Love Live! ~lie life~   作:RRBER

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第13話

「咲雷君、一緒に帰らへん?」

 

 

放課後になり希が海斗に声をかける。

 

 

「構わないが今日は何を買うんだ?」

 

 

海斗はいつもの流れで希に聞く。

 

 

いつもとは、2人は帰り道が同じな為一緒に帰ることがあるが、大抵その時は希の買い物に海斗が付き合うのことが多い。

 

 

「秋葉原の駅前に新しくショッピングモールが出来たんは知っとる?そこ、今日から開店セールやるんやって。その中のスーパーで野菜が特に安いらしいから行こうと思っとるんよ。」

 

 

「俺も知ってるよ~。名前は忘れたけど海外では有名らしくて、とうとう日本に進出ーっ!とかテレビで言ってたぜ。」

 

 

帰り支度を済ませた師走が2人の会話に入り軽く説明する。

 

 

「そうなのか。それよりも荒波、お前そんなゆっくりでいいのか?」

 

 

海斗は普段HRが終わったと同時に教室を出る師走に急ぐ仕草がない為、疑問に思い聞く。

 

 

「あぁ、今日俺は非番だからゆっくりでもいいんだよ。まあ非番っつっても裏の仕事はあるけどな。それに個人的にもあそこに用があるし。」

 

 

内容は何かは知らないが、海斗は適当に返事をしようとする。

 

 

「それやったら荒波君も一緒に来いひん?」

 

 

海斗が返事をする前に、希が師走も誘おうとする。

 

 

「えっ!?いいの!?」

 

 

師走は大袈裟に驚く。

 

 

「ええよ。だってみんなで行った方が楽しいやろ?」

 

 

希は師走にウインクをし笑って言った。

 

 

「でも、折角海斗と放課後デート出来るのに邪魔しちゃ悪いでしょ?」

 

 

師走は事あるごとに2人を付き合ってる風に装いたいらしい。

 

 

「なっ!?そんなんやないよ!・・・じゃあお願いね!」

 

 

師走の言葉に希はみるみる顔を赤くし、その場から逃げるように絵里のいる方へ向かう。

 

 

「ありゃりゃ、怒らせちまったか。」

 

 

「そうみたいだな。」

 

 

反省している師走を横に、海斗は目もくれず鞄にノートを入れる。

 

 

「ところで話の途中なのに希ちゃん何処行ったんだ?」

 

 

「お前を誘うくらいだから絢瀬を誘いに行ったんだろう。」

 

 

「あ~、なるほどね。」

 

 

そう言って師走は機嫌を直してもらえるよう希の元へ謝りにいった。

 

 

その場で1人になった海斗は考え込む。今まで気にも留めなかったが、秋葉原にショッピングモールが建つ場所なんてない。

 

 

(こんな無茶苦茶なことをするのは・・・。嫌な予感しかしないな。)

 

 

海斗の頭には"アイツ"の顔が浮かんでいた。

 

 

そして嫌な予感は大抵当たることが多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人は駅前の大型ショッピングモール『トリリオン』に着く。

 

 

「いや~、かなりの人で賑わってるな~。」

 

 

午後から雨は降り続けているが、開店初日な為、人で溢れていた。店舗も結構な数が入っており、師走は周りをキョロキョロしながら先に行く。

 

 

「本当凄いわね、この人だかりだとお店に入るのでも一苦労だわ。」

 

 

「確かにそうやね~。あれ?」

 

 

希は海斗が目元を指でつまみ少し俯いているように見えた。

 

 

「どうしたん、咲雷君?」

 

 

「いや、大丈夫だ。何でもない。」

 

 

「具合でも悪いの?」

 

 

絵里も心配そうに海斗に声をかける。

 

 

「・・・少し人混みに酔っただけだ。今はもう平気だから心配しなくてもいい。」

 

 

少し間があった事に疑問を抱いた絵里だが、本人が平気と言ってる以上追及はしなかった。

 

 

「そう?でも何かあったらすぐ言ってね。」

 

 

「ああ、そうさせてもらう。すまないな。」

 

 

