Fate/princess knight   作:ジャックハルトル

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やっとまともなサーヴァント戦です。


第3話

Fate/Princess Knighit 5話

 

 

 

チュンチュン、チュンチュン

 

「…………」

 

「う〜ん……アルトリア〜…へへっ」

 

隣で寝ている玲は下着のみである、そして自分は全裸である…

 

「うぅっ…まさか第二のモードレッドを…しかも今度は私が授かりそうになるとは……」

 

女同士なのであり得ないのだが、アルトリアが『子供の名前はモードブルー?』とか訳の分からん事をブツブツ言っていると隣で寝ている旦那(女)が目を覚ました。

 

「おふぁよぉ〜……よく眠れたよ」

 

「お、おはようございますレイ」

 

あれ?寝起きのレイが襲ってこない?あっ、そうか…昨日のは夢だっ…

 

「昨日は…良かったよ」

 

夢じゃなかったのか…

 

「と、取り敢えず身嗜みを整えたら朝食でも食べましょう」

 

「そうだね、今日は行きたい所もあるし」

 

「行きたい所?」

 

「それはお楽しみ」

 

二人はいそいそとベッドから降りて身支度を始めた、取り敢えず服を着て、事後処理をして、顔を洗い、食卓へ。

 

「あ、そうだアルトリア?」

 

「はい、なんですか?(もきゅもきゅ)」

 

「もうハフペロしないの?」

 

「あ、あれは舌を噛んだだけなのでもうしません!」

 

少し赤くなって怒るアルトリアに「あぁ〜やっぱりアルトリアは可愛いなぁ…」と言う玲はきっと、何処か壊れているのだろう…とアルトリアは納得する事にした。

 

「あぁそうだ、今日はちょっと仕事に行くから付き合ってもらってもいい?」

 

「仕事…ですか?」

 

「うん、まぁ仕事とは言っても街の掲示板に貼られてるクエストをこなすだけなんだけどね」

 

「なるほど、人助けと資金集めが同時に行えると言うことですね。

なら私もお手伝いします、食事が終わり次第出かけましょう。

先程言っていた付いてきてほしい、とはこの事だったのですか?」

 

「よく分かったね、その通りだよ」

 

「では、英気を養う為にも沢山食べましょう!」

 

「………ソウダネ」

 

アルトリアの口に吸い込まれていく無数の食材達…本来ならもう暫くもつだけの蓄えがあったはずなのに……

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

街の中心部に足を運んだ二人は、人だかりと活気に包まれていた。

 

「おぉ…すごい人ですね」

 

「ふふっ、私も初めて見たときは驚いたよ」

 

掲示板は街のほぼ中央に設置してある。

これは何処の街も同じで、本来ならゲームを始めたばかりの人でも迷わず掲示板に辿り着けるように、という制作側の配慮だった。

本来なら数百、数千万人の実力やレベルが違うプレイヤーが同時に見るものなので、アニメなのでよく見る木の板と紙で作られているのなら、それだけで途方のないサイズになってしまう。

それを解消しているのがこの、通称【クエストボード】と呼ばれるクリスタルだった。

 

「これは与えられた知識にありましたね。

これですか?」

 

「そうだね、これに触るとその人の実力に応じて最適なクエストを幾つかピックアップしてくれるの、試しに私がやってみるよ」

 

玲が結晶に触れてみると…

 

ーーーウォン……

 

結晶からは映像のような物が出てきたので二人して覗き込んでみると。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

アークデーモンを討伐せよ。

 

☆☆☆☆☆☆☆

赤竜の幼生を確保せよ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

近海の主を討伐せよ。

 

「今は依頼も少ないみたいだね…まぁ、こんな感じでクエストを教えてくれるんだ」

 

「この星マークはなんなのですか?」

 

「あぁ、これはそのクエストの難易度を表していると同時に、その人の強さの指標にもなってるね。

難易度は最大が11、最小が1って感じだね。

とは言っても11のクエストは、ある条件が揃った時に一定の人数のみが選抜されて、その人達しか受ける事が出来ないらしいんだ」

 

「星8って事はレイはそのこの世界での上級プレイヤーだったのですね…素晴らしいです」

 

「……昔は優衣と後二人いたんだけどね…その時は星10クエストまで出たくらいなんだよ」

 

「なるほど、レイが筆頭に立ち皆を率いて戦う姿はさぞ美しかったのでしょうね」

 

