次の日の夜。
「十六夜、電話だ」
寮監に呼び出され、私は寮の電話を受け取る。
「もしもし」
『……名前は上条当麻に教えていただきました。夜分に失礼致します』
「はあ、あなたは昨日の神裂火織でよろしいのですね?」
『はい、まあ』
神裂火織からだった。
『本日、月詠小萌のアパートへと来てください。今日、インデックスの記憶を消す予定です』
神裂火織は感情のこもっていない声でそう言った。
『12時。その時間に来てください』
「……それを、なぜ私に?」
疑問である。
なぜ、私?上条当麻でなく。
『それは……なんとなく、ですよ。あっ、ステイ……じゃなくて、あの神父には内緒に』
「わかりました」
私は受話器を置いて、寮監に挨拶をすると部屋に戻った。
そして12時を待ち、時を止めてその場所へと飛ぶ。
「……ちょっと遅かったですかね?」
「なっ……!?」
私が開け放たれたドアから入ると、既に二人は来ていた。
神裂火織は無表情で私を見つめ、赤髪の神父は声をあげ、当麻は目を丸くしている。
「……彼女の記憶を消すのでしょう?私はそれを見守りにきたのです」
「咲夜……」
それを教える理由はない。
悔しそうにする当麻は、最後の足掻きを決めたようだ。
「
私は答えずに当麻を見るだけ。
彼は頭が悪いようだ。
「そこを頼れば……」
はぁ、と私はため息を吐いた。
「と、いうか。あなたは、脳に関して本当に学んでいるの?きたばかりの私でも、これくらいわかるわ。魔術師二人も、今だけは科学の知識を聞きなさい」
すると、神裂火織は私をチラリとみてすぐに視線を戻した。
一応聞いてくれるのだろう。
当麻は早く言ってくれと言わんばかりの表情をしている。
「……意味記憶、手続記憶、エピソード記憶。これらは記憶の種類のこと。引き出し、とでも言っておきますが。
意味記憶とは知識のこと。そして思い出はエピソード記憶。どちらも入る引き出しが違うのだから、意味記憶がいくら一〇万三〇〇〇冊の魔道書で埋まっていたとしても思い出の入ったエピソード記憶がいっぱいになることはないと思わない?」
「……なんだと?」
赤髪の神父は怪訝そうに眉をひそめ、私の話に耳を傾ける。
「だから、科学上、一〇万三〇〇〇冊の魔道書で頭がパンクすることはありえない」
私は感情も込めずにそう言って当麻の右側につく。
「と、いうことは何者かが彼女のエピソード記憶に細工をしているということ。そう、一年でいっぱいになってしまうように。
この流れからいって、魔術師でしょうね。なら、ここに適任がいるじゃない」
と、私は当麻の右手を取ってみせる。
この力を使えば、恐らくそんな幻想もこわせるだろう。
「……まあ、簡単にいくとは思わないけど」
たとえば、解除した途端魔術が発動したり。魔力がないと彼女は言っていたが、こういう時に備えていたという可能性もある。
「……なん、だ、と?」
神裂火織も、瞳孔が一瞬にして開き、私たちのことなんて見えていないようだ。
「じゃあ、それを俺がぶち壊せばいいんだな?」
「まあ、恐らくそうよ。そのかわり、代償がくると思いなさい。あなたが打ち消すものは、こいつらより更に上の魔術師による魔術。どんな仕掛けが待っているかわからないわ」
私は魔術に詳しくないからわからないが、それなりの魔術は見てきたつもりだ。
パチュリー様の多種多様なものだけでなく、アリス・マーガトロイドの人形を使ったものや、魔理沙のような型にはまらない威力しか考えないものに聖白蓮みたいな身体を強化するもの。
そういえば、あの人たちは皆、『魔法使い』と名乗っているがその違いはなんなのだろう?
魔術と何が違うのだろうか?
「んな覚悟、とっくに出来てる」
「そう……と、なるとその魔術はどこにかかってるのかしらね」
脳に一番近いのはつむじだが、そこを触ってもなにも起こらなかった。
「……もしや」
当麻ががばっとインデックスの口を開くと、そこには黒い不気味なマーク__
一瞬躊躇したあと、当麻はぬるりと口の中に手を滑らすとそのマークに触れた。
「__っ」
魔力の流れを感じ、私は咄嗟に時を止めて後ろに下がる。
バチンっ!
そんな鈍い音とともに、上条当麻は吹き飛ばされた。
先ほど感じた魔力の流れは嘘じゃなかったのである。
ぱたぱた、と布団や畳の上に上条当麻の血がした垂れ落ちていき、それは上条当麻の傷が再び開いたことも意味していた。
「……」
インデックスの目は静かに開き、その向こうには紅い魔法陣が見えた。
これは、思ったよりもヤバイ魔術が発動してしまったらしい。
「__警告」
おそらくこれは、インデックスの能力について知ったものが魔術を解除してしまった場合に組まれた
それに魔力をつぎ込まされたからインデックスは魔力を失ったのである。
『警告』をつらつらと語るインデックスはやがて、【
凄まじい音とともに亀裂のようなものが部屋中に駆け巡る。
不意に当麻をみると、彼はふるふると震えていた。
「当麻?」
「あははははははははははははは!!」
私は一瞬、彼は怖いのかと思ったが、それはすぐに思い違いとわかる。
「咲夜っ!これで、インデックスが助けられるんだ!」
うーん……この更新を最後に本当の不定期更新にします。
理由としては、一日一回更新をするには私の実力が足りないのと、そんなことする時間がもう無くなりつつあるのと、夏が来るにあたり部活が長引くなどがあります。
あと、願望として一話をもうちょい長くしたいし、東方とももっと絡めていきたい。常盤台ネタもどんどんだしたいのもあるし、ジャッジメントですの!とか黒子に言わせてみたい。
更新が早いだけの小説ではなく、読みやすくて面白いものにしていきます。
よろしくお願いします。