東方狂植物   作:大神 龍

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第三話

 しばらくして、最初に植えた種が成長して香の身長ほどの高さになった。

 

「考えてる間に出来ちまったか……まぁ、最悪これで一週間は持たせられるか」

 

 ため息を吐き、その木に実っている水色の果実を採る。

 

「周囲の水気を吸収して倍加。それを果実として生成する木…名前どうしようか」

 

 考えつつ、その実をかじり――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パァンッ!!と音をたてて実が弾ける。

 

 

 

「…………袋を作ってその中に溜めるのが一番か…?」

 

 弾けたせいで前面が濡れてしまい、不快そうな表情をしつつ対策を考える。

 

「……とりあえず、いくつか野菜の種を植えて今日は種で凌ごう……食える種を作れば良いか」

 

 いくつか種を作って植えていき、全て植え終わった後で食用の種を作ってみようと考える。

 

「どんなのがあったっけなぁ……アーモンドとかか?」

 

 思い付いたのを生み出し、とりあえず保留する。

 

「後は……って、そう言えば穀類って種じゃね?豆とかも。栗とかクルミとか。よしよし。当面の食料は解決だぜ。肉も魚もないけどな」

 

 ふはは。と笑いながら作っていくが、途中で狼の存在を思い出し、花肉を作って植えていく。食べられないように必死だ。

 

「あ、そうだ。水樹って名前でいいや。まぁ、俺が分かれば良いから名付ける必要はないけど、名前があって困ることはないからな」

 

 不意に思い、適当な理由で名前を決めつつ今度は食器の代わりとなるような植物を生み出すことにした。

 

「大きな葉で、且つ頑丈……この設定で一つ。次に水瓶だな……筒状になって中の状態を綺麗に保ち続けるやつ。時間をかなり食いそうだけど、作る価値はある」

 

 そうして二つの種を作り、また植える。

 

「……かなり植物植えたけど、明日凄いことになってそうだな」

 

 明日、今日植えた植物をどのくらい覚えていられるかが問題だ。

 

「あ、灯りがないな…薄い葉っぱを作って光る種でも作るか」

 

 頑丈にして、限界まで薄くなる大きな葉を作る種を作り、植える。10分くらいで出来るはずなので、今のうちに狼を黙らせるための花肉を作ることにする。

 

「っと、これで良いかな……ん~…やっぱり肉食べたいな……火耐性の強い植物を作って加工すれば良いか。食器は出来るだろ。後は包丁だよな……」

 

 考えるが鉱石が手に入るまではどうしようもない。

 

「鉱石を咲かせる植物でも作るか」

 

 思い付くと同時に作り植える香。

 

「さて……休憩だな」

 

 香は近くの木に寄りかかり、空をあおぐ。

 

「異世界って思えないんだよなぁ……狼がいる時点で昔なんだろうけど」

 

 現代では遭遇することなんて滅多にない狼。今は花肉を警戒しながら食べているが、何時こっちを向いて襲いかかってくるか分からない。

 

「ま、別に襲われても問題ないけど…殺される危険はあるからな」

 

 空には雲があり、流れていく。雲に紛れて鳥も飛ぶ。

 

「……大きさも普通だよなぁ……ん?」

 

 疑問の声を上げたのは、高く飛ぶ鳥に影がかかったためだ。

 

「なんだ?」

 

 よく見てみると、雲の上にいるのだろう、大きな鳥の影が見える。

 

「嘘だろ……あんなのがいるのかよ」

 

 ピィィィィーーーー!!!と甲高い鳴き声が聞こえ、大きな影が旋回すると、雲が晴れ、先程までいたはずの鳥が消え、数秒後に強い風が香を襲う。

 

「うひゃぁ……勝てる気がしねぇ……つか、さっきの小さい方の鳥はどこ行ったんだ?まさかあの一瞬で食われたのか?」

 

 風圧で吹き飛んだ可能性もあるが、一瞬頭がぶれていたので、おそらく食べられたのだろう。

 

「猛禽類怖いな……あんなにでかくてよく飛べるもんだ」

 

 香の目に浮かぶのは、純粋な恐怖だけではなく、その大きさや姿に引かれたのだろう。

 

 ふと視線を地上に戻すと、狼が目の前にいた。

 

 一気に空気が張り詰める。

 

 狼がゆっくりと近づいてくる。

 

「…………」

 

 先程作っていた攻撃系の種を持つ。何が起こっても良いように。

 

 そして、狼は目の前の来ると――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 香の膝に頭をのせて寝始める。

 

 

「……へ?」

 

 拍子の抜けた声をあげる香。

 

「ね、寝るのか……ビビったわ……殺されると思った」

 

 深くため息を吐き、香はまた鳥を見ようと顔をあげる。

 

「……怪獣大戦争?」

 

 そこには、大きな鳥に襲いかかる、同じくらいの大きさの虎がいたのだ。

 

「いやぁ……貴重なものが見れたけど、あれがこっちを向いたら終わりだな」

 

 ため息を吐き、とりあえず、その二体がどんな技を出すのか見ることにした。

 

「……強烈な風に真空波。後は嘴で突いたり、爪で引っ掻いたりか……虎は俊敏な動きで翻弄して引っ掻いたり噛みついたり。雷を放つってことは神格持ってるのか?確か、雷は高位の神霊の技だったはずだけど……」

 

 豊穣の神だろうか。と考えつつ、対策を考える。

 

「防風壁と避雷針が必要かな……あの速度も草を絡ませて落として、鳥の場合は打ち落とすのが一番か。なんにしても、今の装備じゃ挑んでも瞬殺されるのが落ちか」

 

 上空で戦闘を続けていた二体は、やがて鳥が高く飛んで逃げていった。

 

「まだ他にもいるんだろうな。本気で対策を練らないと生き残れないっつの」

 

 頭を抱えて呟き、そして夜が訪れる。

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