とあるメイドの学園都市   作:春月 望

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幻想郷との認識の違い

元春と神裂火織が一瞬にして言葉を失う。

私はパチュリー様ってそんなすごい人だったんだと内心思いながら霊弾を生み出した。

 

「で?やるの?さすがに聖人相手に勝てるわけないし、ゲームにしてもらいたいんだけど」

「ッ!」

「まーまー。よくわかんねー殺気を二人してださないでほしいぜよ」

「……そうね」

 

ふぅ、と私は霊弾を引っ込め、殺気も収める。

それを見て目の前の神裂火織も刀を収めるとこちらを軽く睨みつけて終了した。

 

「……なあ、話割るけど。つ、土御門って……」

「ああ、オレも『必要悪の教会(ネサリウス)』の一員だからにゃー」

 

ぎょっ!?と当麻が目を剥く。

 

「でしょうね。魔力を随分と前に使用した形跡があるもの」

「そうなのか!?」

「……なにをそんなに焦ってるんだか。インデックスの時も魔力感知してたでしょう」

 

私にとって、魔力とはすぐそばにあるものだ。

週に一度は魔理沙がやってくるし、しょっちゅう図書館ではパチュリー様が魔力を注いで実験を繰り返している。

妹様の能力も、多少魔力が使用されているらしく使うたびに微力ながら力を感じる。

 

「ふーん……えっと、咲夜は魔術師なのかにゃー?」

「私は能力者よ、レベル3の時間操作(タイムオペレーター)だもの。さっきも言ったでしょう?魔術は知り合いがやっている程度」

「それでも普通は感知なんて出来ないにゃー……それも、最近魔術を使ってないオレの魔力を感じるとか只者じゃないにゃー」

 

____なぜか私に話しかけるときだけにゃーにゃー言いまくっている元春に突っ込むのはやめておこう。

とりあえず、どうしてこんなにも私は魔術師だと疑われているのだろうか。

 

「ああ、でも、能力(コレ)は天然だけどね。発生源は演算じゃないっぽいし……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「__________え?」

「友人もみんな脳内で演算してるらしいじゃない?空間移動(テレポート)をもつ友人にしか聞いたことはないけど私は演算なんてしないわ」

 

無意識に計算してるのかもしれないけど演算なんて大層なものではない。

で、今の沈黙はなんだったのだろう。

別段おかしなことは言っていなかったと思うのだけど。

 

「演算、しないのかにゃー?」

「ええ、なんかフッと。まあ、当麻のように無意識に行えるものではなくてなんとなく意識しないと出来ないけどね」

 

私は時を止めて、また戻す。

それだけの動作だが、疲れることはない。

霊力を注いでいるのかもしれないけどそんなの意識したことがない。意識しているのに、無意識なのだと思う。

 

「そ、それは魔術なのでは……」

「魔術や魔法って色々準備必要でしょ?そんなの必要ないもの。なんでそんなに疑り深いのかしら?」

 

ゔ、と魔術師二人が目線を逸らす。

そして、沈黙を破るように神裂火織が口を開く。

 

「あの、弾幕ですよッ!あれが魔術でないといえば、なんだと言えるのですかッ!」

「そういえば弾幕展開してたかしらね。あれは霊力よ」

 

まあいいや、なーんて考える私はすっかり幻想郷の色に染まってしまっているのだろう。

 

「霊力……?あれは確か、微力すぎて使えないんじゃ……」

「それはただその人間が弱いだけ。私の周りの人間はほとんど霊力持ちよ」

 

時々基準がよくわからなくなるのだけど、幻想郷では霊力を多めに持っているのが当たり前なのである。

普段の生活で妖怪に脅かされるのが当たり前だからか生存本能で身につけているのかもしれない。そうしたらなぜ私が霊力を持っているかわからないのだが。

 

「あと、あれはゲーム用だからね」

「ゲーム……?」

「ゲームよ。当たったって死にはしないわ」

 

一つ霊力を手のひらに浮かべて見せると、興味深そうにそれを三人して見つめる。

 

「だからこれだったら何発でも出せるの。それだけ。魔術のなんの要素もないけど」

 

パンっ!と上に向かって撃てば、花火のように弾けた。

 

「うわ、すごい!」

 

何も知らない美琴たちが見上げ、それぞれに歓声をあげる。

花火は花火でも、これは霊力でできているため色を持っているのだ。

 

「綺麗……」

 

そうこぼす当麻に思わず微笑む。

 

「ふふっ。これがいい酒のつまみなのよね。美味しい日本酒を手元に置いて、見るのよ。ワインでもいいけど」

「え、咲夜って……」

「ああ、ここじゃ二〇歳未満は飲んじゃだめらしいわね、美味しいのに。ねぇ、元春?」

「そうだにゃー。仕事終わりに飲むのもまた格別なんだにゃー」

 

なんとなく直感で元春もイケる口だろうと思ったら、本当にイケるらしい。

神裂火織はなんとなく嫌そうな顔をしていたが、見るに飲んだことはあるっぽいし、今度呑もうと密かに決めた。

当麻はといえば、信じられないとでも言いたげな目でこちらを見ていた。

 

「美味しいわよ?お酒」

「いや未成年だから」

「いいじゃない。常識に囚われちゃいけないって言ってる知り合いもいることだし」

「………………」

 

と、お酒の話に気づいたらなっていたのだが、本題があるらしい。

なんとなくどうでもよくなったので適当に流していたら、神裂火織に真面目に聞きなさいと怒られた。

 

どうやら、世界規模で『御天落し(エンゼルフォール)』と呼ばれる魔術が展開されているらしい。

二人曰く、住む世界だか格だかが違うために神や天使がすぐ近くにいても人間は気づかないらしい。人間は神と天使の思考には到底辿りつけないしみることは出来ないらしいのだが、そこに辿りつきたくてしょうがない人間がその魔術を展開して____というのが大筋の流れなのだと思う。

 

「ねぇ、神って本当に見えないの?」

「ええ、見えませんが」

「私、知り合いに神がいるんだけど」

「………………」

「あと天人もいるわ。天使とは違うのかもしれないけど」

「………………」

「十字教じゃないけどね」

「………………」

 

重なる沈黙。

この世界では神は見えないものなのか、初めて知った。

あまりに重いので、一応話題を変えておいた。




土御門サンカルクキンチョー。
神様が見えるのが、咲夜さんには当たり前なのです。
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