「そんな事ないよ、リーダーは私じゃなかったしね」

 

「ほう…レイやユイを率いるとなれば相当の実力者だとお見受けします、いつか会ってみたいものです」

 

アルトリアの思いは本物なのだろうが先程からクエストボードをチラチラ見ている…きっと自分はどの程度のクエストに挑戦出来るのかを早く知りたいのだろう。

 

「ふふふ、アルトリアもクエストボードに触ってみなよ」

 

「は、はい…では……」

 

恐る恐るクエストボードに触れるとまた、ウォン…という音がしてアルトリアに最適なクエストが表示された。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

インプの洞窟を攻略せよ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

魔星獣を同時に30体討伐せよ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

洞窟の幽霊を討伐せよ。

 

「一人の実力で星10に行けるなんて、スゴイじゃないか!」

 

「アバター化した事で多少のステータスダウンはしていますが生前、戦場で培ったものですからね。

機械的な評価ではありますが、嬉しいものです」

 

誇らしげな顔をしているアルトリアを見ていると、本当にあのアーサー王なんだと思わされる。

それはそれとして…

 

「幽霊の討伐?こんなクエスト見た事ないよ…なんなんだろう」

 

「一度受けてみますか?」

 

「どうだろうね…アルトリア一人で行けるクエストだから私がいれば多少は楽になると思うけど…」

 

「じゃあ受諾でいいですね?」

 

幽霊…そういえば以前、友人から聞いたことがあるな……何か関係あるのか?

と少し思うところはあるのだが、星10の報酬は9に比べて一気に難易度が上がる事もあり相当な報奨金が貰える…金の魔力と家計簿がヤバい(主に同居人の所為) という事もあり素直に協力する事にした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ここが例の洞窟か…確かに怪しい雰囲気はあるね…」

 

「そうですね、ここからは気を引き締めて行きましょう」

 

洞窟の中には光る石があり、それのお陰で暗闇の中を歩く必要は無さそうだ。

 

『ガルルルル!」

 

「せいっ!」

 

『グギャァァァア!!』

 

襲ってくるモンスターを適当に討伐するアルトリアと玲。

雑魚モンスターが何体集まったところで雑魚モンスター程度では傷すらつけられないだろう。

 

「流石アルトリア、この程度のモンスターは訳ないね」

 

「レイも、さすがですね」

 

といった感じで道行く魔物もバッタバタとなぎ倒して行った。

この程度のレベルなら簡単にクリア出来るかと思っていたのだが…

 

「待たれよ、御婦人」

 

「「!?」」

 

突然後ろから声をかけられた。

別に普段なら驚く事でも無いのだが、星10の高レベルなクエストであるため、いつ何が起こっても対処できるように警戒を緩めていなかった二人に気付かれず、男は突然現れた。

 

「何者ですか!?」

 

「何処にいるの!?」

 

「いやはや、この様な陰鬱とした場所には似つかわしくない花が二輪…如何様でここへ参った?」

 

長い藍色の髪をポニーに纏め、侍の様な格好をした男がスゥ…っと現れた。

まるで、幽霊のように。

 

「…そんな女性に向けちゃいけない空気を纏ってちゃ折角の口説き文句も台無しだよ?」

 

「ふっ…お主こそ、強がってはいるが足が震えているぞ?武者震い……という訳ではなさそうだが?」

 

その男の言う通り、玲の足は剣気に気圧されてガタガタと震えていた。

以前、あの黒騎士から感じられた恐怖に近い物がこの男にはある、ということは…

 

「アルトリア…もしかしたらこの人って…」

 

「えぇ、そうです、彼は…」

 

「おぉ、拙者とした事が名乗っておらなんだ…いや申し訳ない……」

 

男は背中から身の丈はあろう長い刀を取り出した。

 

「ーーーアサシンのサーヴァント、真名を

『佐々木 小次郎』と申す…そこの女子はセイバーだな?一手仕合てもらえまいだろうか?」

 

佐々木 小次郎…存在していたのかがハッキリとしていない日本の大剣豪、その剣は

飛行中の燕をも切り捨てると言い伝えが残っている程の人物である。

 

「いいでしょう…セイバーのサーヴァント、『アルトリア・ペンドラゴン』その勝負、受けて立ちます」

 

対するはアルトリアは、聖剣と耳にすれば一番最初に誰もが出すであろう、エクスカリバーの担い手。

 

「では参ります…」

 

「いざ尋常に……」

 

