あれから一週間が過ぎた。書類作成、海保、海自、海軍による取り調べ。法令座学の受講などとにかく忙しかった。取り調べはいろいろ聞かれた。記憶はどういうのか。いつ沈んだのか。それぞれの組織で聞かれた。
さて、今日は艤装の法定検査が終わって引き取る日だ。法令上、体は人間で艤装は船舶扱いらしい。なので、法定検査を受けなければ、航行する事が出来なかった。でも今日から出来る。工廠で受け取ったら艦娘のだれかと一緒に試験航行、射撃訓練をするのが今日の私のスケジュールだ。
「ごめんください。あさひです。艤装の受け取りに参りました。」
工廠の奥からチャリにのった明石が来た。
「あさひさん。おはようございます!艤装ですよね?保管ロッカーに入れておきました。何か不具合があったら教えてください。すみません・・・私、ちょっと研究棟に急いでいるんで!じゃ!」
そう言い終えると明石は立ち漕ぎしながら走り去った。忙しいそうな人だ。
保管ロッカーから自分の艤装を取り出し装着する。ピカピカだ。真っ白な艤装が輝いている。私は港の艦娘用の埠頭から水に立つ。・・・うん。落ち着く。還ってきたという感じがする。
さて、時間も惜しいので準備しよう。
「妖精さん。機関始動!」
「了解!」
私の背中に背負っている艤装の煙突から一瞬黒い煙がたつ。ディーゼルエンジンが始動した。
「巡視船あさひ!出航する!両舷前速微速。」
私は少しずつ前に進み始めた。やがて港を出て待ち合わせの演習海域に到達した。そこでは二人の艦娘がいた。
「機関の調子はどうですか?」
と尋ねる大淀。
「良好です。大淀さん。神通さん。」
「では、射撃テストをはじめましょう。あちらを見てください。」
神通が遠くにある的を指差す。
「あそこに的があると思います。高速で航行しながら狙って打って下さい。」
「高速航行ですか?」
「ええ。最大戦速でお願いしますね。」
笑顔で彼女は言う。他の人が言っていたが鬼教官っていわれるだけの感じがある。
「わかりました。では。」
まあいいさ。実際の船だったころはある意味実戦経験が豊富だった。大丈夫だろう。やれる。
私は機関を最大戦速にして的に近づく。
砲身を的に向ける。
「OIC!目標、前方演習的群。撃ちかた始め!」
「ヨーソロー。目標!前方前方演習的群。撃ちかた始め!」
艤装から妖精の声が聞こえた。
パン!パン!パン!
私の艤装に付けている機関砲から発砲。よし。すべて命中。
私は大淀と神通がいる地点に戻った。
「さすがです。普通はその姿になって最初に撃つ時、なかなかあたらないものですよ。」
「恐縮です。」
やった。ほめられた。
「では、今日のはこれくらいで。お疲れさまでした。」
ありゃ。これくらいでおしまいか。楽だったな
そう思っていたら、後方から漁船だろうか。そのくらいの大きさの船が疾走するエンジン音が聞こえた。おかしい。ここは演習海域。一般の船は立ち入りが規制されいている。ふと私はその音のする方向に振り向く。
「海軍は~!深海狩りをやめろー!!」
そう叫びながらこちらに何か火のついたものを投げてくる男が乗った船が高速で近づいてきた。
よく見たら火炎瓶だ。あぶない!私は左手に持っていた透明なライオットシールドで防御態勢になった。火炎瓶がシールドにドンと音を立てて当たった。
「何するんですか!ここは海軍・海自・海保の演習海域。一般の方は立ち入り禁止ですよ!」
大淀がそう漁船?に乗った男に向かって言う。
「うるさい!お前のせいだ!」
男はそう叫びつつ、こちらに二発目の火炎瓶を投げようとしている。うむ。これは私の仕事だな。
「こちらは海上保安庁だ!ただちに武器を捨て、停船しなさい!」
私が男にそういう。これは明らかに犯罪。しかも現行犯だ。
「えい!」
また男が火炎瓶を投げてきた。神通に当たる!危ない!!
と思っていたら神通はよけた。さすが。
「神通さん。大淀さん。避難してください。私は彼を捕まえます。」
そう私が彼女たちに言うと、男の乗った船はUターンしてこちらに突っ込む進路に来た。
「こちらは海上保安庁だ。直ちに停船しなさい!」
さて。やりますか。
短いし、中途半端ですみません。次回、あさひはどの様にして不審船をとめるのか。お楽しみに。