ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursの戦国太平記   作:截流

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どうも、截流です。

早速感想をもらって有頂天気味です!割と好感触でよかった・・・!


今回は千歌ちゃんが主人公らしく、さらに大活躍しちゃいますよ!?そしてさらに新しい武将がもう一人参戦します!




それではどうぞお楽しみください!!


2話 韮山の若殿さま

野盗に追い詰められた千歌たちを助けたのは、韮山城の城主である北条氏規とその補佐役である『白備え』こと、笠原康勝であった。

 

「す、すいません!お殿様だって知らなかったんです!!だから切り捨て御免は勘弁してください!!」

 

千歌は凄まじい勢いで氏規と康勝に土下座した。

 

「ははは・・・。気にしないでください。それに我ら北条は民を無礼討ちにするなど粗末な扱いはしません。だから顔を上げてください。」

 

氏規は笑いながら千歌に顔を上げるように促した。

 

「しかし氏規さま。よくよく見てみるとこの娘たちは実に面妖な格好をしておりますな。南蛮人でしょうか?」

 

「いや、それにしては日の本言葉が流暢すぎるし、それに顔立ちが日の本の者のそれだから日の本の者で間違いないでしょうね。まあ、黄金色の髪の者は南蛮人でしょう。」

 

「What's!?ねえ果南、南蛮人ってなあに?」

 

「ええ?授業でやったでしょ。スペイン人とポルトガル人の事だよ。」

 

果南は鞠莉に南蛮人の意味を聞かれて答えた。

 

「私はスペイン人でもポルトガル人でもないわ!イタリア系アメリカ人と日本人のハーフよ!」

 

「ちょ!気持ちは分からなくもないけど失礼だよ鞠莉!」

 

南蛮人という言葉の意味を知った鞠莉は氏規と康勝に抗議した。

 

「お、おお。それは失礼した。」

 

「それより氏規さま。そろそろ城に戻るがよろしいかと。」

 

「そうですね。こやつらが目覚めて暴れないうちに牢に押し込めておきたいですからね。そうだ、そこの娘たち。どこの村から来たんですか?村までお送りしましょう。」

 

「え?どこから来たって・・・。」

 

「未来から来たって言っても信じてもらえないのでは・・・?」

 

答えに困っていたAqoursだったが、

 

「私たち、未来の内浦から来たんです!!」

 

千歌がメンバーの懸念などどこ吹く風といった様子で氏規たちに答えた。

 

「ちょっ!千歌ちゃん!?」

 

「え?だって本当の事だよ?」

 

「だからって、普通いきなり未来から来ましたって言われても誰も信じないでしょ!」

 

「ああ、そっか!」

 

「ああ、そっかって・・・。」

 

曜と梨子はため息をついた。

 

「ふむ、お主らが内浦から来たのは分かったが未来というのは?」

 

氏規が聞き返してきた。

 

「え~と、質問に質問で返すのは申し訳ないんですが、今って何年ですか?」

 

梨子が氏規に今が何年であるのかを尋ねた。

 

「ん?今は永禄5年ですが。それが如何しましたか?」

 

「永禄!?永禄5年って西暦何年・・・?」

 

「永禄というと恐らく1560年代かと思いますわ。」

 

「さすがダイヤ!ナイスだよ!!」

 

「ダイヤさん、ありがとうございます!!」

 

「そ、それほどでもありませんわ!黒澤家の娘たるものこの程度・・・。」

 

果南と梨子にお礼を言われたダイヤが照れる。

 

「えっと・・・。氏規さんたちには信じられないと思いますが、実は私たちは今から460年ぐらい先の日本から来たんです!!」

 

「おおー!梨子ちゃん言い切った!!」

 

「460年・・・?本当なのか?」

 

「果たして本当なのでしょうか?我らを欺かんとしている可能性も・・・。」

 

「本当なんです、信じてください!」

 

「そうです!梨子ちゃんは嘘をつく子なんかじゃないんです!!だから信じてください!!」

 

千歌は氏規と康勝の目を見据えながら言った。

 

「・・・そこまで言うのなら本当なのだろうな。」

 

「よいのですか?本当に信じて。」

 

「康勝どの。あの千歌という娘の目を見て、嘘をついているように見えましたか?」

 