「「勝負!!」」

 

とは言ったものの、睨み合いを続ける侍と騎士…本来の歴史ならばあり得ない組み合わせのカード、アルトリアには申し訳ないのだが玲は少しばかり興奮してしまっていた。

 

「いつまでも睨み合っていては仕方ありませんね…行きます!」

 

駆け出し、剣を振るってきたアルトリアの攻撃を軽くいなす小次郎。

 

西洋の剣は相手を重量を生かして『叩き』切る為に鍛えられたもの。

日本独自の剣である刀は、その鋭さによって『斬り裂く』事を重点において作られている。

普通ならばその特性上、刀で受け止め続けては耐久力の低い刀が先に参っていまい折れてしまうのだが、小次郎の技巧によってその耐久力の差は埋められてしまう。

 

「ふむ…流石はセイバーと言ったところか、よもや女の身にしてここまでの剣技を身に付けるとは……」

 

「アサシンの身にしてここまでの剣技を身に付けている貴方には言われたくはありませんねっ!」

 

アルトリアは反撃を許さないラッシュで小次郎を攻め立てる。

だが、そのどれもがことごとくいなされ続ける。

 

「いや何、拙者など我武者羅に剣を振るい続けた只の凡夫に過ぎんよ」

 

小次郎自身は自分を『凡夫』と言っているが、下手をすればセイバーとして召喚されたアルトリアよりも剣の腕前では上なのかもしれない、そんな焦りが一瞬だけアルトリアの攻撃を鈍らせてしまった。

 

「しまっ………!」

 

「隙を見せたなセイバー……秘剣、燕返し!」

 

「ーーーーっ!?」

 

リィィィィン…という甲高い音が洞窟内に鳴り響く。

小次郎の放ったほぼ同時の二斬撃をガードでは間に合わないと直感的に判断したアルトリアは咄嗟に後ろに飛び跳ねる事でなんとか躱すことに成功した。

 

「ふむ…やはりこの様な洞窟内では足場が悪い。

いやしかし、流石は聖剣の担い手といったところか、拙者の見てきた世界が余程小さかったと見える」

 

離れたところから見ている玲には何が起こったのかが良く分からなかった。

アルトリアが剣を振った瞬間に小次郎の剣が消えた……その後アルトリアが大きくバックステップしたようにしかみえなかった。

それはアストルムで名実共にレベルアップした玲にも見えない速度での攻防。

 

これが常人には介入できない超人同士の殺し合いだった。

 

「常人には見切れない程の2斬撃ですか…まさに魔剣、といったところですね…」

 

「いやはや、足場が不安定で完全な燕返しを披露する事が出来なんだ、決して手心を加えた訳ではない、許せ」

 

「アレで全力ではないだと!?……ならば次はこちらがその涼し気な顔を歪ませて見せましょう!」

 

「はっ!」

 

下段、中段、斬り上げの三段攻撃。

だが小次郎は紙一重の所でスルスルと避けている。

アルトリアはそれに続く形で怒涛のラッシュを続けるも、小次郎に当たる気配が全く無い…

 

「まさに妖精の演舞…見惚れている内に斬られてみるのも乙かもしれんなぁ…」

「ならば早々に切られて下さい!」

 

「……む?徐々に威力が増しているようだな」

 

アルトリアは自身のスキル、魔力解放を用い

徐々にだが攻撃力を上げていた。

それは着実に小次郎との差を埋めていった。

 

「ーーーーぬぅっ!凄まじく重い斬撃よのぅ」

 

重く鋭い剣戟をなんとかいなしてやり過ごしてはいるが小次郎の刀は元々受ける為に作られたものではないので剣と腕、両方に衝撃が伝わる。

 

その攻防を見た玲は好機と悟り、援護しようと魔力をチャージする。

それに気が付いたアルトリアは、玲を止めるべく叫んだ。

 

「レイ!これは騎士同士の戦いですっ、手出し無用!!」

 

「相手は騎士じゃないからセーフ!

