ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursの戦国太平記 作:截流
今回のサブタイトルは「恋になりたいAQUARIUM」を買った人ならピンとくると思いますよ!
今回は小田原城に向かう千歌たち一行の珍道中!そしてまたまた新たなキャラが登場しますよ!
え?キャラが前回から登場しすぎて覚えきれないって?大丈夫です!ちゃんと戦国時代側の登場人物たちの紹介も書きますので、これを機に北条家についても興味を持ってもらえると嬉しいです!!
それではどうぞお楽しみください!!
北条家の最高権力者である、北条氏康とその息子にして現当主である氏政に呼び出され、謁見するために千歌たちAqoursは伊豆韮山城の城主である北条氏規とその補佐役である笠原康勝と清水康英と共に小田原に向かっていた。
「さて、皆さん熱海に着きましたよ。」
「ここが熱海ですか!!」
「やっぱ460年も前になれば雰囲気は違うよね~。」
千歌たちは今、熱海の町にいた。
「この頃から温泉があったんだね、お姉ちゃん。」
「当たり前ですわ!そんな数十年程度で日本でも有数の温泉観光地になれるわけがありませんもの!」
「うーん、せっかく温泉があるのになんかちょっと地味すぎじゃない?もっと街並みを派手にしてお客さんを呼ばなきゃだめよ!」
「ねーねー、氏規さん!せっかくだから温泉に入っていこうよ!!」
千歌が温泉に行こうと誘うが、
「温泉に入りたいのはやまやまだが、それがしらは御屋形さまと御本城さま直々の呼び出しを受けているのだ。」
「康勝どのの言う通り、今は父上と兄上のもとへ行くのが最優先ですからね。残念ですが温泉はまたの機会に行きましょう。」
「ええ~!」
康勝と氏規によって提案が却下されたので千歌は不満を漏らす。
「まあまあ千歌ちゃん、熱海は別に内浦からも行けるから現代に戻っても行けるよ。」
「そうそう、氏規さんが言ってるようにまた行けばいいよ!」
そんな千歌を曜と梨子がなだめる。
「そういえばおらたちはどこに向かっているずら?」
花丸が氏規にどこに向かっているのかを尋ねる。
「港ですよ。そこである方と合流する手はずになってるんです。」
「ある人?」
「あ!みんな見て!大きな船があるよ!!」
曜が指さす方向をみんなが見ると、港に大きな船が停泊しているのが見える。ちなみに泊まっている船は関船という中型の軍船である。
「あれはノアの箱舟!?まさか日本にもあるなんて・・・!」
「流石に違うと思うよ善子ちゃん・・・。」
関船を見てノアの箱舟と勘違いするのをルビィが冷静にツッコむ。
「どうやら先に来ていたようですな。」
「ええ、そうみたいですね。」
「もしかして、あの船に乗るんですか?」
果南が氏規に尋ねると、
「ええ、流石に箱根山を超えるのはお辛いでしょうからこの熱海の港から海路を通って小田原に向かうように、予めに梶原どのに頼んで船を手配してもらったんですよ。」
「梶原さん?」
「はい。梶原景宗どののことです。彼は元々紀伊の海賊だったのですが、父上がその実力を見込んで水軍を強化するために紀伊から呼び寄せたんです。」
「か、海賊なんですか!?」
海賊と聞いて果南が驚き、ほかのメンバーも怯えだした。
「み、皆さんどうしたんですか!?」
急に様子が変わった千歌たちを氏規が心配する。
「か、海賊の船に乗って大丈夫なんでしょうか?海賊って他の船の荷物を奪ったりするって言いますし・・・。」
「おいおい、ずいぶんひでえ言い草じゃねえのお嬢さん!」
氏規が声のする方に振り向くと、氏規の後ろに一人の男が立っていた。
「よお、氏規の若旦那!氏康どのから熱海に船を出せって言われたから急いですっ飛んできたが、そのヘンテコなかっこした嬢ちゃんたちは一体何なんだい?」
