戦闘描写がむずいむずい。だいぶ稚拙な感じです。
地味にパロネタが幾つかあったり、オリ宝具あったりと少しずつ舞台が整ってきました。
「───はぁぁ!!」
ギンッ
「踏み込みが甘い!」
放った渾身の一振りは、槍によって捌かれ、返しの一撃をくらう。
ドガッ
「ぐっぅうう!」
「……そろそろ止めだ。もう既に38時間が経過している」
黄金の鎧を纏った痩躯の男は言う。
「はぁ……はぁ……」
片や白衣の剣士の意識は、とうの昔にとんでいた。
「ふむ……躍起になると我を忘れるところは直した方がいいな。もう少し意識が保てばいいのだが。身体がまだ慣れていないということか」
体勢を立て直した剣士は、再び黄金へと振りかぶる。
「……がああぁぁぁ!!」
「仕方ない、一旦終わりにさせてもらう」
剣士の一撃を軽くいなし、正中に拳を撃ち込む。
「ぐぁっ、ぁぁ……」
ばたっ
そこでようやく、白衣の男は動きを止めた。
黄金の鎧を纏った男───カルナは倒れた剣士、ラーマを抱え、
「よっと……さて、食糧を調達しなくては」
そう言ってカルナは、森へと歩を進めていった。
時は夕刻。
彼らが"修行"に入り、実に4度目の日没が地平線の彼方に姿を消した。
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「……」
……?
「…………」
……声?
「…………ーマ様」
「……ラーマ様」
「うう……う……だ、誰だ……?」
「ラーマ様、私です、シータです」
「……! シータ!? 何処だ? 何処にいる? 姿が見えない……」
「ここは魂の根底。ラーマ様は無理をなさってここまで意識を落としてしまったのです」
「そうなのか? しかし、僕の心にどうしてシータがいるんだ? 確かに僕は君を求めているが……」
「お忘れですか? 今の私はラーマ様と同じ存在になっているらしいですよ。魂はいつでも一緒です」
「そうだったのか…… しかし、姿が見えないどころか自分すらも確認できないのは一体?」
「…………それはあなたの行動のせいですラーマ。 まったく、かの施しの英雄と名高いカルナ様に修練の相手をして頂いたと云うのに、なんて体たらくなの?」
「え、ええ? シータ?」
「一太刀すら入れられないからとムキになって、自分の身体の限界にも気づかないで…… もしラクシュマナ様が見ていたら落胆しますよ」ハァ
「うう、すまない。心配をさせてしまったようだ……」
「もともとこんな処に来ることなんてない筈なのに…… でも、シータは安心もしています。あれから無限の時が経ったと云うのに、相変わらず貴方の周りには良き仲間が多くいるのですから」
「ああ!それは確かだな! おかげであのカルナとも闘え……いや、現実はただ遊ばれただけか……」
「大丈夫。貴方はどんな逆境でも諦めることなんてしなかった。だって私の夫ラーマは世界一強き者だもの! きっといつか、貴方は総てを超えるわ…… そうでしょう?」
「……そうだな。余は偉大なるコサラの王、ラーマだからな!これ位ではへこたれんぞ」
「ふふ、それでこそラーマ様ね。
……ん、もうお時間のよう。
今は、お側に居れないけれど。いつか再び、貴方に逢えるとするならば、また───」
…………! 意識が浮上する……!? ま、まだ話したいことなど山程あるというのに……!
くっ!
……シータ! いつか必ず!君を迎えに行く! 必ずだ!
//
その時、僕は。
深き心層の淵で、彼女が微笑んでくれたような、そんな気がしたんだ。
//
シータ。待っていてくれ。僕は───
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チュンチュン
「───んん、戻ってきたのか……」
見渡せば森の中。 どうやら野営地まで運ばれたようだった。
痩躯の男───カルナが声をかける。
「起きたか。とりあえず水だ、飲むか?」
「……ああ、ありがとう」
気づけば喉が渇いて、いや、身体中から魔力が抜け落ちているかのような渇きだ。
カルナから杯を受け取る。
ゴクッ……ゴクッ……!?