海斗が絵里に謝っている中、師走が1人で先走っていることに気付き、こっちに戻ってくる。

 

 

「3人ともどうしたんだ?あんま時間ないから早く行こうぜ。」

 

 

「そうだな。まずは東條の買い物からか。」

 

 

海斗は何もなかったかのように師走に返事をし、最初の目的地を決めようとする。

 

 

「ウチは後ででええから、みんなで見て回ろうよ。」

 

 

「そうもいかない。最初に誘ったのは君だろ?だったら俺らのことより優先してもいいはずだ。それにこんなことで時間潰していると目当ての物が買えなくなるぞ。」

 

 

「せやけど、荷物になるから最後でいいんよ。ほんまに。」

 

 

海斗と希が言い合っている中、師走が割って入る。

 

 

「荷物なら俺や海斗に持たせれば平気だろう?今日は希ちゃんの買い物メインにして他は次回にすればいいんじゃないか?なあ海斗。」

 

 

「俺はそれで問題ない。」

 

 

「でっでも、問題はそれだけやのうて・・・。」

 

 

絵里も希の返事に少し焦れったく感じる。

 

 

「じゃあ今日は希の買い物に行って、次の休みにでもまたここに来ましょうよ。いいでしょ希?偶にはみんなに合わせないで咲雷君の言う通り自分をことを優先してもいいんじゃないかしら?」

 

 

絵里は提案と言うより半ば強制のように強く言う。

 

 

「えりちまで・・・。はぁ、もうそれでええよ。」

 

 

希は言いくるめられるように降参した。

 

 

「よし!そうと決まれば食品売場までレッツゴー!」

 

 

師走の掛け声と共に4人は食品売場に向かう。

 

 

 

 

 

希の買い物を終え、師走が向かいのカフェに寄ろうと提案する。

 

 

4人が入ると中は混雑していたが丁度よく空きが出来た為、店員に4人掛けの席に誘導される。通路側に海斗と希、2人の奥に師走・絵里がそれぞれ座る。

 

 

「みんな今日はウチの我儘を聞いてもらうことになってありがとうな~。」

 

 

希は買い物に満足することができ、3人に感謝する。

 

 

「気にするな。俺も足ない物を買い足せたしな。」

 

 

「私もそうよ。それに荒波くんに色々教わって楽しかったわ。」

 

 

実家が喫茶店を経営してる師走が絵里と希に肉や魚など鮮度ついてレクチャーしてくれた為、2人はより充実していた。

 

 

「ここの店は中々面白いメニューがあるなぁ。あっ、もう店員呼んでいい?」

 

 

師走は1人メニューと睨めっこをし、呼び出しボタンを押しながら3人に聞く。

 

 

「あっ荒波君ッ!勝手に押さないでよ!」

 

 

「・・・荒波、お前はもう少し周りを見ろ。もし俺らが決めてなかったらどうするんだ。」

 

 

絵里は激怒し、海斗は注意する。

 

 

「悪りい悪りい。まあその時はオススメを店員に聞けばはずれないし、ちゃんと返ってくればここのスタッフの教育が出来ている証拠にもなるしな。」

 

 

師走は仕事目線な言い方をする。そしてあまり反省しているようには見えない。

 

 

「なんせアキバにこんなでけえのが出来ちまったんだ、早めに対処と改善しないと客が取られちまうからな。」

 

 

ここには幾多ものカフェや喫茶店が入っており、師走は経営悪化を防ぐことを考えていた。

 

 

「差し詰め今日の用事は店の偵察か。」

 

 

「そういうことだ。」

 

 

「でも、ボタンを勝手に押しちゃあかんよ。」

 

 

希も口にはしないが怒っており、師走も申し訳なさそうに苦笑いをする。

 

 

するとそこへショートヘアの店員が4人のいるテーブルに向かってくる。

 

 

「お待たせ致しました。ご注文をどうぞ。」

 

 

「俺はハヤシライス。」

 

 

「ホットコーヒー1つ。」

 

 

「ウチはティラミスにしようかな。えりちは?」

 

 

「そうね、・・・私はサンドウィッチにするわ。」

 

