Love Live! ~lie life~   作:RRBER

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第14話

海斗にいきなり抱きついてきた女性は、希と海斗の顔を見て次第に口元が緩み始め、笑うのを我慢している。

 

 

その表情を見て、遊んでいると海斗は確信した。

 

 

「いい加減鬱陶しいから離れろ、アレックス。」

 

 

溜息交じりで言いながら、海斗が無理矢理腕を離す。

 

 

「んだよ。折角面白かったのに。」

 

 

あからさまに態度を変え、軽く舌打ちをしケラケラ笑いながら海斗に言った。

 

 

「えっと・・・そのぅ・・・。」

 

 

未だ状況が把握できていない希が、2人に説明を求めようとするが、上手く言葉が出ない様子だった。

 

 

「ほったらかしにしてすまない。こいつは、」

 

 

「おいおい海斗、まさかこんな道端で自己紹介させる気かよ。家の前なんだからゆっくり茶でも飲みながらしようや。」

 

 

アレックスは海斗の説明に横入りし、希を家に誘う事に決め海斗に"鍵をよこせ"と目で訴えた。

 

 

海斗はアレックスの表情を読み取り、鍵を取り出し渡す。

 

 

アレックスが鍵を受け取って中に入ろうとした時、希が海斗に話しかける。

 

 

「ねぇ咲雷くん、ウチもお邪魔してええの?」

 

 

「構わないさ。あいつは一度言ったら聞かないからな。と言うより東條は何回も来ているんだ、改めて畏まらなくてもいいだろう。」

 

 

「そういう意味で言ったんやないけどな・・・。うん、じゃあ荷物置いて来てからでもええ?」

 

 

そう言って海斗から荷物を受け取り重量もあった為『大丈夫か?』と聞かれたが、希は『うん!』と答えて少し急ぎ足で家に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいしょっと・・・ふぅ、取り敢えずこんなんでええかな。」

 

 

希は家に戻って今日買った食材を冷蔵庫に詰め終わり、寝室に行き着替えを始める。

 

 

ピロリーン♪

 

 

スカートを下ろそうとしたらスマホが鳴り、確認すると海斗からのメールだった。

 

 

『アレックスが今晩飯一緒にどうかだそうだ。都合が悪いなら断っても大丈夫だぞ。因みに要望で和食になった。』

 

 

「ふふっ。咲雷君から誘うのは初めてだったかな?」

 

 

内容は晩御飯の誘いで、希は嬉しくなり断る理由もなくすぐさま返事をする。

 

 

『大丈夫やで!いつもの様に何か持ってくわ。』

 

 

持っていくと返した矢先、冷蔵庫を確認しに戻る。

 

 

「うーん。和食やから、きんぴらごぼうでええかな?」

 

 

きんぴらごぼうの入ったタッパーを取り出して冷蔵庫の中を整理し直し、急いで寝室のに戻り再び着替えを始める。

 

 

「あの人、咲雷君の彼女なんかな・・・。でも彼女やったらもっと嫉妬して家に誘うことはしないやろうし。」

 

 

着替えながらふと海斗とアレックスと呼ばれた女性との仲について考えていた。

 

 

「彼女やなかったら・・・お姉さん?顔は似てへんけどどうなんやろ?歳は近そうやから多分そうやろうな。」

 

 

希はそう自分に言い聞かせた。

 

 

「・・・ってこれじゃウチがあの人に嫉妬してるみたいやん!」

 

 

頭をブンブンと左右に振り、考えを変えようとする。

 

 

「はぁ・・・考えたことないけど、ウチって結構嫉妬深いんかな。てかウチは咲雷君の彼女やないし、それに・・・。」

 

 

最後の言葉を濁し溜息をする。海斗に好意を抱いているものの、今の友達関係を選び告白はしないで胸の中に仕舞っていた。

 

 

自分の事は考えても仕方ないと諦め、着替え終えてちらっと時計を見る。

 

 

「あっ!結構時間経ってる!はよ行かな!」

 

 

希は慌ててスマホとタッパーを持って家を出ようとする。

 

 

スマホを見ると海斗からメールが届いていた。先程鳴っていたが考え込んでた為気付かなかった。

 

 

『わかった。気を遣わせてすまない。それと急がずゆっくりで構わないからな。』

 

