ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursの戦国太平記   作:截流

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どうも、截流です!

遂に迫るAqoursと北条氏康の会談、果たして千歌たちは氏康たちに認められるのか!?

その結末をその目に焼き付けろ!!




それではどうぞお楽しみください!!


5話 獅子との対峙

遂に、千歌たちAqoursと、北条氏康、氏政父子とその重臣達との謁見の時がやって来た。

 

千歌達は氏規の案内で謁見の場である大広間に向かい、大広間の目の前にいた。

 

「うう、流石に緊張してきたな…!」

 

どうやら流石の千歌もこれから謁見が始まるとなるといつものノリと勢いはどこかに消え失せ、緊張していた。まだ17歳の高校生だから無理もない話ではあるが。

 

「大丈夫ですよ。作法の練習もちゃんとできてましたし、あとは胸を張って、貴女たちらしくしていればうまくいきますよ。」

 

氏規は千歌にフォローを入れた。

 

「氏規さんの言う通りだよ千歌ちゃん。」

 

「そうそう、私たちは私たちらしくだよ!」

 

曜と梨子も氏規に続いて千歌を励ます。

 

「そうだよね…。うん、そうだよ!私たちは私たちらしくしているのが一番だよね!」

 

仲間たちの激励で千歌はいつも通りのペースに戻った。すると部屋の脇から小姓が現れ、氏規に何かを耳打ちした。氏規はそれを聞いて頷き、千歌たちに声をかけた。

 

「皆さん、謁見の準備が整ったようです。襖が開いたら私に続いて入ってきてください。」

 

「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」

 

氏規の言葉を受けて、千歌たちは小声で返事をし、背筋を正した。

 

次の瞬間、襖が開いた。そして、氏規が歩き出すと同時に千歌たちもそれに続いて歩き出した。

 

部屋には上座の真ん中に若者が1人と、その両脇に老人と顔に二つの切り傷を持つ、壮年の男が座っていた。そして部屋の左右には重臣たちが十数人ほど並んで座っていた。

 

氏規が言うには、この謁見に参加しているのは当主の氏政と隠居の身ではあるが最高権力者である北条氏康と、一族のご意見番である北条幻庵。そして氏政の弟である氏照と氏邦、最高幹部である三家老と五色備えの大将たち、そして北条家における内政の最高決定機関とも言える評定衆のメンバーと、その他の重臣が数人ほど、といったそうそうたる面々であった。

 

もちろん康勝は五色備えの大将の1人として、康英も評定衆の1人として顔を出していた。

 

そんな歴戦の猛者や、知力に長けた知将に、政治力に優れた文官達による彼女達の器を見極めるための品定めをするような視線に晒されながらも千歌達は堂々と氏政のもとへ近づく。

 

多くの人からの視線には流石はスクールアイドルをやっているだけあって、みんな慣れている様子だった。

 

氏規に続いて歩いて、氏政の前に着いた千歌たちは氏規に続いて座った。全員が座ったあとに氏政が口を開いた。

 

「私がこの北条家の4代目当主の北条左京大夫氏政である。お主らが、未来の日の本からやってきたという『あくあ』の一団であるか?」

 

「はい!私たちがスクールアイドル、『Aqours』です!」

 

千歌が氏政の問いに答える。

 

「ふむ、では名を名乗られよ。」

 

氏政が千歌たちの名を聞く。

 

「私がAqoursのリーダーの高海千歌です!」

 

「渡辺曜です!将来は立派な船長になるために頑張ってます!」

 

「えっと、桜内梨子です。」

 

「松浦果南です!」

 

「イタリア系アメリカ人と日本人のハーフの小原鞠莉よ。気軽にマリーって呼んで♡」

 

「黒澤ダイヤですわ。以後お見知りおきを。」

 

「同じく黒澤ルビィです・・・。よろしくお願いします・・・。」

 

「おら・・・じゃなくて私は国木田花丸です。」

 

「私は堕天使ヨハネよ!あなた達はこのヨハネがリトルデーモンにしてあげるわ!」

 

メンバー全員の名乗りが終わったが、

 

「よ、ヨハネとはいったい・・・?」

 

「な、南蛮人のような名乗りだが・・・。」

 

「まんま日の本人なんだよなぁ・・・。」

 

善子のいつもの名乗りを聞いて北条家の一門や家臣たちは戸惑っていた。

 

「その、ヨハネというのは一体なんなのだ?」

 

「ヨハネというのは私の堕天使としての・・・!」

 

