先ほどと比べたらずっとすくないけど、これで2巻が終わります。
私は当麻を背負って病院へと運びこんだ。
インデックスは時を止めて当麻の男子寮に寝かせた。
ステイルはその場で別れを告げた。
「__あの子は一体どうなっているのかね?」
「さあ、私にもわかりません」
カエル顔の医者の問いに、私はわからないと返す。
医者は、そうか、と言ってくれたけど恐らく疲れて寝てしまっているらしい当麻が起きたら再び聞くつもりなのだろう。
「では、さようなら」
私はくるりと振り返って病院を出ようと歩み始める。
この塩素の匂いは、どうも気に入らない。
「ちょっとまて」
「__何の用?ステイル」
ステイルの視線を感じ、振り返ることなく問いをだす。
「__なんでもない」
「そ。もうすぐ朝ごはんだから、失礼するわね」
瞬間移動のような形で、寮の食堂へと入ると美琴や黒子と朝食を食べた。
「ねぇ、美琴、黒子」
「なに?」
「なんでしょう?」
「携帯、買おうと思うんだけど」
で、私が買ったのはガラパゴス携帯。通称、ガラケーというやつだった。
黒子に用途を聞かれ、電話がメインだと答えると、今度は美琴がネットは使うかと聞いてきた。あまり使わないと言ったら、ガラパゴス携帯を勧められた。
理由は、まだ携帯に慣れていないことと、用途がスマートフォンを必要になるほどではないからだそうだ。
まあ、私は電話や少しのメールくらいしか使う予定がなかったのでどうでもよかったのだが。
「それにしても、契約って長いのね。まさか3時間も食うとは思わなかったわ」
「ま、携帯を買うということはそんなもんですわ。でも、なんでいきなり携帯を?」
「必要な気がしたのよ。何度も寮の電話を借りるわけにもいかないじゃない?」
そうね、と美琴が言う。
それから美琴が急用を思い出したと言って焦りながら走り去って行き、黒子は黒子で
私はその足で、病院に向かう。
病室に入るとインデックスと当麻がいた。
「あ!咲夜!」
「おはよう、インデックス、当麻」
私は昨日の夜とは全く違うこの世界に思わず笑ってしまう。
「なんで笑ってるんだ?」
「__特に意味はないわよ。そうだ、当麻。携帯買ったの。今度からはこちらに電話してちょうだい、昨日のようなことはみんな大歓迎よ」
そして、覚えたての赤外線通信__先ほど美琴たちとやった__で、連絡先を交換した。
その水面下で、また楽しそうなことが起こっているとも知らずに。
「ねぇ、咲夜は今どんな感じなの?」
「楽しそうよ?あなたの望んだ、人間らしいけど強いメイドになりそうね」
ふふ、と妖怪の賢者は笑う。
レミリア・スカーレットは満足そうに美鈴の淹れた紅茶を口に運ぶ。
「聞いてもいい?」
「なにかしら」
「私が咲夜を、外の世界に出してみたいと言った時にすぐに受け入れたのはなぜ?おかげで美鈴の代わりの門番を用意する時間がなかったじゃない」
隣についていた美鈴が、にゃははと笑う。
彼女はいつものチャイナ服ではなく、メイド服を着込んでいた。
十六夜咲夜の代理メイド長だ。
彼女も、咲夜ほどメイドに向いてはいないが立派なメイドなのである。
「スカーレット嬢は知らないかも知れませんわね」
と、紫は胡散臭く笑う。
「実は今、外の世界で戦争が起きようとしている。魔術と科学の戦争。私もそれに、興味があるのよ。そのためにもスパイは必要でしょう?」
「あら、私のメイドを利用するの?」
「信用してくれないの?利用なんてしないわ。でも、きっと彼女なら好奇心に導かれて自ら参加するでしょうね」
レミリアは考えるように紅茶を飲み干した。
「美鈴、おかわり」
「あっ、はい」
ふたりの間に沈黙が流れる。
「で、本来の目的は?」
「__じきにわかりますわ」
「じゃあ、魔術側について詳しく教えてちょうだい」
「いいでしょう」
紫は扇子を広げ、口元まで持ってくると魔術側の情報を話し出した。
パチュリーも知らない、最新の情報だ。
「ふぅん、そう。ローマ……ね。それも十字教じゃない」
「あら、やはりダメ?」
「いいわよ、別に。もうここに来たらそんなのなんかに興味はないわ」
場を見計らったかのように現れた美鈴が、紅茶を注ぐ。
そして、それをふたりして口に含んだ。
「結構楽しそうじゃない?あなたも参加するの?」
「いいえ、私は手綱を引くだけですわ」
それもまた楽しそうね、とレミリアは笑う。
「霊夢は乗り込ませるつもり?」
「いいえ、今回はお宅のメイドだけ。まあ、ちょっとくらいこちらの味方を作るつもりですけど」
こちら、紅魔館。
紅い館での静かな茶会は今、幕を閉じた__
『では、第一次実験を__』
『ミサカは、銃を__』
『お姉様?随分と遅いんですのね』
『なんで!?実験は終わったはずじゃ』
『先ほど、第一〇〇__』
咲夜さんが携帯買いましたね。
美琴が苦労した連絡先の入手を簡単にこなしてしまいました。さすが。