【ツイスト・スライサー】!」

 

「レイ!?」

 

アルトリアの懇願虚しく小次郎に向かっていく風の刃…しかし、その風が小次郎に当たる事は無かった。

 

「すまんな…宮子」

 

「仕方ないの〜、やってやるの〜」

 

どこからともなく聞こえてきた声と共に黒紫の魔力が風の刃にぶつかり相殺した。

 

「相殺…された?」

 

玲は自分がかなりの上級プレイヤーだと自負しているので、出処の分からない謎の攻撃に相殺されたのが少なからずショックだった。

 

小次郎も一旦仕切り直しといったところか、距離を離してこちらを牽制し続けている。

あと、アルトリアが玲を睨んできてる。

 

「むー……」

 

「ご、ごめんってアルトリア」

 

「レイが横槍入れた……」

 

「ホンットにごめん…そうだっ!何か一つだけ言う事聞いてあげるよ!」

 

「じゃあ今日の夜は豪勢な食事を所望します。あと、今後はセクハラ禁止です」

 

「前半はわかったよ…はぁ、食費が……。

でも後半は断る、一つだけだし」

 

え〜!と言いながらプクーと膨らませたアルトリアの頬は、さながら普段の大食も相まってたこ焼きにしか見えて仕方なかった。

そしてそんなやり取りはあちらでも…

 

「む〜……」

 

「す、すまぬ宮子」

 

「プリンくれなきゃ許さないの〜」

 

「こ、心得た…然る後、道具屋で購入して来よう。

何、宮子の為だ…拙者にとっては造作もない事よ」

 

「むしろ、お使いすら出来なかったら小次郎はただ言葉遣いが侍っぽいだけの痛いサーヴァントなの〜」

 

「ぐふぅ…心に響く…」

 

あちらはあちらで、突然出てきた謎の幼女に侍がヘコヘコ頭を下げている姿が非常にシュールで可哀想だった…

白い髪をツーサイドアップに纏めた少女は手が出ていない…所謂、萌え袖というものをブンブンと振りながら小次郎を怒鳴りつけていた……見ていて、やはり可哀想だった。

 

「まったく、レイはマスターとしては優秀なのにガミガミ!ガミガミ!」

 

「ちらっ……(助けてよ!戦闘再開すれば止まるでしょ!佐々木小次郎なんでしょ!?)」

 

「小次郎は門番すらマトモに出来ないダメサーヴァントなの〜」

 

「ちらっ(これは…拙者に惚れたな?敵として相見えていなければ……)」

 

お互いに全く通じていないアイコンタクトを続ける小次郎と玲、二人とも怒られすぎてショボンとして来たのか剣を離して正座で怒られている。

 

「レイ!聞いているのですか!?」

 

「……ご、ごめ……さいっ!ぐすっ」

 

「レイ!?」

 

「ごめんねアルトリアーーー!そんなに怒ると思ってなかったんだーー!うわぁぁぁぁぁぁん!!」

 

「あ、あわわわわわっ!……こ、こちらこそすいませんでしたーー!!もうちょっと洒落として受け取るものだと思ってましたーー!!」

 

「ぐすっ……許して、くれる?」

 

「 し、仕方ないですね……」

 

「アルトリア…」ガシッ!

 

「レイ…」ガシッ!

 

抱き合う二人、アルトリアは昨晩のトラウマを克服したのか、自らも玲の背中に手を回して熱い抱擁を交わしている。

そんな二人をジーー…っと羨ましそうに見ている小次郎が行動にでた。

尚、戦闘行為ではない。

 

「宮子」

 

「なんなの〜、カス侍〜」

 

「……せ、拙者の背中にプリンがあるのだが前から背中に手を回して取ってもらえるか?」

 

「……背中にプリンがはっつく訳ねぇだろ、寝言は英霊の座に戻ってからほざけよ……なの〜」

 

「…………侍たるもの涙を流しては…」

 

宮子のあまりにも辛辣過ぎる言葉に心がへし折れた小次郎、それを哀れに思ったのか、玲がポンっと肩を叩きながらフォローを入れた。

 

「大丈夫だよ、君の背中にはプリンがくっ付いてるよ」

 

「小次郎の中だけではな、なの〜」

 

「…………」

 

予想だにしないコンボ攻撃を喰らった小次郎は先の戦闘でアルトリアよりも優位に立っていたのかが不思議に思うくらい真っ白に燃え尽きていた。

 

「ですが玲、こうは考えられないでしょうか……背中にくっ付いてるのではなく、背中から生えてくるのだと」

 

「お、お前のサーヴァントも中々のものなの〜…」

 

「アルトリア……」

 

むふんっと得意げになって胸を張るアルトリアが印象的だった…

 

 




戦闘描写苦手です…じゃあなんでfate書いたんだよw
って言われると、ノリで…としか答えられませんね( ゚д゚)

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