今回から話の本筋が動き始める感じです。1部(仮)での主要キャストがチラホラと。
細かい誤字脱字、妙な表現があるかもですが、しばしお時間を頂ければと。
食堂についた。
朝の食堂は比較的静かだ。なんでかって?単純な話、起きてる奴が少ないのである。
夜遅くまで戦場に出ていればまあ疲れるのも当然なのだが、それを抜きにしてもウチの連中は夜型が多い気がする。
そもそもどっか行っててカルデアに居ないのもいる。
……そんなんで大丈夫かって?
…………大丈夫だ、問題ない(遠い目)
ま、まあ食事は大切だ。
清姫を連れて食堂に入り、いつものようにシェフに朝の挨拶を。
「おはよう、エミヤ」
「やあ、今日は随分とゆっくりな朝だな?マスター。」
この褐色の男はエミヤ。弓兵のサーヴァントだ。ウチのカルデアではだいぶ初期の頃からいる古参で、なかなか戦いでも頼りになるベテランでもある。
……いい加減弓を使ってほしいと思ってるのは内緒だ。
「ちょっと寝坊しちゃってねぇ、今日の朝食はなに?」
彼はこのカルデアが誇る料理長だ。
……そもサーヴァントに食事は必要なのか?と、以前彼に質問したとき、
「われわれとて元は人だったからな、人には食が必要であろうよ」
なるほどね、人智を越えた者といってもやはり基本は人に忠実のようだ。納得。
「喜べマスター、今日の朝は特別だ。……おおい、主役が来られたぞ!」
「え?」
厨房から、見知った顔が…って!
「bonjour、マスター♪」
「マリー!?」
朝っぱらからなかなかの衝撃走るっ!
っていうかマリーのエプロン姿可愛いな。
さすが生まれながらの
今度メイド服でも着させてみ……おっと、これ以上の妄想は隣からの威圧がスゴいな、自重自重。
この可憐な少女はマリー、悲劇の王妃として知られるマリーアントワネットその人である。
騎兵のサーヴァントとして現界されている......そういえばなんだが、戦闘でマリーに攻撃が入っているのを見たことがないような気がする。怖くなったので追求はしていない。
───キラキラキラキラ〜うっ頭が
「マリーが朝食を作ってくれるの?」
「ええ、あと少しで出来上がるから楽しみに待っていて?」ニコッ
ああ、私この戦いが終わったらマリーと結婚するんだ…って清姫さん、不敵な笑み止めておくれ。あんたはエスパーか?
「マスター、キミもなかなか気苦労が絶えないな」
「いやぁ、エミヤほどじゃないと思うよ」
マリーが厨房に引っ込んでいったので、とりあえず席を確保しに行くか。
周りを見回してみて───
今いるのは……作家連中と竜殺し組と三姉妹+α───15人くらいか。
(ちなみに
「それでは、私は自分の分をいただいてきますので」
そういうと清姫は行ってしまわれた。どうやら米の匂いを嗅ぎつけたらしい。こないだ日本に繋がったときに大量に米を掻っ攫ってきてから和食の提供が再開され、どうも日本人どもは気分がよろしい。無論私もだが。
とりあえず近くの女神様に声をかける。
「おはよう女神様達、本日の朝食はいかがでしょうか?」
目の前の
「まぁまぁね。私たちは別に食事を取らなきても良いけれど折角料理が出てくるのだから頂いているだけよ。けしてとても美味しいからではないわ、ええ」 モグモグ
「上姉様……」
「私ちょっと捻くれすぎじゃない?エミヤの料理は確かな美味しさよ。」
「うん、えみやりょうりじょうず」
「アステリオスもおはよう。どうやら今日の気分は上々のようね」
ステンノの隣に腰を落ち着ける。
「マスターの朝食はマリーの特製なんでしょう?良いわね、愛されていて」
「ああいう愛ならどんとこい、よ」
「ああ、なるほど。……愛されるのも大変なのね」
女神に気を遣われてしまったよ。
彼女らについて簡単に紹介をば。
彼女らはゴルゴンの三姉妹、つまり正真正銘の神霊クラスである。
捻くれ長女ステンノ、お転婆次女エウリュアレ、苦労性三女メデューサ。
思いっきり前線で主力張ってるのみると、女神ってなんだっけと思わされてくれるが、一緒に居てくれるだけでなんとなく頑張れそうになるのは、やはり女神である証の一つかもしれない。
それと彼について語らなくては。
エウリュアレの隣にいる大男、その名はアステリオスという。
狂戦士のサーヴァントなのだが……
狂化ほんとにかかってんのか?というレベルで良い子。最近は狂化していても意思疎通が比較的有効な者も多いらしいが、うちのバーサーカーは彼含めて四人しか居ないので比較に苦しんでいる。
普段は温厚な性格なのだが、一度戦闘に入れば、仲間のピンチには自らを盾とし、未知の強者に対しても猛然とかかっていく。
まさに雷光の名にふさわしい英雄である。
実際、彼は私たちの窮地を幾度となく救ってくれた。
あと、エウリュアレと仲が良い。最近はよく一緒に……
「ますたー、まりーきた」
おっとそろそろメインの登場か。
「お待たせ、マスター。どうぞ召し上がれ♪」カタカタッ
「おお……」
見た感じはいたってシンプルなヨーロッパの朝食って雰囲気。食べやすいように斜めに切られたフランスパンとフレンチトースト、良い感じに半熟なスクランブルエッグ、あとこのトマトのスライスでチーズを挟んだ...