 

希はメールの内容を見てクスッと笑う。時間が19:00に指しかかり海斗の家に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希が一旦家に帰った後、海斗が自宅に入り色々問いただそうとアレックスのいるリビングへ向かう。

 

 

「おいおい、あの子はどうした。それと酒は?」

 

 

先程のスーツ姿とは打って変わってTシャツにショートパンツのラフな格好になったアレックスは、冷蔵庫を勝手に物色し酒があるかを確認しながら聞いた。

 

 

「東條は一旦荷物を置きに家に帰った。家は向かいのマンションだからすぐ来るだろうし少し待ってろ。あと、ここは日本だから未成年の俺には酒は買えない。」

 

 

「あ~そうだったっけか。ちっ、しゃーねーな。じゃあ序でにご挨拶も兼ねて向こうの家族を飯に誘うか。聞いてみてくれよ。」

 

 

「何が序でだアホ。だいいち迷惑で東條は一人暮らしだから親はいない。だからそういう挨拶は必要ない。」

 

 

「そうなのか!でも一人暮らしにしては随分いいとこに住んでんだな。」

 

 

「それ以上は向こうの家の事だろ。詮索はよせ。」

 

 

「それもそうだな。まぁ何にせよ女の子1人は淋しいから一緒に飯いいか聞いてみろよ。あっ、飯は和食で頼むわ。」

 

 

「ったく・・・。」

 

 

海斗は一旦リビングを出て2階の寝室に行く。鞄を置きスマホを取り出し希に連絡する。

 

 

『アレックスが今晩飯一緒にどうかだそうだ。都合が悪いなら断っても大丈夫だぞ。因みに要望で和食だ。』

 

 

出来れば断ってもらいたいと考えてたが、返事はすぐに返ってきた。

 

 

『大丈夫やで!いつもの様に何か持ってくわ。』

 

 

「・・・まぁそうなるよな。そういえば俺から誘うのは初めてかもしれないな。」

 

 

そう言い、海斗は着替え終えキッチンに向かいながら希に返事をする。

 

 

『わかった。気を遣わせてすまない。それと急がずゆっくりで構わないからな。』

 

 

返事した後スマホをポケットに仕舞い、キッチンに向かう途中リビングで持ってきてたであろうウイスキーを飲んでいた。

 

 

「・・・お前、これから人と会うのにどういう神経してるんだ。」

 

 

「少しぐらいいいじゃねーか。あの娘の前ではちゃんとするから大丈夫だ。」

 

 

「そう言う事じゃなくてモラルの問題だ。」

 

 

「モラルねぇ・・・。俺にモラルがあると思ってるのか?」

 

 

「ある前提で聞いたんだが、自虐のつもりか?」

 

 

海斗は呆れ果てキッチンに行き料理に取り掛かる。冷蔵庫を開け軽く見まわし、本日の献立を決める。

 

 

「・・・鯖の味噌煮でいいか。」

 

 

鯖と他に使う食材を取り出す。するとリビングからアレックスが声をかける。

 

 

「なぁ~海斗~。お前、身体の調子はどうだ。」

 

 

急にアレックスが聞いてきたが、海斗はまたかと思い、いつものように答える。

 

 

「特に変わらん。出張の度に聞かれるのも鬱陶しいぞ。自分の体は自分が一番知ってる。」

 

 

「・・・そっか。まあ心配なのは変わらねえんだ。何かあったらちゃんと言えよ!」

 

 

「あぁ。その時はちゃんと言うさ。」

 

 

アレックスは少し力強く言ったが、海斗は気にせず料理の支度を始める。

 

 

「あーそれと、お前、夏休みの間ニューヨークに行ってもらえねえか?」

 

 

ウイスキーの入ったコップを片手に、先程までの重い空気が嘘のように何食わぬ顔で意味の分からないことを言う。

 

 

海斗は一瞬米を研ぐ手を止めたが再開し聞く。

 

 

「・・・要件だけは聞いてやろう。」

 

 

「まぁ簡単な話、契約取んのとその後の現場を担ってもらう。今回はテレビ局の社長が来るからお前以外の奴には荷が重くてな。」

 

 

「なんでテレビ局なんかがウチに用があるんだ。」

 

 

