ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursの戦国太平記   作:截流

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どうも、截流です。

今回はサブタイトルから察する人も多いかと思いますが、ある超大物武将が登場します!



それではどうぞお楽しみください!!


31話 三郎と軍神と、ときどき花丸

久野屋敷で幻庵と氏政兄弟、そしてAqoursによって行われた三郎の送別会から数日後、三郎は氏康と氏政から付けられた数人の家臣たち、そして警護役であり越相同盟締結の立役者でもある氏邦の軍勢と共に沼田城に向けて歩みを進めていた。

 

「康光どの、沼田まではどれくらいかかるでしょうか?」

 

「うむ・・・。厩橋城を出たのが3日ほど前の事でございますから、日が暮れる前には沼田城に辿り着けましょう。」

 

三郎の質問に答えた男の名は遠山康光。遠山という名字から国府台で戦死した梨子の師とも言える、遠山綱景の名を思い浮かべる読者の方もいるだろう。康光はその綱景の弟であり、時には兄の片腕として鎌倉の代官を務め、またある時は三浦半島の水軍衆との交渉、そして氏康の側近として外交に携わるなど、江戸城城代の筆頭にして北条家三家老を務めた兄に比べて知名度は劣るものの、北条家の為に力を振るった功臣であることに間違いはなかった。

 

そしてこれは余談なのだが、康光(そして綱景)の妹は氏康の側室であると同時に三郎の実の母親でもあるため、三郎にとって康光は叔父にあたるのだ。氏康が三郎に彼を付けたのは康光が叔父にあたる事が関係しているといっても過言ではないだろう。

 

「そうですか。上杉謙信・・・、相模の獅子と謳われた父上が決戦を避けるほどの戦上手である一方で毘沙門天を熱く信奉し仏の道にも深く帰依していると聞きますが、どのようなお方なのだろうか・・・。」

 

三郎は空を仰ぎながら、自分の新たな養父となる男がどの様な人物であるのか、思いを馳せていた。

 

「大丈夫だよ三郎くん。上杉謙信さんは義に篤い人だっておらたちの時代にも伝わってるずら。だからきっと悪い人じゃないと思うよ?」

 

そんな三郎に語り掛けたのは、花丸であった。

 

なぜ花丸がここにいるのか、そう疑問に思った読者もいるはず・・・。それを知るためには三郎の送別会の翌日・・・つまり三郎が出立する日まで時をさかのぼる必要がある―――――

 

 

 

 

 

それは三郎の送別会の翌日の卯の刻(午前6時ごろ)のこと・・・。

 

「では康光。越後にて三郎の事、よく支えてやってくれよ。」

 

「兄上さま。三郎の事、何とぞよろしくお頼み申し上げます。」

 

たまたま体調が少し回復していた氏康は側室にして三郎の母である康光の妹と共に三郎の見送りをしていた。

 

「はっ!この遠山康光、身を粉にして三郎さまをお支えしてみせまする!」

 

康光もそんな2人の期待に応えるべく、頭を下げながら堂々と宣言した。

 

「氏康さん!!」

 

「む、花丸どのか。1人とは珍しいな、他の者たちは如何した。」

 

いきなり花丸がやって来たことにわずかな驚きを見せながらも、氏康は落ち着いた様子で花丸に用件をたずねた。

 

「あの、おらも三郎くんに付いて行っていいですか!?」

 

『!!?』

 

花丸の言葉に、その場にいた者たちは皆驚いた。

 

「は、花丸さん!?」

 

「お主も越後に行くというのか!?」

 

三郎と氏康は驚いてそう言ったが、

 

「へ?おらが行くって言うのは三郎くんの見送りずらよ?流石に越後までは行けないずら~。」

 

「そ、そうであったか・・・。早合点してしまったな。」

 

花丸の言葉に氏康は安心した。

 

「しかし、他の皆さん・・・特にダイヤさんは反対したのではないですか?」

 

「ううん、おらが三郎さんを上野までお見送りに行きたいって言ったらオッケーしてくれたずら!」

 

花丸はにこにこしながら三郎の見送りに行ける理由を説明した。

 

