本当は1500くらいでおさまってたけど。
風呂や銭湯というのは、日本独自の文化である。
しかし、当然ながら水が苦手な吸血鬼であるお嬢様の住む、紅魔館に浴槽などない。
シャワーすらもなかったらしく、パチュリー様がお嬢様の許可を取って作ったものがあるだけだった。
「私の住んでいるところには、風呂がなかったのよ」
そうやってポロっと漏らしたら、黒子に銭湯に連れてかれることになった。
美琴はそのときいなったから、二人で。
「……普段は私も行きませんけど、時々は行ってみましょうよ」
地底から湧き出る温泉には入ったことあるんだけどなぁ、と思ったものの口には出さないようにした。
地底なんて言ったら怪しまれるに決まってる。
楽しそうなことには割り込みたいが、面倒ごとはなるべく避けたいのだ。
けど、寮を出たあたりで黒子はジャッジメントの仕事が入って行ってしまった。
私は他に行くアテもないし、銭湯に行く気が少なからずあったので一人で銭湯に向かった。
着いたらボロッボロだったけどまあいいやって思って入って、すぐ出た。
長居する理由もない。
銭湯を出たら、長居したつもりはないのにもう空は夕焼けだ。
長居してないと思っても、している。うーむ、風呂とは怖いものである。
銭湯の外にあった時計をみると門限まであと少しだ。
私は特に急ぐことなくのんびりと寮へと向かった。
「インデックス?」
「あれ、咲夜?……もー、とうまったらひどいんだよ?」
会うなり私はインデックスに愚痴られた。
もうすぐ門限だが、出会えたことはちょっと嬉しい。
そのとき、後ろから何者かのわずかな神力、魔力、霊力を感じ目を細めた。
インデックスがどうしたの?と問いかけてくるが、なんでもないと返した。
と、いうことは場慣れしているはずのインデックスも、気づかないほどの結界か何かが張ってあるのだろう。
彼女は銭湯に行くと言っていた__私は門限があるからと言って、彼女と別れた。
さて、と。
まずは許可書を取らないとマズイだろう。
時をとめ、寮に帰り、書類を揃え、必要なハンコを無断で集め、寮監に提出した。
「……了解した」
そう言われ、私は部屋を出るとまた時をとめて銭湯の方面へと飛んでいく。
上条当麻の人影を確認したところで私は時を動かした。
「彼女は、大切な親友、なんですよ__」
動かすなり聞こえたのはそんな絞り出すような声だった。
私は物陰に隠れ、気配を消して声を聞いた。
インデックスは一歩でも間違えると天災に転ぶ天才だと。
一年ごとに記憶を消さなければならない体で、消せないと死んでしまうと。
記憶を消す時、罪悪感に駆られないよう__また、インデックスが裏切られたと苦しまないよう敵を名乗っていると。
そう、神裂火織と名乗る女性は言った。
「なんで、誤解させてるんだよ!なんで、敵として追いかけ回してるんだよ!何勝手に見限ってんだよ!
「うるっせぇんだよ!ど素人が!」
上条当麻の声に、神裂火織がキレた。
「私たちが、今までどんな気持ちであの子の記憶を奪っていったと思ってるんですか!?分かるんですか、あなたなんかに!!」
そのとき、唇をぎゅっと嚙みしめる神裂火織が一瞬見えた。
私はまだだ、と自分に言い聞かせて物陰に隠れる。この前に一戦したのか、上条当麻の
神裂火織に斬られ、血がポタポタと地面に落ちているが、彼はまだ倒れない。
おそらく、
そんなのに斬られても、屈しない上条当麻はやっぱり不思議だった。
「うるっ……せぇっつってんだろ!テメェはなんのために力をつけた?その手で何を守りたかったんだ!?」
弱々しい拳が、神裂火織の顔面へと叩き込まれる。
その瞬間、当麻の拳からどばっと血が溢れだしてきた。
けど、神裂火織は後ろへ倒れこんだ。その、弱々しい拳によって。
なに、やってんだよ、そう言ったあと、彼もどさりと倒れこんだ。
「……行きましょうか」
私はそこへと足を運んだ。
二人の他に、人の気配を感じて振り返ると、神父らしき人間が立っていた。
「なんの用だ?」
「……そんなの、上条当麻を回収しにきたに決まってるじゃないですか」
「__そうか」
それだけ言葉を交わして、私は当麻を背負うと小萌先生のアパートへと向かい始めた。
赤髪で目の下にバーコードをつけた神父は、立ち去るのをじっと待ったあとに自身も神裂火織を起こして去っていった。
私が小萌先生の家に当麻を届けたら、小萌先生が驚いて迎えてくれた。
少し上がらせてもらって、当麻の傷の手当てをして紅茶を淹れて少し休んだ。
傷は小萌先生の家にあった消毒液を使用して、包帯を巻かせてもらった。
「……慣れてますねぇ」
「まあ、生傷が絶えない生活をしていましたから」
え?と小萌先生が若干引いたっぽいが、気にしないことにする。
「私の能力が使えれば、時を進めて綺麗にしてあげれたのですが……なんせ、一番の大怪我が右手ですから」
「ああ、上条ちゃんの能力ですかぁ」
私はソファに寝かせていた当麻をお姫様だっこで抱き抱えて、小萌先生が敷いてくれた布団に寝かせた。
「……力もちですねぇ……」
「慣れてますから」
男性がほとんどいない
「インデックスは?」
「そ、それが……」
二人の間に重い空気が流れた時、バンッ!とドアが開いた。
「!鍵かけるのわすれてました」
あっちゃー、と小萌先生は頭を抱えるが、私がインデックスですよ、と言うと良かったです、と心底安心したかのように笑った。
「とうま〜っ!」
私は立ち上がって当麻のいる部屋を出た。
「さっきぶりね。インデックス」
「あ、咲夜……とうまは?」
すごく嬉しそうなところ、申し訳ないが真実は知ってもらうことが大事である。
「……こっちよ」
私が当麻のいる方へとインデックスを案内すると、インデックスは言葉を失ってしまった。
さっきまでの嬉しそうな顔は一瞬で消え去って、顔が急速に青くなる。
「とう、ま」
私は表情を消し、部屋を出て小萌先生に別れを告げた。
「もう帰るんですかー?」
「ええ、もうすぐ外出許可の時間を迎えますから」
それからまたセピア色の空を飛んだ。
寮に帰ってから無断で厨房に入り、インデックスの分の料理を作って、置き手紙と共にちゃぶ台に置かせてもらった。
咲夜さんが料理を作ったのは、なんとなくの気まぐれです。
えーと、4日から小説を5日程書きません。
間に合えば、そうですねぇ、午後7時に予約で投稿します。
ってことでよろしくお願いします。
間に合うはどうかは五分五分です。