barroco   作:千α

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甲子園が熱い!!みんな頑張れ!!
オリンピック?卓球と柔道しか見てないよ!!


結果

「あれ?なんか人数増えてないかい?」

「インプラント……貴方、今までどこへ……」

「何処だっていいじゃないか。僕には僕の、戻る場所があるんだ」

 

(ヴィラン)連合のアジトであるその場所に、インプラントは足を踏み入れる。初めに目に付いたのは、見たことのない青年少女、そしてブローカー。

 

「インプラントじゃないか、久しぶりだな」

「やあ、ブローカーくん。何年か前にこの身体(・・・・)の居場所を教えてくれた時以来だね」

 

 インプラントは葬儀屋(アンダーテイカー)と手を繋ぎながら、もう自分の特等席になってしまったカウンター席へ腰をかける。

 

「死柄木くんは?」

「先ほど出ていかれましたよ」

「なんだ、入れ違いか。久々なんだし、構い倒してやろうかと思ったのに。

 ……とりあえず自己紹介しよっか」

 

 インプラントは目の前の2人にニッコリと微笑みかける。その間に、葬儀屋(アンダーテイカー)は自分のリュックの中から魔法瓶とティーパック、角砂糖の入った陶器、ティーカップを取り出し紅茶を淹れる準備を始める。

 

「僕はインプラント、こっちは()らの一人で葬儀屋(アンダーテイカー)だ。仲良くやろう」

「トガヒミコです!仲良くしましょう!」

「……荼毘だ。まさか、こんなところで会うなんてな…」

「ああ、僕のことを知ってたのかい?えーと、荼毘くん?」

 

 笑を絶やさないインプラントは、荼毘と名乗った青年が自分のことを知っていることに少し驚いた。

 

「有名だろ、史上最悪の科学者・インプラント」

「あー、僕ってそんなふうに呼ばれてんだ。まあ、呼び名なんてどうだっていいさ。

 そっかー僕って有名だったのかー」

「白々しいわよ、()

「ああ、僕が有名なのは勿論身を持ってよく知ってるよ」

 

葬儀屋(アンダーテイカー)の淹れた紅茶に角砂糖を3つほど入れ、一口飲む。

 

「それにしても、その身体(・・)でその話し方は、少し違和感があるな」

 

 ブローカーはタバコを吸いながらインプラントに話しかける。

 

「そうかい?僕は結構気に入っているんだけど……」

「そりゃあ、気に食わなかった相手をこうも支配しているんだからな…」

「ま、安心しろよ。コレ(・・)、もう死にかけてるからさ」

 

 インプラントのまぶたが薄ら開かれる。荼毘とトガは、そのまぶたの向こうを見た瞬間背中に何かが這うような感覚を覚える。目がないこともそうだが……もっと違う何かに、2人は恐怖した。

 

「おいおいそんな顔するなよ、若いおふたりさん。こんなイカレた奴は世界に何人もいる……こんなのにいちいち反応してたら、疲れちまうぜ」

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

【雄英高等学校・1-A教室】

 

 

「皆…土産話っひぐ、楽しみに…うう、してるっ…がら!」

「まっまだわかんないよ、どんでん返しがあるかもしれないよ…!」

「緑谷、それ口にしたらなくなるパターンだ…」

 

 そんな会話を聞きながら、鏨は窓の外を見る。

 

──犬園さんに勝てなかった…いつの間には気絶してたし、俺も危ない、かな?

  いや、その前に筆記が危ない……爆豪くん、ごめんなさい俺多分赤点取ってます。

 

 はぁ、とため息を吐いて鏨は机に突っ伏した。

 

「ちょっと、地飛沫動かないでよ」

「鏨ちゃん、意外と髪の毛サラサラね」

「ほんと、羨ましい!」

 

 梅雨や耳郎、葉隠に髪を三つ編みにされていっているが、気にしない。なんか、どこからか殺気と嫉妬の入れ乱れた視線を受けているが、気にしない。

 

「予鈴が鳴ったら席につけ」

 

 そこで現れたのは相澤だ。

 女子3人組はそそくさと席につき、鏨は顔を上げる。髪型がなんか可愛いことになってそうだが、気にしない。

 

「おはよう。今回の期末テストだが…残念ながら赤点が出た。したがって…林間合宿は全員行きます」

「どんでんがえしだあ!」

 

 相澤の一言で湧き上がる赤点確定組。鏨も「よかった、みんなと林間合宿行けるんだ」と嬉しそうに笑う。

 

「筆記の方はゼロ」

「やったー!!」

 

