『さて、三分前に君たちを螺子伏せる.....と言いたいところだが。』
バッ!
球磨川はなんと彼への攻撃をせずに、Uターンしてかけていった。
『安心大嘘憑き(エイプリルフィクション)この城の現実との不干渉をなかったことにした。』
オォォォォォォ......
彼は安心大嘘憑きを使ってこの世界から逃げ出そうとした。実に彼らしいやり方である。
「ありがとう女神さん、なぜかわからないけど、この僕に手助けをしてくれて。取り敢えずめだかちゃんたちを呼んで何とかするよ。」
球磨川は心から女神へと感謝した。球磨川は螺子でラインハルトが出している髑髏の総軍を掻き分けながらかけていく。
_成る程、そう来たか。
_君は実に面白い。だが役者が許可なく退場するのは許されんよ。
実に不快感が漂ういやらしい声が、誰にも聞こえないようにつぶやく。
ドゴオォォォォ!!
「 Und ruhre mich nicht an. Und ruhre mich nicht an!」
『!?』
時間がなかったことになって、停滞しきった空間の中、シュライバーは停止どころかどんどん加速して髑髏の群れを轢き飛ばしながら一瞬にして球磨川の前に躍り出た。
『こいつ、止まるということを知らないのか?』
「Voruber, ach, voruber! geh, wilder knochenmann! !!!」
『ぃっ.....がぁっ!』
球磨川に追いついたシュライバーは、追い越しざまに左腕を食いちぎっていった。球磨川はバランスを崩して転げる。
「End' in Wonne, du ewig Geschlecht!」
『があぁぁぁぁ!!』
シュライバーを縛れるのは黄金のみ、それ以外のものに束縛することは許されない。シュライバーは四方八方に飛び周りながら球磨川を襲う、球磨川に防御できる術はなくただの虐殺ショーにしかならない。球磨川の鮮血が飛び舞う。
『くっ....おぉぉぉぉぉ!!』
しかし球磨川は叫び声をあげて疾走する。シュライバーの猛攻に身を削られながらも前へと進む。そして
『.....ついた。』
遂に球磨川は自分の世界の入り口へと辿り着いた。懐かしい雰囲気、この光の先に進めば彼らは追ってこない。
『あとは....めだかちゃん達を呼べば、何とか....』
球磨川はフラフラしながらも、光の中へと入って行く。あの懐かしき日常たる世界へと再び.....
ーActa est fabula (未知の結末を見る )
『.....そんな.....』
球磨川の目の前には、日常の景色なんてなかった。そこには先ほどと変わらない修羅地獄の階段があった。しかも最悪なことに、【こういう結果になると知っていた】のだ。
『何故だ.....』
ーあの懐かしい雰囲気が至福の既知になると思ったか?あの光に進めば自分の何時もの時間が帰ってくるとでも思ったかね?
再び球磨川の耳に不快感だらけのあの声が聞こえて来た。
ー真逆だよ、私が作り上げたこの世界は劇が終わるまで君は那由多のはてまで戦い続けないといけない。逃げ出そうものなら、君は絶望の既知感に負われ続けなければならない。.....さあ、最後の恐怖劇(グランギニョル)を始めよう。
ドゴオォォォォ!!
「......」
球磨川の頭上から、幕引きの黒騎士が降りて来た。その目には同情も何も写っていない。ただこの戦いの幕を引こうとしてるだけである。
『.....君ほどトドメの役が似合う漢はいないね。さあ、遠慮はいらないよ.....って君に遠慮とかあるとは思えないけどね。』
「......」
マキナは何も語らない。ただ球磨川を一撃のもと殺そうとするだけだ。
「創造 人世界 終焉変生!」
『......』
球磨川によける気はない。一撃必殺の鉄拳が迫ってくる、その時だった。
「下がれ。マキナ、シュライバー。」
「「!」」
黄金が球磨川にトドメの一撃を下そうとした黒騎士と、その背後から迫る白騎士を止めた。
「カールがまた何かした様だな.....まあいい、それよりもこのまま終わるのもつまらんな。卿の能力の効果は約3分、残りあと1分も残っているではないか。戦え、そして私を楽しませろ。卿のその身は私を楽しませるための楽器であるだろうが。」
『......』
何という傲慢さ、部下に攻撃をやめさせと思ったら、次は自分と全力で戦わせることを強制させる。させられた身としてはたまったものじゃない。
『安心大嘘憑き(エイプリルフィクション) ラインハルト・ハイドリヒの誕生をなかったことにした。』
球磨川は躊躇なくラインハルトを世界から消滅させようとする。短時間でもいい、そう思いながらも。
「.....まさかと思うが、卿の全力はこの程度か?」
『.....な!?』
「これが卿の全力か。いくら弱体化したとはいえ、つまらん漢よ.....」
ラインハルトは髪の毛一本も揺れてなかった。球磨川の安心大嘘憑きがまるで効いていない。
ドゴオォォォォ!
『がぁっ!』
黄金は不滅、弱体化した球磨川の因果律操作ではラインハルトは消滅しない。聖槍の一撃を喰らって、球磨川は流星のごとく吹き飛ぶ。
チャッ......
「最後に聞いておこう。卿の渇望はなんだ?人の強さには二種ある。『己を絶対とするか。』『他者を絶対とするか。』卿は自分自身どっちだと思う?」
球磨川の首を掴んで頭上に掲げ、聖槍を心臓に突き刺そうとしながら、ラインハルトはそう聞いた。
『.......言っただろ?世界に目標も何もない。僕も同じだよ、何にもない。』
「卿が女神に蘇らされた時もか?」
『......知ってたんだ。』
「愚問だ。」
黄金の目に曇りはない。何もかもお見通しだった。
「.......そうだね。もしかしたら、僕の渇望は、『勝ちたい』だったかもね。めだかちゃんに勝ちたい、安心院さんにも勝ちたい。いつもそんなことばかり考えていたかもしれない。これが僕の渇望かもね......」
「......相分かった。Auf Wiedersehen(アウフ・ヴィーダーゼーエン)卿との戦い、忘れぬ。」
ドスッ!
ラインハルトはそう言って、球磨川の体に聖槍を突き刺した。
「見事。」
「.....カールよ、いつこの世界をあのような構造にした?」
突如背後から現れた影法師に黄金は振り向かずに聞いた。
「いつも何もあらかじめそういう構造にしただけだが?」
「私の覇道が破られるとでも思ったのか?」
「おや、いつになく弱気な。獣殿とあろう方が。」
「卿が言えた義理か?」
ラインハルトの口調が少々強めに出て来た。しかしメルクリウスは変わらずニヤニヤと笑いながらいう。
「お鎮めなさい獣殿、別にあなたを疑ってたわけではない。ただ、この広い女神の世界、いつの時代にも予想外というものは付き物だ。誰がどのような異能を出してくるかわからない、それは私だって予測不可能だ。無論あなたも.....」
「.....それもそうだな。事実穴を開けられたからな.....」
「然り、故私が保険をかけていたのだ。感謝しろとは言わないが、せめてそれなりの対応はして欲しい。」
するとラインハルトは一息ついて。
「いいだろうカールよ、卿は卿らしいことをしていればいい。卿は私との約束を守ってくれた友だからな。」
「これは光栄だ。では私は次の相手を探してきましょう。」
「そうだな、次の刺客も期待しているぞ。」
そう語りながら黒円卓の双首領は笑いあって、この世界から消えて行った。
次回はかなりレベルアップして強いキャラと戦わせます。出来る限り早く投稿出来るよう頑張ります!