磯の香りを漂わせる少し色黒で顎に無精ひげを生やした男が千歌たちを品定めするようにじろじろ見つめる。
「梶原どの、千歌どのたちが怖がるのでその辺にしといてあげてください。彼女たちは父上に招かれたんですよ。」
氏規が簡潔に千歌たちの事を説明した。
「なるほど、そいつらが氏康どののお客人かい!そいつは失礼したな!!」
男は笑いながら千歌たちに謝った。
「なんか悪い人じゃないみたいだね、果南ちゃん。」
「確かにあっけらかんとしてるけど海賊だしなあ・・・。」
果南はまだ男に対する警戒心が解けてないようだ。
「おうおう。そこの青髪の嬢ちゃん!なんか俺たち海賊を誤解しちゃいねえか?」
「え?海賊って他の船の荷物を奪いながら海で暴れまわってるっていう・・・。」
「確かにそういう奴もいるっちゃいるが俺たちは別さ!俺たちや瀬戸内の村上水軍とかは予めに縄張りを通る奴らから通行料を取ってその船を警護するのが仕事なのよ!通行料を払わねえ生意気な連中や縄張りに他の海賊が入ってきたら荷物ぶん捕ったりして沈めちまうがな!」
「やっぱり略奪とかしてるじゃないですか!思ったよりはましだけど。」
「まあ、氏康どのに雇われてからは相模、伊豆の水軍と一緒に房総半島の里見家の水軍と戦ったり、ここらに来る貿易船の警護をしたりするのが仕事になってるけどな!」
男は慌てて今の仕事をつけ足した。
「大丈夫ですよ果南どの。私たち北条は何よりも民を大事にしていますから家臣は上のものであっても下のものであっても民に横暴に接したり狼藉を働くことは許しませんからね。彼も傭兵とはいえ例外ではありませんよ。」
そう言って氏規は果南たちを安心させる。
「怖えよ若旦那・・・。お、紹介が遅れたな。俺は紀伊生まれの梶原水軍の頭領、今は北条家の相模、伊豆の水軍大将の一人を務めている梶原備前守景宗ってもんだ!よろしくな!」
男が自己紹介すると、船つながりで曜が彼に食いついた。
「ねえねえ!水軍の頭領って言ったら梶原さんも船長なんだよね!?」
「お、おう?如何にもそうだが、お嬢ちゃんも船に興味があるのか?」
「曜ちゃんはお父さんがフェリーの船長さんで曜ちゃんも将来は船長になるのが目標なんだ!」
曜のテンションに戸惑う景宗に曜のテンションが急に上がったワケを千歌が説明した。
「なるほど。フェリーってのは何だい?」
「フェリーっていうのはたくさんのお客さんや荷物を運ぶ船なんだ!」
「なるほど、関船みたいな軍船じゃなくて人とモノを運ぶ船か。俺も商人と荷物が乗った船を駆った事はあるが、軍船に乗ってるのが性に合ってるからな・・・。俺とお前の目指す『船長』ってのは少しばかり勝手が違うぜ?」
「それでもいいよ!立派な船長になるためには経験が必要だからね!!」
曜は目を輝かせながら景宗の言葉に応える。
「・・・へっ!いい目してるじゃねえか。分かった、今は仕事があるから無理だがまた会うことがあればお前に海とは、船とは何たるかを叩き込んでやるぜ!」
「うん!約束だよ!」
曜と景宗はそう言って拳を突き合わせた。ここに時代を超えた友情が生まれた。
「おっし!じゃあ若旦那たちと嬢ちゃんたちはさっさと乗り込んでくれ!!野郎ども!客人が乗り込み次第、今すぐ出港だァ!!!」
「「「うおおおお!!!」」」
こうして千歌たちは景宗の関船に乗り込み、小田原に向かって出発した。
そして、千歌たちが熱海の港を出てから2時間ほど経った頃・・・。
「あっ!見えてきたよ!あれが小田原かな?」
「ええ、そうですよ千歌どの。あれが父上と兄上が治める小田原の城下町ですよ。」
千歌の言葉に氏規が応えた。
「でも、昔の船とはいえ案外快適ですのね。」
「もうちょっと揺れるかと思ってたよ~。comfortable(快適~)!」