 

「以上で宜しいでしょうか?」

 

 

「はい。」

 

 

師走が答える。

 

 

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 

 

店員は失礼しますと一声かけてからメニューを持って離れる。

 

 

「てか誰もオススメ聞かなかったって事は、頼む物決まってたんじゃんか。」

 

 

師走は呆れて言う。

 

 

「時間も時間やし、ここで食べると晩ごはん食べれなくなるからデザートだけにしようと思っとったけどな。」

 

 

時間は17:00を回っていた。

 

 

「あっホントだ、もうそんな時間なんだな。にしても楽しい時間てのはあっという間に過ぎるよな~。」

 

 

師走は溜息を付き哀愁を漂わせる。

 

 

「随分と唐突だな。」

 

 

「そう思ったんだからしょうがねえだろ。」

 

 

海斗につっこまれた師走は恥ずかしがりながら言う。

 

 

「本当ね。でもそれって充実してるからそう思うんじゃない?」

 

 

「せやね。ウチもえりちも男の子と一緒にお出かけすることの少ないから、いつもより新鮮で楽しかったで。」

 

 

「あ~、希ちゃんはともかくエリチカはそういうの極端に少なそうだよな~。」

 

 

「ちょっと、それどういう意味かしら?」

 

 

絵里は師走の意味深な言葉に反応し不機嫌になる。

 

 

「だってエリチカ、成績優秀でスタイルもいいけど、ツンツンし過ぎてで近寄りがたいって他の男子が言ってたくらいだぞ。」

 

 

絵里は近寄りがたいと言われ淋しい顔をする。

 

 

「荒波君!絵里ちに変なこと言わんといて!」

 

 

とっさに希は絵里を自分の方に抱き寄せて慰める。

 

 

「いやいや、嘘はついてないぞ!?なあ海斗!」

 

 

異議を唱えた師走は海斗に助けを求める。

 

 

「何故俺に振るんだ?」

 

 

「そりゃ俺だけの意見じゃないってことを2人に言ってくれ!」

 

 

師走はいつものように無茶苦茶なことを海斗にさせる。

 

 

「そうだな・・・。」

 

 

海斗は少し考える。

 

 

「確かに荒波が言うように成績優秀でスタイルも良い、初対面は多少は尖っていたが近寄りがたいとは思わなかったぞ。少なからず、そんなものお前らが表面だけしか見ないで勝手に勘違いしてイメージしただけだろ?」

 

 

「勘違いね~。まあ、俺もそう思ってたけどよ。」

 

 

師走は口籠っていた。

 

 

「実際話してみれば普通に話せるだろ?そんな勝手なイメージを押し付けられた身にもなってみろ、誰だっていい思いはしない。要は尖っていたからって理由でそれ以上絢瀬を知ろうとしなかったんじゃないか?」

 

 

海斗の意見に3人が考えさせられるようなる。

 

 

「確かにそうやな。近づいて初めて気づくこともあるもんね。」

 

 

「まあ、エリチカは話しているとツンツンしないし表情豊かでより可愛いさが増すもんな。」

 

 

「もういいでしょ、そんなこと。」

 

 

絵里は師走の話を止めようとすると同時に、オーダーを取った店員が頼んだ料理を持ってきた。

 

 

「お待たせしました。・・・ご注文は以上でお揃いですか?」

 

 

店員は1つ1つ丁寧に料理をテーブルに置き確認する。

 

 

「大丈夫です。」

 

 

「それではごゆっくりどうぞ。」

 

 

店員は伝票を置き去っていき、それぞれ頼んだものを口にする。

 

 

「ん~。えりち、このティラミス美味しいよ。ひと口どう?」

 

 

「美味しそうね、いただこうかしら。じゃあお返しに・・・玉子サンドでいい?」

 

 

「ええよ。はいっ、アーン。」

 

 

「ちょっと希、恥ずかしいわよ。」

 

 

「女の子どうしやし、恥ずかしがることないで。アーン。」

 

 

「もう、・・・アーン。・・・んっ、美味しいわね。」

 

 

「せやろ~。」

 

 

