Only Sense Online 〜幻想抜刀の戦士〜   作:蒼井しの

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『始まり』の地下、アクセサリー

地下は暗く、ジメジメしていた。

湿気が、まるで俺たちを別のどこかに誘うように、肌を引っ張る。

足元には相変わらず白い煙が、誘う。

ここが何処か。俺たちが何をしに来たのか。

虚ろな意識をしっかり保ち、俺たちは螺旋階段を降りきった。

 

「なんだここは?」

松明の明かりの先に見えたのは大きく血で書かれている魔法陣。

「魔法の……現場?」

「いや、おかしい。どういうことだこれは……」

ティースが何故か慌てている。

「待て、『呪いをかけたのはザダーブじゃなかったのか!!』」

「ティース!?」

ティースの頭上に【混乱2】のステータスが現れる。

気付け草を口の中に突っ込み回復を狙うがまだ【混乱1】のままだ。

気付け草って【混乱1】しか治せないのか?!

「GIGIGI!!」

「嘘でしょ!?」

モンスターの出現。

次は透明なモンスター『ゴースト』。

足がなく、腕もなく魔法でプレイヤーを攻撃するモンスターだ。

しかも物理にとても強く、弱点も物理攻撃では付けない俺の天敵モンスター。

「ティースしっかりして!」

ゴーストと対峙し、切りつけるが魔法じゃなければダメージも微量。

ターゲットだけを自分に集中させるため、ゴーストに攻撃を続けるが、ゴーレムの魔法攻撃がこちらにはとても痛い。

Mindが低い初期装備なのがここで災いしている。

「たった一体だけど。これじゃあ」

ポーションを飲みダメージを回復していくが、それでも相手のHPを削れる気がしない。

「『ウインドカッター』!」

そこに一陣の風が、ゴーレムを襲った。

「ティース?」

「おう。すまんな」

後ろを見ると、おsこには【混乱】から回復したティースの姿が、あった。

「魔法使えたんだ」

「エルフのレンジャーだぞ。魔法ぐらい使えるつーの」

「GIGI!!」

モンスターのHPが一気に半分近く減った。

ゴーストは物理攻撃には強いが、魔法攻撃に著しく弱いのだ。

「『ウインドカッター』!」

もう一度、魔法を唱えると、ゴーストは倒れ、ドロップを出し消滅した。

「……あれ? 弓持つ意味あんまりないんじゃないの?」

「レンジャーは弓装備だ」

変なこだわりだが、助かった。

「ありがとう。にしても、さっき言ってたことって?」

「……あ、あー……」

とても気まずい顔をし、出来れば話題をそらしたいようだったが、数秒し決意の顔になる。

「ネタバレだが、いいか?」

「う、うん」

「実は、このクエスト。もう一人登場人物がいるんだ。それがさっき言ってしまった『ザダーブ』。

で、こいつがこのクエストの犯人なわけなんだが」

「この現場を見てしまったと」

「そうだ。このクエストは明らかにおかしい。俺が探索しなかったせいもあるけども、ここまで自体が反転するなんて考えてなかった」

「これ、どっちが犯人なんでしょう。そうなると」

「それの答えがここに、あるってわけだろうな。だが、これは……」

「何かわかったんですか?」

「ああ、多分【魔法才能】のセンスのせいだろうな。魔法陣に表示がある。

『黒く、歪みし想い。彼のものに宿りて、永遠なる孤独と、痛みを与えよ……』。

呪いだな」

「……どういうことでしょうかこれ」

「さぁな。だが、もしかしたら真犯人がガーブスの甥っ子……『ケーブス』なのかもな」

 

ピコン。

 

「ん?」

何かイベントリに反応があり見てみると『呪いの戒め』のクエストが終了している。

そして新たに『呪いの破壊』のクエストが開始された。

「破壊?! 破壊だとどういうことだ!!」

「ちょ、落ち着いてティース! また【混乱】にかかっちゃう」

「あ、ああすまん。いや……やばいなこのクエスト」

「何がです?」

「前に受けたクエストはこれをクリアすれば、次は『呪いの敵』までだったんだ。だが、今出たクエストは『呪いの破壊』。つまり……」

「これからはティースも未経験ってこと?」

「ああ、それもあるが、こうも選択肢が変わるとはな。このゲームかなり奥が深いぜ」

チェーンクエスト。次にどんなものが出るかが、全く予想が付かない。

「こりゃ、1からやり直しか。とにかく、ここの探索もするぞ」

「はい」

俺も自分用の松明を焚き、探索を開始する。

だが、そこは悪趣味としか言い様のないものが、沢山あった。

ドクロだったりとか、気色の悪いオブジェクトとか、まさに黒魔法と呼べるようなものばかり。

「これ……?」

その中で黒いミサンガ風のアクセサリーを見つけた。

 

『黒きブレイブ』AKT+3 DEF-3 Mind+5 追加効果:混乱耐性

『憎しみの中に勇気があった。それは迷いを断ち切り、黒き正しさを彼に与えた』

 

マイナス効果がある分微妙だが、混乱耐性がこのフィールドに噛み合っている。

「どっちが付けるかは相談かな。だけどこの説明文……」

とても意味深だ。

大体憎しみに勇気などあるのだろうかとまず思ってしまう。

「……やっぱり何かあるんだろうな」

何か選択がある。そんな気がした。

何が深いか。何が正しいか。そんなのは分からないが、俺はこの説明文について色々と考えながら進む。

「他には……ないか」

「そっちはどうだ?」

ティースの声が聞こえ、声の方に顔を向けると彼も何か拾えたようで、顔がニコニコしている。

「何か拾ったの?」

「状態異常のポーションだ。気付け草よりこっちの方が効果があっていいぞ」

「それはいいね。救済処置なのかな。こっちはアクセサリーを見つけたよ」

と言って黒いミサンガを見せる。

「ふーん。それはカイが装備しろよ。前衛で守ってもらわないといけないし、魔法は辛いだろう?」

「ありがとう。じゃあポーションも俺が持ってたほうがいいかな」

「そうだな。いざとなったらよろしく」

スっと混乱のポーションを渡してくれるティース。

さっきのようには、ならないようにしないとな。

「後は何かあった?」

「そうだな。後はこの魔法陣を攻撃で壊せば呪いが解けるってことぐらいかな。

だが、下手に手を触っていいものかどうかっていうのがな……」

「呪いってなんだかわかる?」

「いや、俺のときは全く分からなかった。

呪いって言ってもケーブスが苦しんでて、ザダーブがケーブスに呪いをかけた……ぐらいかな」

 

『それを壊しちゃ……いけないよ』

 

「ひっ!」

「驚くな!」

何処からかいきなり聞こえた声に震え上がった。

反転しそうになった意識を、ティースが殴ってくれたことで取り戻す。

「な、何さっきの声?」

「この声は……確かケーブスだったな」

「ケーブス? って上の?」

「ああ、こりゃ見られているようだ」

 

『それを……壊すなら……容赦はしない』

 

その声が響くと、この地下が急に暗くなる。

松明を使っているのに、まるで先がわからない。

 

『君たちには……眠ってもらおう』

 

「来るぞ! 構えろ!!」

ボス『黒魔法使いケーブス』が何処からか襲いかかってくる!!

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