「はっは!俺たち北条水軍の操船技術を侮るなよ!速さも快適さも抜群だぜ!」
ダイヤと鞠莉の言葉に景宗が笑いながら反応した。
「うむ、景宗どのが来てくれたおかげで我ら北条水軍の練度が大幅に上がったのは事実だしな。」
康英が景宗の言葉に大きく頷いた。
「そっか。康英さんも水軍の大将の一人なんだっけ。」
「さあ、お客人たち!そろそろ小田原に到着するぜ!」
千歌たちは船から降りた後、景宗と別れて氏規たちと一緒に小田原城に向けて歩いていた。
「うわあ~!ここが小田原の町か~・・・!」
「すっごい賑やかな町ずら~・・・!」
「そりゃそうですよ。この小田原は『西の山口、東の小田原』と称されるほどに、この日の本で最も栄えてる町ですからね!まあ、去年に上杉謙信が小田原に攻め寄せたときに荒らされてしまったので復興させてたんですがそう言っていただけて何よりですね。」
小田原の町を見てその賑やかさに驚いたルビィと花丸に小田原について説明した。
「え!ここで戦争があったんですか?」
「ええ、越後の上杉謙信が我ら北条を攻め滅ぼすために10万人の大軍を連れてここまで来たのですが、父上と兄上は民と兵を小田原城に引き入れて籠城戦に持ち込んだのです。」
「10万人!?そんな大軍に勝てるの!?」
千歌はその人数の規模に驚いた。
「ええ、確かに野戦を挑めばひとたまりもありませんが、籠城戦に持ち込めば相手は城を囲むのに大量の兵糧が必要になりますからそれほど長くは囲んでいられませんからね。それに風魔小太郎どのの忍び集団が上杉家の兵糧を奪ったりしたおかげで上杉軍を退けることができました。」
「上杉謙信と言えば戦いの天才で現代では軍神とも称されているほどの方なのに、それを退けるなんてなかなかできることじゃないですわね・・・!」
「しかもそんな人が10万人も兵士を連れてきてるんだから追い返すのはすごく難しいよね。氏規さんのお父さんってよっぽどすごい人なんだろうな。」
「確かに父上の力量もありますが、上杉を退けたのは我々北条家の者たちが君臣一体で戦ったからだと思っています。敵は確かに数は多いですが、いろんな考えを持った大名や国衆が集まった烏合の衆ですから足並み自体はバラバラだったんですよ。いくら数を恃んで攻め寄せようとも一致団結した相手には勝てない、ということです!」
「へえ~、まるで私たちみたいだね!」
氏規の言葉を聞いた千歌は、北条家の団結力とAqoursの一体感を重ねた。
「私たちみたいってどういうこと?」
曜が千歌にその意味を聞くと、
「だって私たちは性格とかはバラバラだけど力を合わせて練習とかライブとかいろいろ頑張ってるじゃん!だからそう思ったんだ!」
「千歌ちゃん・・・!」
「確かに、千歌どのたちの仲の睦まじさは見ているこっちも笑顔になってくるほどですからね。」
氏規は千歌の言葉に微笑みながら頷く。
「氏規さま!『あくあ』の面々も、そろそろ小田原城に到着しますぞ!」
千歌たちの一歩先を歩いている康勝が氏規に声をかけた。
「ようやくつきましたね。皆さん!ここが我ら北条家の本拠地である小田原城です!!」
「「「「「「「「「うわああ~~!!」」」」」」」」」
千歌たちは小田原城の威容を見て驚いた。
この頃(だいたい永禄2年)の小田原城は現在に知られる城を城下町ごと囲みこんだ全長9キロに及ぶ土塁や堀の『総構え』はまだ存在していなかったが、それでも韮山城に比べると規模が大きいので、彼女たちが驚くのも無理もない話である。
「北条氏規さまご一行の到着だ!開門!!」
門番たちが氏規たちを見て門を開けた。
「うわ~!中も広いね~!!」
「そりゃあ、見掛け倒しじゃないだろうからね。」
千歌たちは門の中に入ってからも、その広さに驚きっぱなしだった。
「そういえばこのまま直接氏康さんたちに会いに行くのかな?」
