英雄派がゲスい事を開き直った件 作:buildman
暗闇の中にただ1つあるスポットライト、そこに人の姿が2つあった。
彼等こそ英雄派の中でも中核となる最高幹部であった。
最初に、黒色の人民服を着込んだ青年…曹操が言葉を発した。
「旧魔王派壊滅の報告がきた。…もっと潰しあってくれたら良かったんだが。」
その言葉に返す言葉が1つ。
「あらら、悪魔の連中あの作戦本当にやったの?愚かだねぇ。」
緑を基調とした上着に白いズボンを着た不敵な口調の男…ヘクトールは言葉を続ける。
「まあ、そろそろこちらの準備も大体整ったし打ってでるとしますか。」
その言葉に曹操も同意する。
「確かにそろそろだな。ではまずは日本神話に連絡を頼む。」
ヘクトールはそれに対し 、
「了解。『裏京都殲滅作戦』発動って訳ね。」
軽く承諾する。
「スポンサーである国の上層部の連中の要望だからな。旧都である京都に巣食う妖怪どもの一掃は。」
「表向きは妖怪と日本神話は友好だって話だからねぇ。俺たちみたいな既存の組織に属さない面々が重宝される案件って訳だ。」
「神話経由で奇襲が可能だからな。わりかしボロい仕事だ。こちらの目的とも合致するからwin-winな仕事だ。」
「神州世界対応論による地脈と信仰の一極集中ね 。」
「そうだ、それによる神話勢に対しての締め付けが第一目標だ。」
「そしてゆくゆくは、人外を駆逐し領土及び資産を奪取する。」
「それにしても最終目標が英雄を名乗る割には利己的だねぇ。まあ、協力しているこっちも人のことは言えないけど。」
「なのに日本神話だけは優遇する。これはどういう了見で?」
「わかりきったことを。第一に大して旨味がない、第二次大戦の敗北でだいぶ影響力が減衰している上に地上に所有していた土地は国有地となってしまった。そもそも日本の神々はほとんど人の世に干渉しないからな。それに地脈集中の時に京都で安定させる役割を担ってもらっているしな。」
「ま、善き共犯者ってところだねぇ。妖怪も可哀想に、国の高官や一部の神々からすれば目障りだったのも運がない。」
「敬っている神々なら別だろうが、彼らからすれば妖怪は畏怖の対象なのさ。」
「違いない。」
二人は軽く笑った。
「そういえば駒王学園の悪魔連中が襲撃予定日付近で修学旅行が入っているみたいだ。どうやらアザゼルと妖怪が会談を行うようだからついでにアザゼルも襲うぞ。」
「了解。日本神話との繋がりはカモフラージュするのは忘れずにお願いしますよ。」
「了解。」そういうと男は自嘲するうように、
「英雄を名乗ってはいるがこれでは単なる侵略者だな。」
と言った。
「実際そうだろうね。英雄派って名前だって単にネームバリューを持たせるためだけだしね。そういえば、アレの調整はできたのかい?」
曹操は肩を竦めて、
「まだ8割程度だ、神君の巨具足は聖槍に慣らすのに時間がかかる。まだ実戦には出せないな。」と言う。
ヘクトールは、
「そりゃ残念、まあアンタなら大丈夫か。」
と返して歩き出す。
そして最後に、曹操は歩き出しながら一言呟いた。
「まずは妖怪どもよ 、俺の富と栄光の生贄となれ」
男たちは立ち去っていく。
世界に不安が更に漂い始める前日の事だった。