「っくっはぁぁ! なんだこの水は!? 美味い!まさに甘露だ!」
まるで枯渇した魔力すら満たされていくような感覚だ……!
「それはお前が限界まで身体を酷使していたからだ……いや、ともかく実験は成功のようだな。その様子を見る限り」
「実験?」
「ああ、ノブナガから『
そう言いながら、カルナはマグから水を自分の杯に注いだ。
そうか、これはカルデアの水か。
普段から飲んでいた筈だが、いまこの瞬間はまさに
「それで、だが。 さっきお前が起きる直前、何やら呻くような嬉しいような申し訳ないような……とかく表情がクルクルと変化していたが…… あんな器用な男は初めて見たぞ。」
「ははは……実は夢の中で妻に叱られてな……不甲斐ない姿を諌められたよ……同時に励まされもしたのだがな」
「なるほど、それではその弓は君の妻からの贈り物ということか?」
……弓? そんなもの何処に……っ!
「これは!?」
僕が寝ていたすぐ側に、それは横たわっていた。
「シャールンガ……!」
「ほう、やはりそうか。太陽弓シャールンガ。かのヴィシュヌ神が所持していたという正真正銘の神造兵装だな」
「どうしてここに…… 余はセイバーとして現界した筈だが……」
「さっきの話が本当ならば、お前の妻が寄越したのだろう。剣ばかりふっていないで偶には弓も絞れ、とな」
そ、そうか。うむ、確かに永く弓を構えていないな。
「しかし、矢が見えないな。俺が聞いた話では、インドラの矢もそれに番えて射られたというが」
「なに、構えれば相応のものが発生するだろう。この弓に番われた矢など星の数ほどあるからな。それに彼もそうしていた気がする」
「彼?」
「あ、いや、何でもない!」
授かりの英雄の名を出すのは地雷だ……
ラーマは空に向い、弓を構えた。
(ああ...やはり弓はしっくり...あれ?)
なにも起こらない。
「……」
「あ、あれ?」
シータ!? 矢が……矢がでないぞ!?
あわあわ……
「ふむ……それではさっきの俺の意見は間違いだったということか。すまない」
「それではこれは……?」
「お守り程度に考えれば良いのではないか? 仮にも太陽の神具だ、相応の加護があるだろう。お前に掛かるかは微妙なところだがな」
そうか…… ではそう考えることにしよう!
再び逢ったときの話にでも追加しておこう。それに……
───何となく、君を近くに感じるような気がするよ、シータ。
記憶、遥か遠き妻の微笑みを思い出しつつ、その弓をそっと抱き寄せた。
「ああ、想いを巡らせているところ悪いが、実はもうすでに正午が過ぎた。 コレでも食べて腹を少しでも膨らせておけ。」
おっと、もうそんな時間、というか余はどれだけの時間倒れていたんだ……
弓を傍らに置き、カルナが差し出したものを右手で受け取った。
「トカゲは相変わらず慣れないな……」
森にはちらほらと見かけたトカゲだ。食べられるところは少ないが、しっかりとした噛み応えがある。
がりがりと、骨に付いているのをこそげるようにして食う。
「……それで、余はどうだ? カルナ殿から見て」
どう、とは武の技量のことだ。
「ふむ、30時間以上も戦闘したのは久しぶりだったが、よく体力が保つものだ。あとはそこに意識が残っていれば十分ではないか?」
「カルナはどうやってそれをやっているんだ?」
「俺はお前の一撃一撃をいなしていただけだったからな。受けに徹すれば幾らでも立っていられる。」
つまり、余はカルナには未だ及んでいないということか……
よし!
