XANXUSさんの登場は原作同様物語中盤以降からとなります。
――某所
「もうすぐだ・・・」
「え?」
「もうすぐ、希望を携えて・・・彼等がやってくる」
追い詰められているにも関わらず、とても穏やかな声でそう告げる相手。
彼は不安げにその相手を見つめる。
「―――綱吉君、本当に良いのかい?」
「ああ・・・この世界を正常に戻すためには、これしか方法がないんだよ・・・正一君」
イタリア筆頭のマフィア、ボンゴレファミリー。そのボスである沢田綱吉は、間もなく死ぬ。
死ぬと言っても、正一が用意した仮死状態になる弾丸で撃たれる予定なので、問題はないだろう。
とはいえ、100%安全であるとは言えない。なのに、沢田綱吉は確信を持って言うのだ。
「俺が目を覚ます時には・・・全部が丸く収まっているよ」
「・・・絶対、大丈夫なんだね?」
「ああ。・・・でも、どうやらこの時間軸での俺の過去は“はじかれて”しまうようだから、少しばかり正一君は大変になるかもしれないね?」
ふふ、と笑う沢田綱吉に、正一は眉間にしわを寄せる。
「この時間軸の過去じゃないとしたら・・・一体、どこから・・・」
「・・・白蘭も覗くことのできない、トゥリニセッテによって強力に守られた世界」
そう答え、沢田綱吉は視線を部屋の入口の方へと向ける。そこには雲の守護者である雲雀がいた。
彼は先程から壁に背をもたれかけてこちらの会話をじっと聞いていたのだ。
「―――僕はもう行くよ」
ここまで付き合っていただけでも過去の彼を思えば奇跡とも思えるものだ。
それだけ自分達も大人になった、という事なのだろうが。
「はい。過去の俺を、よろしくお願いします」
穏やかに微笑みながら願い事を口にする己のボスを見て、雲雀は目を細めた。
「・・・気が向いたら、ね」
そう言うなりくるりと背を向けて部屋を立ち去る雲雀を見送って苦笑し、沢田綱吉は再び正一に向き直る。
「・・・正一君も気をつけて。白蘭は狡猾だから、油断してはダメだよ」
もちろんそれは正一が一番よく知っている。今の今まで力を貸してきてしまったことに後悔すら覚えているのだ。
だから、友人であるランボを通して知り合った沢田綱吉に縋らざるを得なかった。
「ああ・・・わかってるよ」
「幸運を祈ってる。これから死ぬことになっている俺にはそれしかできないから。・・・きっと、ウチの守護者が正一君にひどい事を言うかもしれないけれど、許してやってね?」
「それは、もちろん・・・ああ、僕の胃がもつかなぁ」
「ふふっ・・・目を覚ましたら、特別なお医者さんを紹介してあげるよ?」
「・・・ぜひ、お願いするよ」
***
この密談の数日後、沢田綱吉はミルフィオーレファミリーとの会談中、凶弾に倒れた。