善子が意気揚々と説明するが、梨子が善子の口を塞いで、

 

「この子は本当は津島善子っていう名前なんです。」

 

「むぐー!(リリー!何するのよー!!)」

 

「よっちゃん、それ以上は収拾がつかなくなっちゃうから・・・!」

 

「では津島どのは善子とヨハネと、どっちが真の名前なのだ?」

 

氏政が問いかける。

 

「えーっと・・・。」

 

梨子が返答に困っていたが、

 

「ヨハネというのは、洗礼名のようなものですわ。」

 

ダイヤが梨子に代わって氏政に説明する。

 

「洗礼名、ということはこの者は最近西国で流行っているというキリシタンというものか?」

 

「はい、そのようなものですわ。」

 

ダイヤは氏政の言葉に真正面から受け応えた。

 

「ちょっとダイヤ!私はキリシタンなんかじゃないわよ!なんで私が敬虔な神のしもべみたいになってるの!私は堕天使で・・・!」

 

「まあまあ、お姉ちゃんがうまくまとめてくれたから・・・。」

 

納得がいかない様子の善子をルビィがなだめた。

 

「それで、お主ら『あくあ』はどこからやって来て、何をするためにこの時代に来たのだ?」

 

「お待ちください兄上!そのことに関しては書状に書いて送ったではありませんか!」

 

氏規が氏政の千歌たちへの問いに反論するが、

 

「氏規よ。確かに私たちはこの娘たちが未来から来たことを知っているが、ここにいる者たちにはそのことをまだ知らない者や完全に信じてない者たちもいるのだ。ここではそれを証明せねばならんのだ。」

 

氏政はそう氏規に返した。

 

「えっと、私たちは内浦の長浜城跡地の公園で練習をしていたんですが辺りが急に光りだして気づいたらこの時代に来ちゃってたんです。」

 

果南が氏政にどうしてこの時代に来たのかを説明した。

 

「内浦?それはどこなのだ?」

 

氏政が内浦の場所を聞くと、

 

「内浦というのは我が興国寺城の近くにある寂れた港町ですな。長浜城という城は存在しませぬが・・・。」

 

氏政の疑問に答えたのは沼津にある北条家の始まりの城である興国寺城を守っている重臣、垪和 氏続であった。

 

「長浜城という城の跡がお主らの時代にある、というわけか。」

 

「はい。」

 

「氏続、内浦に長浜という場所はあるのか?」

 

「ええ、確かにありますな。見晴らしが良く、水軍の拠点に適しています。」

 

「なるほど。ではいずれかそこに城を建てよう・・・じゃなくて、氏続が言うには間違いないようだな。我らが知らぬ城づくりに適した場所を知っているのは見事なものだな。」

 

氏政は氏続の答えを聞いて満足げにうなずいた。

 

「それでは次の話だが・・・。」

 

氏政が次の質問を千歌たちにしようとすると、

 

「そこまででいいであろう氏政。」

 

氏政の隣で無言で座っていた氏康が口を開いた。

 

「しかし父上、彼女たちが本当に未来から来たということを皆に証明せねば・・・。」

 

「もうよいではないか。この者たちは我らにとって利のある情報を未来から持ち込んでくれた。それだけで十分よ。それに、わしからも聞きたいことがあるのでな。」

 

そう言って氏康は氏政と座る場所を入れ替えた。

 

「さて、これでこの者たちが未来から来たということは疑いのない事実。皆の者も納得したな?」

 

氏康が家臣たちに聞くと、

 

「待てよ親父、こいつらが本当に未来から来たってことは俺たち北条家の未来や未来の関東について何か知ってるだろうからそれを聞いた方がいいんじゃないか?」

 

氏規の三人目の兄である氏邦が氏康に提案した。

 

「慌てるでない氏邦、それは今わしが聞こうとしておったというのに。まあよい、お主らが本当に未来から来たということはわしら北条家がどうなってるのかどうか、そして未来の関東、いや日の本がどうなっているかを教えてもらいたいのだが、いかがかな?」

 

氏康は千歌たちを真っ直ぐに見据えながら問いかけた。千歌はそれに、

 

「未来の日本は武士とか貴族はもういなくなっちゃってるけど、すごく豊かで平和で明るい国になってますよ!!」

 

明るく答えた。

 

「武士と貴族がいないというのはどういうことだ?」

 

「それは私たちの生まれる130年ほど前に日本で大きな革命が起きて、その時に武士や貴族、農民といった身分が無くなって平等な世の中になったのです。」

 

氏康の更なる質問にはダイヤが答えた。

 