「じゃあ今度は希の番よ、はい、アーン。」

 

 

「アーン、・・・うん!美味しい。」

 

 

「でしょ~!」

 

 

2人のやり取りを眺めながら師走は言った。

 

 

「・・・いや~女の子同士がいちゃいちゃしてるの見てると、なんかエロくて見てて飽きないわ~。」

 

 

その瞬間、このテーブルに衝撃が走る。

 

 

「変態が。」

 

 

少しの間があった後、初めに海斗は目線を合わせず一言だけ言ってコーヒーを飲む。

 

 

「・・・変態。」

 

 

次に絵里は師走のことをゴミを見るような目で見て言う。

 

 

「店員さ~ん。ここに変態がいま~す。」

 

 

最後に希は店員に聞こえるか聞こえないかギリギリのトーンで言いながら手を上げようとする。

 

 

「希ちゃんそれはやめてーッ!この歳で捕まりたくないわーッ!」

 

 

師走が必死になって希の手を抑える。

 

 

「捕まりはしない、未成年は補導されるだけだから安心しろ。」

 

 

海斗は追い撃ちをかける。

 

 

「そういうことを言ってんじゃねーッ!」

 

 

師走が嘆いている中、希と絵里はその姿を見て笑い海斗の顔には笑みが零れていた。

 

 

そして師走の声が余りにも煩かった為、店員に怒られたのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、カフェの前で師走と絵里と別れた海斗と希は、横に並んで家路につく。雨は止んでおり雲の隙間から日が差し込む。

 

 

「咲雷君、今日は楽しかったね!」

 

 

「そうだな。」

 

 

当然、買い物袋は海斗が持っている。

 

 

「そう言えば、咲雷君が音ノ木坂に来てからもうすぐ2カ月になるんやね。」

 

 

希がふと思い出したかのように海斗に聞いた。

 

 

「そうだが。急にそんなこと聞いてどうしたんだ?」

 

 

「いやな、咲雷君に会ってからもうそんな経つんやな~と思ってな。あっという間で、毎日が楽しくて、ずっと続けばいいのになあって・・・。」

 

 

希は遠くを見なあがら儚げに言った。

 

 

(・・・中学まで転校を繰り返してたからな。)

 

 

海斗は希の過去を聞いていた為、だからこそ人一倍強く楽しいと感じるのだろうと考えた。

 

 

「ずっと続けばいいなんて無理な話だが、楽しいと思えることはいいことだ。絢瀬も言ってたが充実していないとそうは考えられない。それに学生でいられるのも今しかない、だったらそんなことを考える暇もないくらい充実させればいんじゃないか?」

 

 

海斗も立ち止まり希の方を向いて言った。

 

 

思わぬ返しに希は驚くが、その言葉を聞いて次第に表情が明るくなる。

 

 

「うん。・・・せやね!」

 

 

希は駆け足で海斗の隣に並び、2人は再び歩き出す。

 

 

「ふふっ。」

 

 

「いきなり笑いだしてどうしたんだ?」

 

 

「いやな、普段の咲雷君なら論理的に?説明するのに、さっきはやけに感情的やな~と思ってな。」

 

 

「・・・論理的は兎も角、それは皮肉で言ってるのか?」

 

 

海斗は呆れながら言う。海斗なりに希を励まそうと言ったつもりだが、まさかそのように思われたとは考えてもみなかった。

 

 

「そういう意味で言ったんやないよ。ただビックリしただけ。」

 

 

そう言って希は海斗に向かって微笑む。

 

 

話している内にいつの間にか2人の家まで見えていたが、海斗の家の前にスーツ姿の1人の女性が立っていた。

 

 

「あれ?咲雷君の知り合い?」

 

 

希の質問に海斗が答える前に、その女性が近づいてくる。

 

 

すると女性は海斗の首に腕を回した。

 

 

「来ちゃった♡」

 

 

「っ!?」

 

 

希は何が起きたか把握できず、顔を赤くして海斗の方を向いて『この人、誰!』と目で訴えた。

 

 

それの気付いた海斗は若干あきらめた様子で溜息を付く。

 

 

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