やはり俺の福引旅行はまちがっている。 特別編 作:EPIPHANEIA
いつも、私の拙文を閲覧してくれる皆様、ありがとうございます。
今回は陽乃さんの誕生日記念SSを書いてみました。
宜しかったら、是非閲覧してください。
では、本編どうぞ。
陽乃「へぇー、なかなか雰囲気のある店じゃない。」
八幡「そうだろ?俺の親父とお袋が出会った店なんだ、ここ。ぼっちになる前の小さい頃、よく親父やお袋や小町と一緒に来た事もあるんだ。」
今日は私の誕生日。私は春の北海道旅行で恋人になった八幡と2人きりで誕生日を祝う事にした。
陽乃「それにしても、八幡、よくこんなところに連れてきたくれたね。お金、大丈夫なの?」
八幡「陽乃と付き合いはじめてから、初めての誕生日だしな。特別な場所に行こうかなって思って。その為にバイト頑張ったから。」
陽乃「それは嬉しいんだけど、その為に大学受験落ちて浪人なんていうのは無しだよ。そんなんじゃ、父さんや母さんに門前払いされるからね。」
八幡「分かってるって。陽乃に恥ずかしい思いをさせる事だけは、絶対にしねぇよ。それで陽乃と別れるなんて、俺だって嫌だからな。」
陽乃「そ、そう。ありがとう……。私だって、八幡と同じ気持ちだよ……///」
八幡の言葉に、私は顔を赤くする。八幡がそんな事を言ってくれるなんて、出逢った頃には夢にも思わなかった。
八幡が私の事を『陽乃』と呼び捨てするようになったり、タメ口で話すようになったのも、付き合い始めた時に私がこう言ったのだ。
陽乃『せっかく恋人同士になったんだから、私の事を『陽乃』って呼んでよ。私も『比企谷君』じゃなくて『八幡』って呼ぶから。それと敬語もダメね。八幡と対等な関係でいたいから。』
それを言って以来、八幡はそうするようになった。最初の1か月はぎこちなかったけど、今ではそれが当たり前のようになったのが、凄く嬉しい。
知らない人からみたら、生意気なガキに思われるかもしれない。だけど、八幡の事をそんな風に思っていないし、周りにどう思われようが気にもしていない。だって、私が望んでいた事だから。
八幡「よし、店に入ろうぜ。陽乃。」ギユッ
陽乃「う、うん。」ドキッ
そうして、八幡は私の手を握り、店の中へと連れていった。まさか、手を握りながらエスコートしてくれるとは思わなかったので、思わず顔が赤くなる。
「おう、いらっしゃい。……ん?何処かで見たような……?」
八幡「お久しぶりです、親父さん。八幡ですよ、比企谷家の。」
「へっ?比企谷って……?お前、ハチか!?随分、大きくなったじゃねぇか!久しぶりだな!」
八幡「ご無沙汰しています。まさか、覚えていてくれたなんて、思わなかったですよ。」
「当たり前だろ!お前の父ちゃんと母ちゃんには、随分世話になってるからな。今でも、たまに仕事帰りに飲みに来てるぜ。」
八幡「えっ?そうなんですか?親父とお袋め……!言ってくれれば、俺と小町も来たのに……!」
「まあ、そう言うなよ、ハチ。……ん?お前の隣にいるの、もしかして小町ちゃんか?」
八幡「ああ、似てるけど違いますよ。俺の恋人です。」
陽乃「はじめまして。八幡とお付き合いさせて頂いてる、雪ノ下陽乃です。」
八幡は店に入るやいなや、店の店主らしき人と凄く懐かしげに話していた。そうして、店主は私を小町ちゃんと見間違い、八幡が自分の恋人だと紹介してくれて、私も挨拶をする。
「へっ?雪ノ下って……?まさか、あの親父と母ちゃんの娘さんか!?」
陽乃「えっ?父と母とお知り合いなんですか?」
「知ってるも何も、あの親父もウチの店にたまに飲みに来るんだよ。ごく稀に、あの綺麗な母ちゃん連れてきたりもするしな。アイツらもこの店で出会って付き合ったんだよ。ハチの父ちゃんと母ちゃんみたいにな。」
八幡・陽乃『…………えええええええっ!?』
店主の話に、私と八幡は驚きを隠せなかった。知らなかったとはいえ、まさか私の両親が出会った店だったなんて……。
「寄りによって、こんな店で出会って結婚した奴等の子供同士が付き合って、店に来るなんてな……。人生ってのは、何があるかわかんねぇぜ。」
八幡「ほ、本当ですね……。」
陽乃「世間は狭いって言うけど、こんな話初めて聞いたかも……。」
「まあ、何だ。せっかくこんな店に来てくれたから、立って話してるのもなんだし、なんか食ってけよ。その為に来たんだろ。」
八幡「あっ、そうですね。それじゃ、お邪魔します。」
そうして、私達はカウンターの席に座って、私の2人きりの誕生日パーティを始めたのであった。
~1時間後~
陽乃「う~ん。八幡、まさか飲んでなんかないよね~?ダメだよ~、私みたいに飲んでちゃ。」
八幡「いや、飲むわけねぇだろ……。すっかり、でき上がってんじゃねぇか、陽乃……。」
1時間経って、私はすっかり酔っぱらっていた。八幡が店主に、私の誕生日だって言ったところ、店主が普段店では出さない秘蔵の日本酒を出してきたのだ。