「なるほど、では関東はどうなっておるのだ?」

 

「関東は日本の中心になってて本当にすごいんですよ!」

 

「私たちの時代では日本の中心は京都じゃなくてとうきょ・・・じゃなくて江戸になってるんです。」

 

梨子が千歌に続いて答えた。

 

「ほう・・・、江戸が日の本の中心か・・・。」

 

「やったな綱景どのに直勝どの!お主らの江戸開発が400年かけて報われたのだな!!」

 

わきに並んでいた綱成が両隣に座っていた遠山綱景と富永直勝の肩を叩いて喜んだ。綱景と直勝も満更でもない顔をしていた。

 

「うむ、未来の日の本については分かった。ではもう一つ、我ら北条家はどうなったのだ?」

 

「え・・・、それは・・・。」

 

ダイヤが思わず口籠る。北条家が数十年後に攻め滅ぼされるなんて口が滑っても言えるわけがなかったからだ。

 

「言えぬ理由があるのか?」

 

氏康の鋭い眼が千歌たちを見据える。しかし千歌はみんなの前に出て、

 

「はい、私たちには言えません!」

 

とはっきり言った。

 

「それは何故か?」

 

氏康が千歌に問う。ただ質問してるだけだというのに、その姿からほとばしる威厳はまさに、相模の獅子の異名に相応しい覇者の気迫であった。

 

「もし私たちが北条さんたちの未来を教えちゃったら歴史が変わっちゃうかもしれないからです!」

 

千歌は氏康の気迫に負けずに言い放った。

 

「歴史が変わる・・・だと?」

 

「はい、もし歴史が変わっちゃったら私たちは生まれてこなかったかもしれないし、Aqoursのメンバーが集まることもなくなっちゃうかもしれないんです。歴史が変わってみんなが離れ離れになっちゃうのは嫌なんです!!」

 

千歌の言葉にみんなが無言でうなずく。

 

「仲間を思う気持ちを取るか・・・。はははは!!天晴れだ高海千歌。そしてその仲間たちよ、このような仲間を持つことができたお主らは真の果報者よ。皆の者もこの娘のように仲間を思う気持ちを忘れるでないぞ!!」

 

氏康は笑いながら千歌たちに賞賛の言葉を贈った。氏康の家臣たちも千歌たちに喝さいを贈った。

 

「え?え?」

 

千歌は訳が分からない様子だった。

 

「父上、兄上、一体どういうことですか?」

 

氏規も状況が呑み込めず、氏康と氏政にどういう事かたずねた。

 

「すまんな氏規、わしらはこの娘たちを試しておったのだ。」

 

「試す、ですか?」

 

「ああ、私は氏規にも伝えた方がよいのではと言ったのだが、それでは氏規が入れ知恵をしてつまらなくなるではないかと言って聞かなかったのだ。」

 

「え、じゃあ千歌殿たちを謁見の結果次第でここに留め置くかを決めるというのは・・・。」

 

「嘘じゃ。このような小娘たちを放り出しては北条の信念に反するではないか。それに試していたのは別の事よ。」

 

「え、私たち試されてたの?」

 

曜が驚いた。

 

「ほほほ、氏康も人が悪いのお。」

 

氏康の隣に座っていた幻庵がからからと笑う。

 

「うむ、わしらが試していたのはお主らが北条の客将に相応しいか、ということじゃ。」

 

「あの、客将というのは何ですか?」

 

梨子が氏康に質問をした。

 

「客将というのはその名のとおり、客分として扱う将のことだ。」

 

「ということは・・・。」

 

「うむ、お主ら『あくあ』は本日この時よりわが北条家の一員となる、ということだ。」

 

「「「「「「「「「ええええ~~~~!!?」」」」」」」」」

 

千歌たちは驚いた。

 

「もちろんただ働きとは言わない。お主らが元の時代に戻るための方法を探すのも最大限に手伝うことも約束しよう!」

 

驚く千歌たちに氏政が笑顔で告げた。

 

「どうするの千歌ちゃん?」

 

「私は楽しそうだからいいと思うけどな。」

 

「そんな事ではいけませんわ!大大名に仕えるならそれなりの・・・!」

 

梨子を筆頭にAqoursのメンバーが北条家の家臣になるかを議論していたが、

 

「はい!私たちAqoursも皆さんのお手伝いをします!」

 

と千歌が氏康と氏政に向けて宣言した。

 

「そうか。では皆の者!今日からこの娘たちも我ら北条家の仲間だ!!ともに団結してこの関東に民と武士たちの理想郷を作り上げようぞ!」

 