「いえ、千歌どのたちは一度本丸にある兄上の屋敷に行ってもらいます。」
「兄上って氏政さんのこと?」
「ええ、現在の当主は兄上ですからあなた方は兄上の客人という扱いになりますからね。」
「氏規さんはどうするの?」
「私は父上と兄上に挨拶をしてから千歌どのたちを謁見の場へ連れていくことになっております。」
「あれ?お兄さんは屋敷にいるんじゃないの?」
「氏政さんは当主なんだから仕事してるんだと思うよ?」
果南が千歌の指摘にツッコミを入れた。
「着きましたよ。ここが兄上の、北条家当主の屋敷です。」
「うわあ~!すごい立派な屋敷だね!!」
「やっぱ大名の屋敷となると迫力が違うね・・・。」
そして千歌たちは氏規の案内で屋敷の客間に通された。
「それでは、私はいったん失礼しますね。また後で。」
氏規はそう言って父と兄のもとへ向かっていった。
「しっかし、まさか大名とご対面することになるなんてね~。」
「そもそも戦国時代に迷い込むこと自体絶対にありえない事態だと思いますわ。」
果南が感慨深げにつぶやくがダイヤが冷静にツッコミを入れた。
「大丈夫かなあ。私、なんか失礼な事とかしちゃわないかな?」
「大丈夫だってルビィちゃん。ありのままで行けば大丈夫ずら。」
「そうよ!あなた達が心配する必要はないわ!このヨハネの悪魔の誘惑でこの城のみんなをリトルデーモンにして私たちの眷属にしてあげちゃうんだから!」
「・・・なんか急に心配になってきたずら。」
「ルビィも。」
「ちょっと!二人ともどういうことよ~!!」
「ほんとすごいよね~!こんな歴史上の人たちと目の前で話ができるなんて二度と出来そうにないよね!!」
「まあ当分、その人たちと一緒に過ごすことになるんだけどね。」
「あはは・・・。」
千歌たちはこれから一国の主とその重臣たちとの謁見を行う前とは思えないほど和やかな、いつも通りの日常のような状態で客間でくつろいでいた。
「あう~。」
「うん?梨子ちゃん、今なんか言った?」
「ううん。私は何も言ってないけど?」
「おかしいな。今なんか聞こえた様な気がしたんだけど・・・。」
「だあ~。」
「ほらまた聞こえた!」
「ほんとだ。襖の向こうから聞こえたけど誰かいるのかな?」
「千歌ちゃん、曜ちゃん、あまりいろんなところに触らない方が・・・。」
梨子は声が聞こえる襖の方に行く千歌と曜を注意するが、
「大丈夫だって、襖を開けるだけだからさ!」
「そうそう、開けるだけだから平気だって。」
そう言って曜が襖を開けると、
「あう~。」
「え?」
「これって・・・。」
「赤ちゃん?」
なんと千歌たちの目の前に、まだ立つことができないであろう赤ん坊がいたのだ。
「なんの騒ぎですか千歌さんって・・・、その赤ちゃんはいったい・・・?」
騒ぎを聞きつけてやってきたダイヤは状況が読めずに固まり、
「ワオ!赤ちゃんだ~!so cute!!」
「誰の赤ちゃん?かわいい~!」
鞠莉と果南は赤ん坊を見てはしゃぎ、
「うわあ~・・・!ちっちゃくてかわいい~・・・!」
「どこから来たんだろう?それにしてもかわいいずら~。」
「あら、かわいらしい赤ちゃんね!せっかくだからこのヨハネの悪魔の洗礼を・・・!」
「「それはダメ(ずら)~!!」」
赤ん坊に洗礼(?)しようとする善子をルビィと花丸が止めようとしたりするなど、客間は混沌とした状態になっていた。
「でもこの赤ちゃん、誰の子なんだろう。」
千歌が赤ん坊を抱っこしながら途方に暮れていると、
「はあ、はあ、見つけましたよ国王丸!急にいなくなるから心配したんですからね・・・って、どちら様でしょうか?」
廊下の方から、千歌たちより少し年上と思われる女性が足早にやってきた。その女性を見て千歌はただ一言、
「お姫様だ。」