「そうか、であるならば花丸どのも見送りに付けるとしよう。」

 

「はい!ありがとうございます、氏康さん!!」

 

花丸は氏康に頭を下げた。

 

 

 

 

 

――――そんな訳で、こうして花丸は三郎たちと沼田城への道中を共にしているのだ。

 

 

「よし、そろそろ沼田城に着くぞ。」

 

氏邦の言葉を聞いた花丸は息を呑み、襟を正した。

 

「鉢形城主、北条氏邦である!北条三郎を連れて参った!!門を開けられよ!!」

 

氏邦がそう言うと沼田城の門は開かれた。

 

「さあ、行きましょう花丸さん。」

 

「ず・・・ずら。」

 

行列が城に入っていき、花丸も三郎に促されると、ぎこちない動きで沼田城へ入っていった。

 

 

そして、三郎は越相同盟の立役者である氏邦や付家老(当主の元から派遣される家老)の康光や見送りに来た花丸と共に謙信や上杉家の家臣団が待つ大広間に向かった。

 

(いよいよ謙信公とご対面か・・・。)

 

三郎はまだ見ぬ越後の龍との対面がどうなるか緊張していた。

 

「小田原より北条相模守氏康どのが御子息、北条三郎どのが参られました。」

 

「うむ、通せ。」

 

襖の奥からそんなやり取りが聞こえ、三郎は意を決して大広間に入った。

 

「おお・・・。」

 

「これは見事な・・・!」

 

三郎が大広間に入り、謙信のいる上座に向かって歩くと大広間に居並んでいる上杉家の家臣たちが三郎を見てざわめき始めた。

 

三郎は『関東一の美男子』と言われるほどに容姿端麗であったため、そうなるのは無理もない話であった。

 

「北条相模守氏康が庶子、北条三郎氏冬と申します。」

 

三郎は謙信の前に座ると頭を下げて名乗った。余談だが、三郎はこの時期には既に元服していたと思われるものの、諱(実名)が伝わっていなかった。しかし最近の研究では氏冬だったかもしれないという説が出ているので、ここでもそう名乗らせた。

 

「うむ、小田原よりようはるばると来てくれた。我は上杉不識庵謙信である。」

 

謙信も三郎に続いて名乗った。

 

(この人が上杉謙信さん・・・。自分のことを毘沙門天の化身と呼んでただけあって威圧感がすごいずら・・・!氏康さんや信玄さんとも違う浮世離れした感じがする・・・!)

 

花丸は平伏しつつ、上目で謙信の姿をちらりと見てその威容に圧倒されそうになり、息を呑んだ。

 

「三郎どのも、供の者たちも面を上げるがよい。」

 

謙信がそう言うと康光と氏邦、そして花丸も顔を上げた。すると再び上杉家臣たちがどよめいた。

 

「おい、あそこにいるのはおなごではないか!?」

 

「本当だ!なぜここにおなごが?」

 

「いやいや、それよりも何故おなごが直垂(ひたたれ)(武士の正装)を着ているのだ!?」

 

女である花丸がこのような場にいるのは常識的に考えてもあり得ない事だったのでこうなるのは無理もない話であったし、花丸もこうなることは想定していなかったわけではない。

 

 

「静まれ!」

 

 

謙信の鋭く、厳かな一喝で大広間は一瞬で静まり返った。そして誰の声も聞こえなくなった時、

 

「女よ、名を名乗れ。」

 

と花丸に向けて問いかけた。花丸は謙信から発せられる異様な威圧感に呑まれそうになるが、歯を食いしばってこらえた。

 

「おら・・・、じゃなくて私は国木田花丸と申します。」

 

「国木田・・・、変わった苗字であるな。して、花丸と言ったか。そなたは男として育てられておるのか?」

 

謙信は再び花丸に問いかける。女でありながら花丸という男のような名前を名乗っていることを不思議に思ったのか男として育てられているのかたずねた。

 

「いいえ。こんな名前ではありますが、私はれっきとした女として育てられてきました。」

 

花丸がもう一度胸を張って質問に答えると、謙信はほんの一瞬だけ口元を綻ばせるともう一度厳しい表情に戻り、

 