と氏康が言うと、

 

「「「うおおおおお!!!」」」

 

その場にいた家臣たちが皆、同意の意を込めて鬨の声を上げた。

 

「なあ千歌殿、一つ頼みがあるのだがよいか?」

 

氏康が千歌に声をかけた。

 

「なんですか?私たちにできることなら何でもしますよ!」

 

「そなたらは歌と踊りで人を楽しませる『あいどる』という者らしいが、ぜひともわしらにお主らの歌と踊りを見せてもらえるかな?」

 

なんと氏康がこの城でライブをやってほしいと頼んできたのだ。

 

「もちろんいいですよ!みんな~!これからライブをやるから準備するよ!!」

 

 

 

 

そして小田原城の中庭では、氏康たち北条家の人たちが床几に座り、侍女や下人たちも茣蓙を敷いて見ていた。

 

「にしてもずいぶん変わった服をしているな~あいつら。」

 

「ああ、腕と足をあそこまで露出しているとは未来の日の本の奴らの貞操ってどうなってるんだろうな・・・!」

 

綱成と綱高は千歌たちの衣装を見ながら呟く。

 

「そりゃあ、400年も経てばものの考え方も変わるだろう。綱成どのも綱高どのもはしたないからやめたらどうだ。」

 

「まあまあ、いいではないですか直勝どの。アイドルというのは歌と踊りだけでなく見た目でも人を楽しませるものなんですから。」

 

「と言いつつ直勝どのもチラチラ見てますよね。それがしは直勝どのののそういう所、嫌いではないですよ。」

 

直勝は綱成と綱高をたしなめつつも、千歌たちの衣装を見て少し興奮していた。康勝はそんな直勝を宥め、元忠は直勝をからかっていた。

 

「まったくあやつらめ、どこを見ているのだ・・・。」

 

氏康はそんな五色備えの面々を見てため息をつく。

 

「ははは・・・。まあ、皆それだけ初めて見る『あいどる』の『らいぶ』とやらを楽しみにしてるんですよ。あ、そろそろ始まるみたいですよ。」

 

氏康たちが話している間に、千歌たちは準備を終えてフォーメーションについた。

 

「それでは北条家の皆さん!私たちAqoursのライブを楽しんでいってください!!」

 

千歌がそう言い終えると、氏規が千歌たちから離れた場所でCDの音楽を再生させて、千歌たちのライブが始まった。

 

 

 

 

そして、曲が終わり、

 

「「「「「「「「「皆さん、ありがとうございました!」」」」」」」」」

 

と千歌たちが言うと、見ていた人たちは喝采を贈った。

 

 

 

「これが『あいどる』の歌か・・・!」

 

「なんか能に比べて騒がしいなあ。」

 

「馬っ鹿野郎!この騒がしさがいいんだろ!」

 

「確かに騒がしいけど、なんか元気が湧いてくるよな!!」

 

「分かる分かる!なんか楽しい気分になってくるわよね!」

 

「あの子たちはなんていう一座なんだ!?」

 

「確か『あくあ』ってさっき言ってたような・・・!」

 

「いいぞー『あくあ』の嬢ちゃんたちー!!」

 

 

 

感想自体は千差万別だが、みんなが千歌たちに好意的な感情を持っているのが千歌たちにも伝わった。

 

「『あくあ』のみなさーん!!」

 

梅が千歌たちに向かって走り寄ってきた。

 

「あ、梅さん!」

 

「千歌さんたちの歌と踊り、すごく素敵でしたよ!国王丸も喜んでますよ~!」

 

梅に抱きかかえられている国王丸も笑顔を見せていた。

 

「喜んでもらえて何よりです!!」

 

「未来の日の本の方はこんな素晴らしいものを見れるのですね~。」

 

梅と千歌が話していると、氏政が走ってきた。

 

「梅~!急に走っていくからびっくりしたぞ。梅はこの者たちと知り合いなのか?」

 

「はい氏政さま。先ほどの謁見の前に、国王丸が引き合わせてくれたのです!」

 

「国王丸が?千歌どの、それは本当なのか?」

 

「はい、私たちが部屋で待ってたら部屋の外に国王丸君がいて・・・。」

 

「なるほど、そういうことだったのか。」

 

「はい、それでいろいろお話して千歌さんたち『あくあ』の皆さんとは仲良しなんです!」

 

楽しそうな梅の表情を見て氏政は、

 