「いえ、あそこまでまっすぐな目の者は男でもそうそう見かけませんな。氏康さまぐらいでしょうか・・・。」

 

「なら決まりですね。それではみなさん、未来から来たということは身寄りもないでしょうから私の韮山城に来てください。」

 

「は、はい!!」

 

「ああそうだ。まだ皆さんの名前を聞いてませんでしたね。」

 

「高海千歌です!」

 

「桜内梨子です。」

 

「渡辺曜です!」

 

「松浦果南です!」

 

「小原鞠莉よ。」

 

「黒澤ダイヤですわ。」

 

「い、妹の黒澤ルビィ・・・です。」

 

「国木田花丸ずら・・・じゃなくて、です!そしてこの子が津島善子ちゃんです。」

 

「そう、私は津島善子・・・じゃなくてヨハネよ!!」

 

 

 

 

 

そして、自己紹介を終えた千歌たちは氏規たちと韮山城に行くべく森の中を歩いていた。

 

「それで千歌どのたちはどういった集まりなんですか?」

 

「私たち、Aqoursっていうスクールアイドルをやってるんです!!」

 

「あくあ?『すくうるあいどる』とはなんですか?」

 

「千歌、いきなりそんな事言っても分かんないと思うよ?」

 

「そっか。それもそうだよね。」

 

「それで、あいどるとは一体何なのだ?」

 

「えっと、アイドルって言うのは歌と踊りでいろんな人たちを笑顔にする人たちの事です!!」

 

「ほお、歌と踊りというと能楽師のようなものか。」

 

「城に戻って一息ついたらそのアイドルの踊りとやらを見せてはくれませんか?」

 

「はい!!」

 

「千歌ちゃんはすごいずら。もうお殿様と意気投合してるずらってどうしたのルビィちゃん?」

 

花丸が千歌のコミュニケーション能力に感心してる一方でルビィの顔面は蒼白になっていた。

 

「だ、だってルビィ男の人が苦手なのにお殿様の前で踊るなんて・・・。失敗しちゃってみんなが打ち首になっちゃったらどうしよう・・・!?」

 

「うーん。氏規さんも康勝さんもそんな気の短い人には見えないから大丈夫だと思うよ?」

 

「でも音楽はどうするの?」

 

曜は踊りはできても音楽がないことを懸念していた。

 

「ラジカセならあるよ!」

 

千歌は鞄からCDラジカセを取り出した。

 

「ラジカセがあっても電源が無いと意味がないと思うよ。」

 

「その黒い箱は何だ?」

 

康勝がラジカセを指さして千歌にたずねた。

 

「これはラジカセって言うんです!!ここを押すと音楽が流れてくるんです!」

 

千歌は喜々として康勝に説明するが、

 

「でもこの時代には電気が無いから使えないんじゃ・・・。」

 

と梨子は言うが、

 

「確かにそうだけどやってみなくちゃ!!」

 

と言って、千歌はラジカセの再生ボタンを押した。

 

「コンセントも繋いでないのに音楽が流れるわけありませんわ・・・。」

 

とダイヤが言った瞬間・・・。

 

 

 

「今みーらーいー、変えてみたくなーったよー!だってー僕たちはーまだ夢にー、気づいたばーかりー♪ ♪~♪~」

 

なんとコンセントに繋いでないのにも関わらず、音楽が流れ出したのだ!!

 

「嘘でしょ・・・!?」

 

「あ、ありえませんわ・・・!」

 

「ほらー!!どういうことかは分からないけどやってみるのが一番だよ!!」

 

「おお!なんと、本当に黒い箱の中から声が!!」

 

「一体これはどういうカラクリなのですか!?」

 

ラジカセを見て氏規たちは子供のようにはしゃいでいた。

 

「これは中に私たちの声を入れたCDっていう円盤が入っていてそれを動かして音楽を流しているんです。本来は電気が無いと動かないんですが・・・。」

 

「ふむ、詳しいことは分かりませんが今流れてる歌はあなた方が歌ってるんですよね?」

 

「は、はい!どうですか!?」

 

「私たちの知っている歌とは雰囲気がかけ離れていますが、なんというかこう・・・、心が沸きあがってくるような感じがしますね。」

 

「だって!!私たちの歌がお殿様に褒められたよ!!」

 

千歌は自分たちの歌を褒められたのが嬉しくて跳ね回った。

 