「では重ねて問う。その方は何者だ?そして何をしにここへ来た。」

 

とたずねた。花丸は二回ほど深呼吸をして息を整えた。

 

「信じがたい話ではあるとは思いますが、私たちは今より400年先の未来からやって来ました。」

 

「なに?」

 

そこから花丸は自分たちが400年後の伊豆は内浦に住んでいたことや、Aqoursというスクールアイドルとして活動していること・・・。そしてひょんな事からこの時代に迷い込んで北条家に拾われてから8年間北条家の家臣として戦に出たり内政に加わったりしていたことを謙信に話した。

 

「それが私、国木田花丸とその仲間たちの身の上でございます。」

 

花丸は一通り話し終えると謙信にお辞儀をした。

 

「ふむ。北条氏政に仕え、女でありながら戦場に出て槍を振るうという『あくあ』という9人の少女たちの話は我の耳にも入ったことがある。だがしかしそれがこのような幼気な娘であったとは意外であったな。」

 

謙信は値踏みするように花丸の顔をまじまじと見ながら髭を撫でてそう言うと、

 

「叔父上、そのような女子の戯言に惑わされるなど・・・。」

 

三郎とあまり歳の変わらない若者が謙信に向かってそう言った。

 

「そんな!おらは一言も嘘なんて・・・!」

 

花丸は納得いかないと言わんばかりに反論したが、

 

「そのような突拍子もない話を誰が信じるというのだ。」

 

若い男は眉をピクリとも動かすことなく冷淡な声で言い返した。

 

「喜平次よ。」

 

謙信が若い男をそう呼ぶと、

 

「はっ、過ぎた真似を・・・。」

 

と喜平次は引き下がろうとしたが、

 

「いや、下がる必要はない。喜平次よ、あの娘の目を見よ。」

 

と謙信は彼に花丸の目を見るように促した。

 

「目、ですか?」

 

「うむ。あの者が嘘をついているように見えるか?」

 

「・・・分かりませぬ。」

 

「よいか、あの娘の目は真っ直ぐと我を見据えその瞳には曇りは微塵もなかった。目は心を表すという言葉のように、彼女の曇りなき目は曇りなき心を表している事の何よりの証拠よ。故に我はあの娘の言葉を信じるのだ。」

 

謙信は花丸の目を扇で差して喜平次に自分が花丸の言葉を信じる根拠を語った。喜平次はその言葉を聞くと、

 

「ご無礼仕った。」

 

とだけ言って下がった。

 

「済まぬな。あれは・・・喜平次は我が甥で、実直な男ではあるがまだ若く口数も少ないゆえにあのように不愛想なのだ。」

 

「そうなんですか・・・。でも悪い人じゃないずら・・・じゃなくで悪い人じゃないんですね。」

 

謙信の言葉に花丸はほっとした様子で言った。

 

「あ、そして何をしに来たかなんですが、私は三郎くんの見送りに来たんです。」

 

「三郎どのの見送り・・・だと?」

 

「はい、三郎くんとは8年ほど前からの付き合いで私にとっては弟のような存在でした。歳や背丈を追い越された今でも三郎くんを大切に思う気持ちは変わりません。だから私はここまで三郎くんを見送りに来たんです。」

 

花丸は、堂々と謙信にここまでやってきた理由を話した。謙信も口をはさむことなく彼女の言葉を真面目に聞いていた。

 

「なるほど、そのような想いがあったか。さて、三郎どの。一つ聞きたいことがある。」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「そなたは北条家に戻りたいと思うか?」

 

「なっ!?」

 

謙信の意外な問いかけに三郎は驚きを隠せなかった。

 

「聞いてはいると思うが、そなたは今日よりわが養子となる。つまりそれは北条家には戻れぬという事になる。」

 

「はい。」

 

「そなたにはこれほどまでに強くそなたの身を案じ、想う義姉(あね)もいる。そして実の兄妹たちからも愛されていたと聞く。其れを全て捨てて我が一門となる覚悟はあるか?」

 

