とあるメイドの学園都市   作:春月 望

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いやはや……シェリーさんの考えが原作読んでても荒ぶるわけで。さらに荒ぶってます。どうぞ。


戦争

地下へと降りる中、私は何か気配に気づいて振り返った。

 

「……紫?」

「フフッ。ご機嫌よう」

 

減速するほどでもなかったかと、私はそのまま下に降り続ける。

紫はそのことにはなにも言わずについて来た。

 

「________能力者と魔術師の戦争が始まるわよ」

「はぁっ?」

 

それだけを言って、彼女は隙間へと入って行く。

意味がわからなかった。

 

 

 

 

 

 

が、考えていても意味はない。

 

「チッ。これはあの銀髪の仕業か」

 

シェリーの声が聞こえる。

私が石像を止めたことに対するようだった。

私はすぐに着地をし、歩き始めた。飛ぶのは久しぶりだったが、やはり楽しくて楽だ。

 

「________咲夜っ!?」

「さて、今はシェリーとの会話の時間のようね」

「随分と馴れ馴れしいな」

「親しみやすいとでも言ってくださる?」

 

魔術師はよく何かのエピソードを持っている。

神裂火織ならば天草式。ステイル・マグヌスならばインデックスのように。

そこがパチュリー様やアリスと言った魔法使いと違うところなのかもしれない。

 

「魔法名と由来を聞いても?」

「覚悟は出来てるんだろうな」

「出来てなければ聞くわけがないでしょう」

 

面白い、と彼女は呟いた。

 

「魔法名は________Intimus115。意味は、『我が身の全ては亡き友のために』」

「あら、その魔法名からだとあなたは友のためだけに命を削る魔術師に聞こえるけど……()()に固執してるのはどうして?」

「戦争を起こすんだよ。そのための火種がほしいの。そのためのイケニエが、()()って話」

 

随分とご丁寧な魔術師だった。

時間が存分に稼げる。別に稼いだところでなにもないけど。

 

「超能力者は魔術を使うと肉体が破壊される。聞いたことはないかしら」

「あるわ。その辺は当麻だって知ってる」

 

パチュリー様から教わり、インデックスからも聞いた話だ。

 

「じゃあ、疑問に思わなかった?なぜそんなことがわかるのかって」

「さぁ?彼女がいうのならそうなんだと思ったわ」

「________試したんだよ。今から二十年くらい前に。親友で超能力者のエリスが、私に魔術を教わって行使したときに、彼女の肉体が破壊されたからね」

 

あるとき、学園都市の一部とイギリス清教の一部で『仲良くしましょう』という動きがあったそうだ。

その計画に参加した、エリスとシェリーは親しくなり、魔術師のシェリーは超能力者のエリスに魔術を教えたのだという。

エリスは魔術を使った瞬間肉体が破壊され、還らぬ人となってしまい、彼女の生み出す石像には彼女を想い同じ名前がつけられているとも。

 

「さて、まずはエリスを作り直して禁書目録を追わせる」

「なッ!?さ、咲夜っ!」

「あなたの狙いはインデックスだったのね。彼女は氷華に一応任せて来たけど……さっさとシェリーを倒してしまいましょう」

「魔法名を名乗らせたからには、どうなるかは明白」

 

クスリ、と彼女は笑う。

 

「テメエがわざわざ出向いてくれて大助かり。飛んで火に入る夏の虫……ってね!!」

 

ヒュン、とシェリーは空を引き裂くようにオイルパステルを横に振るった。

すると地下鉄の構内が淡く輝き始める。

少なくとも前後一〇〇メートル以上には埋め尽くされた魔法陣が出現した。

 

「トンネルを潰す気!?」

 

迂闊だった。気づかなかった。

これじゃ彼女の言う通り、本当に飛んで火に入る夏の虫だ。

 

「エリスのような悲劇をもう二度と起こさないために。________戦争を、起こすんだよ」

 

まるで呪文のように彼女は繰り返した。

 

そこからは私がなにをするでもなく、気づくと当麻がシェリーの顔面にパンチを食らわせていた。

いや、何かはしたか。けど私は当麻を追うように行われる倒壊を、時間を止めて当たらないように防いでいただけだ。あそこまで当麻に俊敏に動かれると、私はなにもできなくなる。

 

「シェリー」

 

私が呼ぶと、当麻もシェリーも動きを止めた。

 

「あなたは本当はどう思っているの?本当に魔術師と能力者が戦争を起こすべきだと考えているの?本当に起こったら……あなたはどちらに着くのよ。魔術師として、エリスの敵として生きるの?本当に?」

「しらねぇよ!それがわかってたらこんなことしない。けど、魔術師と能力者の住み分けはすべきなんだ!」

 

すると幻想郷はどうなるというのか。

魔法使いと、人間と、能力者と、妖怪と、神様と。いろいろなものがあの狭い世界で絡み合うあの楽園は。

 

「忘れ去られたものたちを見捨てといて、よく言うわ」

「は?」

 

そういえば、吸血殺しは吸血鬼あってこその能力だが、お嬢様は忘れ去られたものでいいのか。まあ、そんなことを言っては人間なんかはどうするんだという話になるが。

 

「戦争は起きる。そうね、多分九割くらいの確率だと思っていいわ。あいつが嘘をついていなければ」

 

呆然とわけのわかってなさそうな当麻の後ろで、クッ、とシェリーが奥歯を噛み締めた。

 

我が身の全ては亡き友のためだけに(Intimus115)‼︎」

 

なんのために戦争は起きると(それを)言った、とシェリーの目は言っていた。

私だってわからない。戦争の本当の意味を知らない現代っ子に聞かれても困る。

 

「死ねぇ!超能力者ぁ!!!」

 

と、そこまで叫んで彼女の後ろから霊弾をぶつけた。

当麻がそこで拳を打ち込んで、シェリーを倒す。

案外さっぱりとしていた。

 

「……咲夜」

「なに?」

「今、戦争は起きるって……」

 

ああ、と私は懐中時計を取り出した。

 

「これを送ってきたヤツがさっきまた現れたの。戦争が起きるとだけ言って消えた。真相はわからないけど、アイツがわざわざやってくるほどのことなんでしょうね」

「________それ、本当なのか?」

「本当。ただ、随分胡散臭いヤツだから一割くらいは嘘の可能性もあるわ。それでも私をここに送れたようなヤツよ。私なんかより、この世界の裏を知ってるでしょうし」

「________嘘であってほしいって思わないのか?」

「私はお嬢様にさえ被害が及ばなければいいわ。あとは自分が無事に帰るだけだけど……私のミッションは自分を強くすることだから、それだけは達成して帰りたいわね」

「そっか」

 

割と喋ってしまったが、まあ当麻なら平気だろう。

重要なことは話してないはずだ。

話好きなところは私も魔術師に向いているのかもしれない。

 

「それより、さっきはなんでシェリーがいきなり怒ったの?」

「え?咲夜がきっかけなのに?……きっと、彼女にも思うところがあったんだろうよ」

 

彼女も頭がごちゃごちゃみたいだったし、と当麻は言った。




最近基本は2000字超え。
明日も投稿ありますが、少なめです。
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