「よかったね、千歌ちゃん。」

 

「うん!」

 

「でも、さっき氏規さんたちがまだこの辺に野盗?たちが残ってるかもって言ってたから早く消した方がいいんじゃない?もし見つかったら大変だよ?」

 

果南が千歌に忠告した。

 

「そうだね。」

 

そう言って千歌は音楽を止めた。

 

「では、日が傾かないうちに森を出ましょう!」

 

「「「「「「「「「 はい!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

「もうすぐで森から出られますよ!」

 

「や、やっと出られるのですね・・・。」

 

「お姉ちゃん、ルビィもう疲れたよ・・・。」

 

もともと体力の少ない黒澤姉妹はもとより、野盗からの逃走劇を繰り広げたほかのメンバーも疲れていた。

 

「森から出たら近くの村で休みましょう。そして兵を率いている清水どのと合流してから韮山城へ戻るのは如何でしょうか?」

 

「そうした方がいいみたいですね。というわけで皆さんあと少しで休めますから頑張ってくださ・・・皆さん伏せてください!!」

 

氏規がそう叫んだ瞬間、どこからか矢が飛んできた。

 

「ひい!?」

 

飛んできた矢は善子の足元に突き刺さった。

 

「善子ちゃん大丈夫!?」

 

「へへへ平気に決まってるじゃない!ヨハネの堕天使の加護があれば矢を避けるなんて・・・。」

 

「善子ちゃん危ないずら!!」

 

「ひゃあ!!」

 

さらにもう一本善子に向かって矢が飛んできたので花丸はとっさに善子を押し倒した。

 

「まさかこんなところで残りの野盗に出くわすなんて・・・!」

 

千歌たちの前に立ち塞がった野盗たちは10人ほどいた。

 

「まずいですな氏規さま。」

 

「そうですね。私たち二人だけなら逃げきれますが、疲れている千歌さんたちを庇いながらでは無理ですね。」

 

「おい、あいつらに捕まってるのは権助じゃねえか?」

 

「弥七に仁平もいるぞ!」

 

「おい、そこの侍!!俺たちの仲間を返してそこにいる女どもと金目の物を置いてけ!!そしたら生きて帰してやるぜ!!」

 

野盗たちは捕まっている仲間の返還だけでなく、千歌たちと金品も要求してきた。

 

「断る!貴様らのような賊に渡すものはない!!」

 

「だったら全員で力づくで奪ってやろうか!いくら手練れだからっつっても二人じゃ守り切れねえだろ!!」

 

「ぐっ・・・!」

 

野盗に正論を突かれて氏規は唸った。事実、2人で9人の少女を守りながら10人の野盗と戦うのは精強で知られた『五色備え』の大将の一人である康勝と一緒でも無理があった。

 

「康英どのの隊がいればなんとかなるのだが・・・。」

 

「奴らがいるということはまだこの辺りにはいないということでしょう・・・。万事休す、ですな。」

 

氏規と康勝は途方に暮れる。

 

「諦めちゃだめだよ!」

 

突然千歌が叫んだ。

 

「諦めちゃだめだよ氏規さん!『人間その気になったら何でもできる!』ですよ!!」

 

「千歌ちゃん、それ・・・!」

 

「そう、穂乃果さんが言ってたっていう言葉だよ。」

 

千歌は憧れの存在であり、スクールアイドルを始めるきっかけにもなった高坂穂乃果が言っていたという言葉を用いて氏規たちを鼓舞した。

 

「しかし千歌どの、そうは言っても限界というものが・・・!」

 

「大丈夫!私に考えがあります!」

 

そう言って千歌は野盗たちの前に歩いて行った。

 

「千歌ちゃん!!身代わりはだめだよ!!」

 

曜はまたみんなの身代わりになろうとしている幼馴染を止めようとした。

 

「ううん。もうそんなことはしないよ。私には武器があるもん。」

 

「武器・・・?」

 

曜は千歌の意図が読めなかった。

 

「みんな!氏規さん!康勝さん!耳を塞いでてください。」

 

「な!?耳を塞いでは刀を持てないでは・・・!」

 

「・・・そっか!みんな、氏規さんたちも今すぐ耳を塞いでください!!確かに千歌ちゃんはあいつらを倒すことはできませんが、あいつらの『動きを封じること』はできます!!」