謙信は過酷な選択を三郎に突き付けた。三郎は一瞬迷ったが、小田原で養父の幻庵と兄弟たちや、花丸たちAqoursが開いてくれた送別会を思い返し、

 

「はい!私は今日この日より謙信公の養子となるためにやって来ました。その意思が揺らぐことはありません。」

 

と、胸を張って毅然とした態度で答えた。

 

「ふふ、見事な面構えだ。流石は相模の獅子の血を受け継ぐ男・・・。見事な覚悟である。」

 

謙信は頬を綻ばせて三郎の元に歩み寄り、彼の手を握った。

 

「そなたのその覚悟を称して我が直々に名を与えよう。北条三郎氏冬、そなたはこれより上杉三郎・・・、『景虎』と名乗るがよい。」

 

『!!!!!』

 

謙信の言葉に大広間にいる上杉家臣たちは再びざわついた。それもそのはず、景虎というのは謙信が若い頃に名乗っていた名前だからだ。他国から来た養子に自分のかつての名前を与えるなどという行為は前例がなく、上杉家臣たちはもちろん、康光や氏邦、そして花丸までもが驚いた。

 

「は・・・、はっ!!有り難き幸せにございます!この上杉三郎景虎、これより上杉の一門として粉骨砕身してこの御恩に報いてみせます!!」

 

三郎は謙信に平伏して、自分の名前を与えてくれた礼を言った。

 

 

 

 

 

 

そして三郎と謙信の体面は無事に終わり、役目を終えた花丸と氏邦が沼田城から帰る時が来た。

 

「三郎・・・じゃなくて景虎くん!越後に行っても元気でね!勉強も鍛錬もしっかりするずらよ!」

 

「ははは、三郎のままでいいですよ花丸さん。たとえどれだけ名前が変わろうとも花丸さんからはそう呼ばれた方が心地いいですからね。」

 

三郎はそう言って寂しげに笑う。

 

「三郎くん・・・。またいつか会えるずら!?」

 

「幻庵大叔父上も言ってたではありませんか、人と人の間には縁という糸が結ばれていると。縁の糸が切れない限り私たちは再び会いまみえることが出来るでしょう。」

 

「そうだよね!きっともう一度会えるずらよね!」

 

花丸と三郎がそんな風に和やかに話していると、

 

「本当にそなたらは兄妹のように仲が良いのだな。」

 

と謙信が歩み寄って来た。

 

『謙信(さん)公。』

 

「三郎は必ずや我が手で立派なもののふに育てるゆえ、案ずることはない。」

 

「はい。」

 

「それと、花丸どの。お主はその目とその心構えを忘れてはならんぞ。」

 

「目と、心ですか?」

 

花丸は謙信の言いたいことが分からず首を傾げた。

 

「うむ、お主の目には穢れなき純粋な志が宿っておる。そしてその純粋な目はお主の心に穢れがない事を示している。我はお主の8人の仲間の顔や人柄は分からぬが、お主のその真っ直ぐな目を見るだけで、素晴らしい仲間に恵まれているという事が手に取るように分かる。」

 

「はいっ!リーダーの千歌さんや、曜さんに梨子さん、果南さんや鞠莉さんやダイヤさん、そしてルビィちゃんに善子ちゃん・・・!み~~んな、素敵なおらの仲間ずら!!」

 

花丸は自信満々に他のメンバーが大事な仲間であることを謙信に語った。

 

「あっ!また『おら』とか『ずら』って言っちゃった・・・。」

 

「ふふ、無理に直さずともよい。それはお主がお主である証なのだからな。大切にするがよい。」

 

また訛りが出てしまって落ち込む花丸に謙信は優しく頭を撫でながら励ました。

 

「ありがとうございます、謙信さん。」

 

「この時代に迷い込んでから8年生き延びてきたお主たちには釈迦に説法かも知れぬが、この乱世は厳しく辛いものだ。いずれこの先にはお主たちには大きすぎる困難や、今まで経験した事とは比べ物にならぬほどの辛い出来事が待ち構えているかもしれぬ。だが、お主たちはそこで挫けてはならぬ。諦めずに最後まで立ち向かえば必ずや道は開けるであろう。」

