「咲夜!しばらく見なかったけどどうしてたの?」
「それに、その怪我は?」
朝、私を見るとすぐに駆け寄ってきた美琴と黒子。
「これはちょっと切っちゃって。学園都市の外にいたのよ」
「え?外?ま、まさか」
「いやいや、ちゃんと許可証はもらってるわ」
「じゃあ、ほんとに行ってきたのね」
「ええ」
こちらの常識では旅行先からお土産を持って帰るらしいが、残念ながらそれは買えなかった。
が、二人には巨大な海に行ったという話だけで十分なんじゃなかろうか。行ったことはあるだろうけど、それだけで楽しんでくれそうだ。
私は、海の話を軽くしながら部屋へと戻ることにした。
「そだ、カミやん」
「?」
土御門が、話題を変えた。
「咲夜のバックに何かがついてるって話だが……」
「ああ、そんなことも言ってたな」
咲夜はただものじゃない、と元春は言い切っていた。
空を飛べて、原石で、なんでもできる。確かに、不気味なほど万能だが、自分にとってはそれこそが十六夜咲夜で、別に今まで違和感を感じなかった。
「ありゃ、本気だ。どっかの組織のドンかもしれない」
「どんだけデカイんだよ?」
「それはわからないがにゃー。巨大なナニカであるには違いないが」
「咲夜はメイドだから、お嬢様っていつも呼んでいる人とか?」
「んー、まだ詳しくはわからないから言えないにゃー。けど、お嬢様って線は薄いと思うぜい。本当にそうなら、ボスの存在をそんな簡単に明かすわけがない。それに、おかしいと思わないかにゃー?
確かに、エリートの常盤台中学へ学園都市に来てすぐに入れるなんて、そうそうない。
どんなエリートでも、常盤台への編入はかなり大変なもので、努力の結果、よくやく編入出来るとか。
「あのナイフの投げも、自分の時を止めるなんて技も、簡単に出来るモンじゃない。それに、能力もあれは____演算で生み出してるわけじゃなさそうなんだよ」
「は?俺の幻想殺しと同じってことか?」
「いや、カミやんほどじゃない。見るに、能力の使用はなんらかの力を使って、そこからどう動かしていくかを演算してるんだと思うんだぜい」
咲夜の能力を思い出してみる。
レベルは3だと言っていたが、そうは思えないことも多い。例えば、ラグがまるでなかったり、自分の体の時を止めることができたり、何時間も(時間と数えていいのかわからないが)時間を止めることができたりと、彼女はレベル4や5と名乗ってもいいのではないかという程有能である。
あれで演算していたかと聞かれると、そうは見えない。
あそこまで長時間能力を使い続けるなんて、
……あれ?
「なんで、咲夜は御天堕しに気づいたんだ?」
「!」
咲夜は魔術が発動されたことを知っていても、それが御天堕しだとは知らないようだった。
その魔術が具体的にどんな効果を表すのかも、土御門たちに聞くまで知らなかったらしい。それを教えたのが、土御門のいうバックだというのなら、それは、魔術的なバックだということになる。
「でも、咲夜は魔術師じゃないんだろ?」
「……わからん。魔力の流れを察知する能力はあるようだがにゃー」
それから一時間程討論したが、結果らしい結果は何一つ出てこなかった。
「よし、これで課題も終わりね。外に行ってたおかげで課題終わるか心配だったのだけど、無事に終わってよかったわ」
「咲夜、終わった?」
「ええ、また行くの?」
「あったり前じゃない。咲夜も来るでしょ?」
「そりゃ行くわよ。美琴、面白いし。立ち読み中に笑うとか……ねぇ」
「ゔっ」
ちょっと少ない……けどこれ以上伸ばせない……
ここのところ毎回少ないでござる。
咲夜さん、ちょっと遅れて課題終了。