ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursの戦国太平記 作:截流
今回はいよいよ武田と北条がぶつかり合う三増峠の合戦・・・が始まる前の探り合いです!
それではどうぞお楽しみください!!
千歌たちが小田原の町の復興に力を尽くしている頃、氏政と氏康が率いる1万人の精鋭部隊は甲斐に向かって退却する武田軍を追って氏照と氏邦が武田軍を待ち受けている三増峠に向かって大急ぎで進軍していた。
「氏政よ、あの娘たちを連れてこなくて本当によかったのか?」
氏康は氏政に千歌たちを従軍させなかった事についてたずねた。
「はい、これでいいのです。彼女たちはこの北条家にやって来て私の臣として戦働きをさせてきましたが、彼女たちは元はと言えば数百年先の太平の世に生きていた戦を知らぬ娘たちでございます。」
「・・・彼女たちを武士の道に引き入れたこと、後悔しておるのか?」
「いえ、彼女たちのおかげで乗り越えられたこともあるので後悔こそはしておりませんが・・・少し心苦しく思う事もありました。」
「・・・。」
「彼女たちが自らの意志で戦に出ているのは百も承知ですが、それでも時々彼女たちに対して申し訳ないと思う気持ちも出てきてしまうのです。」
「戦から遠ざけるために小田原に残したわけか。」
「いえ、そういうわけではありません。彼女たちは元々アイドルという歌と踊りで人々を楽しませるという存在でございます。此度の戦で町は焼かれ、民たちの心は沈み切っております。そこで千歌どのたちの力で少しでも民たちを慰めることができるように彼女たちを残したのでございます。」
氏政は氏康に、千歌たちを戦いから遠ざけるために町に残したのではなく、彼女たちのアイドルとしての力を信じて民の慰撫のために残したことを堂々と語った。
「なるほど、お主はあの娘たちに自分たちの力を活かせる役目を与えたというわけか、成長したものだ・・・。ゴホッゴホッ!」
氏康は氏政の采配に感心し、息子の成長を実感していたが突然咳き込んだ。
「父上!やはり無理は禁物です、進軍速度を少し落とした方が・・・。」
この時氏康は体調を崩していたのだが、無理を通して出陣していた。氏政は父の容態を悪化させないように進軍速度を落とそうとするが、
「構うな!わしはこの戦で信玄めとの決着をつけるつもりだ・・・。何があっても奴を逃がしてはならぬ!進軍速度はこのままでよい、武田の後を追うのだ!!」
氏康は自分に構うことなく武田軍を追うように全軍に下知した。
「御本城さま、お屋形さま!!」
そこに伝令がやって来た。
「どうした!」
氏政は伝令に何が起きたのかを説明させる。
「それが、この先に武田軍の物と思われる荷駄(軍事物資)が捨てられていたのですが・・・。」
『なに!?』
伝令の報告を聞いてもう少し先に進んでみると、彼の言う通り道端に荷駄が無造作に打ち捨てられていたのだった。
「これは一体・・・。武田軍は一体何を考えているのかね?」
それを見て憲秀は首を捻った。だが氏政と氏康の表情はみるみる緊迫したものに変わっていった。
「いかん!急いで進軍せねば!!」
氏康は信玄の狙いに気付いたのかさらに進軍速度を上げるように下知した。
「な!?御本城さま、それはどういう事で・・・?」
憲秀は困惑していたが、
「とにかく全力で走るんだ!恐らく武田は我らが思う以上に早く動いているかもしれん!!」
氏政は氏康の意図を汲んで馬を走らせた。
時は少し遡り、三増峠に続く道中にて・・・。
「そうか、氏照と氏邦が待ち受けておるのか。」
「お屋形様の読みが当たりましたな。」
信玄は斥候の報告で氏照と氏邦が三増峠で自分たちを待ち構えていることを確認した。もちろん彼にとってこれは想定の範囲内であった。
