え?ちゃんと初めから書けって?
いや、本当にそこら辺は勘弁してください。今考えているのを書いているとグダグダになりそうなんでゴメンナサイ!!_|\○_
友人「先生!こいつ、ただ早くステイン編行きたかっただけですー!」
ヒーロー名と
「地飛沫、教室に行くぞ」
リカバリーガールと共に悠々とあやとりをしていた鏨は、目が点になった。
保健室にそう言いながら入って来たのは、鏨のクラス担任の相澤消太だった。
「……え、と?」
「教室にいないと思ったら、やはりここか」
「でも、先生、俺一応保健室登校辞めたわけじゃないし……」
「それでも、少しはクラスに慣れてきただろう?」
確かに、最近ではクラスのみんなとも普通に話せるようになった。他のクラスにも、友達ができた。
このまま、溶け込めるのではないかと、思っていたが……。
──……たぶん、無理、なのかもしれないって、思い始めてしまった……。
みんな良い人たちばかりだ。
だからこそ、時々思ってしまう、考えてしまう、思い出してしまう最悪の
──もしかして、とみんなを疑ってしまう……。
しかし、それに加えて……彼にはもう一つ問題ができた。
──ヒーロー、殺し……。
「……何を考えているかは知らんが、後でこの授業をまたやるのは合理性に欠ける」
「あ、相澤先生!引っ張んないで!」
布で拘束された鏨はそのままズルズルと相澤に引きずられていく。
「地飛沫、はよー」
「おはよう、みんな」
鏨は教室につく頃には抵抗することを諦めた。
時間に煩い相澤を怒らせないよう、鏨はすぐに自分の席に向かう。
鏨の席は一番後の窓際。
「おはよう、八百万さん、轟くん」
「ああ、おはよう」
「おはようございます、地飛沫さん」
席の近い二人に挨拶をして席に座ると、相澤が今日の"ヒーロー情報学"の授業について説明を始める。
正直、頭の出来があまりよろしくない(表現を緩和しています)鏨は、筆記テストか何かかと思い身構える。
──読書感想文なら、得意なんだけどな……。
不安になった鏨だったが、それも杞憂で終わる。
「「コードネーム」ヒーロー名の考案だ」
「胸膨らむヤツきたああああ!!」
相澤の言葉で、教室はワッと騒がしくなる。
「ヒーロー名……」
「地飛沫さんは、何か考えていますの?」
「うん、一応」
今回の件は「プロからのドラフト指名」に関係してくるらしい。本格的に指名されるのは即戦力になりうる二、三年らしいく、今回の指名はあくまで将来性に対する「興味」に近いらしい。
「卒業までにその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんてことはよくある」
「大人は勝手だ!」
その指名が、自身のハードルになるわけらしい。
そして、今回の指名の結果は、一位が轟、二位が爆豪。この二人が圧倒的だった。
ちなみに鏨だが、少ないが両手で数えられるほどの指名が入っていた。これに鏨は違和感を覚える。
「…………」
「どうした地飛沫、難しい顔して」
「ううん、何でもないよ。気にしないで、轟くん」
轟にそう言った鏨だが、その眉間のシワは消えなかった。
──俺は今回、個性は目立つほど
トーナメント戦でも、林子ちゃんの個性で俺が個性を使う場面は、全部見えなかったはず……。この体育祭、俺は目立っていない。なのに、この数は……おかしい。
鏨の脳裏に浮かぶのは、世界で一番嫌いな個性を使う
──まさかね。
「これを踏まえ…指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう」
「!」
職場体験。
つまりプロのヒーローの活動を間近で見ることができるチャンスだ。
「おまえらは……あー、地飛沫以外は一足先に経験してしまったが」
「正直あの頃は、迷惑かけてすまんかったと思っています」
「……プロの活動を実際に体験して、より実りある訓練にしようってこった」
鏨の一言に相澤は何かを言おうとするが、その口を閉じ授業を進める。
おそらくめんどくさかったのだろう。
「それでヒーロー名か!」
「俄然楽しみになってきたァ!」
鏨も周りと同じく、ヒーロー名を考えるが楽しみだった。
さきほど考えていた、違和感の正体も、もう頭の隅に追いやっていた。
「まァ仮ではあるが、適当なもんは……」
「付けたら地獄を見ちゃうよ!!
