黒円卓第一位の武者修行   作:刹那

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お待たせしました。続きです。


第十幕

一方、赤屍とラインハルトは....

 

「クス.....」

「ふふ....」

 

ラインハルトの周りに無数の赤屍が囲み、襲いかかっていた。恐らく総軍を突撃させ、その時に出血した血液から具現化したのだろう。そう思ったラインハルトは、聖槍でなぎ払いながら言う。

 

「....人数で勝負ときたか、面白い。が、甘いな。総軍を凌駕する将がいる時点で兵法など意味はない。」

「ほう、これはこれは......仮にもナチスの中将だったお方のセリフとは思えないですね。」

「ふっ、ならば見るがいい、盤を覆す様を。」

 

すると黄金聖槍に大量の熱気が帯び始めた。熱の温度は間違いなく溶岩を上回るほどの温度だ。その紅蓮の爆炎が爆発しようとしている。そして、顔の半分がやけどを負っている女丈夫とラインハルトの姿が一瞬重なる。

 

「我は輝きに焼かれる者。届かぬ星を追い求める者

届かぬ故に其は尊く、尊いが故に離れたくない

追おう、追い続けよう何処までも。我は御身の胸で焼かれたい―逃げ場無き焔の世界

この荘厳なる者を燃やし尽くす――

焦熱世界・激痛の剣

(Muspellzheimr Laevateinn)」

 

瞬間、焔が剣となり、ラインハルトと赤屍を結ぶ空間以外完全に切り離された。これはさながらトンネルを思わせる空間.....いや、これは砲身内部だろう。逃げ場などどこにもない、誰であろうと抜け出すことなどできない。天井はあるようでどこまでも天空へと伸びている。そしてこの砲身内部全ての空間を焼き尽くす....まさに必中世界。そう、絶対命中とはそもそも逃げ場のない世界のことを言う。

 

「ぐぅ.....!」

 

爆炎が永劫広がり続けるかのように、砲身空間内全てを焼いてる内に、赤屍の分身全てが消滅していた。そして本体と思われる赤屍一人がこの世界の中に残っていた。流石の赤屍も、傷を負った状態でこんな爆炎を喰らったからか、膝をついて倒れかけていた。しかし

 

「っ!」

「ほう、まだ反撃をする力を残していたか。」

 

赤屍の赤い剣とラインハルトの黄金聖槍がぶつかり合う。互いに致死レベルの威力だ。

 

「クス、こんなに楽しい死合をそう簡単に終わらせるわけには行きませんからね.....」

「そうこなくては。」

 

ラインハルトは再び聖槍を構えた。すると今度は、感情を持たない、鋼鉄を思わす黒いオーラが帯びてくる。

 

「我は終焉を望む者。死の極点を目指すもの

唯一無二の終わりこそを求めるゆえに、鋼の求道に曇りなし――幕引きの鉄拳

砕け散るがいい――

人世界・終焉変生

(Midgardr Volsunga Saga)」

「......!」

 

聖槍から黒騎士は飛びてて、即死の鉄拳を振りかざして赤屍へと迫った。誕生の歴史を砕く鉄拳、これを喰らった間違いなく赤屍も致命傷どころじゃ済まないであろう。

 

 

「どうした、ここで落ちるか?卿もそろそろ限界ときたか、残念だ。卿とはもっとたか見えと目指せれると思ったのだがな。まあそれは贅沢の言い過ぎか....」

 

 

ラインハルトが少し目を沈めながらそう言った。だがラインハルトは気づかない、自身にもピンチが訪れていることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、蛮と蓮は。

 

「血、血、血、血が欲しい。ギロチンに注ごう、飲み物を。ギロチンの渇きを癒すため......欲しいものは、血、血、血.....」

「我こそは蛇遣い座(アスクレピオス)の使者なり… その呪わしき命運受け入れし者にのみ賜うべきは 毒蛇の牙に秘められし高き天と深き地獄の力なり… されば愚かなる者共に鉄槌を打ち下ろせ 荒ぶる神魔の怒りを以て。 」