「いやーこの間社長と飲みに行って、暇つぶしの事を言ったら興味持っちゃってさ。企画を任されちまってな。」

 

 

「断る。てかそんなもの自分で蒔いた種だからお前がやれ。それに前にも言ったが本社にいる他の奴に任せればいいだろ。」

 

 

研ぎ終えた米を炊飯器に入れスイッチを押す。そして鯖をさばき始める。

 

 

「お前の方が顔が利くだろ?スムーズに進める為にはお前が適任なんだよ。」

 

 

「知らん。自分で何とかしろ。」

 

 

「んだよ。さてはもう学校の友達と約束でもあるのか?」

 

 

「特に日にちは決まってないが、学園祭でダンスを披露するからその練習で入る可能性はあるだろうな。」

 

 

海斗の口からまさかの発言にアレックスは笑う。

 

 

「はぁ?海斗が学園祭でっ・・・ダンスっ!?・・・あっはははwww。・・・はーっ、マジツボだわ。てかお前ダンス出来たっけか?」

 

 

「出来ないから練習するんだ。後輩にダンスの詳しい奴がいるからな。」

 

 

「後輩までできたのか!散々めんどくせぇだの意味ないだの言ってたが、だいぶここの生活に馴染んでんじゃねえか。」

 

 

「そこそこじゃないのか。お前に言われた様に学んでる最中だからな。」

 

 

鯖を煮込む間に、味噌汁の準備する。

 

 

「そりゃそうだ。人生とは学ぶことだからな。しかしお前は随分円くなったもんだ。」

 

 

「そうかもな。ここに来るまで他愛のない話はせずに仕事に没頭してたからな。」

 

 

「まあ心にゆとりがあっていいんじゃね?」

 

 

アレックスはウイスキーを飲み干し2杯目を注ごうとする。

 

 

ピンポーン

 

 

「おっ、あの娘が来たか?」

 

 

「時間的にもそうだな。」

 

 

時計は19:00過ぎ、海斗は火を弱火にし玄関に向かう。

 

 

 

 

 

「待たせてごめんな、咲雷君。はいっこれ。」

 

 

玄関の戸を開け、待っていた希は遅くなったのを謝罪して持ってきたタッパーを海斗に手渡す。

 

 

「ゆっくりでいいって送ったはずだが?これは・・・きんぴらごぼうか、いつもすまないな。」

 

 

いつものようになやり取りをして希は家に上がりリビングに向かう。

 

 

「よっ、お嬢ちゃん。さっきぶり!」

 

 

「どっ、どうも・・・。」

 

 

フレンドリーに接せられた希は少しどもってしまう。

 

 

「飯はもう少しでできるから待っててくれ。」

 

 

海斗はそう言ってキッチンに戻る。

 

 

「それじゃあ、時間潰しにガールズトークでもしようぜ。」

 

 

アレックスは隣にある椅子をバンバンッと叩く。・・・どうやら拒否権はないらしいと希は察した。

 

 

希は向かいの席に座りかけたところでアレックスがぼやく。

 

 

「・・・やっぱ、似てんな。」

 

 

「えっ?何か言いました?」

 

 

「ん?なんでもないさ。まずは自己紹介だな。初めまして。あいつ、咲雷海斗の母、Alexandra=Posada(アレクサンドラ=ポサダ)だ。気軽にアレックスって呼んでくれ。」

 

 

アレックスは誤魔化し自己紹介をして希にウインクする。

 

 

「おっ!お母さんなんですか!?」

 

 

姉だと思っていたらまさかの母親だったことに希は驚きを隠せず大きな声を出す。その刹那、冷静になりアレックスは海斗の彼女じゃないと安心し、自己紹介をする。

 

 

「はっ初めまして!咲雷くんと同じクラスの東條希です!こちらこそよろしくお願いします、アレックスさん。」

 

 

「はっはっは、いい反応してくれるな。こんなんでもまだまだ『お姉さん』で通せるもんなんだな。」

 

 

どうやらアレックスには希の考えがわかっていたらしく、心を読まれたような気がして希は少し気まずくなった。

 

 

「あっ、えっ・・・ごめんなさい。」

 

 

「謝ることじゃない。若く見られるってのは女にとって嬉しいことだしな。」

 

 