 

曜は「耳を塞いで」という言葉で千歌のやろうとしていることを察知して、みんなに耳を塞ぐように呼び掛けた。

 

「へっ、あのガキ自分からこっちに来るみたいだな。」

 

そう言って野盗たちが千歌に向かって近づいてきた。すると千歌は鞄からラジカセとイヤホンを取り出して、イヤホンをラジカセに繋げずにそのまま付けた。

 

「みんな、耳はちゃんと塞いだよね!?いくよ!!」

 

そして千歌はラジカセの再生ボタンを押した。

 

 

すると、さっきと同じ曲が、さっきとは比べ物にならないほどの大音量で森に鳴り響いた。

 

「ぎゃああああああ耳がああああああ!!!!」

 

「か、雷か!?雷が落ちたのか!??」

 

「なんだこの音!!あのガキがやったのか!??」

 

「ひいいいいいいいい止めてくれえええええええ!!!」

 

耳を塞いでいなかった野盗たちは突然、至近距離で最大音量の音楽を流されたので鉄砲とは違い長時間なり続けるタイプの爆音に耐えられずに気絶してしまった。

 

「みんなもう耳栓しなくていいよ!!」

 

と千歌は音楽を止めて音量を下げてから、親指を立てながら大声で叫んだ。

 

「びっくりした~・・・。まさかラジカセの音楽を最大音量で流すとはね~。」

 

「ずいぶんロックな解決法ね・・・。ワンダフル!!」

 

「全く・・・。耳を塞いでも十分うるさかったですわ・・・。」

 

「一体何が起きたというのだ!?凄まじい音がしばらく流れていたが・・・。」

 

「まさかあの『らじかせ』に人を気絶させるほどの威力があったとは・・・。」

 

氏規や康勝はラジカセの力に目を丸くして驚いた。

 

「いやあ、私たちは大きな音に慣れてますが、この時代の人たちってあまりこういう大きな音には慣れてないんじゃないかなって思って考えついたんだ。」

 

「なるほど、確かに我らは鉄砲の音には慣れていますが今のような音は初めて聞きましたからね。千歌どのの作戦と弾力の勝利ですね!」

 

「うむ。ひょっとしたら千歌どのは武将に向いてるかもしれんな。」

 

「えええ!そんな、私が武将に向いてるなんて!!」

 

千歌は氏規たちに武将に向いてると褒められて慌てた。

 

「とりあえず早く森を出ようよ!」

 

「そうですね。」

 

そう言って千歌たちが森から出ると、

 

「おおーい!氏規さま!康勝どのー!!」

 

数十人の兵士たちを率いている、康勝の物ほどではないが鎧を白く染めた騎馬武者が千歌たちに向かって近づいてきた。

 

「おお、康英どの!来てくれたのか!!」

 

「そりゃあ、こっちの方からすごい大きな音が聞こえてきたと近くの村の者から知らされてきたものだからな。それでそちらにいる女子たちはなんだ?奇妙な格好をしているが・・・。」

 

康勝に康英と呼ばれた武将が怪訝な表情で千歌たちを見た。

 

「彼女たちは『あくあ』という歌と踊りで人々を楽しませる『あいどる』の集団で、野盗たちに追いかけられていたのを康勝どのと一緒に助けたのです。」

 

氏規が康英に千歌たちを紹介した。

 

「『あくあ』?『あいどる』?詳しいことは分かりませんが、賊の方はどうしましたか氏規さま。」

 

「ああ、三人捕まえました。他にも10人いましたが、この千歌どのの機転で全員気絶させて今は向こうで倒れています。康英どの、とりあえず奴らを縛り上げてきてください。」

 

「御意。それにしてもこのような小娘が賊を・・・?」

 

「ああ、本当だとも。それがしと氏規さまがこの目で見たのだから間違いない。さっきの爆音を千歌どのが起こして賊どもを一網打尽にしたのだ。」

 

「なるほど。それはすごい大手柄だな、見事だな千歌どの。他の女子たちもこのような勇気のある者を友に持って果報者だな。よし、皆の者!向こうの森に賊どもが倒れているらしい。目覚めぬうちに残らず縛り上げろ!」

 

康英は兵士たちに野盗たちの捕縛を命じた。

 