「カルナ! この後もう一回だけ相手をしてくれないか」
「構わないぞ。武の上達は努力にのみ道があるものだ。 ……ただ、既にマグの返却期限を過ぎているからな、一回だけだ。それでお前の求めるものは掴めるか?」
「ああ、掴んでみせるさ」
そうと決まればだ。
二人は食事をそうそうに切り上げ、再び荒野へと歩みを向けた。
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「……準備はいいか?」
カルナは槍を構える。
すぅーはぁー
うむ、アタマは透き通っている。身体に魔力もしっかりと流れている。
頭の先から足の先まで、血が通っているのが解る。
「ああ、大丈夫だ」
剣を構える。
「いつでもかかってこい」
「それでは…… ラーマ、参る!」
大地を蹴り、瞬間、二人の間合いが接触する。
「はあっ!」
振り切る得物は、槍にて止められる。
「正面からの攻撃は受けるのも容易いぞ」
───そんなことは承知の上だ!
左掌に魔力を練り、胴に撃ち込む。
「……! ぐっ!」
くそっ、一瞬だが身を引かれたか!
一旦後ろに退き、再び構える。
「今の一撃はなかなかのものだったぞ。一層力を増したな」
いや、もしかすればこれが本来の力か。
「避けておいてなにを言うか。 ……次は当てる!」
今一度、踏み込み、振りかぶる───!!
剣撃が舞い散る。
常人が近づこうものなら、それだけで肉片になり兼ねない。
遥か神代の武人二人。
片や斬りこむ。
片や捌く。
それは武錬というには余りにもな死合いであった。
「───今、お前は何を望む!」
「力と高潔さだ! 余は全ての邪悪を正面突破で斬り伏せる!」
「それがお前の義か!」
「そうだ!我が正義で!再び世界を救済してみせよう! そしてぇ!!」
限界まで身体を潜り込ませ、左手で槍を抑えるっ
(くっ 剣が視界の外に……!)
「これで!貴方を超えるっ!!」
不滅の刃で貫く───!!
________________
手応えは無かった。
「……やはり、まだ届かないか……」
「いや、届いたぞ。お前の一撃は確かに」
カルナの右頬は浅くだが切れていた。
「紙一重だった、捌き切る自信はあったのだがな。……お前は確かに強くなったぞ。何がキッカケかはわからないが」
「そう言ってもらえるとありがたい。だが、余はまだまだ先へ行くぞ。どうか、また相手をしてくれると助かる」
「その意気だ、…………む?」
カルナの腰に下げていたマグから特殊な魔力の波が発生した。
「どうやらしびれを切らしてマスターが迎えに来たようだ。我々からも会いに行こう」
「そうだな。 …-あ、その前にあの弓を取りに戻らねば……!?」コトッ
ふと気がつくと傍らにあの弓が……あった。
「どうやら其れもお前に付き従っている様だな?」
そうか…… 帰ったらマスターに弓を担げるように弓袋を作ってくれと頼んでみようか。
刹那。彼方の空にて。
─────グオオオオオォォ……!!!
「「!!」」
「今のは……!」
「……アレか。遠いが、恐らくマスターたちのいる方向とみた。」
西方の空に、何者かが転移しようとしてきている。
「これは直感に過ぎないが……アレは我々にとっての敵ではないか?」
「其れはまだわからないが…… ラーマ?」
本能が動いたのか。
弓を、構えた。
「射てるのか?」
「やれることだけをやってみようと思うだけだ」
息を吸い、吐く。
これもまた直感に過ぎないが、この弓に番えるべきは、雷降らす帝釈の矢でも、風を起こせし猿神の矢でもない……この弓が送られてきた理由があるとするならば……コレだろう。
不滅の刃。余が生まれてからずっと身につけていた。
コレの本来の姿をみせる───
"不滅の刃"を太陽弓に番えると変化はすぐに現れた。
光がラーマを包む。大気すら揺れているようだ。
───天空の神々よ、我に再び羅刹を祓う力を与えよ。
捧げるは我が剣、欲するは太陽の威光。
今ここに、邪悪を穿つ神権を───!
───『
放たれた一撃は雲を裂いて流星となった。
マスター……無事でいてくれよ……
Q.どうしてラーマは急に強くなったの?
A.久しぶりに妻の声を聞けたからです。つまり愛。
ラーマが撃ったアレが届くか... それも数話後の話ですかね。次はオケアノス、天から来るのが何者かわかるかもしれません。