「うむ。読み通りとはいえ相手は地黄八幡の綱成をはじめとした北条軍の精鋭たちが揃っておる。まともに戦っては流石のわしらも苦戦するだろうよ。」
「ですがお屋形様には策がおありなのでしょう?」
「ふふ、そう急くな信春。策はちゃんと用意してあるわ・・・。」
信玄は笑うと、将たちに今回の戦いでの策を伝えた。
まず、小幡憲重に1200人の兵を付けて、三増峠に布陣する北条軍との連携を図る内藤綱秀が籠っている津久井城のけん制に向かわせた。
次に主力部隊を3つに分けた。中央には馬場信春、武田勝頼、浅利信種、そして内藤昌豊の荷駄隊を配置し、右翼には信玄とその旗本による本隊を、そして別動隊には信玄の弟である信廉と一条信龍を配置した。さらにそれぞれの部隊の大将たちにそれぞれ信玄の側近から『検使』を配備された。
ここでいう検使とは副隊長のようなもので万が一、部隊長が戦死してしまった時に部隊長に代わって部隊を指揮する者たちのことである。信春には武藤喜兵衛、勝頼には三枝守友、信種には曽根昌世といった次代を担う若手の精鋭が派遣された。
「お屋形様!俺の出番はないのですか!?」
信玄が陣容を説明している時に憮然とした表情で声を上げたのは、武田軍の最強部隊として名高い『赤備え』を率いる武田四天王の山県昌景であった。
「ふふふ、慌てるな源四郎。お主にはこの戦でもっとも重要な働きをしてもらうのだからな。」
「流石はお屋形様、話が分かる!」
「まずお主には真田兄弟と残りの将たちと共に5000の兵を付ける。そして志田峠(三増峠の南西にある峠)を越えて迂回するのだ。」
「それで北条軍の背後を突けって事ですね?」
「流石は源四郎じゃ。よく分かっておる。」
信玄は自分の言わんとしたことを察した昌景に対し上機嫌な様子で頷いた。
「では我ら山県隊、これより志田峠に向かうぞ!俺たちが撤退したように奴らが錯覚するようになるべく目立つように動けよ!」
昌景は信玄から策を授かるとすぐに真田信綱・昌輝兄弟やその他の武将を引き連れて志田峠に向かって進軍して行った。
「ではわしらも進軍するとしよう。」
「我々はどのような進路で進むのです?」
「奴らは三増峠の上に布陣しておる。そこで奴らから見えるように三増峠と志田峠の間を通るのだ。昌豊率いる小荷駄部隊はそのまま志田峠を越えて甲斐に戻れ。中央の隊はそのまま敵前に陣を張るのだ。」
『はっ!!』
「あの~・・・。」
「む、どうした喜兵衛よ。」
「実は俺に策があるんですが~・・・。」
そう言って手を上げたのは馬場信春の検使に任命された武藤喜兵衛であった。
武藤喜兵衛は攻め弾正の異名を持つ真田幸綱の三男で、信玄の人質に出されていたのだが、その非凡な才を信玄に見出されて武田家の幹部候補生とも言える奥近習に任命されていた。しかも喜兵衛はその奥近習の中でも優秀なメンバーである『奥近習六人衆』として信玄から英才教育を受け、しかも武田家の重臣の家柄である武藤家の養子となって後を継ぐように命令されたことからも分かるように信玄の彼に対する期待は尋常ではなかったことがうかがえる。
そして彼は同じ奥近習六人衆のメンバーである曽根昌世と共に『信玄の両目』として信玄から重用されており、信玄が小田原に向かう途中に酒匂川付近で大道寺政繁が『地雷火』という罠を張って待ち受けていたのを看破し、これを逆に利用して大道寺隊を打ち破ったという逸話が残っている。
「言ってみるがよい。」
「はい!え~、三増峠に布陣している氏照や氏邦も馬鹿じゃないので恐らく我々が目の前を通っても小田原から来た本隊が向かってくるのを挑発に乗らずに待ってると思うんです。んでしかも本隊の方は確実に俺たちを仕留めるためにも急いでこっちに向かってくると俺は考えてるんですよ。」
「ふむ、それで?」