 筆記での赤点はいないと聞き喜ぶ鏨。事情を知らない生徒は驚いて鏨を見るが、鏨は爆豪を見る。その笑顔はキラキラと輝いていた。爆豪もその視線に気が付いたようだが、ここで突っかかると面倒くさそうなので無視をする。

 

「実技で、切島・上鳴・芦戸・砂藤、あと瀬呂が赤点だ」

「行っていいんスか俺らあ!!」

 

 鏨は、「俺赤点じゃなかったー」と安堵しホッと息を吐く。

 

「今回の試験、我々(ヴィラン)側は生徒に勝ち筋を残しつつ、どう課題と向き合うかを見るよう動いた。裁量は個々人によるが。でなければ課題云々の前に詰む奴ばかりだったろからな。」

「本気で叩き潰すと仰っていたのは…」

「追い込む為さ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそ、ここで力つけてもらわなきゃならん。合理的虚偽ってやつさ」

「ゴーリテキキョギィイー!」

 

 ワッと湧き上がる赤点組を見ながら、鏨は試験のことを考えた。「課題とどう向き合うか」その言葉が気になった。

 

──俺の課題って、何だったんだろう……やっぱり、協調性の無さ?

 

 しかし、今はそんなことよりも林間合宿のことで頭がいっぱいになって行く鏨であった。前から送られてきた林間合宿のしおりを、鏨はキラキラとした目で見つめていた。

 

──みんなと林間合宿、楽しみだなあ。

 

 

【放課後】

 

「地飛沫!」

「あ、上鳴くん」

 

 鏨が下駄箱の前に来たところで、上鳴に引き止められる。

 

「お前、帰るの(はえ)ーよ。

 保健室行ったら、もう帰ったとか言われるし……」

「え、ごめん?」

 

 「なんで疑問形なんだよ」と笑う上鳴に釣られ、鏨も笑う。

 

「明日さ、A組みんなで買い物行くんだけど…地飛沫も行くか?」

「買い物……ああ、林間合宿で必要な物、とか?」

「そうそう。みんなって言っても、爆豪と轟は来ないみたいだけどな」

 

 そう言いながら、2人は靴を履き替え校舎の外へ出る。強い日差しを感じながら、鏨と上鳴は帰路へついた。

 

「買い物かあ……うん、俺も行くよ」

「よし!じゃあほかの奴らにも報告しねーとな。

 あ、そうだ地飛沫、連絡先交換しとこうぜ」

「うん!」

 

──地飛沫のケータイ、らくらくフォン!!

 

 鏨は自分のカバンの中から携帯電話を取り出す。実は、この携帯電話の中にある連絡先は、筋原と雄英の連絡先しか入っていなかったりする。

 

「友達の連絡先とか、初めて交換する」

「マジかよ。お前どんだけ友達いなかったんだよ」

「うーんと、いろいろあって……」

 

 その後、鏨と上鳴は他愛もない話で盛り上がった。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

【翌日、木椰(きやし)区・ショッピングモール】

 

 

「お、大きい!」

「いや、当たり前だろ」

 

 ショッピングモールの大きさに驚く鏨は、辺りをキョロキョロと見渡す。

 

「地飛沫くん、大丈夫?」

「う、うん…みんなと一緒なら、なんとかなると思うけど……」

 

 出久に心配され、鏨はあたふたしながらもなんとか答える。

 

「こんなの初めてで……ちょっと、正直に言うと圧倒されてる。あの町には、こんなところ、無かったから」

 

 苦笑する鏨を見て、出久は鏨にどういう言葉を掛ければいいのか、わからなくなる。下手なことは言えない……と言葉を選ぶ。

 

「おーい!地飛沫、靴見に行こうぜ!」

「上鳴くん!それじゃ、緑谷くんまた後で!」

「あ、地飛沫くん!」

 

 上鳴に呼ばれて、鏨は出久に手を振りながらその場を離れようとする。そんな鏨に、出久はたまらず引き止めてしまった。どうしよう、と考えていると鏨は首をかしげる。

 

「どうしたの?」

「えっと……林間合宿、楽しみだね」

「うん!」

 

 満面の笑みを浮かべ、鏨は頷いた。

 

「後で何買ったか、報告会しよっか」

「そうだね。地飛沫くんの買う物、なんか予想つかなくて楽しみ」

「そうかな?緑谷くんの買う物も、楽しみだよ」

 

 こうして2人は別々に行動することになった。

 




鏨の髪の毛は肩より少し下辺りまでの長さ。
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