「えーとなんだっけこれ……か、かぷ……」
「カプレーゼかしら?」
「それだ! ってエウリュアレよく知ってるね。
「一応ご近所さんの料理だしね。」
「海挟んでますけどね……」
うーむ、まずはフランスパンからかな、やはり。
「それじゃあ、いただきます」
フランス人の前でコレにかぶりつくのはいささか抵抗があるが、私はそんなに上品な人間ではないからな。
ザクッ
ザクザクバリパリもぐもぐ
うーむ
芳ばしく香る皮をもっちりふわっとした生地……
なんだか自然と笑みがこぼれてくる。
「どうかしら……?」
「美味しいよ、なんていうかこう……懐かしい感じだ。」
「! 良かった! 良い小麦を使ったかいがあったわ♪」
小麦…ってあれか、カルナたちとロマンのパシリに行ったときの村のか……
因果応報とはよく言ったな、割と帰ってくるもんだ。
さてさて、次はスクランブルエッグをパンに乗っけてと……
モグモグ──
あーうまい。塩コショウが軽くきいていてパンと非常に良い相性だ。
「うーっ、マスター!私にもちょうだい!」
どうやら女神さまも堪えられなくなったようだ。
「あんたら今さっき食い終わったばかりでしょうが……
マリー、いいかな?」
「実はちょっと多くつくっちゃって余ってるから今持ってくるわ」トテトテ
「だとさ」
お次はサラダだ。カプレーゼに使うチーズはモッツァレラが確か一般だったはずだが、どうもこいつは違うようだ。
かかっている緑色のソースは……まあバジリコだな、順当。
フォークでトマト/チーズ/トマトになるように刺して口に運ぶ。
まず来るのはバジルの爽やかな苦味、ついでトマトの甘酸っぱさ、んでチーズだが……
(んん……!)
やわらかい甘みと濃厚なうまみ、そしてそれを従える強い塩気。それがトマトの甘みもさらに引きたてている。
はぁーっ、見事に一品で基本五味コンプリートされちまったよ……
自然に次の皿へ手が伸びていく。
モグモグバリパリザクザクドムザクモグモグ……
っふぅー
「お待たせ、あら? もう食べてくれたの?」
「美味しかったよ、またつくってほしいくらい。」
「じゃあはい♪ 食後のコーヒーよ。」
「あ、エミヤから聞いたの?」
「ええ、いつもコレなんでしょう?」
「うん、ありがとう。」ニコ
これがあればフレンチトーストもより美味しく食えるな。ゴクッ
「さあ、エウリュアレも召し上がれ♪」
「ええ、いただくわ、アステリオスも食べる?」
「うん、たべるっ」
「あ〜フレンチトーストも最高だぜ……ステンノはいいの? マリーの料理」
「腹八分で止めておかなかった私をうらむわ……」
ま、エミヤの料理もうまいのはわかるよ。
「そういえばマリー、あのチーズはどうしたの? 食べた感じモッツァレラじゃなかったけど」
「えーと、あのチーズはダビデから頂いたのよ」
「!?」
なんだって!? そういや最近ダビデ見てないな……いったい?
「フランスに材料を買いに行ったときお店をやっていたの。チーズとかの乳製品を出していたわ。」
「なにやってんの!?」
いやなにやってんの!?いやダビデの方もだけど、マリー 一人でフランス行っちゃったの!?