「罪姫・正義の柱(マルグリッド・ボワ・ジュスティス) 」

「蛇殺(スネークジェノサイド) 」

 

今まで込めたことのないほどの威力と速度を内包したギロチンの斬撃と、左手から龍のような蛇神のオーラを纏った攻撃がぶつかり合う。まるで蛇と蛇が絡み合うように。

 

「ぬおぉぉぉぉぉ!!」

「がああぁぁぁぁぁ!!」

 

どちらも実力は互角。蛮は全ての攻撃に無数のオプションを組み込みながら攻撃を繰り出し、対して蓮は無限加速をしながら、その全てをよけた。そして時々ギロチンの一閃を繰り出す。連続攻撃はできなくとも、首に斬撃が当たれば蛮であろうとも斬首されて死ぬ。故に蛮も死力振り絞ってでも直撃は避けなければならない。

 

「ぐっ、はは....てめーのギロチンのプレッシャー半端じゃねえなおい。あのおっぱいのでけェ姉ちゃんのものとは思えねえな。」

「がっ、ふざけんな....俺の女をそんな目で見てんじゃねえよ殺すぞ。」

 

ギロチンが頬をかすり、悪魔の爪が右膝の一部を奪い取る。致命傷は互いになし。だが、実は蛮の方がやや不利に近かった。

 

(ちっ、一瞬でも油断したら終わるな。なんせあの兄ちゃんから流れ出てる時空間停止の波が半端じゃねえ。兄ちゃんがその気になれば強引に止められるんじゃねえか?そう思えるくらいな。)

 

流出から流れ出る法則は、術者自体が死なない限りは無限に流れ出てる。だから蛮は自身の殺意を極限まで出して蓮の時空間停止の波を弾き飛ばしている。

 

「ちっ、このままじゃ拉致があかねえ....止まれェェ!!」

「っ!」

 

蓮が叫ぶと同時に、蓮以外の全てが止まった。蓮は無理矢理渇望力を高め、停止の波動をつよめたのだ。そして蓮を見上げる蛮は彫刻のように冷結し......

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

その隙を逃さず、蓮は蛮の首目掛けて疾走した。これで終わりだと、この一撃に魂かけてギロチンを振り上げる。

 

ザシュッ!

 

蛮の首が跳ねた。斬首されてしまった。

 

「はぁ.....はぁ.....やったぞ、マリィ。」

 

そして蓮は息を切らしながら、膝をついた。愛しい女神の名を呟きながら、顔を上げた。その時だった。

 

『やあ、私がわかるかい?藤井蓮くん?』

「え?」

 

蓮が見上げる先には、顔が見えない、だがどこか見覚えのある男がいた。そして、自分の身体が幼い幼児の体になっていた。

 

「私は■■■■だよ。」

 

名前は聞こえなかった。だがとてつもなく、聞きたくない名前だったような気がする。

 

「ふふ、早速だが■■■■■■■■■」

 

ここから先は聞こえない。だが、そのセリフが終わると同時に、自分の体が血に濡れた。

 

「ふふふ、はははははははははは!!!」

(そうだ、こいつのせいで僕は刃物がキライになったんだ.....こいつのせいで僕はボクハボクハボクハオレハオレハオレハオレハ.....)

