日のバトル。ちょっと見直したぜ?」

「!」

「ちょ、ちょっとだけだからな!!」

「ハハ、テメェも素直じゃねぇな。ハルヤが強くなった。素直にそう言ってやりゃいいじゃねか!」

 

笑いながら楽しそうに語る三人。しかし「だが!」と顔色を変え、エンザは他のチームメンバー達を鋭い眼つきで睨む。

 

「今回はハルヤが勝ったからよかったが、テメェ等は揃いも揃って一人に何て様だ!!」

『『りー、リーダー。その、俺達は……!』』

「言い訳無用だ!! テメェ等もみっちり鍛えてやるから覚悟しろ!」

『『ヒィィィッ!』』

 

相変わらずエンザのスパルタな面に逃げ出すチームメンバー達、その様子にハルヤも吉馬も笑いながら見つめているのだった。




いかがでしたでしょうか?本編第1話!!相変わらず駄文でも読んでくれた方は本当にありがとうございます。第1話からもう色々なキャラが登場しましたね、ちょっと本編の流れを整理しましょうか?

カードバトラー達の多くがそれぞれチームに所属。
        ↓
主人公所属のチームvsチーム海皇
        ↓
そして主人公vs井澤バン。

ざっくり説明するとこんな感じかと、まとめすぎました?(笑)バトルはまぁまだ序盤という事で中々それほど今の最新弾の新しいカードは書いてませんね。でもまだ序盤ですので、ご安心を! 今後進むにつれてどんどん現環境のスピリット達も大活躍での登場する……筈←

それと今回から前書きに注釈表示を追加しました。一応見直し確認はしているのですが、それでも気づいていないミスや誤字あるかもしれませんので、ご指摘いただくと大変助かります。注釈表示は今後の本編での前書きで継続していこうかと思いますので、ご容赦ください。それでは次回もよろしくお願いします。
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