と呆然としながら言った。
「すいません、うちの国王丸が皆さんに迷惑をおかけして・・・。」
赤ん坊の親と思われる女性が千歌たちに頭を下げると、
「いえいえ、そんな迷惑だなんて!」
「そうですよ、たまたま襖の外から声が聞こえるなって思って開けてみたらその子がいただけなんで。」
千歌と曜はあわてて言った。
「それにしても、千歌さんたちは不思議な格好をしてらっしゃるんですね。」
女性はまじまじと千歌たちの制服を見つめた。
「これが私たちの時代の服なんで・・・。氏康さんと氏政さんに会いに行くにはこの服を着ていったほうがいいかな~なんて思いまして・・・。」
千歌が照れながら説明すると、
「まあ、あなた達が氏政さまの言っていた『未来の日の本からやってきた女子たち』なんですね!あ、そういえばまだ私の自己紹介がまだでしたね。私は北条家当主である北条氏政さまの正室の梅と申します。そしてこの子は氏政さまと私の子の国王丸と言います。」
そう言って梅は軽く頭を下げながら自己紹介をした。余談というか、分かる人には分かると思うが、彼女はのちに『黄梅院』と呼ばれる女性で、国王丸はのちに北条五代の最後の当主となる北条氏直のことである。
「正室ってなに?」
千歌がそういうと、
「正式な妻ということですわ。この頃の武士や貴族たちは一夫多妻制でしたからね。」
博識であるダイヤが説明した。
「ということは梅さんって大名の奥様!?」
「というかなんで梅さんが私たちの事を知ってるんですか?」
「何故あなた達の事を知っているか、ですか?それは氏政さまからあなた達の事を聞いているからですよ。」
梅が言うにはAqoursの事は氏政から聞いているそうだ。
「氏政さんからですか?」
「はい、氏政さまは私にいろんなことを教えてくださるんです。和歌の事やこの関東の事とか色々と・・・。もちろんあなた達が何百年も先の日の本からやってきたことも、ですよ。」
梅は楽しそうに笑いながら千歌たちに話した。
「梅さんは私たちの事を聞いて疑わなかったんですか?普通なら未来からやってきたなんて話は信じないと思うんですが・・・。」
曜が梅にそう聞くと梅は首を横に振った。
「確かに最初はそんな事はあり得ないって思っていましたが、氏政さまは嘘をつくことが苦手なお方ですし、私には一度も嘘をついたことがありません。それに熱心に話してくださる姿を見れば本当の事だと分かりますから。」
と梅は答えた。
「梅さんは本当に氏政さんの事を信頼してらっしゃるんですね。」
梨子がそういうと、
「はい。氏政さまはまだこの国に嫁いだばかりでまだ何も分からなかった私に優しく接してくださいましたし、最初の子や国王丸が生まれた時もとても喜んでくださいました。」
「国王丸君にはお兄ちゃんやお姉ちゃんがいたんですか?」
千歌がそう聞くと、
「・・・。上の子は新九郎というのですが、2歳で夭折してしまいました。」
知る人ぞ知る話だが、北条氏直には兄がいたのだが(兄が生まれたのは1555年でまだ氏直は生まれていないが。)、たった2歳という若さでこの世から去っている。余談ではあるが氏政も長男ではなく次男で、氏政も兄に先立たれているのだ。
「あっ・・・。ごめんなさい!辛いことを思い出させちゃって・・・。」
「いいんですよ千歌さん。そんな悲しいことも氏政さまとの大切な思い出の一つなんですから・・・。それにあの頃はまだ13歳でまだまだ未熟だったんでしょうしね。」
「なんて素敵な夫婦愛ずら・・・!」
「うん!そうだね花丸ちゃん・・・!」
「ヨ、ヨハネはこんなことで泣かないんだから・・・!」
一年生が黄梅院と氏政の夫婦愛に感動して涙ぐんでいたが、
「え!?13歳で出産したんですか!?」
千歌たちは驚いた。むろん、一年生たちも衝撃的な事実を聞いて涙が引っ込んでしまったのは言うまでもない。