 

男が狂うように笑う。そう、この男は蓮が刃物嫌いになった原因だった。蓮の体は震え上がっていた。顔は青白くなって唇が乾いていた。その時だった。

 

『目ぇ覚ませ蓮、そいつは幻だ!』

「っ!?」

 

蓮の背後から声が響きわたった。何か人を食ったかのような飄々とした口調の男、遊佐司狼の声が。

 

「司狼.....」

『この幻覚は野郎の魔眼の力だ。お前はあの野郎に一杯食わされたんだよ。時を止める前に、あいつの目を合わせてしまったろ?あの時からお前は眠らされたんだ。』

「そうだったのか.....」

 

まんまとやられた。蓮は悔しそうに口を噛み締めた。それを見た司狼はニッと笑いながら言った。

 

「ま、喜べよ蓮。綺麗なお姉さんと頑固女の二人がお前を手伝ってくれるらしいぜ?後はそいつらに任せとけよ。」

「え?司狼、お前は?」

「俺か?お前をこっから引っ張り上げてやるよ、俺はそこまでだな。悪いな蓮、助太刀してやりたいのは山々だけどよ、俺の渇望はお前とマリィちゃんにも影響するかもしれないからよ。後はお前らに任せるわ。だから勝てよ、蓮!」

 

そう言われて、蓮は司狼に背中を叩かれた。それと同時に視界が晴れ、元の世界へと戻った。

 

「ふーん、結構面倒見のいいダチがいたんだな。」

 

その様子を、タバコを吸いながら、少し面白そうな感じて見ていた蛮がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、メルクリウスは.....

 

「このようにして星に行く

Sic itur ad astra.

 

(これは)厳しい法であるが、それでも法である(だから従え)

Dura lex sed lex.」

「消えろォォォォォ!!」

 

グレート・アトラクターと、無数のプラズマ弾がぶつかり合って、空間を潰し合う。おそらく一番規模の広い戦いが、行われている。

 

「そうだ、君は全てを消すためだけに存在している。世界の創造主?王?何を戯けたことを.....君のようなものが世界を創るなんて概念を持ち合わせてると?笑止な。」

「黙れ。」

 

メルクリウスの口を黙らせるために雷帝はプラズマ弾を直接メルクリウスに当てた。だが少しすれ傷ができた程度の結果した残せなかった。

 

「君はハイドリヒと同じように神とは対極の存在なのだよ。決して世界を掌握なんてできぬ。故に消えよ、女神の障害となるものは私が潰すのが義務だからな。」

「ならばお前も消えろ」

 

メルクリウスが占星術を行おうとした刹那、雷帝はメルクリウスの首を捕まえ、電熱を強化して、蒸発させようとする。だが.....

 

「神を知る者は、神を敬う

Deum colit qui novit.

黄金の中庸

Aurea mediocritas.」

 

グランドクロス。だがメルクリウスの行なったそれは、多次元平行宇宙にまで干渉し、平行宇宙とその内部の天体の配列を操作することで極大規模ほどのものであった。その結果発生する膨大なエネルギーは、神格の肉体でさえ内部沸騰させ、粉砕するほどの威力を持つ。故に雷帝の体からは血が流れ、亀裂が走る。

 

「ぎっ......!」

「ふふ、はははははははは!」

 

雷帝の顔が鬼神の如くゆがむ。それを見てメルクリウスは高笑いを上げる。

 

「君がそんな顔をするなんてらしくないな世界を守護するものよ。そんなに君の世界に女神が干渉するのが嫌かね?しかしだめだ。異論は認めぬ、女神が法だ、黙して従え。」

 

 

しかし、そう言うメルクリウスの体からも傷が現れてきた。雷帝のプラズマが体の内部にも流れ始め、たのだ。

 

「しかし.....私は今、生きている!」

 

だが、メルクリウスは楽しんでいた。既知感はない。この男と交えれば交じるほど、未知しか出てこない。魂が踊り、歓喜する。自分が生きているのだと実感できる。

 

「ゆえに滅びよ、勝つのは私だ!女神の生む地平の礎となれ!

恐れは望みの後ろからついてくる

Spem metus sepuitur.

 

喜んで学べ

Disce libens.」

「消えろ、水銀の蛇ぃぃぃ!!!」

 

暗黒天体、ビッグクランチ規模の極大プラズマがぶつかり合う。ラインハルトが総軍を突撃した時と同じように座が軋み始めた。




やっぱ自分、黄昏連合大好きなんだなと、改めて思いました。
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