とあるメイドの学園都市   作:春月 望

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遅れました……学生だけど学生なりに暇だけど忙しくて楽しい毎日を送っていると、気づくとこんなに時間が経過している。


夏休みの結末

ギィン…………

 

異音を立てながら、ホテルの屋上が淡く輝き始めた。

巨大な光の柱が天に昇るようなそれは、魔力だけによるものではなかった。

霊力か、と一応思考を巡らせるが、それともまたちょっと違う。神力を混ぜ合わせた霊力のようだった。

先ほどインデックスが言っていた梓弓が関係してくるのだろう。神は降ろしていなくても梓弓を使用すればそれなりに神力が使われるはずだ。

 

当麻は慌ててホテルに入っていった。私はホテルの屋上へと飛んだ。

 

「__________!!……これは、結界……」

 

どのような用途に使われていようと、結界は結界だ。侵入にはリスクが伴われる。

インデックスも闇咲も私には気づかない。原本を読むことによって起こる異常に体を震わせている闇咲に必死で呼びかけるインデックスが結界の向こうに見えた。

 

「これが、原本の威力ってこと……?」

 

パチュリー様も、小悪魔も、原本を読んだところで特に変化は見られない。

私だってパチュリー様のお手伝い程度はしたことあるし、読んでいる本をチラリと見たこともある。

けど、こんな症状に見舞われたことはない。

 

「どういうことなの」

 

 

 

 

「ダメだよ!死に至る呪いをかけられた女の人を守るために、こんな薄汚れた魔道書をつかうなんてやり方は!」

 

インデックスの叫ぶその間にも、闇坂はインデックスの中にある()()()()()()を読んで行く。割れそうな脳を、必死に繋ぎ止めながら。

 

とある魔道書、とは抱朴子。仙人になるための知識の乗っている魔道書で、その中にはあらゆる病や呪いを解くための『錬丹術』が記載されている。

ちなみにこれにはもう一冊更に純度の濃い上級のものもあり、そこには薬についてが大量に記載されているのだが、それは幻想郷にて八意永琳が所有しているのであった。

 

純度がもう一段階高い、と言ってもこの魔道書が魔力を全然溜め込んでいないということにはならないのだけど。

つまり、この闇咲の反応こそが普通である。これと同じ、もしくはそれ以上の原本を一〇万三〇〇〇冊も溜め込んでいる禁書目録(インデックス)や、そんな魔道書を書いていたりいる大魔法使い(パチュリー・ノーレッジ)が異常なのだった。また、それを一瞬でもみて特に異常を感じない、十六夜咲夜も然り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンっ!

 

大きな音がして、ハッと私は我に返る。

それは、当麻がドアを蹴破った男だった。

右手に結界に使われていた綱が触れ、すごい速度で破られていった。無論、屋上を包んでいた淡い光も消える。

改めて私は闇咲の顔をみた。

血管は浮き出ているし、全身から汗が吹き出している。

 

「…………考えていても、しょうがない、か」

 

そして、私もゆっくりと着地した。

 

「……、悪いのか。たとえ、この命を犠牲にしても、誰かを守りたいと思うことは、悪いことなのか」

「悪いに、決まってる。アンタは大切な誰かに死なれる痛みを知ってるんだろ。それはとてつもなく大きかったはずだ。だったらそれは、誰かに押し付けちゃいけないものなんだ」

 

私は思わず頰が緩んだ。

ああ、彼らしい回答だと。特になにも思わなかったというのに。

 

「断魔の弦」

 

そうしてまた構えを取る闇咲。私は彼の前へと移動した。

 

「やめなさい、闇咲逢魔。そんなことする必要はもう無いの。だってここには、上条当麻がいるのよ?」

 

彼の動きが止まる。

なにが言いたいのか。そう、言いたげだった。

 

「えっとその、なんだ。俺の右手は幻想殺しって言ってだな。どんな異能の力でも打ち消せるんだ。その……呪いってのも」

 

それから私はインデックスの縄を解いて立ち上がらせた。

 

 

 

母たちが私を怖がった理由って、

もしかして。




ちょっと短めです。これで5巻おしまい。
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