「そこで作戦を確実に成功させるには更に進軍速度を上げる必要があると不肖、この喜兵衛は提案させていただきます。」
「だがこれ以上どうやって足を速くするんだ?」
勝頼は怪訝そうな表情で喜兵衛にたずねた。
「そいつは簡単です!荷駄をここで捨てちまえばいいんですよ!」
「何!?荷駄を捨てるだと!?」
喜兵衛の策に諸将は愕然とした。
「無駄な荷物を捨てて身軽になれば小田原から追ってくる奴らに追いつかれることなく進軍できるうえに、動きが早ければ三増峠に布陣している連中も我々が必死に逃げていると勘違いして峠を下りてくるでしょう!いかがです、お屋形様?」
喜兵衛は自信たっぷりに自分の立てた策を信玄や他の将たちに披露した。
「なるほど、確かに喜兵衛の言う通りだ。わしらも出来るだけ早く甲斐に戻らねばならぬし、そのために短期決戦で臨まねばならんからな・・・よし。お主の策、ありがたく使わせてもらうぞ。」
「ははー!ありがたき幸せ!!」
喜兵衛は自分の策を採用されると恭しく信玄に平伏した。
「よし、では荷駄は必要最低限の物以外はここに打ち捨ててわしらも進軍するぞ!」
『おおー!!』
こうして武田軍は再び進軍を開始したのだった。
そしてそれからしばらく経って、三増峠では・・・。
「氏照さま、氏邦さま!武田軍本隊がこちらに向かってきております!」
「そうか、ご苦労であった。遂に来たな氏邦・・・!」
「ああ、俺たちがここにいるとは知らずにな!まさに飛んで火にいる夏の虫だぜ!!」
氏照と氏邦は自分たちの居城を突破され、武田軍の小田原への進撃を許してしまったことが悔しかったのか、この戦いで巻き返しを図ろうとしていた。
「よし!このまま一気に峠を下りて武田軍を一気に・・・!」
「待て氏邦、あくまでも小田原から来る兄上と父上の本隊と挟撃するのが今回の作戦だ。もう少し待つのだ。」
血気に逸る氏邦とは対照的に氏照は慎重な姿勢を崩さなかった。
「だが氏照兄貴!相手は脱落者か離散者が出たのか人数が前よりも少なくなっているし、何より俺たちは高所に陣取っていて地の利もある!いくら信玄が類稀なる戦上手だろうと峠から攻められちゃ苦戦を強いられるだろうよ!
「いや、有利だからこそ油断は禁物ですぞ氏邦どの。」
そう言って氏邦を諫めたのは富永直勝だった。
「血気に逸って先行したうえに戦が有利に運んだことで油断して逆に追い込まれたそれがしとそのせいで討ち死にしてしまった綱景どのの事を忘れたわけではありますまい・・・。」
直勝は氏邦の前に歩み寄り、綱景と共に犯した失敗を例にして氏邦が先行しないように諫める。実際に失敗して史実では綱景と共に戦死するはずが九死に一生を得た直勝の言葉には有無を言わせない説得力があった。
「はっはっは!直勝が言うと説得力があるなあ!!」
綱成は直勝の背中をばんばんと叩きながら豪快に笑って言った。
「つ、綱成どの・・・。すまんが俺ももう年だ、あまり強く叩かれると背骨が折れかねん。」
「おお、そう言えば直勝は今年で60か!こりゃ悪いことしたな、すまんすまん。」
そう言われた綱成は慌てて直勝に詫びた。
「それにしてもまさかこんな所で五色備えが全員揃うとは夢にも思いませんでしたよ。」
「元忠どのの言う通りだな。俺たちは大体いつもバラバラに動いてるもんな。そう言えば康勝どのは伊豆にいたんじゃないのか?」
元忠が五色備えが揃ったことに対して感慨深げに呟くと、元忠と付き合いの長い綱高がそれに頷き、康勝にも声を掛けた。
「私は元々は小机衆に所属していましたから。氏規さまの補佐を氏康さまに任じられ韮山に入ったが、氏規さまも成長されたので伊豆の事は一族の綱信どのと清水康英どのに任せて小机に戻ったのです。」
「ああ、そう言えば康勝どのは父であった信為どのの代から小机城の城代を務めていましたな。」
