前話より登場キャラは減ったのでだいぶ書きやすくなるはずだったんですがね。
とりあえず朝の風景は一旦区切りです。
「んじゃ行くかー」
と、不意に食堂のドアが開いた。
ウィン
「ふぁぁ…… あ、マスター」
「おはよう式。今日はいつもより遅いね?」
「オマエが夜遅くまで連れ回すからだろ……」
「でも竜狩り楽しかったでしょ?」ニヤニヤ
「なわけあるか! ……ったく、少しは程度ってものを考えておけよ。」
「あはは、実はまだ足りないからまた今度お願いね?」
「ワイバーン絶滅するぞ…… じゃあ、オレ行くから。マスターも用事あるんだろ? その持ち物」
「ん。そだ、今日は和食も用意されてるってよ。ねえエミヤ?」
「ああ、比較的シンプルな和食を目指したぞ」
「そう、エミヤのつくった飯なら大丈夫だな。仕事した分しっかり食わせてもらうよ……」スタスタ
「話は終わったようだな」
「うん、それじゃあ今度こそ行こうか」
ちなみにワイバーンは倒しても魔力として霧散するから絶滅はしないんだぜ?覚えておいて損はない。別にテストには出ないけどね。
テクテク……
(……………)
(アイツ…………いや、ちょっと『眼』が疲れただけか……)
「ふあぁあ〜 寝不足は辛いな……」
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突然だが、カルデアは広い。
少なくとも、初日はそう思った。だって迷ったもん。
まあ雪山の中にある施設だ。自給自足のための様々な機構が整っていた...いたのだが。
『始まりの日』に大半が壊れてしまったらしい。おかげで今遺っているのはサーヴァントたちの住処と化した会議室や仮眠室のような場所、カルデアのインフラを集結させたレイシフトルーム、さっきの食堂、etc……
つまりは、もし人が生き残ったとしても長期は生存できそうにない状況をあの事故は作りだしたのである。
直そうにも、さすが技術の粋が結集しているカルデアである。資材も人材も足りないのだ。
建築王といわれるラムセス二世や、空中庭園を設計したとされるネブカドネザル二世のような神殿建築家のサーヴァントでもいれば解消される問題かもしれないが。
そうこういってるうちにその残った部屋の一つである医務室についたよ。
ウィィン
「はーい、朝食デリバリーですよー ロマーン、起きてるー?」
医務室に入ってすぐ、机に突っ伏している白衣を発見した。
「……がっつり寝ているな」
「ほれ、ロマン、飯持ってきたぞ。起きろ〜」
「むにゃむにゃ……うーん……」ニヘラ
「なぜニヤける。どんな夢見てんだか……」
このなんだかふにゃふにゃしてるのはロマン。
本名はロマ二・アーキマン、まあこの名で呼ぶのは工房の美女の皮被った変態芸術家くらいだが。
こんなでもカルデア医療部門のトップを務めるくらいには優秀らしい。その片鱗はなかなか見えないけれど。
「あのセンパイ、Dr,ロマンはついさっき就寝したばかりなので、しばらくそっとしておいてあげて下さい。」
「! マシュ、もう起きて大丈夫なの?」
「はい!マシュ・キリエライト、いつでも戦線に復帰できます!」
「うむ、魔力にも乱れはみられないな。」
「うーん、でも、あんまり無理はしないようにね?」
一回ぶっ倒れてるし……
「ご心配おかけして申し訳ありません。けど、今が頑張りどきですから。」
……こりゃ手綱が必要だな。頑張るのはいいことだけど、少しは周りに頼ることも教えないと...
彼女の名はマシュ、マシュ・キリエライト。
元々はカルデアスタッフだったが、『始まりの日』の事故のなかでひょんなことからあるサーヴァントと同化。人と英霊のハイブリッドであるデミ・サーヴァントへと昇華した。
彼女はあの日から現在まで、ともに戦場を駆けた大切な戦友であり、親しい友人であり、可愛い後輩でもある。(まあ、カルデアにいる時間は彼女の方が上であろうが)
どうやら頑張りすぎた(頑張らせすぎた)ようで、この間の特異点修復の後、倒れてしまったので療養を命じていたのだが、どうやら少しは回復したようだ。
ただ、前科持ち信用ならないというと聞こえは悪いが、しばらく無理はさせられないな……
小次郎や式に教練はほどほどにしとけって言っとこ。
「あの、お二人方。えーと、おはようございます、本日も良い一日になるといいですね」
「ああ、おはよう。朝の挨拶は大切だよね」
「そうだな、おはようマシュ。それでなんだが朝食を用意してある。食べるか?」
「ええ、是非とも頂きたいです」
「マスター、その中の上段だ」
あ、これか。
おかもちを開けて、中にあった小さめの土鍋を取り出す。
テーブルに三人で腰を落ち着け、マシュがその蓋を開けると……
ほわぁ
「わぁ……とても良い香りです!」
「これは……雑炊?」
「ああ、別に病み上がりというわけではないと思うが、なるべく体にやさしいものをチョイスしてみた。」
なるほど、それで卵雑炊ときたか。
「それでは、いただきます。」
ひとくち、レンゲですくい……ぱくっ
もぐもぐ……
……うまそうにたべるなぁ
「っはぁ、とても……ええ、とても美味しいです。元気が出てくる味ですね!」
「そうか、それはよかった。俺も手を込めたかいがあるな。」
もぐもぐ……ふはぁあ……
………………あがががががが
「……センパイ?」
はっ!? わたしは何を!?
「センパイも食べたいですか……?」
なんと……無意識のうちに米を欲してたってか……
「いいの? んじゃ一口……」
すると彼女は一口分をレンゲにすくって……え?