店主曰く、その日本酒は4合瓶しかなく、安くても7千円ぐらいするらしくて、今日出したのは、その倍以上の値段の物だった。
これには、流石の私も遠慮しようとしたのだが、店主が『いいんだよ。陽ちゃんの親父と母ちゃんも、この酒を一緒に飲んで付き合ったようなもんだから。』と、まさかの両親のエピソードを聞かされたので、私はその酒を1人で飲んでいたのだ。
それにしても、いつの間にか、店主から『陽ちゃん』って言われてるんですけど……。まあ、悪い気はしないかな。
陽乃「……ねぇ、八幡。1つ聞いていい?」
酒の力を借りてというのも私らしくないが、私は勇気を振り絞って、八幡に尋ねてみる。ずっと、聞きたくても聞けなかった事を。
八幡「あん?どうしたんだよ?陽乃。」
陽乃「……どうして、あの時、私を選んでくれたの?私に『陽乃さん、貴女の事が好きです。』って言ってくれたの?」
八幡「……っ!」
そう、あの北海道旅行の最終日、私だけでなく、一緒に旅行に行った全員が八幡に告白した。
雪乃ちゃん、ガハマちゃん、いろはちゃん、めぐり、沙希ちゃん、小町ちゃん、留美ちゃん、そして、私。
みんな、私と同じぐらい、もしかしたら、私よりも八幡の事を愛してたかもしれない。
しかし、八幡は私を選んでくれた。その時、私は生まれて初めて、本気で涙を流していた。本気で笑顔をみせていた。
これまでの仮面を被った偽りの人生を捨てて、本当の意味での私の人生を生きていこうとまで思えたぐらいだった。
陽乃「あの言葉が、私を変えたんだよ。八幡の言う強化外骨格を捨てて、本当の意味で私の人生を生きていこうとまで思えたんだよ。」
八幡「…………」
陽乃「ねぇ、教えて。本当は雪乃ちゃんやガハマちゃん達の方が……」
八幡「陽乃、俺からも1つ聞いていいか?」
陽乃「うん?何?」
八幡「……俺が陽乃を好きになった事に、理由なんているのか?」
陽乃「えっ……?」
八幡「俺にとっての『本物』―――俺にとっての最愛の人と思った人が陽乃だった。俺にはそれ以上の理由なんてないよ。」
陽乃「八幡……。」ウルウル
本当、私より3つも年下の癖に、なんて心が暖かくなる事を言ってくれるんだろう。ヤバい……あの時みたいに泣きそうになるんだけど……。
八幡「あっ、そうだった。そう言えば、陽乃にまだ渡してなかったよな……。」
八幡がその時、自分の鞄の中身を手探りで探しながら、『ある物』を取り出す。
陽乃「えっ?これって、まさか……!?」
八幡「……誕生日プレゼントだよ。前にデートした時、欲しいって言ってたじゃねぇか。このペアリング。」
『ある物』――――それは、私が八幡とのデートの時に、欲しいと言っていたペアリングの入っていたケースだった。
陽乃「あっ……!!」
そのケースを開けると、ペアリングに刻まれた文字を見て、
八幡「今更言うのもなんだけど、誕生日おめでとう、俺の最愛の人、陽乃。」
――――『MY BELOVED HARUNO』――――
八幡は、刻まれた文字を英訳した言葉で、私の誕生日をお祝いしてくれた。
陽乃「ううう……!!」ポロポロ
もう、溢れる涙が止まらない。それと同時に、私の心から溢れる喜びも止まらない。
八幡「陽乃……。」ギュッ
陽乃「っ……!!」
私の名前を呼びながら、抱きしめてくれる八幡。泣き笑いをしている私の微笑みも涙も、八幡は受け止めてくれた。
八幡「これからも、今以上、愛してる……。」
陽乃「うん……!!」ギュッ
私は、これまでにないぐらい、八幡の事を強く抱きしめた。それは、紛れもない『本物』の想いだったから。
仮面のない『本物』の私らしく生きられるのも、貴方がそばにいてくれたから。
夢から覚めた(かめんのない)私は、これからも、そして今以上に、夢から覚ましてくれた(かめんをとってくれた)貴方を愛してる。
それが、私の『本物』だよ、八幡……。
~『BELOVED』 おしまい~
以上、陽乃さん誕生日SSでした。いかがだったでしょうか?
このSSを簡単に説明しますと、
・『私の拙作『やはり俺の福引旅行はまちがっている。』の陽乃ENDのアフターストーリー』
・陽乃視点のモノローグ
・タイトルに関しましては、とある有名なバンドの歌のタイトルを使いました。また、八幡と陽乃のセリフやモノローグにも、歌詞の一部を使いました。
……という感じです。
ガハマさんの時に比べて、執筆時間があまりなかったので(仕事やプライベートの用事が多かったのです。ごめんなさい(泣))、予定していた、他のヒロイン達のシーンもカットしまいました。(泣)
この後書きまでお付き合い頂いて、誠にありがとうございました。
引続き、『やはり俺の福引旅行はまちがっている。』の方も、宜しくお願い申し上げます。
では、最後に……
はるのん、ハッピーバースデー!