気にするな。と言わんばかりにケラケラ笑う。

 

 

「ところで希、あなたは何度もここに来たことあるようね。」

 

 

「どうしてですか?」

 

 

希は何故この様な質問をしてるのか理解できなかった。

 

 

「初めて入る家ってのは自然と何があるかをつい見回しちしまうからな。それに俺がいるとしても男の家に上がるのは少なからず抵抗するはず。だが希にはそれがなかった。」

 

 

希はアレックスが淡々と話す内容を黙って聞いていた。

 

 

「となると、考えられるのは、希は海斗の彼女なんじゃないか?ってな。」

 

 

「えっ!?いやっ!そんなんじゃないですっ!」

 

 

「んだよ~違うのかよ。貴女みたいなしっかりしてそうだし料理もできる。何よりあの海斗と一緒にいれるんだ。俺からすればそれだけで十分だ。」

 

 

「いえ、ウチは普通にしてるだけですよ。料理だって一人暮らしで自然と覚えただけやから。あと、あの咲雷君とってどういうことですか?」

 

 

希はアレックスの意味深な言葉に対し聞かずにはいられなかった。無論、海斗のことをもっと知りたいが為に・・・。

 

 

「んー、本来なら本人の口からがいいんだが、海斗が聞かれたくないことかもしれないぞ。それに聞いた所で嫌われる可能性だってあるんだ。・・・それでも聞くか?」

 

 

おちゃらけてたアレックスは真剣な眼差しで希に圧力をかけて言った。

 

 

「・・・嫌われるかもしれへんけど、それでもウチは咲雷君のことがもっと知りたいねん!もっと仲良くなりたいねん!」

 

 

希の本音を聞いたアレックスは希の眼を見て純粋な想いを読み取れた。

 

 

「希の覚悟はわかったわ。・・・でも海斗は話すのがめんどくさいとか理由をつけて言わないだけだから、聞かれたくないとか嫌われたりとかはないから安心しろ。」

 

 

先程までの真剣さがなくなりアレックスは再びケラケラ笑う。

 

 

「アレックスさん!意地悪が過ぎます!」

 

 

「あっはっはっはっ。悪い悪い。じゃあ話を戻すか。希はここに来る前はアメリカにいたことは聞いてるか?」

 

 

「はい。聞いてます。」

 

 

「それには理由があるんだ。4年前に大学を飛び級で卒業したんだ。海斗は俗に言う天才の分類だ。」

 

 

「とっ・・・飛び級っ!?」

 

 

あまりにもかけ離れている話に希は驚くが、この間の勉強会や定期試験、そして師走のテスト対策の内容を思い出し、だから海斗は天才なんだなあと納得した。

 

 

「そう。まあ天才の故に周りの人間と上手くいかず必要なこと以外は基本喋らなくなってな。ならいっそのこと環境を変える為にアメリカへ行かせたってわけ。」

 

 

アレックスは懐かしく思い感傷に浸り笑う。

 

 

「そうだったんですね・・・。」

 

 

渇いた返事をした希は、海斗が自分よりも辛い環境で生活をしてきたと知り、海斗のことを何も知らなすぎると感じた。

 

 

「だが、海斗がここまで他愛のない話すようになったのは、ここに来て希達に出会えたからだって思ってんだ。」

 

 

先程まで笑っていたアレックスが急に真剣な顔をする。

 

 

「ありがとう。海斗の友達になってくれて。母親としてお礼を言わせてくれ。」

 

 

「いえっ!ウチは大したことしてないです。寧ろ助けてもらったことが多くて。」

 

 

「謙遜すんなって。俺からしてみればこんなに早く変化したのは予想外なんだ。それだけでも大したことなんだよ。じゃあ今度は希との馴れ初めを聞かせてくれねえか?」

 

 

「はい。いいですよ。」

 

 

希は恥ずかしながら海斗と出会ってから今に至るまでのことを話した。学校のこと、助けてもらったこと、勉強会したこと、まだ短い期間だが希にとってかけがえのない思い出ででもあった。

 

 

それはアレックスにとっても新鮮で、楽しそうに話す希の姿を見て本当に海斗に好意を持っているのを確信し、最初に茶化したことが悪かったなと心の中で反省していた。

 

 

 

 

 

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