「ああ、名乗るのが遅れたな。それがしは清水太郎左衛門康英と申す。康勝どのと共に伊豆衆に所属しており、伊豆の南半分を統治しておる。」

 

「あれ?伊豆は氏規さんが統治してるんじゃないんですか?」

 

千歌は康英の言葉に疑問を感じて氏規に質問した。

 

「我ら北条家は統治してる城や国ごとに『衆』と呼ばれる集団を持っていて、この伊豆は『伊豆衆』の管轄となっているんですよ。その伊豆衆の中でも康勝どのの笠原家と康英どのの清水家は一番と言っていいほどの実力者なんです。故に康勝どのが伊豆の北半分を、康英どのが南半分を治めているんです。そして私は父に命じられて伊豆の重要拠点である韮山城の城主に任じられ、二人の上官のような立場にいるんです。ちなみに私は本来は相模の『三崎衆』の大将を勤めています。」

 

「ん?んん?なんかよく分からないなあ?」

 

「つまり氏規さんは伊豆を統治してる二人の上司を一時的に任されている、ということですのよね?」

 

氏規の説明で頭がこんがらがっている千歌にダイヤが簡単に説明した。

 

「まあ、そのようなものですね。」

 

「すごいよダイヤちゃん!すごい分かりやすかったよ!」

 

「千歌さんはもう少し理解力を上げなさいな。」

 

「改めて聞くと氏規さんがすごい偉いのがよく分かるな。」

 

「それほどでもないですよ。私には他にも3人の兄がいるので兄上たちには及びませんよ。」

 

「氏規さま!賊どもの捕縛が完了しました。」

 

「そうか。よし、これより韮山城に帰還する!」

 

「「はっ!!」」

 

「千歌どのたちもついてきてくださいね。」

 

「「「「「「「「「 はい!!」」」」」」」」」

 

 

 

 

そして、韮山城にて・・・。

 

「ほええ、ここが氏規さんのお城なんだ!」

 

「テレビで見るあの大きな建物がないね。あの屋根にしゃちほこがついてるやつ。」

 

「天守閣だっけ?」

 

「このころの城に天守閣はありませんよ。作られるのはもう少し後の時代ですわ。」

 

「へ~そうなんだ。」

 

「ダイヤさんは物知りずら~。」

 

千歌たちは今まで抱いていた城のイメージと違うことに驚いていた。

 

「ここが本丸の御殿ですよ。」

 

「うわあ、広ーい!!」

 

「はぐれないようについてきてくださいね。」

 

「はーい!!」

 

 

 

そして韮山城本丸の広間にて・・・。

 

「なるほど。お主が梨子どのに曜どので、果南どのに黄金色の髪の娘が鞠莉どので、黒澤姉妹のダイヤ殿とルビィ殿に、花丸どのと、善子どのですな。」

 

「ヨハネよ!!」

 

「ん?善子なのかヨハネなのか名前が分からんな・・・?」

 

「とにかくヨハネで呼んでちょうだい!!」

 

「う、うむ。しかし460年先の日ノ本から来たというのは誠なのか?」

 

「ああ、彼女たちはこの時代の日ノ本には無いものを持っている。それが何よりの証拠であろう。」

 

「確かに身に着けている衣服は奇妙なものだな。これが未来の民の服装か?」

 

「いえ、これは制服っていって学校という文字の読み書きや計算に、様々なことを学ぶ場所に行く人が身につける服なんです。普段は普段の生活用の衣服をつけてます・・・。」

 

梨子が制服をまじまじと見ている康英に困惑しながら説明した。

 

「なるほど・・・。」

 

熱心にうなずく康英だが、もちろん下心なんてものはなく、ただ純粋な好奇心で制服を熱心に見つめているのだ。

 

「それより、さっき言っていたお主らの踊りをそこの庭で踊って見せてくれませんか?」

 

氏規が千歌たちに踊りを見せてほしいと頼んだ。

 

「はい!じゃあそこの縁側で座って待っててくださいね!」

 

 

そして千歌たちが中庭でフォーメーションを組んで並んだ。

 

「うう・・・。緊張するよぉ・・・!」

 

「大丈夫ずら。いつも通りに踊ればなんとかなるずら。」

 

「まったく、しっかりしなさいなルビィ!」

 