康勝は元々伊豆ではなく、北条幻庵の居城であった小机城の城代を務めていたのだが、氏康の要請により氏規の補佐のために伊豆に赴いていたのだ。そしてここ最近で幻庵は息子の氏信に小机を譲り久野に隠居し、氏信も駿河の蒲原城の守備を任されているため、康勝は小机城の城代としての役割を果たすために小机に戻って来たのだ。
康勝がそれをみんなに説明すると元忠は合点が言った様子で頷いた。
「和やかに雑談をしているところを申し訳ないのだが、こちらはどのような陣を敷くのですかな?氏政さまと氏康さま率いる本隊と挟撃するため未だ動くわけにはいかぬとはいえ、こちらも陣を整えねばなりますまい。」
そこに割り込んできたのは河越衆を率いる大道寺政繁であった。
「おお、確かに大道寺の言う通りだな!俺たちはどのように布陣すればいいんだ氏照?」
政繁の言葉を聞いて、思い出したように綱成は氏照に今回の戦いにおける布陣をたずねた。
「此度の戦での陣容はこのようになっております。ぜひご一同にはご確認いただきたい。」
氏照はそう言ってみんなに見せるように布陣図を広げる。布陣図には3つに分けられたグループがあった。
まず、綱成率いる玉縄衆を中心とした右翼部隊。この隊には康勝が率いる小机衆や綱高が率いる赤備えと元忠の黒備えと、五色備えのうちの4部隊が結集している。
次に氏邦率いる鉢形衆を中心とした中央部隊。この隊には氏邦の傘下である秩父衆や深谷衆、そして岩付衆、佐倉衆に土岐衆、小金井衆といった外様の他国衆の軍勢と、政繁が率いる精鋭部隊の河越衆、そして直勝の青備えと遠山政景が率いる江戸衆、さらには氏政たちの従弟で氏康の養子となった義弟の氏忠が率いる軍勢も加わり、重厚な陣容となっている。
そして最後に氏照率いる滝山衆を中心とした左翼部隊。そこには下総の小弓衆、上田朝直と垪和氏続が率いる松山衆や、成田長泰が率いる
「ほう、これはなかなかに良い布陣ですね。」
布陣図を見て、氏康の軍師を務めていたことのある元忠はうんうんと頷きながら氏照の考案した布陣を褒める。
「しかもこれで今の俺たちの兵力は2万!しかも地の利を得ているうえに兄貴や親父が率いる1万の本隊も来るんだったら武田軍の撃破も夢じゃねえな!!」
氏邦は意気揚々と叫ぶが、
「確かにそうだが、確実に勝つには我らと兄上たちの本隊との挟撃が必要なのだ。早まるなよ。」
と氏照は逸る氏邦を戒め、
「では各々所定の位置に布陣してくだされ。」
と、諸将たちに号令をかけた。
『おお!!』
氏邦たちはこれに応えると、本陣から出て自分たちの布陣場所へと走り出した。
一方、三増峠の麓を通る武田軍は三増峠に布陣する氏照達の眼下を通っていた。もちろんただ素通りしているわけではなく、いつ襲撃されてもそれを迎え撃つことができるように態勢を整えながらの行軍であった。
「ふむ、氏照も氏邦もわしらが目の前を通るのを見て攻め下りぬのを見るところ、若造にしてはなかなかやるようだな。」
右翼に陣を敷いている信玄は三増峠の頂で全く動かずに待機している氏照たちの陣を見ながらそう言った。
「よし、ではここで揺さぶりをかけようか・・・。信春、勝頼、信種隊に陣形を多少崩しながら速度を速めるように伝達せよ!」
『はっ!』
信玄が近くに待機していた伝令たちにそう伝えると、彼らは信玄の策を中央に布陣する3つの部隊に伝達するために走り出した。
「これならばあやつらでも食いつくであろうよ。ふふふ・・・。」
伝令たちを見送った信玄は低く笑いながらそう言った。
そして三増峠で待機している氏照の陣では・・・。
「む、武田軍の動きが変わったな。」
本陣で床几に座りながら峠の麓で行動している武田軍を見下ろしていた氏照は、彼らの動きに変化が起きたことを見逃さなかった。