「この時代では16、17歳にもなれば大人とは聞いていましたがそれでも早すぎですわ!!」
「え?千歌さんたちの時代は違うのですか?」
梅がきょとんとして聞くと、
「違いますよ!女の子は16歳で結婚できるって言いますけど、20歳になるまで親の許可を取らないといけませんし!」
「というか梅さんは何歳で氏政さんに嫁いだんですか!?」
「え?確かあの時はまだ12歳で、氏政さまは17歳でしたよ。あ、私は今20歳ですよ。」
食い掛かるように質問する千歌たちに対して梅は平然と答えていた。これぞまさにジェネレーションギャップとでもいうべきであろうか。
「しょ、小学生と高校生が結婚・・・!」
「ま、まあ、この時代はまだ今みたいに80歳とか70歳まで長生きする人は全然いないみたいだし、いつ死んじゃうかわかんないから早いうちに子供を作るのはこの時代では常識なんじゃないかな。」
そう言って果南はみんなをなだめた。彼女の言う通り、この時代ではこれが常識なのだ。もっとも、前田利家が21歳で12歳であった妻のまつを孕ませたなんて話を聞いたらダイヤなんかは卒倒してしまうであろう。
「そんな話は置いといて、千歌さんたちは『あいどる』という方たちだと聞いているのですが、『あいどる』とは何をする方たちなのですか?」
と梅が聞くと、千歌が食いついた。
「アイドルっていうのは歌や踊りで人を楽しませる人たちの事なんです!!」
と得意げに説明した。
「まあ、能楽師のようなものなのですね。よかったら一度その歌と踊りを見せてもらってもよろしいかしら?」
と梅が頼むと、
「もちろんいいですよ!!」
と千歌が言うと、曜が千歌の袖を引っ張って、
「ストップ!これから私たち氏康さんと氏政さんに会いに行くんだよ?それにここじゃ狭くて踊れないでしょ?」
と千歌を制止させる。
「そうでした。千歌さんたちは氏政さまとお義父さまにお呼ばれされていたんでしたね。では歌と踊りはまた後の機会に。」
と梅が言うと、
「『あくあ』の皆様方!謁見の準備が出来ましたので来てください・・・って義姉上どの?こんなところで一体何を?」
氏規が直垂(当時の武士の正装)を着て入ってきた。
「あら、氏規さま。今はこの千歌さんたちと国王丸と一緒にお話をしてたんですよ。」
「そうだったんですか。相変わらず千歌どのたちは人と仲良くなるのがお上手ですな。」
「それが氏規さんたちの制服なんだ~。なんかかっこいいね!」
「いやあ、それほどでもないですよ千歌どの・・・ってそんなことを言ってる場合じゃありません!父上と兄上たちがお待ちですから早く行きますよ!」
氏規がそういうと、
「みなさ~ん!頑張ってくださいね!」
と梅が千歌たちを応援した。
「はい!じゃあみんな、氏康さんたちの所に行こうか!」
「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」
遂に千歌たちAqoursと北条氏康と氏政、そして北条家の重臣たちが小田原城にて一堂に会する時が来た!千歌たちは気を引き締めて氏康たちの待つ大広間へ向かう!!
果たしてこの時代を超えた出会いはいったい何を生むのだろうか・・・。
いかがでしたでしょうか?
珍道中とか言っておきながら半分程度しか道中を書いていないって?こまけえこたあ(以下略。
今回もまた個性的な人物が登場しました!これから敵味方含めてどれくらいの人物が登場するのやら・・・。それもまたこの作品の醍醐味なので楽しんでいただけると幸いです!!
そして、次回はついに序章最終回!
果たして千歌ちゃんたちは無事に謁見を成功させることは出来るのか!?それは読者のみなさん自身の目でお確かめください!!
それでは次回もお楽しみください!!