「大丈夫よ?ロビンが一緒に来てくれたから。」
ああ、それなら大丈夫かな……とはならねえよ。
全く、単独行動スキル持ちはマジで単独行動しちゃうんだよな…
ちなみに後で聞いた話なんだが、どうやらハサンズも護衛についていたらしい。
ぐぬぬぬ……
「どうやら牧場をやっていたらしいわ。あと可愛らしいお嬢さんも一緒にいたわよ。」
「はぁ……わかった。今度会った時に聞くことにするよ……」
「それでなのだけれどマスター。今回の朝食には一応テーマがあるのよ。なにかわかる?」
テーマ?
「うーむ」
パッとは思いつかないな……
強いて言うなら、割といろんな国の料理があったくらいかな?
マリーのことだから全部フランス料理にしそうだと思ったけど。
「うん、だいたい正解よ。えーとね、この料理たちは……貴女が救ったもの、よ」
わたしが?
…………ああ、なるほど
フランスパンはフランス
スクランブルエッグはイギリス
カプレーゼはイタリア
フレンチトーストとコーヒーはアメリカ
なんの変哲も無いふつうの、庶民の、料理だ。
自分たちは人類の未来を取り戻すために、救うために戦っている、と思っていたが。
なかなか身近なところに救ったものがあったみたいだ。
「わかってくれたようね♪」
「ああ……今日は朝から随分と幸せな気分だよ」
「ちなみにわたしも救われた一人よ? もちろんわたしだけじゃないと思うけどね」チラッ
「ぼくも……すくわれた……よ?」モグニコ
「あら、わたしもそこに入っても良いのかしら?」モグモグ
「私も今は幸せですよ」
「別に? ここの生活はずいぶん楽しいけれど? 救われた感じはしないわ?」
「みんな……」
わたしだけの力ではない、みんながいなければ続けることすら出来なかったに違いない。
でも、その感謝は嬉しい。素直に受け取っておこう。
そして最後の一口を飲み干し───
「ご馳走様でした」パチ
「お粗末様です♪」
「こんなに心のこもったもの出されちゃあね…なにか御礼をしたいな」
「……それなら、今度フランスに旅行に行きましょう?フランスの良いところをたっぷり見せてあげる♪ ヴィヴ・ラ・フランス!♪」
それだとまた私に借りがのこ……まあいいか、マリーがしてくれというのだ。
約束しよう。
「わかった。予定をたてなきゃね」
「ありがとう、マスター♪」チュッ
ありがとうございます!!
うー。それじゃ、先ずは片付けでも手伝おうかな?
//
「どうやら、きちんと思いは伝わったようだな。」
トントントン
「やぁシェフ! 頼んだものはできているか?」
「む、アンデルセンか。ああ、出来ているぞ、ちゃんと2人分増やしておいた。」
「ああ、ありがたい。 本来なら1人の予定だったのだがな…」
「旅行は3人くらいが丁度いいだろう、ほら。」ガサッ
スッ「馬鹿め!旅行など1人が最高に決まってるだろう。」
「でもあの2人を連れて行くのだろう?」
「む……まあたまにはいいものだろう。それに一応気が合うといえば合うしな」
彼もまたここで随分と変わったものだな。
「あれ?アンデルセン、またどっか行くの?」
「ああ、マスターか、丁度いい。
「いいよー、壊さないようにね」
「アレが壊れるとは到底思えんがな…」
「あ!マスター! おはよう! ずいぶん上機嫌ね?」
「ハッハッハ、マスター殿、いい雰囲気ですな!詩が浮かんできそうでありますぞ!」
───その姿が纏うは輝き輝き、数多の光が一面に───
「いいからいいから、また今度聞くから。もしかしてアンデルセンと一緒に?」
「ええ!とても楽しみよ!」
「アンデルセン……あんただいぶ懐かれたねー」
「なっ あ、あちらから勝手についてくるだけだ!……くっ、おい行くぞ!」
「あっ、待ってアンデルセン! じゃあねマスター!旅話楽しみにしててね!」タッタッタ
「それではマスター!さらば!」テクテク
懐かれてるなー
ま、アンデルセンなら大丈夫か。
「マスター」
「どうしたのエミヤ?」
「今からマシュとロマンたちの分の朝食を持って行こうと思うのだが、来るかね?」
「ん。行くよ。どうせこのあと行くつもりだったし。」
「そうか。ではこれをだな……」ガチャ、ドン
おかもち!抱えずにはいられないっっ!
「んじゃ行くかー」
向かうは医務室、ここでの私と最も古くからの付き合いに会いに行く。
さて、わりとたくさんサーヴァントを出せて満足、というのと同時に、複数人が会話をするということの難しさも実感しましたよ……
そして私の物語オリジナル道具である渡航聖杯がチラッと登場。詳しい話は次回に続く。まあそんな大したもんじゃないですが。