「まあまあダイヤ。誰だってお殿様の前で踊るなんて緊張するって。」

 

「私たちのビューティフォーでシャイニー☆な踊りで魅了しちゃいましょ!」

 

「うふふ。ヨハネの魅力的な踊りでリトルデーモンにしてあげちゃうんだから!!」

 

「不思議だなあ、お客さんはたった3人なのに緊張しちゃうね。」

 

「うん、でも私たちならどんな場所でも歌って踊れる。そうだよね、千歌ちゃん!」

 

「うん!私たちなら出来る!いくよみんな!!聞いてください。『君のこころは輝いているかい?』!!」

 

そういうと千歌が再生ボタンを押して、曲が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

『まだ夢にー、気づいたばーかりー♪・・・。』

 

曲が終わり、中庭が静寂に包まれた。

 

「どうでしたか!?」

 

千歌が氏規たちに感想を聞くと、

 

「ほおお、これが『あいどる』の歌と踊りか!!能とはかなり違うみたいですがこちらもとても素晴らしいですね!!あなた方の踊りを改めて見てみると心が沸きあがってきました!!」

 

「ふむ。なかなか騒がしい雰囲気の曲だったが見事なものだ。460年後にはこのような曲が広まっているのだな!」

 

「確かにこれはいいものですな。なにやらそれがしも楽しい気分になってきたぞ。ただ・・・。」

 

「ただ?どうしたのだ康英どの?」

 

康勝はうつむく康英に声をかけた。

 

「うむ・・・。なんというか踊りがあまりにも躍動的すぎてただでさえ腕や足が出ているというのにいろいろ出そうで・・・!」

 

康英は顔を真っ赤にして答えた。

 

「康英どの、お主そんなことを考えておったのか!堅物なくせに盛んなことですな!!」

 

「しょうがないであろう!今どきあんな腕や足を出すような衣服を着てるものなどおらんではないか!!」

 

「だがお主は子持ちであろう?ならば女房の裸も・・・。」

 

「馬鹿!うら若き乙女の前でそんな下世話な話をするな!」

 

二人はそのまま言い合いを続けていた。

 

「すみません。康英どのは生真面目なので悪気はないんです。気を悪くしないでくださいね。」

 

氏規は康英に代わって千歌たちに謝った。

 

「いえいえ!こちらこそそこまで熱心に楽しんでいただけてとても嬉しかったです!!」

 

千歌は笑顔でそういった。

 

「そういえば氏規さま。千歌どのたちをこの城に置くと言っておりましたが、誠ですか?」

 

言い合いが終わって戻ってきた康英が氏規にたずねた。

 

「ああ、彼女たちには身寄りがないですからね。私たちが後ろ盾になれば元の時代に戻る方法も見つけやすいでしょう。」

 

「となると、『御本城さま』に報告する必要がございますな。」

 

「氏規さん、御本城さまって誰ですか?」

 

「父上のことですよ。」

 

「氏規さんのお父さん・・・!」

 

「ええ、近いうちに父や兄たち、そしてほかの重臣たちとも謁見することになるでしょうね。」

 

「ええええええ!??」

 

千歌は氏規の言葉に驚きを隠せなかった。

 

「ああ、でもすぐではないですよ。父に書状を送ったのでその返事が戻ってから行くので、しばらくはこの城でくつろいでいってください。」

 

「「「「「「「「「はい!よろしくお願いします!!」」」」」」」」」

 

 

 

こうして、千歌たちAqoursは韮山城で滞在することになった。しかし近いうちに氏規の父である、北条氏康と、氏規の兄たちやその他重臣たちと謁見することになった!

 

北条氏康はどのような人物なのか、そして千歌たちは無事に謁見することができるのか・・・!?




いかがでしたでしょうか?

今回は千歌ちゃんたちの初ライブin戦国時代回でもありました!!

今回は少し北条家の家臣団の仕組みにも触れましたが、北条家マニアとしてまだまだ未熟なものでうまく表現できたか少し不安ですが、戦国時代に詳しい方やそうでない方にも「なんとなく理解できた」程度に伝えられることができれば幸いです。


さて、次回はいよいよ北条氏康を筆頭に北条家の武将がたくさん登場します!!どんな武将がどんなキャラで出てくるのか楽しみにしていてください!!


それでは次回もお楽しみください!!

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