 

「はい!」

 

「よき返事だ。必ずや9人で乱世を乗り越え、お主たちが暮らしていたという時代に帰る事ができるよう祈っておるぞ。」

 

「ありがとうございます、謙信さん!おら・・・。ううん、おらたち必ず元の時代に戻ってみせるずら!」

 

花丸はもう一度深くお辞儀をして謙信に礼を言った。

 

「運は天にあり、鎧は胸にあり、手柄は足にあり。何時も敵を我が掌中に入れて合戦すべし。死なんと戦えば生き、生きんと戦えば必ず死するものなり。運は一定にあらず、時の次第と思うは間違いなり。武士(もののふ)なれば、わが進むべき道はこれ他なしと、自らに運を定めるべし。」

 

謙信はそう言うと、1枚の書状を花丸に渡した。

 

「運は天に、鎧は・・・?」

 

「その紙に書いてあるゆえ覚えずともよい。大きな壁にぶつかった時はそれを見て自分はどうするべきか、そしてどうしたいかを思い出すとよい。」

 

「はい。ありがとうございます!」

 

「おーい!花丸どの!!そろそろ帰るぞ!」

 

「あ、はーい!!」

 

軍勢をまとめた氏邦の呼ぶ声が聞こえると花丸は謙信からもらった書状を懐にしまって氏邦に返事をした。

 

「じゃあ、さようなら三郎くん!元気でね!!またいつかどこかで会おうずら!!」

 

「ええ!必ずや!!」

 

「さらばだ、未来より来た9人の少女が1人よ!お主たちの往く道に、毘沙門天の加護があらん事を!!」

 

城門から出て行く花丸を三郎と謙信は見送り、花丸はそんな2人の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。

 

 

 

 

 

「それにしても花丸どの。さっき謙信から何か貰ってたみたいだが、何をもらったんだ?」

 

沼田城から小田原への帰り路の途中、氏邦は花丸に謙信から何をもらったのかをたずねた。

 

「これずら。」

 

花丸は懐から謙信からもらった書状を取り出した。

 

(ふみ)か?何が書いてあるか教えてくれよ。」

 

「えっと・・・、『運は天に、鎧は胸に、手柄は足にあり』・・・。謙信さんがさっき言ってた言葉が書いてあるずら!しかもすごく丁寧で読みやすい字ずら・・・。」

 

書状を開けてみると、謙信が語ったという戦陣訓が丁寧かつ、とても読みやすい字で書かれていた。

 

「『運は天に、鎧は胸に、手柄は足にあり』か。まあ、いいもん貰ったじゃねえか。」

 

「うん!」

 

花丸と氏邦たちは北条家の領国に戻るため、そして三郎との別れを惜しむようにゆっくり、ゆっくりと歩みを進める。

 

 

 

 

「うわっ!?」

 

そんな時、突然強い風が吹いて花丸は驚いた。

 

「ああ、上野じゃあたまにこんな空っ風が吹くんだ。気ィ付けろよ。」

 

「うん・・・。」

 

花丸は頷くと、沼田城・・・ひいては越後に通ずる北に向かうもと来た道を振り返った。

 

(何だろう、今の風・・・。なんか心の中がざわつくような風・・・。気のせいだよね。)

 

花丸は今吹いた風に一抹の不安を抱きながらもそれを誤魔化すように首を横に振ってまた歩みを進めた。

 

 

 

 

花丸の感じた不吉な予感は数年後に実現してしまう運命にあったが、それはまだ誰も知る由もなかった。




いかがでしたでしょうか?


遂に三郎が上杉家の一門となり、上杉景虎としての人生を歩み始めることになりました。また新しい時代に向けての動きが一歩ずつ前に進み始めていると言えるでしょう。

余談なんですが、最近新作であるラブライブ!サンシャインの二次創作小説、『輝きを追い求めて』を書き始めました。これは『若虎と女神たちの物語』から数年経った後の話ですので、この物語とは関係性がない事をここに書いておきます。

感想があったらどしどし書いてくださると嬉しいです!!



それでは次回もまたお楽しみください!!

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