目指せ、世界一!   作:ちょこ

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003 お月見山の頂上にて

「アオイぃ、まだなの〜?」

「ちょっと待ってよ。まだ真昼間じゃないの」

「いいじゃん〜。ピィかピッピ〜」

「夜にならないと会えないよ」

「むぅ」

 

 お月見山なう。

 妹は、なかなか捕獲活動を始めようとしない私に向かって仏頂面だが、私は今、ヒトカゲの育成をしている。

 初登場? そりゃ、旅立つ直前にもらったからね。お父さんのリザードンの子供なの。

 小さい頃からアルバイトをし、バトルで様々な人からお金を巻き上げてきた私は、かなり裕福なお財布を持っている。

 だいたいのトレーナーは、生活費などを入れたカードと、賞金用の小銭入れを持っており、普段はカードで買い物をする。

 何が言いたいかというと……

 

 生まれたてヒトカゲをヤク漬けしています。

 

 別に悪いことじゃない。麻薬とかソッチではなく、タウリンだのマックスアップだの、ドーピングアイテムを使っているだけだ。

 ゲームとは違い、タウリン×10とタウリン十分の一、などというように計れるので、最初に全部努力値を固定出来るため大変便利だ。よって、私のヒトカゲ———ルージュは、周りの生まれたてヒトカゲよりは若干優れている。

 ここからはレベル上げ。なのだが……。

 ルージュは、水をかぶるのが嫌いなようだ。

 お月見山内を流れている小川でレーヌとクロエが水を飲んでいるとき、ルージュは何故飲まないのか不思議に思っていると、水が超絶苦手だからなようだ。

 つまりは、相手がこちらにメタを張ってきた場合、この子は出せなくなってしまう。

 よって、まずはルージュを水に慣らすことから始める。

 この子は、多分将来的に私のパーティでエースとなる子だ。メガストーンも、片方なら用意してくれるとお父さんも言っている。多分、お父さんのリザードンと同じやつだろうが、この子はエースとして、水タイプにも臆面なく攻撃をしていかないといけないのだ。

 ルージュを説得し、まずは水を触って———

 

 ———などということからなどは始めない。

 

 なみのりを仕込んだレーヌと共に、嫌がるルージュを無理矢理水につける。レーヌがルージュに水をバシャバシャかける。ルージュから力が抜ける。

 これを何度も繰り返し、3時間経過。普通であったら、フワフワが湿るのを嫌がるはずのチルタリスの中でも例外な、クロエですら水浴びを楽しむ様子を見て、ルージュも諦めてレーヌやアカネと一緒に遊び始めた。水に慣れたようで何よりである。

 この調子でいけば、もしかしたら水に耐性がつくかもしれない。メガリザードンXならまだしも、リザードンやメガリザードンYだったら耐性がついていた方がありがたい。

 

 

「……そろそろ暗くなってきたね。とりあえず、ピィを探しに行こう」

「ピッピじゃないの?」

「あれ? なつき進化、させてみたくないの?」

「したい!」

 

 アカネのポケモンとはいえ、私は厳選をするつもりだ。アカネとは、今後わかれて旅をすることになるだろうし、アカネのことだ、育成についても、タイプ相性についてもまだまだわからないことだらけだろう。

 この子は特殊アタッカーに向いているだとか、すばやさは低いだとか———ベテランのトレーナーなら感覚でわかるだろうが、転生者でもなく、また、新米トレーナーであるアカネにはわからないはず。

 だから、姉としてはサポートするつもりだ。

 少なくとも、特攻にはVが欲しい。

 

 しかし、現実で厳選するとなると、あとで待っているのは地獄だ。それだけは避けなければならない。

 だから、そうならないようにするのだ。

 

「あ、ピッピ見っけ。レーヌ、よろしく」

「ピッカー」

 

 レーヌがピッピに近付き、話しかける。最初は警戒していたものの、レーヌの話を聞くとピッピは頷き、私達に手招きをした。

 そして、向かったのは———

 

「わぁ、綺麗……!」

 

 お月見山の頂上。

 湖には月が映り、その周りをピッピやピィが囲んでいる。

 先ほどのピッピが、リーダーらしいピッピに声をかけると、そのピッピが近付いてきた。

 私はしゃがんで目線を合わせると、話しかける。

 

「こんにちは。私達、旅をしているトレーナーなんだけど、お願いがあるの。私の妹、アカネっていうのだけど、最初のパートナーのポケモンを探しているの。一緒に旅していいっていうピィが居たら、紹介してくれないかな?」

「ピィィ?」

「うん、出来ればピィがいいかな。お願い出来る?」

「ピィッ!」

 

 交渉成立。

 ピッピがピィに声をかけ、何体か連れてくる。

 何年もレーヌと戦い、また、お父さんの激戦を間近で見続けていた私は、どの子も1V以上だと見抜く。ピッピに目を向けると、サムズアップを返してきた。ピッピなりに、アカネに気遣いをしてくれたらしい。

 ただ、意外に量が多い。10体ほどいる中でアカネが戸惑っているので、申し訳ないがここから絞らせてもらう。

 そして残ったのは、HP、特攻、特防がVのピィ3体。HPがVの個体、特攻がVの個体、HPと特防がVの2Vの個体。

 私としては、どれでもいいと思う。あとはアカネとの相性次第だ。

 アカネは、全員を撫でたり、声をかけてみたりしたあと。2Vのピィを抱き上げた。

 

「この子がいい」

 

 一番アカネにアピールしていたためだろう、アカネも気に入ったようだ。

 ピッピも頷いているので、大丈夫だろう。

 

「名前は何にするの?」

「エラ! 私、決めてたの!」

 

 ピィ改めエラも嬉しそうだ。

 アカネが、自分で初めて買ったモンスターボールをぎこちなく投げ、エラをボールにおさめる。

 カチ!

 無事に捕獲完了したようだ。

 エラを再びボールから出し、アカネは抱き抱える。

 

「ピィッ、ピィ」

 

 ピッピが服の袖を引っ張り、アカネにバレないように何か包みを渡してくる。その手触りで何かを悟り、ピッピに礼を言う。

 さぁて、今夜はここで野宿をするとして、明日出発しましょうか。

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