「そうか。梅が楽しそうならそれでいいんだ。千歌どのたちも梅と仲良くしてもらえると嬉しいな。」

 

「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」

 

千歌たちが答えると、

 

「いやはや見事なものであった。能が『静の舞』であるならお主らの踊りは『動の舞』というべきだな。」

 

と言って氏康がやってきた。

 

「お主らの踊りは我らの知っているものとは何から何まですべてが違っていたが、これだけの者たちの心を掴むことができるとは実に見事である。図々しいようだが、たまにで良ければ城下の民や、わが領内の村々でもライブをやって、民たちを楽しませて欲しいのだがどうかね?」

 

氏康がそう聞くと、

 

「はい!ぜひやらせてください!!私たちの歌やダンスでみんなを喜ばせられるなら私たちも嬉しいです!!」

 

千歌が嬉しそうに答えた。するとさらに二人の若者がやってきた。

 

「素晴らしい曲であった。私も感動したぞ・・・ってまだ名乗っていなかったな。私は氏康が三男の氏照という。もしよろしければあなた方の歌を私の笛で奏でてみたいのだがよろしいかな?」

 

「俺は氏政兄貴と氏照兄貴の弟で氏規の兄の氏邦だ!!お前らのさっきの『らいぶ』で最初にやっていた曲、最高に良かったぜ!これからよろしくな!!」

 

「何を言ってるのだ氏邦、二番目にやっていた『待ってて愛のうた』という曲の方が良かっただろう!」

 

「最初の『君のこころは輝いてるかい?』って曲の方がさっぱりしてていいだろうが!」

 

氏照と氏邦は自己紹介をして曲の感想を言うや否や喧嘩を始めてしまった。

 

「あ、ちょっとお二人とも!どっちを好きになってくれるのも嬉しいんですが・・・。」

 

梨子は二人を宥めようとするが、

 

「まあまあ、梨子ちゃん。喧嘩するほど仲がいいって言うし放っておいてもいいんじゃない?」

 

「千歌ちゃん!?でも・・・。」

 

「千歌どのの言う通りだ。あやつらは武勇に長けているが方向性が違うもんですぐに喧嘩するんじゃ。まあ、すぐに仲直りするんだがな。」

 

氏康は呆れながら梨子に二人の事を教えた。

 

「それと千歌どのたちが所属する場所なのだが、お主らには氏政の馬廻になってもらおうと思う。」

 

「馬廻ってなんですか?」

 

千歌が質問した。

 

「馬廻というのは主の身辺を守る者たちの事を言うのだが、まあこれはあくまで建前で、氏政のもとで奉公のいろはを教わるとよい。」

 

「え!?じゃあ韮山の氏規さんとはお別れになっちゃうんですか?」

 

「うむ、流石にお主らを最前線に置くわけにもいかんからな。」

 

「北条家は今川や武田と同盟を結んでいるから心配する必要はないのでは?」

 

ダイヤが氏康に反論した。

 

「確かに安全ではあるのだが、二年前に今川義元どのが桶狭間で討ち死にし、さらに三河で松平元康が徳川家康と名を変え今川から独立した以上、駿河も安全とは言い切れなくなっているのだ。」

 

「徳川家康ってあの教科書に載ってる徳川家康!?」

 

「徳川家康まで出てくるなんて英雄そろい踏みずらね~!」

 

ルビィは驚いたが花丸はそこまで動揺してるわけでもなかった。

 

「というわけだ、しばらくの間色々よろしく頼む。」

 

と氏政が言うと、

 

「はい、氏政さん!」

 

と千歌は手を出した。

 

「千歌どの、この手は一体・・・?」

 

「握手ですよ!仲良くなりたいときやこれからよろしくって言うときにやるんですよ!!」

 

と戸惑う氏政に千歌が握手を教えた。

 

「そうか。このようにすればいいのだな。」

 

「はい!こちらこそよろしくお願いします!!」

 

 

 

 

こうして、千歌たちAqoursは北条家への正式な仲間入りを果たした。

 

この乱世に迷い込んだ少女たちが、北条家に連なる者たちの運命を変え、アイドルとして、そしてひとかどの将として活躍していくことは、まだ誰も知らない。

 

彼女たちの乱世の物語はまだ始まったばかりなのだから・・・。




いかがでしたでしょうか?

無事に氏康たちに認められ、北条家に正式に参入した千歌たち!そして次回からは第二章が開幕します!!



果たして乱世に迷い込んだAqoursはその目で何を見るのか・・・。


それでは次回もまたお楽しみください!!

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