【現在…林子side】
なぎ倒された木々の中心に林子は立っていた。目の前には大男の
「その斧が、貴方の個性ですのね……」
異様に切れ味のいい斧を見て、林子はそう確信した。同時に、林子だけではこの男には勝てないと。
「ふむ、やはり気付かれてしまうな……俺の個性は【万能刃物】鉄であろうがビルであろうが、なんでも一刀両断できる刃物を作ることが出来る。まあ、一つの刃物につき三つの物しか切れないのが、この個性の弱点か……」
「この様子を見る限り…その三つのうち植物と人間は確定のようですわね」
林子はキッと
「貴様の個性、その扇子が補助の役割をしているようだな……見たところ、それがなければまともに個性の範囲も、場所も決められないと見た」
──これは、慎重にならなくてはなりませんわね…。
林子の扇子を持つ手に力が入る。
それを合図に、
「むっ…!」
斧で活性化させられた植物を切り倒した
「そこか!」
「しまった!」
バランスを崩した林子の目の前に、
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「
もうそろそろ帰ってきてもいい頃の
「……あいつ、大食らいだったか?」
「ま、あとは黒霧が迎えに来るまで身を潜めてればいいだけだしな……あのクソ野郎が来たら一番なんだがな……」
本来ならば、袋の中身を
彼らの第一の目的はもうすでに達成されている。開闢行動隊の目的はもうあちら側知られてしまっているが、インプラントたちの目的は知られていない。もちろん鏨が捕まっていることも。だから
「うおっ!?」
──くそっ…足止めされたか……迂闊に動けないな。
そこにいたのは、雄英の生徒たち…目的の内の1人、爆豪勝己もいる。彼を含めた雄英の生徒3人が対峙しているのは、開闢行動隊の1人である脱獄囚のムーンフィッシュだ。
──ヤバイな…よりによって見つかると厄介なヤツに出会した。ああなると、言葉が通じないタイプなんだろうな……間違えてコッチに攻撃してきたらってのも考えて行動するか……雄英の奴らに袋の中身を見られるのも、マズイ……。
あれこれ考えているうちに、
「…っくそ」
袋を担ぎ直そうと、袋に手を伸ばそうとしたが、黒い腕がそれを阻み袋を吹き飛ばす。
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「うぐ…っぬ、ぬぁぁぁああ!?」
「な、何故だ!?扇子は……!?」
「残念ですけれど、私の扇子はただの扇子……ちょっと格好つけたかっただけの代物ですわ!」
林子の家、森賀家は他の家よりもだいぶんお金持ちである。林子の記憶をたどると、お金に困ったことは無く欲しいと言ったものはなんでも買ってもらえた記憶がある。そんな林子が、ヒーローになろうと思ったのは…あるヒーローの特集を見てからだった。扇子を持ち、堂々と
「これで、利き腕は使えませんわ!さあ、観念して目的と人数、誰の差し向けか答えなさい!」
林子はさらにその場にあったツルを活性化かせ、
「……そうさなあ…あの呪いが無ければ俺はもうとっくの昔に、この地獄から抜け出せていたんだろうなあ……」
「地獄…?いったい何を……」
「すまんな
お嬢さん、俺を捕まえるならば、今しかチャンスはないぞ」
「え、えぇ……」
林子は、
「いったい……この方は何だったのかしら?」
一方その頃…出久に洸汰のことを頼まれた相澤は、洸汰を抱きかかえて施設へ戻ろうとしていた。
「!?」
「ど、どうしたんだよ…」
相澤は、前方の気配に気が付きそのまま動きを止める。
──あともう少しで施設だってのに……味方か?敵か?
慎重に進み、相澤は進む。
そして、そこにいたのは……。
「犬園!?」
仰向けになった犬園が2人の目にとまった。青白い顔をさせた犬園を見て、相澤の脳裏に浮かんだのは「死」の一文字。急いで相澤は犬園が息をしているか確認する。
──息はある……!
「おい、犬園起きろ!」
「…っ…あ、いざわ……?」
「ここで、何があった!?」
意識が戻った犬園に問いかけるが、どうも反応が鈍い……ここでは危険だと判断した相澤は、犬園を立ち上がらせ肩を貸して施設へ戻ることにした。
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「どこにもない…くそっ…土と同じ色だから他と判断が…」
パキッ
──この音はガラス…?いや、薄氷か?この季節に……?
足元に落ちていた音の正体と思わしき、ガラスのような物を手に取り、薄暗いこの場所を照らしている月にそれを照らす。
「赤い色?……ってことは、氷じゃない…ガラスか?」
赤いそれを空にかざしていると、
「…!?
タガネか……!?」
「もう、なんか疲れた……いろいろと。だから、もう、あれ……パパッと終わらせることにしたから……」
それは死刑宣告。
不穏な気配を察知(文章力的な意味で)