この時の名が!世の中にされそのまま、プロ名になってる人多いからね!!」
「ミッドナイト!!」
A組にやって来たのは、体育祭で一年生の主審を務めた、18禁ヒーローことミッドナイトだ。
相澤はこういったことは苦手らしく、このままミッドナイトに授業を任せるようだ。
──ヒーロー名……。
「名は体を表す」
相澤の言った言葉が、鏨を考えさせた。こうなりたいという自分を、その名前でイメージ付ける……。
配られたボードを、鏨はしばらく見つめた。
「思ったより、ずっとスムーズ!残っているのは、再考の爆豪くんと……飯田くん、地飛沫くん、そして緑谷くんね」
そのミッドナイトの言葉が後押しとなり、鏨は恐る恐ると手を挙げる。
「えっと、コレにしようかと、思う」
──汚っ!?
──字が汚い!
──字汚!
──タガネ語!?
鏨が前に立って、自分のヒーロー名を書いたボードを発表する。
「えーと、キサゲ、でいいのよね?」
「あ、はい」
なんとか解読できたミッドナイトが、鏨に問いかけた。
「なんでその名前にしたの?」
「えっと、育て親?みたいな、そんな人の、あだ名だから、かな?」
「育て親?」
「うん……じゃなくて、はい」
鏨は少し恥ずかしくなったのか、俯く。
「育て親って、前に言ってた地飛沫の師匠?」
「ううん、別の人。
えっと、その師匠も、良い人だけど。この人は、何ていうか、努力する人で……でも、雄英に、ヒーロー科に入れなかったから、俺が頑張ろうって……ワイヤーの使い方は、この人からの伝授で……えっと、ワイヤーの師匠?」
その一言に、教室はざわつく。
鏨が個性を使わなくとも強い理由の一つが、そのワイヤーさばきだ。それを教えた
「なんで、雄英に入れなかったの?」
「………えっと、キサゲは無個性、だったから」
無個性。
この世に2~3割程度しかこの世にいない存在。そんな存在が、個性を持った者との競争に勝てるか……答えは否に等しい。
教室がさきほどと一変してシンと静まる。
「……あ、後は…このヒーロー名だったら、たぶん、
鏨はこの空気に耐えきれなくなり、それを言うとそそくさと自分の席に座る。
その途中、飯田と目が合った鏨だが、すぐに目をそらした。
飯田はそんな鏨に違和感を覚えたが、そこまでで考えるのをやめた。今はヒーロー名をどうするか、それを考えないといけないと思っていたからだ。
「職場体験は一週間。
肝心の職場だが、指名のあった者は後で個別にリストを渡すから、その中から自分で選択しろ」
授業の後、相澤にそう言われる。
鏨は何件か指名があった。
そのため、リストから選ばなくてはならないのだが……。
──正直、不安しかない。
A組のみんなと初めて会った時みたいになったら、どうしよう……!
そして、運命の職場リストを選んだ鏨は、目を見開き……さきほどとは売って変わり歓喜に目を光らせていた。
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【一週間後……】
「地飛沫くんは何処にするの?」
「え?」
出久の席にお茶子と共に集まっていると、不意にそう質問される。
「ほら、地飛沫くんって人見知りでしょ?大丈夫なのかなって……」
「あ、そのことなら心配しないで」
人見知り、厳密には人間不信なのだが、お茶子はそのように認識しているようだ。確かに、出会いは衝撃的だっただろう。
「いいところあったの?」
「うん、コレ……」
鏨は先週貰ったリストを出す。
その一つに青色のマーカーで線が引かれている。
「『理王の
「うん」
「意外、地飛沫くんは、もっと戦闘に特化しているところに行くと思ってた」
「あれ?理王って確か、もう引退してるヒーローだよね?」
流石出久だ、そこまで把握しているなんて……。
「理王は、えっと、本名は筋原理乃さんって言うんだけど。俺のアパートの大家さんで……」
「えぇ!!?」
「ちょうど、日程がいい感じだしって、指名くれて……でも、今回だけだから次はちゃんと決めろって言われた」
しかも、今回の教室開催場所はあの保須市だ。
ヒーロー殺しが現れ、その混乱の中で市民に安全安心をと思い、保須市が直々に筋原に頼み込んだそうだ。
「保須市、ちょっと気になることあって……」
「……ヒーロー殺しのこと?」
「え?」
出久にそう言われるとは思っていなかった鏨は驚く。
確かに鏨の目的は"ヒーロー殺し"だ。だが、そう言った類の話を出久にしていなかった。鏨は何故かと出久に問いかける。
「…ほら、最近の保須市って言えば…ヒーロー殺しだし……」
「……そっか。うん、そうちょっとね、ヒーロー殺しのことが、気になったんだ」
鏨はそう言って笑う。
その笑顔は、少し寂しそうだった。
職場体験ってまりトライやる・ウィークとかインターンシップみたいなもんでしょうかね?
懐かしいな、トライやる・ウィーク。もう何年前のことだろう……。