「はい、あ、あーん……///」
………………あむっ
もぐもぐ
「〜///」
「〜///」
「……すまない、二人の世界から帰ってきてくれ。」
はぅあ!?
くっ……すごいヒロイン力の奔流を受けた……
「はっ! す、すいませんっ///」
謝らんでいいよ、むしろありがとう。キリッ
「ううーん、あれ、なんかいい匂いが...?」
「あ、ロマン。起こしちゃった?」
「うう...あれ? 九波ちゃん? エミヤ君も」
「おはようロマン。朝ごはんあるから顔洗ってきなさい」
「もしかしてエミヤ君がご飯をつくってくれたのかい!? やったー!」タッタッタッ バシャ-
「……マシュ。アレが最近何食ってたかわかる?」
「えーと、インスタント食品をひたすら……あ、たまにダヴィンチちゃんさんが料理を持ってきてくれてたみたいです。」
……てかエミヤはロマンに飯つくってたような?
「うむ……ダヴィンチ嬢に持って行かせたはずなんだが……」
まさかね……
スタスタ
「いやー今日はいい朝だなぁ、普通に食事が楽しめそうだなんて!」
「もうなにも言うまい……ほら、どうぞ」
パカッ
「おお〜 これは知ってるよ。釜飯っていうんだろう? 美味しそうだなぁモグモグうん美味いな!」
か、釜飯だと……!
「エミヤ! 明日の朝飯、私も釜飯でお願い!」
「別に構わないが……. 今夜でも可能だぞ」
「じゃあそれで!」
私は米に飢えている……へへ……
「んぐっ……はぁーっ。あー美味しかった。やっぱり日本食ってのは人をほっとさせる何かがあるね」
「はい、ごちそうさまでした」
食べ終わった容器をおかもちに戻す。
「よし、では俺は食堂に戻るか。マスターはどうするんだ?」
「うーん、もうちょっとここにいるよ」
「そうか、ではな」スタスタ
「僕はもうちょっと睡眠に時間を割くよ。おやすみー」テクテク
必然的に残るは二人。
ってことでガールズトークにでも花を咲かせるかい?
「いえ、あまりセンパイはガールズという感じでは……」
なんだって?
「え、あ、いや!なんでもないです! あ、そういえば今日はセンパイとても機嫌がよさそうですね。何かあったんですか?」
まあ聞き逃しておくとしよう。にしても……そうだな、今日は朝からいろいろあったから……
何から話そうかな───
//
───現在、ウチに現界してるサーヴァントの総数は47。
ああ、ダヴィンチを含めれば48か。
二人っきりだった頃から考えると随分増えたことだ。
それだけ、私には頼れる仲間がいるということでもあるな。
……そしてそれだけの奇人どもはこのカルデアに様々なものをもたらしてくれた。
まあ大体の始まりは信長だった。彼女の持っていた知識のおかげでいろいろと便利になったんだ。
ウチの電力と水源は聖杯から引っ張っているんだが、その時の聖杯弄りは、技術屋組と一緒になって楽しくやっていたようだ。
まあ私もその場にはいたんですけどね。
何やってるかさっぱりだったけど。
んでその時の様々な検証から、とある副産物がうまれた。
その中の一つに
その名の通りというかなんというか、特異点先でマスター不在でも現界が可能になるというシロモノで、原理はよくわからんがなんと宝具の真名開放まで出来るというトンデモアイテムだ。
あれ?もう私いらなくね? と思ったがどうもノッブ曰く、
「お主あっての
らしい。
まあともかく、コレはわりとサーヴァント達からは好評で───
//
「──────それでアンデルセン達がどっか旅行に行ったみたいでね。ま、どうせロンドンだろうけど」
「へぇ……アンデルセンさんも随分とアクティブになりましたね」
「さすがにずっと引きこもってちゃネタも尽きるんじゃないかな」
あとロンドン涼しいし。過ごしやすい。
「そういえばなんですが……数日前にカルナさんも渡航聖杯を持って行きましたよ。確かラーマさんと一緒でした」
うん?そういやそんな話も聞いたような……
って何日前だ、あれ。
「ロマ、、って寝てるか。……ちょっと失礼。」ガサガサ
確か記帳がここらに……
「あった。えーと、履歴は五日前……目的は……修行?」
あー、これトレーニングルーム追い出された感じだな? あの二人だと部屋ごとトバしかねないからな。
「って返却指定昨日じゃん。 ……仕方ない、午後にでも止めに、じゃない迎えに行くか」
「わ、私も同行します!」
どうどう、
「今日はとりあえず鈍った身体を慣らして。えーと、式にでも頼んでおくから」
「……そうですか、了解しました」ショボン
......
「さっきも言ったけど、無理は禁物だよ。 ...大丈夫、マシュが頑張ってるのは私知ってるから」ナデナデ
「んっ……ありがとうございます。私、少しでも早く現場に復帰出来るように頑張ります!」
ん、まあ及第点の結果かな、これは。
「……まあ別に私が身体をほぐしてあげてもいいけど?」ワキワキ
「───!」
//
「それじゃあ、私そろそろ行くから。またね、マシュ」
「はい、センパイ。外出にはくれぐれも気をつけてくださいね。」
手を振りつつ、医務室をあとにする。
さーて、誰と一緒に行くかね...
───今日、私は世界の理、因果応報をその身に受けることになるのだが、そんなことはまだ知る由もなく。
いつものごとく扉に手をかけるのみである。
というわけで次回からそれぞれの時代へとんでいったサーヴァント達にスポットを当てていきたい...ところですがその前に1つか2つほどクッションを。登場人物設定とか用語集的な、fateでいうところのマテリアルです。