「武田軍の隊列が乱れてきている・・・。我々に挟撃される前に撤退するためになりふり構わず走っているのか、我らを誘い出すための信玄の策なのか・・・。」
氏照は眼下を通り過ぎようとしている武田軍を見下ろしながら追撃するべきかどうか悩んでいた。するとそこに1人の伝令がやって来た。
「我が主氏邦さまより伝令!『逃げ惑う武田軍を追撃すべし』とのこと!!」
「氏邦め、信玄の策やもしれぬというのに迂闊に動くなと伝えよ。」
氏照はそう言って伝令を氏邦の元へ帰そうとするが、
「しかし氏邦さまは『ここで動かねば挟撃どころではなく、武田が甲斐に悠々と帰るのを見過ごせば天下の笑い者となるであろう』と・・・。」
と、伝令は氏邦が強く追撃を望んでいる事を氏照に伝えた。
(信玄の策を警戒するならばここで動かないに越したことはないが、ここで動かねば武田軍を見過ごすことになって武田を挟撃するという兄上と父上の策が破綻し、さらには『逃げる武田を有利な場所で待ち受けながら見過ごした北条は臆病者ぞ。』との噂が広まり北条家の威信に関わりかねんという氏邦の主張にも一理ある・・・。)
氏照は自分の考えと伝令を通しての氏邦の主張を客観的に吟味して、どう動くべきかを考える。
「氏照さま。忍衆、松山衆、御嶽衆も追撃を主張しております。ここは如何いたしましょうか?」
評定衆から退き、氏照の家老となっていた狩野泰光が氏照に判断を仰いだ。
「分かった・・・。なればこれより我らは武田軍を追撃する!ただし功を焦らず、小田原からの本隊が到着するまで奴らを足止めするのだ!!」
氏照は床几から立ち上がり、将兵たちに指示を出した。氏邦の伝令も、氏照の指示を氏邦に伝えるために走り出した。
「確かに信玄は比類なき強敵ではあるが、我らには地の利がある!ここで勝てずとも兄上たちが来るまでこの地に繋ぎ止めてやるぞ!!」
『おおー!!』
氏照が号令をかけると、将兵たちは雪崩を打つように峠を下っていった。
一方、右翼に布陣している綱成たちは・・・。
「む?綱成さま、中央の氏邦さまの隊と左翼の氏照さまの隊が峠を下っていきますぞ!?」
「なんだと!?あいつら待てなかったのか!!」
氏照隊と氏邦隊が武田軍に攻めかかるのを見た玉縄衆の副将にして綱成の腹心である間宮康俊の言葉を聞いた綱成は驚いた。
「信玄の奴が敵前で隊列を崩して逃げるなんて事があるかよ!こいつは信玄の罠だって血の気の多い氏邦ならともかく氏照が見破れんはずがねえ!!」
「ですが、ここで追撃せねば武田軍を見逃すことになるのも事実ですし・・・。」
「間宮どのの言う通りですよ綱成どの。ここで動くのは悪手とは言い切れませんからな。」
康俊の言い分を元忠が肯定すると綱高も、
「そうだそうだ!いくら信玄が手強かろうと氏照や氏邦が策に嵌まっちまおうとも俺たち五色備えが全力で戦って手助けすりゃいいじゃねえか!それとも五色備えの筆頭の地黄八幡ともあろうお前も老いぼれちまったか?」
と綱成を焚きつける。
「馬鹿言ってんじゃねえよ綱高!俺はお前より9歳若いわ!!まあ氏邦には直勝も付いてやってんだ。よし!じゃあ俺たち黄、赤、黒、白備えの4隊も峠を下って武田軍に攻めかかるぞ!!」
『おお!!』
綱高に煽られる形になったが、綱成も覚悟を決めて目の前を通る武田軍に向かって攻めかかった。
いよいよここに、戦国時代において最も大規模な山岳戦と後世に伝えられることになる三増峠の戦いの幕が開かれた。
いかがでしたでしょうか?
次回は遂に三増峠の戦いが開戦します!果たして氏照たちは武田軍を抑えきることができるのか、そして氏政と氏康は戦いに間に合う事ができるのか・・・。
次回も千歌ちゃんたち登場しないけど読んでくださるとうれしいです!あと感想お待ちしてます!!(若虎の方もよろしくお願いします)
それでは次回もまたお楽しみください!!